アパートを売却したい!確認すべき内容や必要な費用・売却までの流れなど詳しく解説
賃貸アパートを売却する場合、一戸建ての売却とは確認すべき内容や必要費用が少し異なります。入居者がいる場合は敷金の取り扱いや大家の変更通知などについて、いくつか手続きが必要です。入居者に退去してもらうために立ち退き料を支払わなくてはならない場合もあります。
本記事では賃貸アパートを売却するポイントや流れについて解説します。売却で必要となる費用の目安やアパートを更地にして売り出す場合についても紹介するのでぜひ参考にしてください。
- 複数の不動産会社で査定したい
- 早く売却して、ローンに充てたい
- 遠方にある物件なので地元の不動産会社に依頼したい
- いまの物件価値を知りたい
- どの不動産会社に相談していいのかわからない
賃貸アパートを売却する際の確認事項
アパートを売却する際は、対象となるアパートについて以下に挙げる事項を確認しておく必要があります。
- 入居者の人数
- アパートローンの有無
- アパートの所有期間
- 共有者の意思
- 売却相場・資産価値
ここからは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
入居者の人数
入居者がいるアパートなら、オーナーチェンジ物件として売り出し可能です。オーナーチェンジ物件とは、借主がいる状態で売買される収益物件をいいます。オーナーが交代するため、オーナーチェンジ物件と呼ばれます。新しいオーナーとなる買主は入居者から家賃を受け取る権利を得ますが、同時に敷金返還義務や修繕義務なども引き継ぐ仕組みです。
オーナーチェンジ物件の買主にとってのメリットは、新築アパートよりも安く購入でき、すでに入居者を確保できている点です。賃貸目的で新築アパートを購入する場合は、費用が高くなりやすい上、入居者が集まらないリスクもあります。
一方で買主にとってオーナーチェンジ物件のデメリットとして、アパートの状態によっては修繕しなければならない点が挙げられます。オーナーチェンジ物件では築年数が経っているアパートも多いためです。また、オーナーチェンジ物件によっては入居者トラブルを抱えている可能性もゼロではありません。
アパートローンの有無
アパート売却の検討時にはアパートローンの有無や、アパートローンの残債を把握しておく必要があります。アパートローンを借りてアパートを購入した場合、アパートには金融機関によって抵当権が設定されています。買主にアパートを引き渡すためには、抵当権を外さなければならないためアパートローンの完済が必要です。アパートの売却代金でアパートローンを返済しきれない場合は足りない費用を自己資金で補わなくてはなりません。
アパートローンの残債は金融機関から送付される残高証明書で確認できます。自己資金を使ってもアパートローンを払いきれない場合、アパートの売却価格を上げるか、金融機関に任意売却を相談するとよいでしょう。
アパートの売却では、入居率や建物の状態が重要なポイントです。入居率を向上させ、修繕によって建物の不具合を解消すれば、アパートはより高く売れやすくなります。任意売却とは売却してもアパートローンの残債を払いきれない物件について融資元の金融機関の同意を得て売りに出すことです。物件の売却後に残るアパートローンについては金融機関と合意したスケジュールで返済していきます。
アパートの所有期間
アパートを売却して得られた利益には譲渡所得税が課せられます。譲渡所得税の課税率はアパートを売却した年の1月1日時点で、所有期間が5年を超えているかどうかで大きく変わる点が特徴です。所有期間が5年以下で売却する場合は短期譲渡、5年を超えていれば長期譲渡と区分されます。
それぞれの課税率については後述しますが、短期譲渡では長期譲渡と比較して2倍近く税率が高いです。アパートの売却を検討しているなら、売却タイミングを考慮するのがおすすめです。たとえば4年ほど所有しているアパートであればすぐ売らずに、所有期間が5年を超えてから売却することで譲渡所得税の支払いを抑えられます。
共有者の意思確認
アパートを一人で所有しているなら問題ありませんが、共同経営しているアパートを売却するには共有者の意思確認が必要です。共有者の同意が得られなければ、アパート全体の売却はできません。共有者と話し合わずに売却の話を進めると、後から大きなトラブルに発展する可能性があります。
共同経営をしている場合、自分の持分のみを売却する場合は共有者の同意は必要ありません。しかし、アパート一部のみの売却はなかなか買主が見つからず、売却相場よりも大幅に安い価格で売却する必要があり現実的ではありません。共有者全員が納得いく形でアパートを売却するために、あらかじめ同意を得ておきましょう。
売却相場・資産価値
アパートの売却を検討するなら売却相場を調べておく必要があります。事前に確認しておけば、アパートの資産価値よりも著しく安く売って損をしたり、反対に高すぎる売り出し価格にして売れ残ったりすることが防げるでしょう。
アパートの資産価値については、立地と築年数が大きく影響します。駅から近いアパートや、周辺に商業施設が多く便利なアパートは需要が高い傾向があります。反対に周囲の騒音が激しかったり、近くに墓地やゴミ処理場があったりするような立地では需要が低く、価格が安くなりやすいです。
築年数については、20年を超えると需要が下がるといわれています。買主からすると、築年数が20年を超える木造の賃貸アパートの購入では、アパートローンの融資が下りづらく購入資金の準備が難しいという事情があります。
立地や築年数が似ているアパートを参考に、売りに出す賃貸アパートの大体の売却相場を把握しておきましょう。また売却相場を調べる方法のひとつとして、一括査定サービスを利用するのがおすすめです。一括査定サービスであれば複数の不動産会社の査定価格を確認できるため、売却相場やアパートの資産価値をある程度把握できます。
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入居者がいる場合の注意点
入居者がいる賃貸アパートを売却する場合には、いくつかの注意点があります。トラブルを避けるためには入居者に大家変更を通知し、入居者の退去が必要な場合は正当な理由を提示しましょう。また、オーナー変更時は敷金の取り扱いも注意すべきポイントです。ここからはそれぞれについて解説します。
入居者に大家の変更を通知する
入居者がいる状態の賃貸アパートを売却するなら、トラブルを防止するためにも事前に大家の変更を通知しておきましょう。賃貸アパートを売却してもオーナーが変わることについて法的な通知義務はありません。しかし入居者からすると、突然大家が変われば驚いてしまう可能性があります。大家の変更についてきちんと知らせれば、入居者を不安にさせることもないでしょう。
大家が変更になれば家賃の振込先口座や名義人も変わります。家賃の振込先変更については、売主と買主の連名での通知が必要です。振り込め詐欺といったトラブルを避けるため、一般的には賃貸アパートの管理を請け負う不動産会社を通じて通知します。
退去が必要な場合は正当な理由を提示する
入居者が住んでいるにもかかわらず、入居者がいない状態で賃貸アパートを売り出したいなら、入居者に退去してもらう必要があります。賃貸アパートのオーナー都合で退去を要請する場合は、6カ月前までに賃貸契約の解約を申し出なくてはなりません。
また退去依頼には、建物の老朽化や廃業といった正当な理由の提示が必要です。借主保護の観点から、貸主都合の退去要請は条件が厳しくなっています。賃貸アパートの売却は退去要請の正当な理由とみなされないため、大家が立ち退き料を負担することで入居者の同意を得て、退去してもらうケースもあります。立ち退き料としては引っ越しの費用や転居先の契約金、お詫び料などが支払われるのが一般的ですが、法的な決まりはないためケースバイケースです。入居者の数が多いほど立ち退き料の支払いが増え、費用負担が大きくなります。
売買契約の際は敷金の取り扱いに注意する
賃貸アパートを売却する際は、売買契約の際に敷金の取り扱いについて注意しなくてはなりません。賃貸アパートでは入居者から賃貸契約時に敷金を預かっているのが一般的です。敷金は家賃滞納を補てんしたり、退去時の補修費用として使ったりします。また、残金は退去者に返金されます。賃貸アパートのオーナーが変わる場合は、敷金を新しいオーナーに引き継がなければなりません。
場合によっては、賃貸アパートの売却価格に敷金が含まれる契約もあります。売主と買主で敷金について認識に相違があると、入居者の退去時に金銭トラブルの元となります。売買契約時には敷金をきちんと精算しておきましょう。
アパートの売却でかかる費用とは?
アパートの売却にはさまざまな費用がかかります。主な費用は以下のとおりです。
費用 | 費用の目安や詳細 |
---|---|
仲介手数料 |
|
測量費 |
|
印紙税 |
|
譲渡所得税 |
|
消費税 |
|
抵当権抹消登記費用 |
|
立ち退き料 |
|
それぞれの費用の詳細について解説していきます。
仲介手数料
不動産会社にアパート売却の仲介を依頼する場合は、仲介手数料がかかります。仲介手数料はアパートの売買契約が成立した場合、不動産会社に支払われる成功報酬です。仲介手数料は不動産会社が各自設定していますが、宅地建物取引業法によって上限は以下のように定められています。
売却価格 | 仲介手数料の上限 |
---|---|
200万円以下の部分 | 5%(+消費税) |
200万円を超え400万円以下の部分 | 4%(+消費税) |
400万円を超える部分 | 3%(+消費税) |
※出典:国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」
たとえばアパートを600万円で売却する場合、仲介手数料の上限は以下のように計算され、税抜24万円、税込26万4,000円です。
- 200万円以下の部分=200万円×5%=10万円
- 残り400万円のうち200万円の部分=200万円×4%=8万円
- 残り200万円の部分=200万円×3%=6万円
- 仲介手数料の上限=(10万+8万+6万)×消費税10%=26万4,000円
なおアパートの売却価格が400万円を超える場合については、以下に挙げる計算式でも仲介手数料(税抜)の上限を計算可能です。
仲介手数料の上限=アパートの売却価格×3%+6万円+消費税
アパートの売却価格が高くなるほど、仲介手数料の上限額も大きくなるので、売却時には考慮に入れておきましょう。
測量費
測量費とはアパートの測量図作成と、そのための測量にかかる費用です。アパートを含めた不動産の売却時には土地を正確に評価しなくてはならず、場合によっては隣地との境界をはっきりさせるため、測量が求められます。測量は土地家屋調査士や測量士といった専門家への依頼が必要です。
測量図や測量方法にはいくつかの種類があり、その中でも賃貸アパートの売却時に作成される主なものは「現況測量図」と「確定測量図」です。現況測量図は土地の状況から隣地の所有者の合意なしに作成でき、売却する上での参考資料として使用できます。確定測量図は土地の状況を確認した上で、さらに隣地の所有者の合意を得て作成するものです。確定測量図はより信用度が高く、正式な測量図として認められます。それぞれの測量図の作成にかかる費用の目安は以下のとおりです。
- 現況測量図:約35万〜45万円
- 確定測量図:約60万~80万円
確定測量図のほうが作成費用や時間がかかりますが、土地の境界や面積を明確にでき、隣人とのトラブル防止にも役立ちます。
印紙税
賃貸アパートの売買契約書には、売却価格に応じた印紙の貼り付けが必要です。また2024年3月31日までに作成され、かつアパートの売却価格が10万円を超える売買契約書については、軽減措置が適用されるため印紙税の上限は48万円となります。売却価格に応じた印紙税の金額は以下のとおりです。
アパートの売却価格 | 印紙税の金額(/円) | 印紙税の金額(/円) ※軽減措置が適用された場合 |
---|---|---|
1万円未満 | 非課税 | 非課税 |
1万円以上〜10万円以下 | 200 | 200(軽減措置の対象外) |
10万円超〜50万円以下 | 400 | 200 |
50万円超〜100万円以下 | 1,000 | 500 |
100万円超〜500万円以下 | 2,000 | 1,000 |
500万円超〜1,000万円以下 | 1万 | 5,000 |
1,000万円超〜5,000万円以下 | 2万 | 1万 |
5,000万円超〜1億円以下 | 6万 | 3万 |
1億円超〜5億円以下 | 10万 | 6万 |
5億円超〜10億円以下 | 20万 | 16万 |
10億円超〜50億円以下 | 40万 | 32万 |
50億円超〜 | 60万 | 48万 |
賃貸アパートの売却価格が大きいほど、印紙税の金額も大きくなると認識しておきましょう。
※出典:国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」
譲渡所得税
賃貸アパートを売却して得た利益には譲渡所得税がかかります。前述したように不動産の譲渡所得税は所有期間が5年以下か、5年を超えているかによって異なる点が特徴です。5年以下なら短期譲渡、5年を超えていれば長期譲渡となります。それぞれの課税率は以下のとおりです。
譲渡所得計算式:譲渡所得 = 譲渡収入金額 −(取得費 + 譲渡費用)
税額計算式:税額 = 譲渡所得 × 税率(所得税・住民税)
不動産の保有 | 税率 |
---|---|
短期譲渡 | 39.63%(所得税30.63%・住民税9%) |
長期譲渡 | 20.315%(所得税15.315%・住民税5%) |
※ 出典:国税庁「短期譲渡所得の税額の計算」
※ 出典:国税庁「長期譲渡所得の税額の計算」
所有期間の計算では譲渡したその日ではなく、同年の1月1日が基準となります。たとえば、ある年の4月に不動産を売却したいとしても、同年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていなければ、短期譲渡とみなされます。課税所得が1,000万円のケースで考えると長期譲渡なら所得税が約203万円であるのに対し、短期譲渡では約396万円となり、大きな差があることが分かるでしょう。
アパートの正確な所有期間や短期譲渡・長期譲渡の考え方を把握していない場合、譲渡所得税として予想以上の金額を納めなくてはならないケースもあるため、事前にしっかり理解しておきましょう。
消費税
アパートの売却では消費税が発生します。土地は使用しても消費されないものであるため消費税の対象にならない一方、建物は消費税の課税対象です。ただし、売主が「消費税納付義務を持つ課税事業者」に該当しない場合は、建物にも消費税が課せられません。以下の条件のいずれかを満たす場合、消費税納付義務を持つ課税事業者に区分されます。
- アパートを売却した年の、前々年度(2年前)の課税売上高(所得)が1,000万円を超える
- 前年の1月1日から6月30日において、課税売上高(所得)が1,000万円を超える
初めてアパートを売却するケースで他に事業をしていなければ、建物の消費税はかかりません。ただし、アパートを売却したことでその年の課税売上高が1,000万円を超えた場合は、2年後に「消費税納付義務を持つ課税事業者」となります。同年に再び課税売上高が発生した場合は、消費税の支払い義務が発生します。
抵当権抹消登記費用
抵当権抹消登記費用とは、アパートの抵当権を外すための費用です。アパートローンを利用して購入したアパートは一般的に金融機関によって抵当権が設定されています。抵当権とはアパートローンが滞納された場合、アパートを差し押さえて競売にかけられる権利のことです。アパートを売却して引き渡すためには、抵当権を外しておく必要があります。
抵当権の抹消手続きは法務局で申請します。抵当権の抹消手続きにかかる登録免許税は各不動産につき1,000円です。土地と建物についてそれぞれ抵当権を外さなくてはならないため、通常は合計で2,000円が必要となります。抵当権抹消の手続きは第三者による代理も認められています。一般的には司法書士に依頼する場合が多く、その際は登録免許税とは別に報酬が必要となり、相場は約1万円です。
抵当権を抹消するには、まずはアパートローンを完済しなくてはなりません。賃貸アパートの売却を考えるなら、ローン完済の資金が確保できるかどうかも考慮することが重要です。
立ち退き料
立ち退き料は入居者に退去してもらうために必要な費用です。前述したとおり、賃貸アパートを入居者のいない状態で売却したいなら、入居者の同意を得なくてはなりません。退去について交渉する際に、立ち退き料の支払いを提示すると了承を得やすくなります。
立ち退き料としては、新居への引っ越しに必要な費用の負担が一般的です。また、家賃の半年〜10カ月分を目安にする場合もあります。ただし、立ち退き料には法的な取り決めがないため、入居者との交渉次第で金額が変わる可能性があります。入居者の数が多いほど、売主が支払う立ち退き料も高額になるでしょう。
アパートを売却する流れ
アパートを売却するおおまかな流れは下記のとおりです。
- 査定を依頼する
- 不動産会社と契約する
- アパートの販売活動を行う
- 条件のすり合わせと売却の準備をする
- 売買契約を締結する
- アパートの引き渡し
- 確定申告を行う
それぞれについて詳細を解説します。
流れ1.査定を依頼する
アパートを売却する上では、不動産会社に査定を依頼し売却相場を把握することが重要です。売却相場を知っていれば、アパートを著しく安く手放してしまったり、反対に高額な売り出し価格にしすぎて売るタイミングを逃してしまったりするおそれがありません。
アパートの査定は、複数の不動産会社に依頼するとよいでしょう。不動産会社によって強みや特徴が異なるだけでなく、一社にのみ査定依頼をした場合、査定価格が売却相場と差異がないかを確認できません。また自分が売却したいアパートと似た物件の取り扱い実績が多い不動産会社を見つけられれば、スムーズにアパートを売却できる可能性が高いです。ただし一社ずつ査定を依頼するのは、非常に手間がかかります。効率よく複数の不動産会社に査定を依頼するには、不動産の一括査定サービスを利用するのがおすすめです。不動産の一括査定サービスでは、インターネット上で条件や情報を入力するだけで、複数社から一括で査定が届きます。
- 複数の不動産会社で査定したい
- 早く売却して、ローンに充てたい
- 遠方にある物件なので地元の不動産会社に依頼したい
- いまの物件価値を知りたい
- どの不動産会社に相談していいのかわからない
流れ2.不動産会社と契約する
信頼できる不動産会社が見つかれば、次は媒介契約を結びます。不動産会社との媒介契約には、専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介の3種類があります。それぞれの概要や特徴については以下のとおりです。
不動産会社との媒介契約 | 2社以上の不動産会社との契約 | 購入希望者との直接取引 | 販売活動の報告頻度 | 契約期間 | レインズへの登録義務 |
---|---|---|---|---|---|
専属専任媒介 | 一社のみ | できない | 1週間に1回以上 | 3カ月以内 | 媒介契約の締結後5日以内 |
専任媒介 | 一社のみ | できる | 2週間に1回以上 | 3カ月以内 | 媒介契約の締結後7日以内 |
一般媒介 | 複数社と契約可能 | できる | 規定なし | 期間の制限なし | 登録義務なし(任意) |
専属専任媒介契約なら不動産会社が販売活動を積極的に進めてくれる反面、契約できるのは一社だけのためアパートがスムーズに売れるかは担当者の営業力に左右されます。専任媒介契約では不動産会社からのサポートを受けながら、売主自身で買主を見つけることも可能です。一般媒介契約では、複数の不動産会社と契約できますが、その分不動産会社からのサポートは手薄になる傾向があります。
また、レインズ(REINS)とは「Real Estate Information Network System」の頭文字をとった言葉で、不動産流通標準情報システムを指します。国土交通省の指定機関である不動産流通機構が運営する、不動産物件のデータベースのようなものです。売りに出しているアパートがレインズに登録されていると、より多くの人の目にとどまりやすいです。
このように、自身に合った媒介契約を結ぶようにしましょう。
流れ3.アパートの販売活動を行う
不動産会社との媒介契約の締結後は、アパートの販売活動を開始します。販売活動は売り出すアパートの宣伝に始まり、購入希望者からの問い合わせ対応や内覧の実施などを指します。まずはアパートについてチラシを配布し、不動産のポータルサイトや不動産会社のWebサイトにアパートの情報を掲載しましょう。
アパートについての問い合わせがない場合、情報を公開してから約1カ月後を目安に条件を見直しましょう。見直すポイントはアパートの売り出し価格が適正か、掲載内容でアパートの長所をアピールできているかなどです。購入希望者が見つかれば、内見を実施した後、売却価格や条件のすり合わせを行います。
流れ4.条件のすり合わせと売却の準備をする
内覧後に実際に購入したいという希望があれば、購入申込書、または買付依頼書が送られてきます。不動産会社を介して、売主と購入希望者間でアパートの売買について条件を調整しましょう。アパートの売却価格や代金の支払い方法、引き渡し希望日、その他の諸条件などをすり合わせてください。また売主は売却するアパートに不具合や欠陥などがある場合、契約前に伝えておかなくてはなりません。売買の条件について合意できれば、売買契約の日時や場所を取り決めます。
売却価格や条件について合意できれば、売却の準備にとりかかります。なお、売買契約時までに準備しておく書類は以下のとおりです。
書類の区分 | 必要な書類 |
---|---|
本人確認書類 |
|
アパートの状態を確認するための書類 |
|
不動産会社が用意する書類 |
|
なお、アパートローンの残債がある場合は、アパートローンの残高証明証が必要です。売買の条件や状況に応じて、上記に挙げた以外の書類が必要となる場合もあります。
流れ5.売買契約を締結する
売買契約の際は売主、買主、不動産会社が集まって、契約を進めることが一般的です。事前に取り決めた日に必要書類を持ち寄り、売買契約を締結します。売買契約を締結する場所に決まりはありませんが、不動産会社の一室で行われる場合が多いです。売買契約書や重要事項説明書の読み合わせをして、契約内容に問題がないか最終確認をしてください。売買契約を結んだら、買主から売主へ手付金が支払われます。手付金の金額に決まりはありませんが、相場は取引価格の5〜10%です。一方で売主側は、不動産会社へ仲介手数料を支払ってください。
流れ5.アパートの引き渡し
売買契約の締結後、取り決めた日時にアパートを引き渡します。引き渡しとは売主から買主に、アパートの所有権を移転することです。引き渡し後は買主がアパートを自由に使用できます。アパートの引き渡しでは以下に挙げることを行います。
アパート引き渡しのタイミングで行うこと | 詳細 |
---|---|
鍵の引き渡し |
|
抵当権の抹消登記や所有権の移転登記 |
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敷金や税金の精算 |
|
領収書の発行 |
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ローン残債の返済 |
|
流れ6.確定申告を行う
アパートの売却で得た利益は譲渡所得となり、所得税や住民税の課税対象となります。譲渡所得が発生した場合は確定申告を行わなければなりません。利益がなかったり、譲渡損失が発生したりすれば確定申告は不要ですが、確定申告を行えば同年中に売却した他の不動産の利益や損失は損益通算できます。
なお、アパートの売却による利益は分離課税が適用されるため、給与所得や事業所得、一時所得、雑所得といったその他の所得とは別途計算されます。譲渡所得にかかる所得税や住民税の課税率は前述したようにアパートの所有期間で異なるため、長期譲渡と短期譲渡のどちらが適用になるのか確認しておきましょう。
確定申告のタイミングは、アパートを売却した翌年の2月から3月です。確定申告の受付期間内に税務署へ確定申告書を提出しましょう。国税庁が提供する「確定申告書等作成コーナー」を利用すればパソコンやスマートフォンで書類作成でき、必要な数値を入力すれば税額が自動計算されるので手軽に手続きが可能です。(※)
※出典:国税庁「確定申告書等作成コーナー」
アパートを壊して更地で売却する方法とは?
アパートはそのまま売却するだけでなく、建物部分を取り壊して更地として売り出す方法もあります。ただし、更地にするためには入居者がいない状態であるか、入居者に立ち退きを了承してもらわなければなりません。
更地として売却する場合、購入希望者からすると建物を取り壊す必要がなく、希望の建物を建てられる点がメリットです。また、更地なら土壌汚染調査や地中埋設物の確認が容易になります。売買契約後に土壌汚染や地中埋設物が見つかった場合、買主から売主に対して損害賠償請求を受けたり、契約解除を求められたりなどのトラブルに発展する可能性があるため、更地であるほうが購入希望者側としては購入しやすい場合もあるでしょう。
ただし、アパートの取り壊しには大きな費用が必要です。たとえば鉄筋コンクリート造のアパートでは、建物が頑丈に作られているため解体費用が高くなり、数百万円かかるケースもあります。また更地では、アパートがある場合と比較して、固定資産税が大きくなる場合もあります。アパートを更地にしたまま持っていると、固定資産税の負担が大きくなるため、できるだけ早く売却して手放すのがおすすめです。
まとめ
入居者がいる状態でアパートを売却するなら、入居者への大家変更の通知や買主への敷金の引き継ぎなど、通常の物件売買では発生しない手続きが必要です。手続きの流れや方法、必要な費用などを事前に把握してから、アパートの売却を行うようにしましょう。
またアパートの売却には手続きが多く手間がかかりますが、信頼できる不動産会社に依頼すればよりスムーズに売却を進められます。
契約する不動産会社を決める際は、複数社を比較検討するようにしましょう。不動産の価格比較のポータルサイト「リビンマッチ」を利用すれば、一度に最大6社の不動産会社から査定を受け取れます。アパートの売却相場が把握できるだけでなく、自分にマッチする不動産会社を見つけやすいでしょう。インターネット環境さえあれば24時間いつでも無料で利用できるので、アパートの売却を検討している場合はお気軽に活用してみてください。
- 複数の不動産会社で査定したい
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