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空き家を無償譲渡したい?無料で譲る方法や利点・欠点、理想の手放し方

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空き家を無償譲渡したい?無料で譲る方法や利点・欠点、理想の手放し方

無償で譲りわたす、つまり贈与することを無償譲渡といいます。空き家数が増加の一途をたどる昨今は、売りたくても売れない物件を手放す方法として無償譲渡を選択するケースが増えています。

しかし、無償譲渡でも引き取り手には税金が発生するなどの理由から、希望者が見つからないこともあります。無償譲渡の仕組みや発生する税金をはじめ、無償譲渡以外で、なるべく所有者にメリットがある形で空き家を手放す方法を紹介します。空き家を無償譲渡すべきか判断したい方は、ぜひ参考にしてください。

もくじ

無償譲渡とは?贈与との違い

空き家に限らず、不動産を取引する場合の一般的な手法は「売買」です。しかし、「土地の活用方法が難しい」「建物の劣化が激しい」などの理由で不動産自体の価値が著しく低い場合には、たとえ低額でも買い手がつかないこともあり得ます。

このような場合に不動産を無料で譲り渡す、無償譲渡という方法があります。

譲渡と贈与の違い

譲渡と贈与は「有償か無償か」「課税対象が誰か」という点で異なります。

譲渡が有償で不動産を売却するのに対し、贈与は無償で不動産を譲り渡すことを指します。譲渡の場合は譲る側に譲渡所得税がかかりますが、贈与の場合、贈与を受けた側(受贈者)に贈与税がかかります。

ただし、譲渡が無償で行われる場合、その譲渡は贈与とみなされます。そのため、無償譲渡が個人間の取引なら、譲る側ではなく譲渡された側に贈与税が発生します。

なぜ無償で譲渡するのか

地域性による違いはあるものの、日本では人口減少により不動産の需要が少なく、使用されていないものが多数あります。不動産は資産ですので、利用していなくとも所有する限り固定資産税や管理の手間、負担がかかります。

特に以下のような場合は、無償でも譲渡して維持費や管理の負担がなくなるメリットのほうが大きいでしょう。

  • 不動産が遠方にあり管理が大変
  • 将来住む予定がない
  • 放置すると近隣に迷惑がかかる危険性がある
  • 子どもに相続させると負担になる

また、立地的には利用できそうな物件でも、築年数が経過し老朽化した建物は、耐震性や居住環境として問題がある場合も少なくありません。そのため、改修するための耐震工事や住宅性能を高めるリフォームが必要な場合があります。

そのような場合は、所有し続けるよりも無償譲渡したほうがよい可能性があります。

無償譲渡でも無料で譲渡はできない

無償譲渡でも必ず無料で譲渡できるわけではなく、譲渡する側、譲渡される側に費用が発生することがあります。

法人に譲渡する場合、譲渡した側は譲渡所得税を払う必要

個人から個人に不動産を無償で譲渡すると贈与とみなされ、譲る側は非課税なのに対し、譲り受けた側には贈与税が発生します。

また、個人から法人へ無償で譲渡する場合、譲渡した側には譲渡所得税、譲渡される側には法人税が発生します。実際に、所得税法第五十九条にもその旨が記載されています。

(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)

第五十九条 次に掲げる事由により居住者の有する山林(事業所得の基因となるものを除く。)又は譲渡所得の基因となる資産の移転があつた場合には、その者の山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があつたものとみなす。

一 贈与(法人に対するものに限る。)又は相続(限定承認に係るものに限る。)若しくは遺贈(法人に対するもの及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)

二 著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡(法人に対するものに限る。)

引用:所得税法「第五十九条(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)

つまり、個人が法人に対して不動産を含む資産を贈与また著しく低い価額の対価で譲渡する際は、時価に相当する額=その価格で売買できるであろう価格で譲渡があったものとみなす「みなし譲渡所得税」を支払う必要があるのです。

譲渡する側、もらった側どちらかは所有権移転登記をする必要

無償譲渡は、専門的にいえば「贈与」という法律行為です。

贈与契約自体は書面などを作成せずとも、贈る側(贈与者)と受け取る側(受贈者)の意思が合致すれば成立するものとされています。しかし不動産の場合、所有者が誰であるかを登記しなければならないなど、贈与という法律行為に付随した手続きが必要です。

空き家を無償譲渡するには、対象となる土地と建物の所有権移転登記をする必要があります。登記をするには根拠を証明することが必要で、これを登記原因といいます。無償譲渡のケースでは贈与契約がこれに当たるため、正式な契約書を作成する必要性が生じるのです。

所有権移転登記は、贈る側と受け取る側どちらが行ってもよく、またどちらが費用を負担してもよい決まりになっています。そのため、所有権移転登記が必要だからといって、無償譲渡した側がその手続きをしたり、費用を負担する必要はありません。しかし、もらう側の多くは、「なるべく費用がかからない形で譲り受けたい」「面倒な手続きは避けたい」と思っていることでしょう。

そのため、贈る側が所有権移転登記に必要な手続きをしたり、その費用を負担したりするケースも少なくありません

空き家の価値が110万円超えの場合、もらった側は贈与税を払う必要

無償で譲渡するにしても希望者を探すうえで、もらう側はどれくらいの贈与税がかかるかについても理解しておいたほうがよいでしょう。

贈与税の計算方法には「暦年課税制度」と贈与者が亡くなったときに相続税と一括して納税する「相続時精算課税制度」があり、ここでは暦年課税制度について解説します。

贈与税は、個人から贈与によって資産を取得したときにかかる税金です。毎年1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた合計額から基礎控除額110万円を差し引いた金額に対してかかる税金です(暦年課税)。ですので、不動産の価値(課税価格)が110万円を超える場合、譲り受けた側に贈与税がかかります。

贈与税=(課税価格-基礎控除110万円)×税率-控除額

ここでの課税価格は土地と建物で異なります。土地を無償譲渡する場合、課税価格は路線価方式あるいは倍率方式で計算される相続税評価額になり、国土交通省のホームページで確認します。

一方、建物を無償で譲渡する場合、課税価格は固定資産税評価額となります。固定資産税の納税通知書や市区村町の固定資産台帳で確認できます。

税率は、父母や祖父母などの直系尊属から贈与を受けた場合に適用される特例税率それ以外の一般税率があり、特例税率のほうが税額は低くなります

参考:NO4402贈与税がかかる場合(国税庁)

もらった側は不動産取得税、登録免許税もかかる

不動産取得税は、不動産を取得したときに課される税金で都道府県に納付します。

不動産取得税=不動産評価額(固定資産税評価額)×4%

現在、土地と住宅については軽減税率(3%)が適用されています。

また、登録免許税は不動産の登記などにかかる税金です。無償譲渡に際して、無償譲渡契約(贈与契約)書を締結し、それを登記原因として所有権の移転登記をします。

登録免許税=課税標準額(固定資産税評価額)×2%

移転登記の手続きを司法書士に依頼する場合は、登録免許税だけでなく、実費や司法書士への報酬が必要です。

参考:総務省「不動産取得税」,法務局「○登録免許税はどのように計算するのですか?」

空き家を無償譲渡する方法

一般的に不動産を手放す場合、不動産会社に依頼して買い手を探してもらい、その報酬として売買価格に応じた仲介手数料を支払う方法で進めます。

では、空き家を無償で譲渡するにはどういった方法があるでしょうか。

隣の人や知り合いに「いらないか」確認してみる

まずは、土地の隣接地や周辺の人に土地、建物を探していないか確認してみましょう。

以下のような目的で、土地や建物を近くで探している人がいるかもしれません。

  • 駐車場や庭の拡張用の土地
  • 倉庫や物置のスペースとして活用
  • 子どもや身内の住宅用の土地
  • 畑や農園用地として活用

また、隣接地の所有者からすると、土地を取得することでひとつの広い土地として利用できるようになります。道路の接道状況がよくなったり、角地になったりなど、土地全体の資産価値が上がることもあります。

無償で譲り受けて現在の不動産の価値が上がるとなれば、譲渡できる可能性は高いでしょう。

空き家バンクに登録する

地方公共団体(自治体)が運営する、空き家バンクに登録する方法です。空き家バンクは、空き家を売りたい、貸したい人が地方公共団体へ登録し、購入希望者や借りたい人を募集する仕組みです。

不動産会社が積極的に取り扱わない物件でも登録できます。有料の空き家がある中、0円物件があれば目立つでしょう。欲しいと考える人が出てくる可能性が高いです。

ただし、空き家バンクを活用するには、メリットとともに注意点を踏まえておく必要があります。

空き家バンクのメリット

空き家バンクは無料で利用でき、通常の不動産売却ほど詳細な情報がなくても登録できます。しかし、希望者を見つけるには、できるだけ詳細な情報を掲載するほうがよいでしょう。

また、空き家バンクは、増加する空き家を解消する目的で行政が運用しているサービスです。そのため、空き家バンクを通じて契約が成立した空き家に対して、改修費用などを補助してもらえることがあります。

地方公共団体によって補助制度の内容は異なりますが、リフォームや家財の処分費などを補助してもらえるため、物件の状況次第では希望者が見つけやすくなります。

空き家バンクを活用するうえでの注意点

空き家バンクは地域によって利用者が少ない、積極的な広告活動が行われないことから、なかなか引き取り手が見つからないことがあります。

状況によって、できるだけ早く処分したいと考えている場合は、ほかの手段も含め検討したほうがよいでしょう。

また、空き家バンクを通じて引き取り手が見つかっても不動産会社を利用しない場合は、契約手続きや登記の手続きを自分で行う必要があります。

個人間でのやり取りは、土地建物の権利関係や物件の状態などを十分に調査し、契約内容に盛り込まないとのちのちトラブルになる危険性があります。

不動産会社や司法書士などに土地建物の調査や契約書の作成を依頼する場合も、その費用がかかります。

不動産会社や買取業者に無償譲渡する

不動産会社や買取業者は資金力と不動産活用のノウハウがありますので、経年劣化した古家ふるや付きの土地や残置物が残った建物でも、無償であれば引き取ってもらえる可能性があります。

また、不動産会社や買取業者であれば、契約手続きもスムーズに進められます。ただし、法人への無償譲渡は、譲渡した側にも不動産譲渡税がかかりますのでその点を踏まえて判断しましょう。

ほんとうにいい?空き家を無償譲渡するメリットとデメリット

空き家を所有していれば、税金などの費用負担や維持管理の手間からは逃れられません。早急に手放したいものの、なかなか買い手がつかないケースでは、「無償でもいいから処分したい」と感じることもあります。

空き家を無償譲渡するメリットとデメリットを見ていきましょう。

空き家を無償譲渡するメリットとデメリット
メリット デメリット
  • 将来的な費用負担からの解放
  • 管理の手間からの解放
  • 特定空き家指定のリスク対策
  • 個人間の取引なら仲介手数料がかからない
  • もらい手を探す労力
  • 契約から引き渡しまでの手続きも自分たちでする必要
  • 認識の食い違いによるトラブルのリスク
  • 契約内容と異なる事実が発覚すれば、責任を追及されるリスク

空き家を無償譲渡するメリットは、所有しているだけで発生する費用負担や労力から解放されることでしょう。

特に最近では、老朽化した空き家によって生じる安全性や景観を損なうといったマイナス要因がクローズアップされ、空き家のまま所有し続けるコストやリスクが大きくなっています。これらの不安を解消できることが、たとえ無償であっても空き家を手放すメリットです。

一方、無償譲渡は「代金をもらわないこと自体がデメリット」だと考えがちですが、一般的な売買とは異なるデメリットやリスクも内包しています。無償譲渡を検討するのであれば、これらのデメリットをしっかりと認識しておきましょう。

メリット1:将来的な費用負担からの解放

不動産を所有していれば、毎年、固定資産税都市計画税などの税金の負担が生じます。将来的に利用する可能性がなかったとしても、所有している期間は、支払い続けなければならないお金です。

そのため、無償譲渡によって直接的な金銭を得ることができなかったとしても、将来的な費用負担から解放されることによって、経済的なメリットを得られるのです。

メリット2:管理の手間からの解放

万が一劣化した屋根から瓦が落ちて通行人にケガをさせたとしたら、使用者がいない空き家の場合は所有者の責任が問われます。つまり、使用していない空き家とはいえ、適切に管理しなければならない責任があるのです。

建物が劣化して破損したり、敷地に雑草が生い茂っていたりすれば、地域の安全や景観の観点からも好ましくないでしょう。

定期的な維持管理に要する費用や労力は、決して小さなものではありません。所有権を手放すことができれば、これらの負担から解放されます。

メリット3:特定空き家指定のリスク対策

2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」では、「特定空き家」を認定し、所有者に対して改善を求めることができるとされています。特定空き家には、そのまま放置すれば倒壊などの危険が生じる空き家や、衛生上・景観上の観点から有害となるおそれのある空き家などが該当します。

特定空き家に認定されれば、管理体制の改善などに関する行政指導や勧告の対象となるのです。勧告を受けた場合には固定資産税などの軽減が受けられなくなるほか、改善命令に従わない場合は罰則が設けられているなど、とても厳格な仕組みです。

特定空き家に指定されるおそれがある空き家であれば、リスク対策として無償譲渡は有効といえます。

メリット4:個人間の取引なら仲介手数料がかからない

不動産売買を行う場合、仲介会社を通じて取引するのが一般的です。しかし、無償譲渡の場合は無料で譲渡することから、売買に比べれば個人同士で直接取引しやすくなります。

個人同士で取引する場合は、仲介手数料が不要なためメリットといえます。

デメリット1:もらい手を探す労力

不動産を売却する場合には、不動産会社と媒介契約を結んで販売活動を委託するのが一般的です。

不動産会社がチラシやWebサイトを使って購入希望者を募るため、所有者自らが販売活動を行う必要はありません。しかし、この譲渡手法は金銭のやり取りが発生する売買だからできることです。不動産会社の報酬は、販売代金に応じた割合で決定されるためです。

つまり、代金が発生しない無償譲渡では、原則として所有者がもらい手を探さなければなりません

デメリット2:契約から引き渡しまでの手続きも自分たちでする必要

不動産会社の仲介に頼れないことは、契約から引き渡しまでの手続きも自分たちで行わなければならないことを意味します。

売買契約においては、契約だけでなく引き渡し後に起こり得るトラブルなども考慮して、不動産会社が合理的な売買契約書を作成してくれます。一方、自己取引が前提となる無償譲渡では不動産会社に頼ることができません。

無償であるからといっても、しっかりとした契約書などを作成しなければ、所有権移転登記などに支障が出るおそれもあるでしょう。

不動産取引に対する知識の深い司法書士や行政書士などに相談するのが望ましいですが、その際には費用負担が生じることも覚えておきましょう。

デメリット3:認識の食い違いによるトラブルのリスク

あげる側の立場からすると、「無償であげるのだから不具合があっても、受け取る側の責任だろう」と考えるのも不思議ではありません。

しかし、建物の劣化状況や土地に関する制約などについては、贈る側と受け取る側が共通の認識を持っていなければトラブルに発展するリスクも否めません。

たとえば、将来的に必要とされる支出などを十分に知らされないまま贈与を受けたとすれば、結果的に「だまされた」と感じてしまうかもしれません。

通常の不動産売買では、契約に先立って、不動産の現状や法律上の規制などを詳細に調査し、買い手に対して説明する手続きが義務付けられています。この「重要事項説明」があることで、仮に不動産に不具合があったとしても、買い手はそれを知ったうえで納得して購入できるのです。

無償譲渡だからといって、この手続きをおろそかにすることは大きなリスク要因です。法律上の制限や建物の不具合などを、できるだけ詳細に伝えることが不可欠といえるでしょう。

デメリット4:契約内容と異なる事実が発覚すれば、責任を追及されるリスク

契約不適合責任といって、譲渡前に事前に伝えていなかったことが発覚した場合は、譲受者から責任を追及されるおそれがあります。

たとえば、以下のようなケースです。

  • 建物に構造上の欠陥があった
  • 地中埋設物が埋まっており、想像以上に解体費用が高くついた
  • 解体して住宅を建てようと思っていたのに、再建築不可物件だった
  • 無料でもらえると思っていたのに、空き家を取得する費用が予想より高かった

譲渡する側も知らなかった場合は問題になるケースは少ないのですが、知っていて隠していた場合は損害賠償を請求されたり、契約解除になったりする心配があります。そのようなトラブルを避けるには、契約書に「譲渡者は、これらの責任を負わない」などと明記しておき、譲受者に納得してもらう必要があります。

理想の手放し方は?売れにくい空き家をうまく手放す方法

無償譲渡の場合、単に不動産の対価を得られないだけでなく、手続きに要する費用などの持ち出しが発生する危険性もあります。

できるだけ経済的な負担をせずに、無償譲渡以外の方法で空き家を処分する方法についても考えていきましょう。

マイナス要因が建物であれば古家付ふるやつき土地として売却

住宅は築年数がたつごとに劣化します。減価償却という考え方で、一般的な木造住宅であれば22年で残存価値はゼロになります。

しかし現実的には、通常のメンテナンスさえしていれば築22年の建物はまだまだ使えるケースが大半でしょう。そのため査定に際しては、建物の状態に応じて相応の価格が付けられます。

一方で築50年、60年と経過した建物では、仮に建物の価値をゼロにしても、使用できるレベルにリフォームするだけで築22年の住宅よりも高額になってしまう危険性が高いです。「高いリフォーム代を払ってまで、築年数が古い建物を買いたくない」これが売れない要因になりがちです。

この場合、中古住宅を探している顧客よりもむしろ、新築用の土地を探している顧客のほうが条件に合致するケースが少なくありません。

土地として販売するからといって、建物を解体する必要はありません。「古家付き土地」として販売すれば、現況のままで売却できることも十分に考えられます。

住宅や土地の購入を検討している多くの人は、ポータルサイトを利用して条件に合致する物件を探します。中古住宅と土地とでは条件設定が異なるため、中古住宅としての登録だけでは土地探しの人に見つけてもらえません。そのため、土地としての登録もしておくとよいでしょう。

将来的に制限される土地なら不動産会社へ買い取り依頼

不動産の売却手法は、大きく2通りに分けられます。不動産会社と媒介契約を結んで買い手を探してもらう方法と、不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。

買い取ってもらうほうが価格は安くなってしまうのが基本ですが、一般のエンドユーザーが購入をちゅうちょするような不安要素の多い物件も買い取ってくれる可能性があります。不安要素の多い物件とは、たとえば、解体しても今後一切建物を建設できない「再建築不可」などの物件のことです。

市場で買い手が見つからないのであれば、複数の会社に買取査定を依頼してみるのも有効な方法です。

将来的に制限される土地とは

一例を挙げれば、建て替えの際にセットバックが必要で、有効面積が減少してしまうケースです。

建築基準法上、幅員4m以上の道路に2m以上接することが必要とされていますが、昔の街並みが残っている地域など、4mに満たない道路も数多くあります。

セットバック後は有効な敷地面積が減少し、減少した敷地面積を基準に建ぺい率や容積率が計算されます。つまり、いまある建物と同じ規模の建物が建てられない危険性があるといえます。

買い手が見つかりにくいうえ、将来的にも制限がある土地の売却は、まず不動産会社へ買取を依頼し値段をつけてもらえない場合は、不動産会社への無償譲渡を考えたほうがよいでしょう。

市街化調整区域などは農家や隣地所有者など相手を絞って無償譲渡

市場での売買や、不動産会社の買取が難しい空き家も現実的にはあり得ます。

代表的な例は、市街化調整区域に立地しているなど、市場での流通が困難なケースです。市街化調整区域は市街化を抑制する区域であることから、原則として建物を建てられません。

例外的に、行政の許可のもと農家の分家を建てるなど特殊な事情があれば建築が可能ですが、これはあくまでも特例に基づいて許可されたものです。他人が購入しても将来的な建て替えができないおそれがあります。

一般に流通させられない不動産は、実は決して少なくはありません。このような市場での流通が難しい空き家の場合は、農家や隣地所有者など相手を絞って無償譲渡も含めた処分方法を検討するのが得策といえるでしょう。

購入希望者が現れるということは?手放すのをやめて空き家を活用

不動産の場合、所有することで維持費や管理の手間がかかりますので、無償だからといって必ず引き取ってもらえるわけではありません。その土地、建物に何らかの利用価値や資産価値を見いだすことで手に入れようと考えるはずです。そう考えると、無償でももらい手がいる場合、手放すより何らかの形で空き家の活用が考えられる場合があります。

空き家を所有していると維持費や管理の手間もありますが、「住んでいる場所から近い」「維持費がそれほど負担にならない」場合は、あえて手放さず空き家の活用を検討してもよいでしょう。

無償譲渡する前に、不動産会社へ相談を!

不動産の取引には専門的な知識が不可欠で、タダにすればもらい手が付くとは限りません。その不動産が持つマイナス要因に応じた処分方法を検討することが必要ですから、まずは複数の不動産会社に相談することをおすすめします。

一口に不動産会社といっても、得意とする分野はさまざまです。一般的な住宅の販売を得意とする会社もあれば、再建築不可などの特殊な物件を得意とする会社もあります。

まずは不動産の一括査定サイトを利用して、複数の会社から市場での売買想定価格や買取価格の提示を受けてみましょう。

価格だけでなく、有効な販売戦略についても相談できるため、無償譲渡を検討していた空き家から思わぬ収益が発生することに気づけるかもしれません。

この記事の編集者

リビンマッチ編集部 リビンマッチ編集部

リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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