買ったときより高く売れる家の特徴とは?できるだけ高値で売却する方法
事情があって買った家を手放さなければならないケースもめずらしくありません。家の売却を検討している人の中には、「家を買ったときより高く売れるようにするにはどうすればよいか」と考えている人も多いでしょう。
本記事では、買ったときより高く売れる家の特徴や高く売るコツ、家を売る前に知っておきたい注意点などについて詳しく解説します。家の売却を検討している場合にはぜひ参考にしてください。
もくじ
買った家をすぐに売る主な理由とは?
まず買ったばかりの家を手放す場合には、どのような理由があるのか詳細をみていきましょう。
家の間取り・広さへの不満
買ったばかりの家をすぐに売る理由のひとつは、家そのものへの不満があることです。間取り図を見たり中古物件を内覧したりして納得した上で家を買ったとしても、実際に生活をしてみると不便だと感じる場合があります。
たとえば、家具を搬入してから部屋の狭さに気づくケースや、家事動線を考えずに家を購入したため無駄な動きが増えて効率が悪くなったケースなどが挙げられます。買った家を売ることに抵抗を感じる人は多いかもしれませんが、生活をしている中で常にストレスを感じる場合は家を売るという選択をするのもひとつの手段です。
近隣トラブル
近隣トラブルを理由に、買った家をすぐに売却するケースがあります。近隣トラブルが発生して穏便に解決ができず、その家で生活し続けるのが難しいとなった場合に家を手放すという選択をする人もいるでしょう。
その土地に長く住もうと考えて家を買ったとしても、近隣トラブルによる被害が大きくなり、近所付き合いに支障が出てしまうと住み続けるのは難しくなります。買った家を売らなければならない近隣トラブルの例として主に挙げられるのは、騒音や近隣住民との相性です。
離婚・転勤
離婚や転勤を理由に、買った家を売却するケースもあります。一戸建ての家や3LDKのマンションなどはファミリー層が住むのに適した広さですが、離婚によって単身者になった人が暮らすには広すぎるでしょう。また転勤によって家に戻って来られなくなった場合、家を保有し続ける必要はなくなります。そのため、買ったばかりの家でも売却するケースが多いです。
住宅ローンの返済
家の売却代金を住宅ローンの返済に充てるために、買った家をすぐに売る場合があります。収入が減ったことで住宅ローンが支払えなくなったため、買った家を売って住宅ローンの返済に充てるのです。たとえば、病気を患い入院・手術によって休職を余儀なくされた場合や、前職より条件の悪い職場に転職した場合などが挙げられます。
一般的に家を担保にして住宅ローンを組むことが多いため、返済が難しくなった場合は担保に入れた家を手放さなければなりません。住宅ローンを支払えなくなり、家の所有権が金融機関に譲渡された後は、家を売却できなくなります。
買ったときより高く売れる家の特徴とは
買ったときより高く売れる家には、立地のよさや新築といった特徴があります。主な特徴について解説していきます。
立地がよい
買ったときよりも高く売れる家の条件のひとつに、立地がよい場所にあるという点が挙げられます。立地がよい場所とは、土地の値段が下がりにくい場所や周辺環境がよく生活の利便性がよい場所を指します。またテレビや雑誌といったメディアで取り上げられるなど、人気のエリアにある家も高い価格で売れやすいです。
立地のよさは、家を買う前に把握できるため、家を買う際に「売却するといくらで売れるのか」といった視点を取り入れ、立地のよさを購入条件に加えておくのがよいでしょう。
建物の価値は築年数が経過するごとに下がっていくため、買ったときより高い価値にするのは難しいです。しかし立地がよい場所を選んでいれば、土地の価格が高いことで買ったときより高い価格で家を売却できるでしょう。
新築である
買ったときより高く売れる家の特徴のひとつは、新築であることです。一般的に家の価値は新築時が高く、年数を重ねるごとに価値が下がっていきます。家の売却を決めたなら、なるべく早く売り出したほうが高く売れる可能性は高いでしょう。
ただし新築でも売却する時期によっては、思うように高い価格で売却できないケースもあります。たとえば、8月と12月は不動産業界において家が売れにくい時期とされており、このタイミングに新築を売り出してもスムーズに売却できない可能性があります。一方で、不動産業界の繁忙期とされる3月と9月は、進学・就職や転勤などで新生活を始める人が多く、引っ越しをする人が増えます。そのため、3月と9月に新築を売り出せば、買ったときより高く売れやすくなるでしょう。また新築でない場合でも、築年数が10年以内の家は価値が高いため、買ったときより高く売れる場合もあります。
開発の予定がある地域
買ったときより高く売れる家の特徴として、再開発が予定されている地域にある家である点が挙げられます。再開発が計画されている地域は、大型の商業施設の建設や公園の設置などが行われる可能性が高く、土地の価格が上がる傾向にあります。実際に、リニアモーターカーが通過する地域で大規模な再開発が行われ、不動産価値が一気に上昇したという事例もあります。
再開発によって土地の価格が上昇する理由は、開発地域に多くの資本や人財が投資され、地域としての価値が高まるためです。人気エリアとして土地の価格が上昇するため、それに伴って買ったときより高い価格で家を売れる可能性があります。土地の価格が上昇している地域にある家なら、築年数が10年を超えていても高い価格で売り出しやすいでしょう。
購入時よりも家が高く売れる理由とは
従来は買ったばかりの家は、購入価格より安い価格で売却されるのが一般的でした。しかし近年は再開発や人気のエリアとして注目される土地にある場合、家の売却価格が購入価格を上回る現象が起きています。2013年以降は全国的に土地の価格が上昇しており、新築ではない家であっても高く売れる傾向にあります。(※1~2)
※1出典:国土交通省「土地・不動産・建設業:平成30年地価公示」
※2出典:国土交通省「地価・不動産鑑定:令和5年地価公示」
土地の価格は毎年変動することから、土地の価格が上昇している時期に家を売らなければお得に売却できるタイミングを逃すおそれがあります。
また買ったばかりの家が高く売れるのは、土地の価格が上昇している流れに乗って「より高い価格で家を売りたい」という心理の売主が増えているからという理由もあります。売却相場が高くなるため、購入時より高く売れる可能性が高まるのです。買ったばかりの家を高く売りたい場合は、土地の価格が上昇しているか確認をしてから売り出すことをおすすめします。
家を売る前に押さえておくべき8のポイント
買ったときより家を高く売るためには、事前に押さえておくべきポイントがあります。ここでは8つのポイントについて詳しく確認していきましょう。
1. 住宅ローンは一括返済しなければならない
家を売却するには、買主に引き渡す前に住宅ローンを完済しておく必要があります。住宅ローンを組んで買った家を売却したい場合、住宅ローンの残債を一括返済して融資先の金融機関との間で抵当権の抹消手続きを行わなければなりません。抵当権とは、融資元の金融機関が家を担保にする権利を指します。住宅ローンを返済できなくなると、金融機関は抵当権を行使して家を競売にかけ、家の売却価格が住宅ローンの回収に充てられます。住宅ローンの残債がある場合はその旨を、売買契約を仲介する不動産会社の担当者に伝えておきましょう。
なお住宅ローンを一括返済(繰り上げ返済)する場合は別途手数料がかかります。家の売却価格が住宅ローンの残債と繰り上げ返済の手数料を合算した価格を上回っていれば問題なく住宅ローンの一括返済が可能です。住宅ローンの返済にあたって手数料がいくらになるのか知りたい、一括返済に必要な準備について相談して決めたいという場合には、融資担当者や不動産の専門知識をもつ専門家からアドバイスをもらうとよいでしょう。
また住宅ローンを一括返済する際は、オーバーローンのリスクがないか確認しておくことも必要です。特に住宅ローンに元利均等返済を選択している場合は注意しましょう。
オーバーローンとは
オーバーローンとは、家を売却して得た資金を住宅ローンの返済に充てても完済できない状態のことです。オーバーローンになった場合は、住宅ローンの残債を自己資金で支払ったり住み替えローンを活用したりする必要があります。住み替えローンについては後ほど解説します。
元利均等返済とは
元利均等返済とは、元本と利息を合算した価格を毎月一定価格で返済する方法です。利息は元本の残高によって変動しており、返済回数を重ねて元本が減っていくにつれて毎月の返済に占める利息の割合も減少します。住宅ローンを組んだばかりの時期は元本が多く残っているため、毎月の返済のうち利息が占める割合が多いです。そのため返済方法の仕組みを理解していないと、家を売却するときに初めて元本の返済が進んでいないと気づく可能性もゼロではありません。
仮に数年間返済を続けたとしても、元本の返済が進んでいないという状態が続きます。買ったばかりの家を売却する場合は返済方法を確認した上で、住宅ローンの完済に向けた資金計画を立てておきましょう。
住み替えローンとは
住み替えローンとは、家の売却価格で返済できなかった住宅ローンの残債を別の不動産を購入したときに組む住宅ローンに上乗せできるローンのことです。オーバーローンになった場合、住宅ローンの返済に充てる資金を用意できないと買主に家を引き渡せません。
住み替えローンを利用すれば、住宅ローンの残債を新たに組む住宅ローンに上乗せできるため、オーバーローンに陥った場合の打開策におすすめです。ただし住み替えローンでは新たに購入する家の購入価格より高い融資を受けるので、年収や職業など厳しい審査に通る必要があります。
2. 家の価格はすぐに下がる
家の売却価格は築年数が経過するほど下がる傾向にあります。家の価値は新築のときがもっとも高く、年数を重ねるごとに経年劣化が生じるため売却価格は低下していくのが一般的です。たとえば、築年数が10年を超えた家は新築当初に比べると、その価値は約半分になるとされています。不動産情報を取り扱っているポータルサイトでは築年数が浅い家を検索する人が多いことから、築年数が浅い家ほどすぐに売れる可能性が高いといえます。家を高く売却したい場合は築年数が浅いうちに売るのが望ましいです。
新築工事が完了した日から1年以内の家や、新築工事完了から誰も住んだことがない家は新築とみなされます。新築に該当しない場合は、先述したとおり築年数が10年を超える前に売却するのがおすすめです。築年数が10年を超える家を売る場合は、家の価値以外に周辺環境やアクセスのよさなどの魅力をアピールするとよいでしょう。いずれにしても家の価値は築年数の経過や人が住むことで下がりやすいため、できるだけ早く売却を検討してください。
抵当権がついている家を売却するとどうなる?
住宅ローンの残債がある家には抵当権がついています。抵当権とは、融資元の金融機関が家を担保にする権利を指します。住宅ローンの返済が滞りなく続いている場合、抵当権は行使されません。しかし住宅ローンを返済できなくなると、金融機関は抵当権を行使して家を競売にかけ、家の売却価格を住宅ローンの回収に充てられます。
抵当権がついている家を売り出した場合、買主は見つかりません。家を売る場合は住宅ローンを完済して抵当権を抹消してから売却する必要があります。抵当権を抹消するためには、先述した住宅ローンの完済または住み替えローンの利用を検討しましょう。
3. 家の所有期間が5年以内での売却は税金が高い
所有期間が5年以内の家を売却する場合、高い税金を納める必要があります。買ったときより家が高く売れると利益が出ます。その利益は譲渡所得とみなされ、所得税の申告・納税が必要です。譲渡所得の計算式は以下のとおりです。
譲渡所得=譲渡価格-取得費-譲渡費用
譲渡価格とは、家を売却した価格を指します。取得費は家の購入価格や購入手数料などの合計から減価償却費を控除して残った価格です。譲渡費用は不動産会社へ支払う仲介手数料や不動産の譲渡手続きにかかった費用が含まれます。
譲渡所得が発生した場合、所得税の他に住民税や復興特別所得税も課税されるため注意が必要です。さらに、譲渡所得は短期譲渡所得と長期譲渡所得の2種類に分けられます。所有する家を売却して所得を得た場合、どちらに該当するのかは家の所有期間によって分かります。所有期間が5年以下の家を売却した場合は短期譲渡所得となり、5年を超えている場合は長期譲渡所得です。それぞれにおける所得税と住民税、合計税率を以下にまとめたので、税金を計算する際の参考にしてください。
譲渡所得の種類 | 所得税 | 住民税 | 合計税率 |
---|---|---|---|
短期譲渡所得 | 30% | 9% | 39% |
長期譲渡所得 | 15% | 5% | 20% |
(※1~2)
※1出典:国税庁「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」
※2出典:国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」
短期譲渡所得の合計税率は39%、長期譲渡所得は20%です。短期譲渡所得のほうが税率は高く設定されています。家の所有期間が5年以内の場合は税金が高くなる点を理解しておきましょう。
3,000万円の特別控除とは
家の用途によって3,000万円の特別控除を受けられる場合があります。3,000万円の特別控除とは、居住用財産である家を対象にした節税特例です。国税庁では、居住用財産を以下のように定義しています。
「その居住の用に供している家屋」とは、その者が生活の拠点として利用している家屋(一時的な利用を目的とする家屋を除く。)をいい、これに該当するかどうかは、その者及び配偶者等(社会通念に照らしその者と同居することが通常であると認められる配偶者その他の者をいう。以下この項において同じ。)の日常生活の状況、その家屋への入居目的、その家屋の構造及び設備の状況その他の事情を総合勘案して判定する。
生活の拠点にしている家を売る場合は居住用財産に該当するため、3,000万円の特別控除が適用されます。3,000万円の特別控除が適用された場合、譲渡所得の計算式は以下のとおりです。
譲渡所得=譲渡価格-取得費-譲渡費用-3,000万円
3,000万円の特別控除が適用されて譲渡所得が0円以下となった場合は、所得税や住民税などは課税されません。そのため、所有期間が5年以内の家を売却しても高い税金を納める必要がなくなります。ただし以下に挙げる項目に該当する場合は、3,000万円の特別控除は適用されないので注意しましょう。
- 特別控除を受ける目的で入居している
- 新築の家に引っ越しをするまでの一時的な住まいとして入居している
- 第2の生活拠点であるセカンドハウスや別荘を売り出している
3,000万円の特別控除が適用されるのはあくまでもマイホームとして購入し、生活の拠点になっている家を売る場合に限られます。
4. 売却益が出ない場合もある
家を売れば高い価格で売却されるため利益が出ると考えてしまいがちですが、家を売っても売却益が出ないケースがあります。家を売っても売却益が出ないのは、売り出し価格と売却相場に大きな差があることが考えられます。
たとえば、売却相場より高すぎる価格で売り出すと売れ残りやすいです。その一方で売却相場より安すぎる価格で家を売ってしまうと、仲介手数料や契約手続きに必要な諸費用を支払うと損失になる可能性があります。事前に売却相場を把握してから、適切な売り出し価格に設定するようにしましょう。
5. 売却理由を明確にしておく
家を売り出す際に売却理由を明確にしておくことは、買主を見つける上で重要なポイントです。購入希望者が家を内覧する際に、「なぜ売却するのか」と質問されるケースがあります。売却理由を明確に答えることができなければ、購入希望者は何か問題があるから家を売り出しているのかもしれないと考え、購入するのを諦めてしまうおそれがあります。売り出している家に問題がないと理解してもらうためには、転職や転勤などの明確な売却理由を考えておきましょう。
6. 買い替えは住宅ローン控除を活用する方法がおすすめ
家の買い替えをする場合は、住宅ローン控除を活用する方法があります。住宅ローン控除とは、個人が住宅を購入したりリフォームしたりする目的で10年以上のローンを組む際に利用できる控除制度です。住宅に住み始める年から一定期間に所得税の控除を受けられます。
所有する家を売却して新たに住宅ローンを組んで家を購入する場合、住宅ローン控除を活用すれば節税に効果的です。また、家の購入先が消費税の課税事業者か、非課税事業者かで節税効果が異なります。消費税の課税事業者に該当する不動産会社から家を購入した場合は最大400万円の控除を受けられます。個人から直接家を購入する場合の控除価格は最大200万円までです。
ただし住宅ローン控除は、先述した3,000万円の特別控除と併用できません。一般的に、売却相場よりも高い価格で家を売った場合を除くと、3,000万円の特別控除の適用を受けるよりも住宅ローン控除を利用したほうが節税効果は高いといわれています。どちらの控除制度を活用するのかは、家がいくらで売れたのかを基準にして選びましょう。
7. 仲介と買取の違いを理解しておく
家を売却する際、仲介と買取では大きな違いがある点を理解しておきましょう。
家の売買は不動産会社による仲介が一般的です。仲介では、不動産会社が仲介者となり、家を売却するための販売活動や買主との値下げ交渉などを行います。買主を探したり購入希望者の内覧対応をしたりする手間や時間を省けます。ただし家が売れた場合、不動産会社に手数料を支払わなければなりません。
買取とは、直接不動産会社に家を買い取ってもらうことを指します。買取では不動産会社に売却するため家が売れ残る心配がありません。その一方で、売却相場よりも安い価格で売却しなければならず、家を高く売りたいと考える人には向いていないでしょう。まずは不動産会社の仲介で売り出し、どうしても家が売れ残ってしまう場合には買取を検討してみてください。
8. 家を売るには税金がかかる
家を売却する際にはさまざまな税金がかかります。家を売るときにかかる税金を表にまとめました。
税金の種類 | 詳細 |
---|---|
譲渡所得税 | 家の売却益(譲渡所得)にかかる税金 |
印紙税 | 売買契約書に添付する印紙にかかる税金 |
登録免許税 | 家の抵当権の抹消手続きにかかる税金 |
印紙税は売買契約書1部ごとに課税されるため、売主と買主でそれぞれ自分の売買契約書にかかる印紙税を納めるケースが多いです。登録免許税は住宅ローンの完済後に金融機関との間で抵当権の抹消手続きをする際に支払います。
買ったときよりも家を高く売るコツ
買ったときよりも家を高く売るには複数の不動産会社に査定を依頼する、売り出し価格を高く設定するなどのコツがあります。詳細をみていきましょう。
査定依頼は複数の不動産会社に出す
買ったときより家を高く売るコツとして、複数の不動産会社に査定依頼をするようにしましょう。最初から特定の不動産会社に絞り込むと、売却相場より低い査定価格を提示される可能性があります。査定価格は不動産会社によって異なるため、複数の査定結果を比較検討してください。また査定価格だけでなく、不動産会社の実績や対応時の担当者の態度なども考慮して、自分に合った不動産会社を選びましょう。
おすすめは一括査定サービス「リビンマッチ」
複数の不動産会社に査定依頼するなら、一括査定サービスの利用がおすすめです。一括査定サービスでは、一度に複数の不動産会社に査定依頼を行えます。基本的には無料で利用でき、売り出したい家の情報をWebサイトに入力すれば、複数の不動産会社から査定価格を受け取れます。一括査定サービスを利用するメリットは、複数の不動産会社に個別で査定依頼を申し込む手間を省ける点です。あくまでも査定価格を出すために利用するサービスのため、査定価格に納得できなければ該当の不動産会社と契約しなくても問題ありません。
不動産の価格比較のポータルサイトである「リビンマッチ」では、Webサイト上で家の情報を入力するだけで、最大6社の不動産会社に一括で査定依頼を行えます。大手不動産会社から地元の不動産会社まで、さまざまな不動産会社が参加しているため、自分にマッチした会社を見つけやすいでしょう。インターネット環境さえあれば24時間いつでも利用できるので、忙しい人にもぴったりです。
売り出し価格を少し高めにする
家の売り出し価格を売却相場より少し高めに設定することも、買ったときより高く売るコツのひとつです。家の売却価格の相場は必ずしも景気だけで決まるわけではありません。好景気であっても需要が低い家であれば、売却相場より低くなるでしょう。逆に不景気でも需要が高く人気のエリアであれば、売却相場より高い価格で売れる可能性が高まります。そのため、売り出し価格を売却相場よりやや高めに設定しておき、購入希望者の反応を見ながら市場感をつかむのもひとつの方法です。
所有する家を売り出す際は、家のある地域がどれくらいの需要があるかを確認しておきましょう。土地の価値が高くなる例として、スーパーや病院などの施設が近いケースが挙げられます。周辺環境や再開発の予定などを確認し、家を売り出す準備を進めましょう。
なるべく早めに売却する
買ったときよりも家を高く売るためには、できるだけ早めに売却することも大切です。家の価値は築年数で決まるため古い家ほど経年劣化が進み、不動産会社の査定価格に影響がおよびます。先述のとおり、不動産のポータルサイトでは築年数が浅い家を検索する人が多いことから、所有する家が新築や築年数が浅い場合は、買ったときより高い価格で売れる可能性もあるでしょう。
ただし立地のよさや家の価値自体に大きな変化がない場合でも、売却相場が変われば購入価格と売却価格に差が出てしまうため、売るタイミングによっては大きな損失になる可能性があります。国土交通省が公開している公示価格を参考に、家を売り出すタイミングを決めることも可能です。(※)
※参考:国土交通省「国土交通省地価公示・都道府県地価調査の検索」
家の中はきれいにしておく
家の中をきれいにしておくと、売り出し価格が高くても売却できる可能性が高まります。家の隅々まで掃除が行き届いている状態を維持して、購入希望者によい印象を与えられるようにしましょう。
特にキッチンやトイレ、浴室などの水回りは内覧時に購入希望者がチェックしやすい箇所であるため、念入りに掃除をしておきましょう。壁紙は定期的に乾拭きするとホコリやヤニによる変色を予防でき、部屋を明るく見せられます。また物が多いと散らかった印象を与えてしまうため不用品は処分し、すぐに片づけられないものはトランクルームを借りて保管しておくのもひとつの方法です。一般的な掃除で落ちない汚れや傷がある場合は、ハウスクリーニングやリフォームを検討することをおすすめします。
家を売却する際の流れ
家を売却するには、売り出すための準備や流れについても理解しておくことが大切です。ここからは家を売却するときの流れを解説します。
流れ1.売却相場を調べる
家を売却する準備として複数の不動産会社に査定を依頼し、家の売却相場を調べることから始めます。一括査定サービスを利用すれば、複数の不動産会社に査定を無料で依頼できます。訪問査定を依頼する際に必要な書類は、以下のとおりです。
- 土地の実測図
- 隣地との境界を確認するための資料
- 建物の設計図書
- 建築確認申請書
- 建築確認済証
- 検査済証
必要書類をそろえてからであれば、円滑に査定を進められます。査定価格が分かるまでにかかる期間は、一般的に約1週間です。
家の査定には築年数や面積などのデータから算出する机上査定と、それに加えて実際に家の状態物件を見て査定価格を算出する訪問査定の2種類があります。
机上査定の場合、先述した不動産一括査定サービスなどを利用して、Webサイト上で査定依頼が可能です。訪問査定の場合は査定を依頼する、不動産会社と訪問日を調整する、訪問査定という手順を踏んで行われるのが一般的です。査定価格をもとに不動産会社を比較検討して最終的に媒介契約を結ぶ業者を絞り込みましょう。
流れ2.不動産会社と媒介契約を結ぶ
査定価格や担当者の対応などを考慮して、売却の仲介を依頼する不動産会社を絞り込み、媒介契約を締結します。媒介契約を結ぶことで、不動産会社は家を売却するための販売活動を行ってくれます。
不動産会社で行われる営業活動としては主に以下のとおりです。
- チラシやWebサイトに売り出す家の情報を掲載する
- 不動産会社の店頭で売りに出す家を紹介する
- 購入希望者の内覧に対応する
なお、不動産会社と交わす媒介契約は、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類があるため、それぞれの違いを押さえておきましょう。
一般媒介契約
一般媒介契約とは、複数の不動産会社と契約を結べる契約方法です。複数の不動産会社に家の販売活動を行ってもらうことで、さまざまなルートから買主を見つけられるというメリットがあります。また売主自身でも買主を探せるため、一般媒介契約を結んでいたとしても、不動産会社を仲介せずに売主が直接売却可能です。ただし実際に売買契約をする買主を見つけた不動産会社にだけ仲介手数料が支払われるため、不動産会社の販売活動が消極的になりやすい傾向があります。
専任媒介契約
専任媒介契約とは、一社の不動産会社とだけ契約を締結できる契約方法です。一般媒介契約と同様に自分で買主を探せます。
専任媒介契約のメリットは不動産会社が積極的に販売活動を行ってくれる可能性が高い点です。また2週間に1度は不動産会社から販売活動の進捗報告があるため、売主から積極的に連絡を入れる手間がかかりません。ただし契約中の解約は原則として認められないため、不動産会社に不満がありすぐに契約を解除する場合には違約金が発生する可能性があります。
専属専任媒介契約
専属専任媒介契約とは、専任媒介契約と同様に特定の不動産会社と契約できる契約方法です。専属専任媒介契約のメリットは1週間に1回以上は不動産会社から販売活動の進捗報告が入るため、状況を把握しやすい点です。
一方で、専属専任媒介契約のデメリットとしては、売主は自分で買主を探せない点が挙げられます。売主自身で買主を見つけたとしても、不動産会社に仲介手数料を支払わなければなりません。
専任媒介契約と専属専任媒介契約は、不動産会社一社と契約する方法であるため、不動産会社の力量によってスムーズに家を売れるかどうかが左右されます。不動産会社が積極的な販売活動をしない、家の売却に関するスキルやノウハウがない場合、家が売れ残ってしまう可能性もあるでしょう。3つの媒介契約それぞれに、メリットとデメリットがあるので、自身に適した契約を選んでください。
流れ3.家の売り出しをスタートする
不動産会社と媒介契約を結ぶと、家の購入希望者を見つけるために販売活動が始まります。販売活動を始める際に、家をいくらで売り出すのか売り出し価格を決めましょう。売り出し価格は不動産会社の担当者と相談できますが、最終的に決めるのは売主です。また購入希望者が内覧する場合に備えて、家の中の不用品やごみを処分したり掃除をしたりすることも売主がすべき準備のひとつです。
また、先述したとおり内覧時に購入希望者から質問を受けたときのために売却理由を考えておきましょう。丁寧な対応を心がけることで購入希望者によい印象を与えられれば、内覧後に家の売却につながる可能性が高まります。周辺の施設情報などの情報を伝えられると、購入希望者は家に住んだときのイメージをしやすくなるのでおすすめです。他には、不動産会社のWebサイトやチラシに掲載する室内の写真を充実させるのも家を高く売るポイントです。
流れ4.売買契約を結ぶ
販売活動を経て買主が見つかったら売買契約を締結します。売買契約は不動産会社の仲介のもとで売主と買主で行われます。家の引き渡し日の1~3カ月前に売買契約を結ぶのが一般的です。告知事項の有無や売買契約書に記載された内容を細かく確認するようにしましょう。告知事項に該当する例としては、以下のとおりです。
- 売却する家に欠陥や不具合がある
- 近隣で事件が起きたことがある
- 近隣とのトラブルになるリスクがある
- ごみ処理場の建設計画がある
告知もれがあると契約後にトラブルに発展するケースもあるため、あらかじめ不動産会社に申告した上で不動産会社の担当者から買主に重要事項を説明してもらうようにしましょう。
売買契約書の内容に問題がなければ署名・捺印をして、買主から手付金を受け取ります。この時点で、売主は売買契約を仲介してくれた不動産会社に仲介手数料の半分を支払いましょう。不動産会社へ支払う仲介手数料は、家の売却価格によって上限が変わります。仲介手数料の上限額が以下の計算式で算出可能です。
売却価格 | 仲介手数料の上限の計算式 |
---|---|
200万円未満 | 売却価格×5%+消費税 |
201万円以上400万円未満 | 売却価格×4%+2万円+消費税 |
401万円以上 | 売却価格×3%+6万円+消費税 |
流れ5.家を引き渡す準備をする
売買契約後は家の引き渡しに向けた準備を進めます。売主が主に準備すべきことは以下のとおりです。
- 新居へ引っ越しをする
- 買主から売却代金を受け取る
- オーバーローンになる場合の準備をする
- 登記手続きに必要な書類を用意する
- 不動産会社へ残りの手数料を支払う
売却する家を生活の拠点としている場合は、引き渡し日までにすべての荷物を搬出して新居への引っ越しを完了させておかなければなりません。
また家の引き渡し時には買主から家の売却代金を受け取り、住宅ローンの残債がある場合はその代金をもとに住宅ローンを完済します。住宅ローンの残債を売却代金でまかないきれなかったオーバーローンの場合は、自己資金の準備や住み替えローンの活用を検討しておく必要があるでしょう。
なお買主に家を引き渡す際、司法書士に必要書類を作成してもらい登記手続きを行います。司法書士の選任は不動産会社が行うため、売主は登記手続きに必要な書類を用意しておきます。必要書類は以下のとおりです。
- 家の権利証
- 実印・印鑑証明書
- 身分証明書(運転免許証やマイナンバーカード)
- 固定資産評価証明書
- 建築確認書
- 土地の測量図
- 家の設計図
- 設備・備品の保証書や取扱説明書
上記の他に、必要に応じて住民票や戸籍謄本なども用意しておきましょう。家の引き渡し後に不動産会社へ残りの仲介手数料を支払うため、いくらになるか把握しておくことをおすすめします。
流れ6.決済・引き渡しする
引き渡し日に立ち会うのは売主と買主、不動産会社の担当者、金融機関の担当者、司法書士です。まず売主は買主から売却代金を受け取りましょう。受け取った売却代金を使って住宅ローンの残債を金融機関に返済し、家の抵当権の抹消手続きを済ませます。その後、司法書士の立ち会いのもとで登記手続きを進め、家の鍵を買主に手渡してください。不動産会社や司法書士へ報酬の支払いをもって、売買取引は完了します。
当日は時間がかかる場合もあるため、別の予定を入れないことをおすすめします。
流れ7.確定申告をする
家を売却して利益が出た場合、所得税や住民税が課税されるため確定申告を行う必要があります。確定申告とは、給与以外に所得を得た場合に申告・納税することです。年間20万円以上の所得を得た場合は確定申告が義務付けられています。また家の売却時に控除や特例を活用する場合は、売却益が出ていなくても確定申告が必要です。
確定申告は家を売却した年の翌年に行う必要があり、指定された申告期間中に税務署へ提出しなければなりません。確定申告書は基本的に本人が作成しなければなりませんが、税理士に依頼することも可能です。
確定申告の必要があるものの確定申告書を提出しなかった場合、追加課税などのペナルティが科されます。たとえば、確定申告を怠ると15~20%の加算税が支払わなければなりません。申告期間をすぎてから確定申告書を提出すると、延滞税もかかります。延滞税は期限の翌日から提出日までの日数によって課税される税率が異なります。また悪質な所得隠しとみなされた場合は、35~40%の重加算税が課税されるケースもあるでしょう。(※)
家を売却して利益が出た場合は、申告期間中に忘れずに確定申告書を作成して提出するようにしてください。
※出典:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」
まとめ
買ったときより高く売れる家には、立地がよく築年数が浅いという特徴があります。また買ったときよりもなるべく高く家を売りたい場合は、複数の不動産会社に査定を依頼し、査定価格を比較検討した上で信頼できる不動産会社と媒介契約を交わすことが大切です。個別に査定依頼をするのは手間がかかるため、一括査定サービスを利用しましょう。
リビンマッチでは、全国の不動産会社の中から最大6社に一括で査定依頼を行えます。24時間無料で査定の依頼ができるので、家の売却を検討している方はお気軽に利用してください。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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