不動産を売却する前にリフォームすべき?必要性や費用相場を解説
中古の戸建てやマンションにお住まいで、売却を考えている場合、リフォームをしてから売却すべきかどうかでお悩みの方もいるのではないでしょうか。
本記事では、リフォームのメリットとデメリット、リフォームや簡易的な修繕の費用相場、または、簡易的な修繕費の相場などを紹介します。また記事の後半では不動産の売却時に一括査定サービスを利用する方法、譲渡所得の確定申告をする際のリフォーム費用の取り扱いなどについても詳しく解説します。
- 複数の不動産会社で査定したい
- 早く売却して、ローンに充てたい
- 遠方にある物件なので地元の不動産会社に依頼したい
- いまの物件価値を知りたい
- どの不動産会社に相談していいのかわからない
もくじ
不動産の売却時にリフォームは必須ではない
不動産を売却する際、少しでも高く売却しようと家のリフォームをするケースもあります。しかし実際には、家をリフォームしてもそのリフォーム費を上乗せして高く売れるわけではありません。家の買主側からすると、リフォームをしていなくてもなるべく安い価格で家を購入したいと考える人も多いようです。
そのため家を売却する際のリフォームは必須ではありません。メリットとデメリットを踏まえつつ、本当にリフォームすべきか判断することが大切です。
不動産をリフォームしてから売却するメリットとは
まずは、家をリフォームしてから不動産を売却するメリットについて紹介します。
見た目がきれいになる
リフォームをすれば家の見た目がきれいになり、内覧者に与える印象がよくなります。家の購入を決める場合、室内の印象があまりよくないと、「こんな家に住みたい」と思われず、なかなか売れないこともあります。汚れが目立ちやすい水回りなどを中心にリフォームすることによって清潔感が高まるので、売却しやすくなるでしょう。
すぐに買主が引っ越しできる
家を売却した後に買主がリフォームを行う場合、一般的には家の引き渡し後にリフォームを始めることになり、実際に家に引っ越すまでに時間がかかってしまいます。
リフォーム済みの家であれば、買主はすぐに引っ越しができるので、なるべく早く住み替えたい購入希望者へのアピールにつながります。
買主の融資手続きがスムーズに進みやすい
リフォーム済みの家を購入する場合、家の購入価格だけで住宅ローンが組めるので手続きがスムーズに進みやすく、買主を見つけやすくなるというメリットがあります。これに対して家の購入後に買主自身でリフォームをする場合は、家の購入価格とリフォーム費用とで別々にローンを組まなければなりません。住宅ローンの手続きが煩雑になってしまうため、購入を敬遠される可能性もあるでしょう。
不動産をリフォームしてから売却するデメリット
次に売主が家をリフォームしてから、不動産を売却する場合のデメリットについて紹介します。
費用の回収が難しい
売却前にリフォームをした場合のデメリットとして、売却してもリフォーム費用を回収しにくい点が挙げられます。リフォームの内容によりますが、キッチン、洗面台、風呂、壁、床などをフルリフォームする場合、その費用は数百万円になることが一般的です。
リフォームは原状回復の意味合いが強いので、この費用を売却価格に上乗せすると単純に価格が上がるため売れにくくなってしまうケースが多く、リフォーム費用の回収が難しいのが実情です。
「安さ」をウリにできなくなる可能性がある
中古物件の場合は安さがウリとなりますが、リフォームの費用を上乗せして売り出した場合、中古物件のウリである安さを感じられないケースがあります。
中古物件を求めている人の中には自分でリフォームするつもりで安い中古物件を探している人も多く、売主がリフォーム費用を上乗せすると、そうした買主のニーズを満たせなくなるというデメリットがあります。
買主の趣味に合わないケースもある
売主はよく見せたいという思いでリフォームしますが、それが買主の趣味に合わない場合は、購入してもらえません。中古の家を検討している購入希望者の中には、自分の好みやこだわりに合ったリフォームを自分で行いたいと考えている方も多いです。そのような場合はリフォームをして高めの価格で売り出すよりも、現状のまま少しでも安い価格で売り出すほうがよいでしょう。
大がかりなリフォームは避けるのが無難
中古の家を売り出す際には、見た目がきれいなほうが売却しやすいです。しかし費用をかけてまでリフォームをしても、その費用が回収できるほど高く売れるとは限りません。
前述したとおり、安く中古の家を手に入れて好みやこだわりを生かしたリフォームを自身で行いたいと考えている購入希望者も多いです。そのため大がかりなリフォームは避けて、掃除やクリーニングのみにとどめておいたほうが売却しやすいでしょう。まずは現状のまま、不動産を売りに出してみるのがおすすめです。
リフォーム以外にも不動産を売却しやすく方法はある
ここからはリフォーム以外にも不動産を売却しやすくする方法を紹介します。
ホームインスペクションをする
ホームインスペクション(建物状況調査)とは、家の外壁や基礎などの劣化状況や欠陥の有無、改修すべき箇所などを住宅診断士が調査し、アドバイスを行うことです。建物の目に見えない部分まで調査をして、プロの視点で診断をしてくれます。診断方法は目視が中心で、結果は書面で提出されます。
ホームインスペクションを行うメリットは、家に問題がないことを証明できるので、売主も買主も安心感や納得感を得られ、売却しやすくなる点です。また家の状況・状態に合った価格設定ができるので、高すぎず安すぎない適切な価格で売りに出せるでしょう。
一方でデメリットとしては、ホームインスペクションの費用に約5万円かかる点と、もし修繕が必要と診断された場合、売却前に修繕費が必要になる点が挙げられます。
最低限の修繕を行う
中古の家では築年数が10年を超えると、さまざまな箇所で劣化が目立ってくるようになります。見てすぐに分かるような劣化は、買主からは敬遠されて売却しにくくなるので、簡易的な修繕はしておくのがおすすめです。
外壁の色がはがれている場合や塀の傷みが目立つ場合などは、傷んだ箇所だけでも修繕しましょう。また室内では、子どもやペットなどによって壁紙が汚れてしまっている場合や障子・ふすまが破れている場合などは張り替えをしておきましょう。
この他にも水回りの設備についても、水もれなどが発生している場合は修理・交換を行ってください。主な修繕箇所と費用の目安は以下のとおりです。
修繕する箇所 | 費用相場 |
---|---|
外壁の補修 | 3,000~5,000円/m² |
塀の修繕 | 1.3万~2万円/m² |
畳表の張替 | 5,000~7,000円/帖 |
障子の張替 | 2,000円/枚 |
ふすまの張り替え | 3,000~4,500円/面 |
玄関・室内ドアの修繕 | 2万~10万円/枚 |
壁紙の張替 | 1,000~1,500円/m² |
給湯器の修理 | 2万~5万円 |
トイレ | 1万~4万円 |
洗面台 | 1万~3万円 |
風呂場(ひび割れ・目地補修) | 2万~3万円 |
ハウスクリーニングをする
ハウスクリーニングとは、掃除の専門業者に素人では難しいところまで掃除をしてもらうサービスです。通常では落とせない頑固な汚れも専門の機材を使ってきれいにしてもらえるので、内覧時に清潔感をアピールできます。
特にトイレやお風呂、キッチンなどの水回りの印象は購入希望者に大きな影響を与えるので、ハウスクリーニングできれいにしておくのがおすすめです。
ハウスクリーニングにかかる費用は家の大きさによって変わりますが、約3万~10万円が相場です。空き家の場合よりも入居中の家をクリーニングするほうが、家具などが多く手間がかかるため費用は高くなります。またハウスクリーニングの作業は、約半日で終わることが一般的です。
庭の整備をする
一戸建てで庭がある家の場合は、庭をきれいに掃除しておくことも売却しやすくするポイントです。
庭を持つことにあこがれを抱いている購入希望者も一定数います。「子どもを安全に遊ばせられる庭が欲しい」、「庭で家庭菜園やガーデニングを楽しみたい」という観点で、内覧時に庭の状態をチェックするケースもあるので、事前に庭の雑草や落ち葉を取り除く、庭木を刈り込むなどの対応をしておくと、印象がよくなるでしょう。
リフォームが必要な不動産とは?
売却前にリフォームをしないほうが無難とお伝えしましたが、リフォームが必要な不動産もあります。具体的には、以下に挙げる内容に当てはまっている場合、リフォームを検討してみてください。
- 給湯器などの主要な設備が壊れている家
- 見た目の印象が悪すぎる家
たとえばキッチンや浴室、トイレなどの主要な設備が壊れていると、内覧時に購入希望者からの印象が悪くなり売りにくくなります。自分でリフォームしたい購入希望者が多いとはいえ、生活に必要な設備は整えておきましょう。
また見た目の印象が悪すぎる家とは、壁やふすまが黒ずむほど汚れていたり、水回りに黒いカビが目立っていたりするケースです。内覧時に汚いというマイナスの印象を与えてしまいます。このような場合は壁紙やふすまを全部張り替える、床を張り替えるなどのリフォームがおすすめです。
リフォームにかかる費用相場
ここからは、リフォームをする場合にかかる費用相場について、以下に分けて紹介します。
- フルリフォーム
- トイレ
- キッチン
- 浴室
- 洗面所
- 内装
フルリフォーム
リフォームの費用は、リフォームする箇所や内容、使用する設備、材料のグレードなどによっても変わります。下表は箇所別のリフォーム費用相場の一覧です。すべてをリフォームすると約400万~500万円かかると認識しておきましょう。
種類 | 箇所 | 費用相場(/円) |
---|---|---|
内装 | 壁紙(10m²) | 1万~2万 |
フローリング(6畳) | 7万~9万 | |
畳(1枚) | 5,000~8,000 | |
設備 | トイレ | 10万~50万 |
キッチン | 50万~150万 | |
浴室 | 50万~150万 | |
洗面所 | 20万~50万 |
なお、400万~500万円かけてリフォームしても、その分高く売却できるわけではありません。壊れている設備や見た目の印象が悪い部分を中心に、必要最低限の費用でできるリフォームにとどめておくのがおすすめです。
トイレ
トイレをリフォームする場合の費用の相場は、約10万~50万円です。洋式トイレでは、排水・配管・コンセントをそのまま使って暖房洗浄便座に取り替える場合、製品代と簡単な水道工事だけで済むので10万円以内でリフォーム可能です。ただし洋式トイレであってもすべてを取り替えると、電気工事、床の工事などを含めて約25万円必要です。また壁材、天井材、床材までリフォームすると、約50万円はかかります。
和式トイレを洋式トイレにリフォームする場合は、排水配管の移設、古い便座やタンクの撤去、撤去後の壁穴の補修などが必要になるので、約50万円かかる場合もあります。
キッチン
キッチン全体をリフォームする場合の費用相場は約50万〜150万円です。
キッチンは種類によって値段が変わります。具体的には以下のとおりです。
- I型システムキッチン・L型システムキッチン・ペニンシュラ型システムキッチンのリフォーム費用:約100万円
- アイランド型システムキッチンのリフォーム費用:約200万円
浴室
浴室をリフォームする場合の費用相場は約50万~150万円です。主に以下に挙げる3パターンのリフォーム内容があります。
浴室のリフォーム | リフォーム内容 | リフォーム費用(/円) |
---|---|---|
ユニットバスの交換 | 既存のユニットバスを新しいユニットバスに交換する形式のリフォーム | 約50万~80万 |
在来工法からユニットバスに変更 | 既存の在来工法の浴室を解体し、新しいユニットバスを設置するリフォーム | 約100万 |
在来工法のリフォーム | 既存の在来工法の浴室を改修し、新たな設備やデザインを取り入れる形式のリフォーム | 約150万 |
洗面所
洗面所のリフォーム費用の相場は約20万〜50万円です。シンプルで最低限の機能のものを選べば20万円以下でリフォームできます。一方で収納やデザインにこだわり、一回り大きいサイズの洗面台に変更する場合には、約50万円かかると認識しておきましょう。
内装
リビングや寝室などの内装をリフォームする場合は、壁紙10m²あたり1万〜2万円が費用相場です。その他の内装工事は、フローリングは6畳の場合は7万~9万円、畳は1枚5,000~8,000円であるケースが一般的でしょう。
ただし内装のリフォームに必要な費用は、内装の内容や部屋の広さによっても大きく異なります。
悩んだら不動産会社に相談する
売却する前にリフォームすべきかどうか悩んだときは、不動産会社へ相談することをおすすめします。自分だけで判断すると、リフォームが必要ない場合でもリフォームをして後悔する可能性があります。不動産会社に相談すれば、プロの目で不動産の状態を見て、リフォームしないで売却するほうがよいか、リフォームして売却するほうがよいかをアドバイスしてくれます。
またリフォームには費用がかかるので、不動産会社に費用対効果の面からも試算・アドバイスしてもらうことが大切です。
一括査定サービスを活用してよい不動産会社を見つけよう
不動産を売却したい場合、まずは不動産の売却相場を把握し、適切な不動産会社を見つける必要があります。その場合に利用をおすすめしたいのが、不動産の一括査定サービスです。ここからは、一括査定サービスのメリットやデメリットなどについて紹介します。うまく活用して、信頼できる不動産会社を探してください。
一括査定サービスのメリット
一括査定サービスには以下に挙げるようなメリットがあります。
- 簡単に不動産会社を探せる
- 不動産の売却相場を把握できる
- 複数の不動産会社に相談できる
簡単に不動産会社を探せる
一括査定サービスのメリットとして、手軽に条件に適した不動産会社を探せるという点があります。
一般的に不動産会社を探す場合、不動産会社に電話をして問い合わせなければなりません。複数社に問い合わせする場合、その分時間も手間もかかってしまいます。しかし一括査定サービスを利用すれば、Webサイト上で売却したい不動産の情報や条件を一度入力するだけで、複数の不動産会社に査定を依頼することが可能です。基本的には24時間いつでも依頼できるので、忙しい方にも適しています。
不動産の売却相場を把握できる
一括査定サービスでは、一度に複数の不動産会社に査定を依頼できるので、ある程度の売却相場を把握できます。
簡単にある程度の費用相場を把握できるのは、一括査定サービスのメリットといえるでしょう。
複数の不動産会社に相談できる
一括査定サービスによっては、登録されている不動産会社に不動産の売却について相談できる場合があります。たとえば売却にかかる費用目安や税金に関する質問、高価格で売却するための対策など、分からないことを複数の不動産会社に確認可能です。自分の質問や悩みに丁寧に回答してくれる不動産会社かどうかを見極めることもできるでしょう。
一括査定サービスのデメリット
一括査定サービスには、以下のようなデメリットもあります。
- 適正な査定価格を判断することが難しい
- 地域密着型の不動産会社は出てこない可能性がある
- 匿名での利用ができない場合が多い
適正な査定価格を判断することが難しい
一括査定サービスでは複数の不動産会社に対して、査定を依頼できますが、各社の査定価格が開きすぎていると、どの査定価格を目安にすればよいか、判断が難しくなります。
売り出し価格が高いと買主が見つからないリスクがあるので、不動産会社の担当者の人柄、成約実績、売却したい不動産との相性なども考慮して、提示された査定価格が信頼できるかを見極めるようにしましょう。
地域密着型の不動産会社は出てこない可能性がある
一括査定サービスには全国の不動産会社が登録しているわけではありません。一括査定サービスごとに登録されている不動産会社の社数は異なります。そのため利用する一括査定サービスによっては、地域密着型の小規模な不動産会社は見つからない可能性もあります。
また人口が減少して地価も下がっている地域では、不動産取引が活発でないため、対応してくれる不動産会社が見つかりにくいでしょう。そのような場合、登録社数の多い一括査定サービスを利用したり、2~3つの一括査定サービスを利用したりするのがおすすめです。
- 複数の不動産会社で査定したい
- 早く売却して、ローンに充てたい
- 遠方にある物件なので地元の不動産会社に依頼したい
- いまの物件価値を知りたい
- どの不動産会社に相談していいのかわからない
匿名での利用ができない場合が多い
一括査定サービスは、匿名では利用できない場合が多いので注意が必要です。
一括査定サービスは、不動産会社にとって営業活動のひとつであり、不動産を売却したいと考えている売主と媒介契約を結ぶことが最終的な目的です。そのため、一括査定サービスで査定依頼をする際は、以下に挙げる情報の入力が必要です。
- 利用者の名前
- 電話番号
- メールアドレス
- 売却したい不動産の住所
- 売却したい不動産の詳細情報
- 利用者の現住所
おすすめは「リビンマッチ」
さまざまな一括査定サービスがありますが、おすすめは「リビンマッチ」です。リビンマッチは東京証券取引所グロース市場に上場しているリビン・テクノロジーズ株式会社が運営しており、約15年の運営実績があります。パソコンやスマートフォンから必要な情報を入力するだけで、最大6社の不動産会社に一括査定の依頼が可能です。大手不動産会社から地元の不動産会社まで、全国さまざまな不動産会社がリビンマッチに参加しているので、より自身の条件に合った不動産会社を見つけられるでしょう。
またリビン・テクノロジーズ株式会社ではプライバシーマークを取得しており、個人情報の保護を徹底しています。リビンマッチの利用によって、不動産情報や個人情報が許可なく公開されることはありません。
インターネット環境さえあれば、24時間いつでも無料で査定依頼が可能なので、忙しい人でも気軽に利用できます。
確定申告におけるリフォーム費用の取り扱い
ここからはリフォームをした不動産を売却した場合、確定申告の際にどのように取り扱えばよいか、詳細を解説していきます。
リフォーム費用は譲渡費用に含まれるのか
不動産を売却して譲渡所得が生じた場合、翌年の確定申告で譲渡所得税を申告します。その際にリフォーム費用は、リフォームの目的によって譲渡費用に含まれる場合と取得費に含まれる場合があります。
譲渡所得の金額は、土地や建物を売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。譲渡所得は以下に挙げる計算式で算出できます。
譲渡所得 = 不動産の売却価格 - 取得費 - 譲渡費用
取得費とは、売却した不動産を取得した際にかかった費用です。購入代金、購入時の仲介手数料、購入時の税金、相続登記費用などの合計額が該当します。
取得費は、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算してください。資産価値を高めるリフォーム費用は取得費に当てはまります。取得費としてのリフォーム費用を計算する場合、不動産売却までの減価償却費を差し引いた分をリフォーム部分の取得費としてください。
譲渡費用とは不動産を売却するために支出した費用のことです。売買仲介手数料、測量費、登記費用、売買契約書の印紙代、売却交渉のための交通費や通信費などが該当します。不動産の売却前に、売却価値を高めるためにリフォームを行えばその費用も譲渡費用に当てはまります。
マンションの減価償却を確認
リフォーム費用が取得費に含まれる場合は、減価償却の計算が必要です。ここではマンションの場合で減価償却を確認してみましょう。まず、マンションの取得費はマンションの購入価格から減価償却費を差し引く必要があります。国税庁によれば、減価償却の計算式は以下のとおりです。(※)
減価償却費 = 取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
※出典:国税庁「「減価償却費」の計算について」
なお、不動産の償却率は、建物の構造によって決まっています。鉄筋コンクリートのマンションの場合、償却率は0.015です。
経過年数は築年数のことではなく、マンションを購入してから売却するまでの所有年数のことで、6カ月以上は1年、6カ月未満は切り捨てとして計算しましょう。
たとえば、新築から10年経過したマンションを3,000万円(うち土地価格1,000万円)で購入し、購入後の経過年数が20年の時点で売却した場合の取得費を計算してみます。
マンション本体の減価償却費 = 2,000万円 × 0.9 × 0.015 × 20年 =540万円
マンション本体の取得費 = 2,000万円 ― 540万円 = 1,460万円
次に、このマンションを10年前に500万円でリフォームしている場合のリフォーム部分の取得費を計算します。鉄筋コンクリート造であるので、償却率は0.015であり、リフォーム部分の減価償却費は以下に挙げる計算式で算出可能です。
リフォーム部分の減価償却費 = 500万円 × 0.9 × 0.015 × 10年 =67万5,000円
リフォーム部分の取得費 = 500万円 - 67万5,000円 =432万5,000万円
このマンションを売却した場合の取得費は次のように計算されます。
取得費 = 土地取得費 + マンション本体の取得費 + リフォーム部分の取得費= 1,000万円 + 1,460万円 + 432万5,000万円 = 2,892万5,000円
また、主な非業務用資産の償却率は以下のとおりです。
建物の構造 | 耐用年数(年) | 償却率 | |
---|---|---|---|
鉄骨鉄筋コンクリート造または鉄筋コンクリート造 | 70 | 0.015 | |
れんが造、石造またはブロック造 | 57 | 0.018 | |
金属造 | 骨格材の肉厚4mm超 | 51 | 0.020 |
骨格材の肉厚3mm超4mm以下 | 40 | 0.025 | |
骨格材の肉厚3mm以下 | 28 | 0.036 | |
木造または合成樹脂造 | 33 | 0.031 | |
木骨モルタル造 | 30 | 0.034 |
※出典 国税庁「「減価償却費」の計算について」
まとめ
中古の戸建てやマンションなどの不動産を売却する場合、売却前にリフォームすることは必須ではありません。リフォームに費用をかけても、その費用分を売却で回収できるとは限らないためです。その上、中古の不動産を購入したいと考えている購入希望者の中には自分の好みでリフォームをしたいと考えている人も多く、好みに合わないリフォームをしている不動産は敬遠される可能性もあります。
売却前にリフォームすべきかどうかで迷ったら、不動産会社に相談しましょう。信頼できる不動産会社を探すなら、一括査定サービスの「リビンマッチ」をご利用ください。Webサイト上で一度条件などを入力するだけで、全国のさまざまな不動産会社の中から最大6社に一括で査定依頼を行えます。ある程度の売却相場が把握できる上に、自身の条件に適した不動産会社を見つけやすいでしょう。無料で利用できるので、不動産売却を検討している方はお気軽に活用してみてください。
- 複数の不動産会社で査定したい
- 早く売却して、ローンに充てたい
- 遠方にある物件なので地元の不動産会社に依頼したい
- いまの物件価値を知りたい
- どの不動産会社に相談していいのかわからない
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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