マンションの資産価値はどうやって上げる?外的な要因と所有者ができる対策
都市部を中心にマンション価格の高騰が続いています。
所有しているマンションの資産価値が上昇すれば、売却するときに高値で売れたり、賃貸物件として高く貸したりと、利益につながる可能性があります。
マンションの資産価値はさまざまな要因で決まりますが、その多くは外的な要因です。しかしなかには、コントロール可能なものもあり、きちんと対応することで資産価値を上げられます。
ここでは、マンションの資産価値に影響を与える要因、資産価値の調べ方、価格推移について解説します。
もくじ
マンションの資産価値が上がる外的な要因
マンションの資産価値とは、市場で実際に取引される価格をいいます。マンションを売却する際には買主が必要ですが、その買主が実際に購入する価格が資産価値です。
マンションの資産価値はさまざまな要因で決まりますが、代表的なものが下記になります。
- 周辺施設
- 人口の変化
- 築年数
それぞれの要因が資産価値にどのような影響を与えるのか確認しましょう。
周辺施設
マンションの資産価値は、周辺に建設される施設によって変動することがあります。たとえば、マンションの近くに大型の商業施設や病院、スーパーなどが新しく建築された場合、利便性の向上により資産価値が上がる可能性があります。
反対に、幹線道路やゴミ焼却場、下水処理場といった、いわゆる嫌悪施設が建設された場合は、騒音や臭気などが原因で資産価値が下がることがあります。
人口の変化
マンションが所在しているエリアの人口の変化は資産価値に影響を与える要因になります。人口が増加すると住宅の需要が増えるため、購入希望者が増える傾向があるためです。
一部屋のマンションに対して複数の購入希望者が現れた場合、良い条件を提示した人を買主に選べるため、不動産評価額よりも高く売れる可能性があります。
反対に人口が減少しているエリアでは、住宅の需要が減るため、購入希望者を見つけるのは難しいでしょう。購入希望者が見つかったとしても、購入してもらうために値下げを行うことで、売却価格が評価額よりも低くなることがあります。
築年数
マンションの資産価値は、建物部分と土地部分に分けられます。このうち、建物部分は経年による資産価値の減少が発生します。
画像引用:国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」
国土交通省の資料では、新築マンションの価値は、10年後で80〜85%、20年後では55~60%まで減少するという調査結果が出ています。たとえば、新築時に4,500万で購入したマンションの価値は、10年後に3,600〜3,825万円、20年後では2,475~2,700万円まで下がってしまうのです。
マンションの資産価値にとってプラスの要因があったとしても、経年による減少を上回ることができなければ、30年、40年と築年数がたつごとに価値はどんどん減少してきます。
所有者がマンションの資産価値を高める方法
マンションの資産価値は、外的な要因による影響を受けやすい傾向がありますが、所有者の努力で高めることもできます。その方法が、マンションの適切な管理です。
「マンションは管理を買え」という言葉があるように、管理状態は資産価値に大きな影響を与えます。マンションの管理が適切に行われていれば、外的な要因で資産価値が上がった際、価値をさらに高めることが可能です。反対に外的な要因によって資産価値が低下した場合でも、下げ幅を抑える効果が期待できます。
マンションの資産価値を高める具体的な方法は下記のとおりです。
- 管理組合が正常に機能している
- 長期修繕計画が作成されている
- 景観を保つ作業が定期的に実施されている
マンションの管理方法は関連記事でご確認ください。
マンションの管理はできるだけ所有者で行う
多くのマンションでは、建物の管理を管理会社に委託しています。なかには一切の業務を委託する「全部委託」にしているケースも少なくありません。管理会社に管理を委託することで、管理組合は内容をチェックするだけになるため手間や負担が少なくなります。しかし、管理会社に丸投げをしていると、所有者の管理意識が薄れてしまい、次第にチェック業務もあまくなってしまいます。
その結果、マンションの管理が適切に行われなくなり、資産価値の低下につながるのです。資産価値を高めるには、なるべく管理組合が主体となって管理を行いましょう。
マンションの評価額を調べる方法
所有しているマンションの資産価値は、想定される売却価格である評価額で確認します。評価額はあくまで予測のため、そのままの価格で売れることはまれですが、おおよその資産価値を把握するときに役立ちます。
マンションの評価額を調べる方法には、主に次の4つがあります。
調べる方法 | 精度 |
---|---|
不動産会社の訪問査定 | ★★★ |
不動産会社の机上査定 | ★★☆ |
マンションの評価額 | ★★☆ |
レインズマーケットインフォメーション | ★☆☆ |
精度が低い方法は、マンションの評価額を手軽に調べられますが、物件に関する情報が少ないため、実際の資産価値との差が大きくなる傾向があります。評価額が高くても、実際に売れる金額が大幅に下がることもあるため注意が必要です。一方で、精度の高い方法は、マンションの詳細情報を参考にして評価額を算出します。手間や時間がかかりますが、実際の資産価値に近い金額を調べられます。
マンションの評価額は、売却のタイミングや売り出し価格を判断するときの大切な指標です。それぞれの方法について詳しく確認しておきましょう。
【精度:★★★】不動産会社の訪問査定
不動産会社の訪問査定は、不動産会社の担当者がマンションを直接見て、評価額を調べる方法です。マンションの室内外の状態や市場動向、地域の特性、過去の実績など、さまざまな情報を確認して査定をするため、実際の資産価値に近い価格がわかります。
マンションの売却を検討していて、資産価値に近い評価額を知りたい場合は、訪問査定を利用するのがよいでしょう。訪問査定当日は、不動産会社の担当者が室内に入って状態を確認するため、所有者や親族などの立会いが必要です。訪問査定に要する時間は約1~2時間になります。
また、訪問査定のときは、下記の書類の提出を求められることがあります。
- 登記簿謄本
- 印鑑証明書
- 身分証明書
- 登記権利証または登記簿識別情報
- 登記簿謄本や固定資産税等納付通知書
訪問査定は不動産会社に直接問い合わせて依頼しますが、必要書類はその際に伝えられることが多いため、当日までに忘れずに準備しておきましょう。
訪問査定の結果は数日~1週間ほどかかる
訪問査定の結果が出るまでの期間は、約数日~1週間です。マンションを売却するときは、複数の不動産会社の査定内容を比較して、条件の合ったところと契約するのが一般的です。
しかし、訪問査定を1社ずつ依頼をしていると、すべての査定がそろうまでに時間がかかります。効率よく進めるには同時並行で進めましょう。複数社への訪問査定を依頼する際には、不動産の一括査定サイトが便利です。マンションの情報を入力するだけで、複数の不動産会社に一括で査定を依頼できるため、手間を省けます。
【精度:★★☆】不動産会社の机上査定
不動産会社の机上査定は、不動産会社の担当者がマンションに関する情報と電話でのヒアリングで評価額を調べる方法です。簡易査定とも呼ばれます。
マンションを実際に見るわけではないため、精度は訪問査定より下がります。ただし、立会いがないため、査定に時間がかかりません。早ければ当日中に結果を知ることができるため、マンションの売却を検討中でおおよその評価額を知りたいという場合に向いています。机上査定では、マンションに関する築年数や面積といった簡易的な情報の提出が必要です。依頼をする前に必要な書類などを用意しておくと円滑に進められます。
マンションの売却を近隣に知られにくい
机上査定では、不動産会社の担当者がマンションに訪問することがないため、近所の人や家族に知られずに査定ができます。マンションの評価額を知りたいけれど、近隣の住民に詮索をされたくないという場合も机上査定が向いています。
【精度:★☆☆】レインズ・マーケット・インフォメーション
不動産会社とやり取りをせずにマンションの評価額を調べたい場合は、レインズ・マーケット・インフォメーションを利用しましょう。
レインズ・マーケット・インフォメーション(REINS Market Information)は、全国各地で実際に取引されたマンションや戸建ての価格を確認できる不動産情報提供サイトです。国土交通省が指定する不動産流通機構が運営をしています。レインズ・マーケット・インフォメーションでは、マンションそのものの評価額を調べられるわけではありません。ただし、所有するマンションと近い条件の物件が、過去にいくらで取引されたのかを確認できれば、大まかな価格を確認できます。
具体的には、以下の手順で評価額を調べましょう。
- トップページにある「マンション」の項目から、都道府県と地域を選択して検索する
- 追加条件を選択して検索する
- 検索結果に表示される取引情報一覧から条件に近いマンションの価格を確認する
マンションを含む不動産は、同じものが存在しない資産といわれています。立地がわずかに違うだけでもマンションの評価額は大きく違うため、参考程度に考えておきましょう。
【精度:★☆☆】不動産情報ライブラリ
レインズ・マーケット・インフォメーションでマンションの評価額を調べる際、合わせて利用したいのが、不動産情報ライブラリです。
不動産情報ライブラリは、国土交通省が運営するWebサイトです。マンションや戸建てを含めた不動産の成約価格だけでなく、土地や農地などの不動産の成約価格を閲覧できます。表示される物件情報はレインズ・マーケット・インフォメーションと同じです。
不動産情報ライブラリで調べる情報も精度は高くないため、参考程度にしておきましょう。
マンション価格の推移
マンションの評価額を調べた後に気になるのが、売却のタイミングだと思います。マンションの相場価格が上昇傾向であれば、しばらく保有していたほうが、値上がりを期待できます。反対に下落傾向であればすぐに売却を進めたほうが、手元に残せるお金を残せる可能性が高くなるでしょう。
売却のタイミングを判断するには、マンション価格の推移を知ることが大切です。下記は、国土交通省が発表している不動産価値指数の推移を表にしたものです。
※国土交通省「不動産価格指数」をもとに、当社が独自に作成
上記のデータを見ると、マンションの価格は、全国的に上昇傾向であることがわかります。マンションの価格が上がっている理由はさまざまですが、代表的な理由として次の2つが考えられます。
- 建築コストの増加
- 低金利政策の影響
それぞれの理由が、マンション価格にどのような影響を与えているのか確認しておきましょう。
建築コストの増加
マンション価格が高騰している理由のひとつに建築コストの上昇があります。下記は、国土交通省が発表している「建築工事費デフレーター※」の数値をもとに作成した表です。
出展:国土交通省「建設工事費デフレーター」
上記の表からは、木造住宅、鉄骨鉄筋、鉄筋、鉄骨とすべての住宅でコストが増加していることがわかります。いずれの住宅も基準となる2015年から2022年の間に約1.2倍に膨らんでいます。増加の大きな要因となるのは、人手不足による人件費の上昇や、建築資材の値上がりです。どちらの要因も今後すぐに解決することが難しいため、建築コストの増加は継続する可能性が高いでしょう。
金融緩和政策
マンション価格が上昇しているもうひとつの大きな理由は、日本銀行が行った金融緩和です。日本銀行が2013年4月から行った異次元の金融政策によって、住宅ローンの金利が下がったことで住宅ローンを組みやすい環境ができました。その結果、マンションの購入者が増加し、マンション価格の高騰につながったのです。
日本銀行による金融緩和政策は2023年9月現在も行われており、今後も継続する可能性が高いといわれています。そのため、継続している期間中は、マンション価格の高騰が続く可能性が高いでしょう。
マンションはいつ売ればいいのか?
マンションを売るなら、少しでも高く売れる時期を狙いたいものです。マンション価格の値上がりの要因となっている建築コストの増加や金融緩和政策は、今後もしばらく継続することが考えられます。
では、今すぐ売るよりもしばらく保有をしたほうが高く売れるのでしょうか。実は、そうともいい切れません。
マンションの価格は今後も上昇傾向になると予測されていますが、あくまで予測です。仮に、予期せぬ出来事で予測が外れ、価格が上昇から下落に転じれば、マンション価格が一気に減少するおそれがあります。
また、マンションの経年による資産価値の減少は確実に起きます。マンション価格が上昇したとしても、予測よりも緩やかだった場合、資産価値の減少を上回ることができず資産価値は低下するでしょう。
そのため、値上げを期待して保有するよりも、マンション価格が上昇傾向のうちに売却をしたほうが、資産価値の減少を防げる可能性が高いといえます。
マンションを売るなら複数社の不動産会社を比較する
マンションを高く売るなら、複数の不動産会社に訪問査定を依頼して、提案内容を比較することが大切です。ただし、不動産会社を探して、1社ずつ査定を依頼するのは手間も時間もかかります。時間が経過すればマンションの資産価値が減少するおそれがあるため、効率よく進めることが重要です。
不動産会社に査定を依頼するなら、不動産の一括査定サイト「リビンマッチ」を利用してみましょう。リビンマッチは、売却したいマンションの情報を入力すると、お住まいの立地条件などから最適な不動産会社数社が出した査定額を確認できます。
最大6社の不動産会社に一括で査定を依頼ができるだけでなく、依頼する不動産会社を選択することも可能です。利用すると最短45秒で資産価値がわかるだけでなく、対応のよい不動産会社を見つけられます。ぜひこの機会に利用ください。
2022年からリビンマッチのコラム記事の執筆・編集を担当しています。不動産の財産分与に関する記事執筆が得意です。住宅設備機器の専門商社に6年間従事した知識と経験を活かして、不動産に関する知りたかったこと、知っておいた方がいいことをわかりやすく伝えられるように心がけています。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
誤字脱字や事実誤認などございましたら、ぜひともご指摘ください。
運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
人気ワード
離婚で家を財産分与 (27) 老後の住まい (24) 売れないマンション (16) 一括査定サイト (15) 離婚と住宅ローン (13) 海外移住 (11) 訳あり物件 (11) 家の売却 (11) 家の後悔 (10) 不動産高く売る (9) 実家売却 (9) マンション価格推移 (8) マンションの相続 (8) 移住 (7) アパート売却 (7) 不動産会社の選び方 (6) マンション売却の内覧 (6) 家の価値 (6) 離婚と家 (6) 売れない家 (5) お金がない (5) 空き家売却 (5) 離婚準備 (5) 離婚と家売却 (5) 農地売却 (4) 近隣トラブル (4) マンション買取 (4) 家の解体費用 (4) 売れない土地 (3) マンションか戸建てか (3) サブリース (3) イエウール (3) 不動産価格推移 (3) リビンマッチ評判 (2) シンガポール移住 (2)リビンマッチコラムを引用される際のルール
当サイトのコンテンツはどなたでも引用できます。 引用にあたって事前連絡などは不要です。 コンテンツを引用される際は、引用元が「リビンマッチ」であることを必ず明記してください。
引用ルールについて