中古マンション売却マニュアル|引き渡し日の決め方と注意点
引き渡し日は売却するマンションの所有権が、売主から買主へ移る重要な日です。売買契約を交わした日に、引き渡し日を決めるのですが、いったいいつにすればよいのでしょうか。
特に居住中のマンションを売却するときは、引っ越しなどの手間がかかるため、容易に決められません。もし、引き渡し日までに退去できなければ、遅延損害金を払うことすらあるのです。
安心してマンション売却を進めるための、引き渡し日の決め方を紹介します。
マンション売却で引き渡し日を決める方法
引き渡し日とは、購入したマンションなどの所有権が、売主から買主へ移る日のことです。引き渡し日に売却したマンションの代金を受け取り、正式に所有権が買主へと移ります。
引き渡し日は、売買契約の成立時に決定するため、事前に引き渡し日を考えておく必要があります。引き渡し日の決め方や、注意点などについて紹介します。
引き渡し日の決定に影響するポイント
引き渡し日は代金の授受をはじめ、マンション売買のすべてを完了させる日です。そのため、さまざまな要素が日程の決定に影響を与えます。引き渡し日の決定に影響するポイントには、主に次のものがあります。
- 住宅ローンの審査
- 金融機関と法務局の営業日
- 買主と売主の都合
それぞれのポイントについて見ていきましょう。
住宅ローンの審査
買主が住宅ローンを組んでマンションを購入する場合、住宅ローンの正式な審査が終わっていなければ代金の支払いができません。そのため、引き渡し日には住宅ローンの審査を終えて、融資が正式決定している必要があります。
売買契約を交わしてから住宅ローンの正式審査を申し込み、結果が出るまで最短で2週間ほどかかります。
ちなみに、事前審査では問題なかったものの、正式審査に通らないことがあります。住宅ローンの正式審査に通らなかった場合、売買契約は破棄されることになります。
金融機関と法務局の営業日
引き渡しは、法務局と金融機関の営業日、つまり平日に行われます。さらに午前中に行うのが一般的です。
引き渡しでは代金の授受が行われるため、金融機関で入金確認のできる営業日であることが必要です。また、引き渡し当日に所有権の移転登記も行うため、法務局の窓口が対応できる日でなければならないのです。
それらの手続きの時間的余裕、さらに予期せぬトラブルに対処する時間を考慮して、引き渡しを午前中に行います。
買主と売主の都合
買主と売主が会社員であれば、平日の引き渡しに対応するには有給休暇を取得するなどスケジュールの調整が必要です。ほかにも売主が引っ越し先を決めて、売却するマンションから退去する必要もあります。
引き渡し日を決めるには、そういったさまざまな都合のすり合わせが必要になります。
【空室の場合】引き渡し日の決め方
マンションが空室ということは、すでに売主の引っ越しが終わっているため、買主の都合のほうが引き渡し日の決定に大きく影響するでしょう。
売却するマンションが空室であれば、売買契約を交わしてから1カ月半~2カ月後が引き渡し日の目安になります。
【居住中の場合】引き渡し日の決め方
居住中のマンションを売却する場合、引き渡し日までに完全に退去する必要があります。そのため、確実に退去できる日を引き渡し日にしなくてはなりません。
完全な退去には、少なくても次のことを行う必要があります。
- 転居先の選定、決定
- 転居先での手続き
- 引っ越し業者の選定、決定
- 引っ越しに関連する作業
引き渡し日は売買契約を交わすときに決めます。これらのことをいつまでに終わらせられるのか、よく考えて引き渡し日を決めましょう。もし、引き渡し日までに間に合わないと、遅延損害金の支払いなどのペナルティを受けることがあります。
すべてがスムーズに進めば、約2カ月で完全に退去できるかもしれません。しかし、不測の事態に備えて、3~4カ月は余裕を見ておくことをおすすめします。
引き渡し日までの平均的な日数
売買契約を交わしてから、引き渡しまでにかかる平均的な日数は次のとおりです。
空室の中古マンション | 居住中の中古マンション | |
---|---|---|
引き渡し日までの平均日数 | 1カ月半~2カ月 | 3~4カ月 |
ただし、これらの日数はあくまでも、平均的な日数で目安でしかありません。
売主と買主それぞれの都合をすり合わせて、都合のよい日を決めましょう。買主が急いでいるからといって、引き渡し日を無理に決めないようにしましょう。売買契約から十分な時間を空けないと、問題が起こらなかったとしても不信感を残すおそれがあります。
引き渡し日に関するよくある質問
引き渡し日の大まかな決め方がわかっても、さまざまな疑問が思い浮かぶ人も少なくないでしょう。ここでは引き渡し日に関する、よくある質問にお答えします。
引き渡し日は変更できる?
- 引き渡し日を決めたのですが、急に都合が悪くなりました。変更することはできるでしょうか?
- 基本的に引き渡し日は、売買契約書で決めているため変更できません。しかし、買主から了解を得られたら変更が可能です。
引き渡し日を変更しなければならないときは、売主と買主双方で決済日延期についての覚書を交わします。なお、覚書に記載した決済日までに引き渡しがない場合は、損害賠償請求をされることがあります。取り決めた引き渡し日は、きちんと守りましょう。
土曜日や日曜日を引き渡し日に指定したい
- 引き渡し日を土曜日や日曜日などの休日にしたいのですが可能でしょうか?
- 残念ながら基本的に土曜日や日曜日は、引き渡し日に指定できません。
引き渡し日は代金の決済と所有権の移転登記があるため、金融機関と法務局が対応できない土日祝日は指定できません。引き渡し日は有給休暇を取得するなどして、平日に指定しましょう。
引き渡しは代理人にお願いできる?
- 引き渡し日にどうしても外せない用事があったら、代理人にお願いはできますか?
- 代理権委任状を作成し、引き渡しを代理人に依頼することは可能です。
引き渡し日は本来なら当事者が立ち会うものですが、どうしても立ち会えないときは、代理権委任状を作成することで代理人を立てられます。ただし、信頼できる代理人でなければ、トラブルの原因につながるおそれがあるため、代理人選びは慎重に行いましょう。
買主が住宅ローンの審査に通らなかったら
- もし買主が住宅ローンの審査に通らなかった場合、不動産売買契約はどうなりますか?
- 売買契約にローン特約を付帯していれば、買主は売買契約を解除できます。
売買契約を交わすときに、ローン特約を付帯することが一般的です。ローン特約は住宅ローンの審査に通らなかったときに、ペナルティなく売買契約を解除できる内容になっています。そのため、売買契約時に受け取った手付金を、返さなくてはなりません。
引き渡し日までに準備しておくこと
引き渡し日までには、次の準備をしておきましょう
- マンションから完全に退去する
- すべての鍵と鍵受領書を用意する
- 必要書類を用意する
これらの準備をするには、相当な時間を要することがあります。引き渡し日から逆算して、計画的に準備を進めておきましょう。それぞれの準備について解説します。
マンションから完全に退去する
引き渡しで買主のものになるのですから、マンションから完全に退去する必要があります。売買契約で特に取り決めをしていない限り、家具や電化製品などもすべて処分しなくてはなりません。
クローゼットやバルコニーなどに荷物が残っていないか、必ずチェックしてください。あわせて、部屋のすみずみまで清掃をしておきましょう。
すべての鍵と鍵受領書を用意する
マンションを利用するにあたって、必要な鍵をすべて用意しましょう。スペアキーがある場合は、スペアキーも含めてすべての鍵を用意します。そのほか、共用施設やメールボックスなどの鍵も忘れずに用意してください。
また、すべての鍵を買主へ渡したことを証明する、「鍵受領書」も作成します。
必要書類を用意する
引き渡し時に渡す書類を用意します。マンション売却の引き渡しでは、次のような書類が必要です。
- 分譲時のパンフレット
- マンション管理規約
- 管理費に関する書類
- 納税通知書
- 残金の振込先口座など
場合によっては、そのほかの書類が必要になることがあります。不動産会社に必要書類を確認し、引き渡し日までに用意しておきましょう。
マンション売却には信頼できる担当者が必要
不動産売却はほとんどの人にとって、はじめての経験です。わからないことがあっても当然なのですが、なかなか相談しにくいかもしれません。そういったときに頼りになるのが、不動産会社の担当者です。わからないこと、迷っていることを気軽に相談できる担当者であれば、安心してマンション売却を進められるでしょう。
取引件数の多い大手の不動産会社なら、信頼できるかもしれません。しかし、担当者まで信頼できるかどうかは別問題です。
信頼できる担当者に巡り会うために、複数の不動産会社に相談することをおすすめします。いくら会社が信頼できたとしても、不信感のある担当者では不安を抱えたままマンション売却を進めることになります。
できるだけ多くの担当者に会うために、一括査定サイトの「リビンマッチ」を利用してください。リビンマッチは売却するマンションの情報や連絡先を入力すると、不動産会社へ査定を依頼できるサービスです。最大6社の不動産会社からマンションの査定を受けられるため、信頼できる担当者を見つけられるチャンスが広がります。
引き渡しに不安があるなら不動産買取もおすすめ
不動産買取とは、不動産会社が買主となってマンションを購入する不動産売買の方法です。個人の買主を見つける仲介と違って、不動産会社に対応するだけで済みます。買主を探すための販売活動も必要ないため、マンション売却もすぐに完了するのがメリットです。
不動産会社とやり取りをするだけなので、引き渡し日の調整がしやすいのもメリットです。また、不用品などが残ったままでも、マンションを売却できます。不動産買取は仲介と比べると、売主の負担がとても少ないのです。
ただし、不動産買取には、売却価格が市場価格の約8割になるデメリットがあります。不動産会社が再販売にあたって、費用をかけてリノベーションなどを行うため、その費用などが差し引かれているためです。
ただし、自由度の高い引き渡し日やスピーディな取引など、不動産買取のメリットは小さくありません
リビンマッチは不動産買取にも対応しています。複数社から査定を受けられるため、もっとも高く買い取る不動産会社を見つけられます。仲介にも買取にも対応していますので、よく検討してリビンマッチをご利用ください。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
誤字脱字や事実誤認などございましたら、ぜひともご指摘ください。
運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
人気ワード
離婚で家を財産分与 (27) 老後の住まい (24) 売れないマンション (16) 一括査定サイト (15) 離婚と住宅ローン (13) 海外移住 (11) 訳あり物件 (11) 家の売却 (11) 家の後悔 (10) 不動産高く売る (9) 実家売却 (9) マンション価格推移 (8) マンションの相続 (8) 移住 (7) アパート売却 (7) 不動産会社の選び方 (6) マンション売却の内覧 (6) 家の価値 (6) 離婚と家 (6) 売れない家 (5) お金がない (5) 空き家売却 (5) 離婚準備 (5) 離婚と家売却 (5) 農地売却 (4) 近隣トラブル (4) マンション買取 (4) 家の解体費用 (4) 売れない土地 (3) マンションか戸建てか (3) サブリース (3) イエウール (3) 不動産価格推移 (3) リビンマッチ評判 (2) シンガポール移住 (2)リビンマッチコラムを引用される際のルール
当サイトのコンテンツはどなたでも引用できます。 引用にあたって事前連絡などは不要です。 コンテンツを引用される際は、引用元が「リビンマッチ」であることを必ず明記してください。
引用ルールについて