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不動産の仲介手数料はいくらかかる?相場を知る方法と計算方法やトラブルを避ける方法を解説

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不動産の仲介手数料はいくらかかる?相場を知る方法と計算方法やトラブルを避ける方法を解説

不動産の賃貸や売買を考える際に、不動産会社に支払う仲介手数料について気になっている方もいるのではないでしょうか。

本記事では不動産会社への仲介手数料について、売買の際に必要な費用や相場、値引き交渉は可能なのか、計算方法などを解説します。また記事後半では不動産の仲介手数料に関するトラブルの事例やトラブルを防止する方法についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。

もくじ

不動産の売買にかかる費用項目

不動産の売買では不動産会社への仲介手数料や税金など、複数の費用が発生します。どのような費用がかかるのか事前に把握しておくことで資金の準備がスムーズになるでしょう。費用項目について、不動産を購入する場合と売却する場合に分けてそれぞれ解説します。

不動産を購入する場合

不動産を購入する場合には、手数料や税金といった諸費用が発生します。主に必要な諸費用は以下のとおりです。

不動産を購入する場合に必要な諸費用
諸費用 詳細
印紙税
  • 売買契約書に貼り付ける印紙の費用
手付金
  • 売買契約の成立時に支払う費用
頭金
  • 物件代金のうち現金で支払う費用
仲介手数料
  • 不動産売買が成立した場合に、仲介業に対して支払われる成功報酬
司法書士に支払う報酬
  • 購入した住宅の登記を依頼するための費用
固定資産税や都市計画税
  • 購入後に毎年かかる税金
  • 購入した年は日割り計算し売主に支払う
登録免許税
  • 所有権移転や所有権保存、抵当権設定の登記にかかる税金
住宅ローンに関連する費用
  • 保証料や事務手数料といった諸費用
保険料
  • 住宅ローンを組む際の火災保険や地震保険の費用
不動産取得税
  • 不動産を購入した年に支払う税金

不動産を売却する場合

不動産を売却する場合にも手数料や税金といった諸費用が発生します。主な費用は以下のとおりです。

不動産を売却する場合に必要な諸費用
諸費用 詳細
印紙税
  • 売買契約書に貼り付ける印紙の費用
仲介手数料
  • 売買契約の成立時に支払う費用
登記・抵当権の抹消費用
  • 不動産を売却したら所有権移転登記が必要となり、登録免許税が発生する
  • 売却する不動産に住宅ローンが残っているなら、完済して抵当権を抹消することが必要
住宅ローンの一括返済の事務手数料
  • 売却のために住宅ローンの残債を一括で支払う場合、事務手数料が発生する場合がある
譲渡所得税
  • 不動産を売却し利益が発生した場合は、確定申告し譲渡所得税を支払う必要がある
  • 利益が出なかった場合、譲渡所得税の支払いは不要

賃貸物件の仲介手数料とは

不動産賃貸の仲介手数料とは、不動産会社が貸主の借主と仲介をし、賃貸契約が成立した場合に支払われる成功報酬のことです。仲介手数料には以下に挙げる業務に対する費用が含まれています。

  • 借主を探すための営業活動
  • 貸主と借主の契約条件の調整
  • 契約書類の作成
  • 契約から引き渡しまでの事務手続き

賃貸物件における仲介手数料について、金額の上限や誰が支払うのかなどをそれぞれ解説します。

賃貸物件における仲介手数料の上限

不動産会社が受け取れる賃貸物件の仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法46条によって決められており、家賃の1カ月分までです。ただし仲介手数料は消費税の課税対象となっているため、実際に支払うのは以下の金額です。

仲介手数料の上限=家賃1カ月分+消費税

不動産会社が上記の計算式で算出される金額以上の仲介手数料を請求すると違法とみなされます。不動産会社は仲介手数料について、事務所の分かりやすい場所に掲示しなくてはならないという決まりがあるため、貸主や借主は契約前に手数料を確認してください。

賃貸の仲介手数料に下限は定められていないため、上記の計算式で算出される金額よりも手数料が安く設定されている不動産会社もあります。中には仲介手数料を以下の計算式で出している不動産会社もあるため、手数料の負担を減らしたい場合に利用するとよいでしょう。

仲介手数料=家賃0.5カ月分+消費税

賃貸物件の仲介手数料の支払いは誰がするのか

賃貸物件の仲介手数料の支払いは貸主と借主の双方、またはどちらか一方が負担します。宅地建物取引業法に定められた不動産会社が受け取れる仲介手数料の上限は、貸主と借主のそれぞれから家賃0.5カ月分までと定められています。ただし当事者の承諾を得ている場合は、どちらか一方が家賃1カ月分の仲介手数料を支払うことも可能です。

つまり貸主が仲介手数料を家賃0.5カ月分支払っている場合、借主が支払う仲介手数料も家賃0.5カ月分です。一般的には借主が仲介手数料を負担するケースが多く、その場合は借主が家賃1カ月分を負担します。承諾のないまま家賃1カ月分の仲介手数料を負担させることは違法となるため、仲介手数料については契約時にしっかり確認することが重要です。

不動産会社の中には仲介手数料を無料にしている会社もあります。無料の理由はさまざまですが、自社物件を取り扱っていたり、なかなか入居者が決まらない物件であったりといった場合があります。

不動産売買の仲介手数料とは

不動産売買の仲介手数料は、不動産会社が売主と買主の仲介をし、売買契約が成立した場合に支払われる成功報酬です。仲介手数料の支払いを含む、不動産売買についてのおおまかな流れは以下のとおりです。

  1. 不動産会社を決めて媒介契約を締結する
  2. 営業活動によって買主を探す
  3. 買主と売買契約を締結し、不動産会社に仲介手数料を支払う
  4. 代金を決済して物件を引き渡す

売買契約が成立した時点で、不動産会社には仲介手数料の請求権が発生します。ただし必ずしも売買契約時に全額を支払う必要があるわけではなく、さまざまなパターンがあります。よくあるパターンとしては売買契約時に仲介手数料を半額支払い、物件の引き渡し完了時に残りの半分を支払うというものです。

不動産売買のために不動産会社は営業や事務手続きといった業務をこなし、多くの労力を費やしています。仲介手数料は不動産会社の仕事に対する報酬といえるでしょう。売買に向けて不動産会社が行う主な業務は以下のとおりです。

  • 買主を探すための営業活動
  • 売主と買主の契約条件の調整
  • 契約書類の作成
  • 契約から引き渡しまでの事務手続き

不動産売買における仲介手数料の上限

不動産を売買する際の仲介手数料についても賃貸物件と同様に、宅地建物取引業法46条で上限が決められています。仲介手数料の上限については、売買価格のうち400万円を超える部分、200万円を超え400万円以下の部分、200万円以下の部分の3つに分けて設定されています。具体的には以下のとおりです。(※)

不動産売買における仲介手数料の上限
売買価格 仲介手数料の上限
400万円を超える部分
  • 売買価格(税抜)の3%+消費税
200万円を超え400万円以下の部分
  • 売買価格(税抜)の4%+消費税
200万円以下の部分
  • 売買価格(税抜)の5%+消費税

原則として、不動産会社は上記を超える仲介手数料の請求は認められていません。ほとんどの不動産会社では売買における仲介手数料について、法的な上限価格での設定をしています。

なお不動産売買にかかる仲介手数料の上限を計算する際は、上記の3つの部分についてそれぞれ算出する必要があります。たとえば売買価格が1,000万円なら、そのうちの200万円の5%(10万円)に消費税(1万円)、200万円の4%(8万円)に消費税(8,000円)、残りの600万円の3%(18万円)に消費税(1万8,000円)の合計36万円に消費税(3万6,000円)が売買の仲介手数料の上限です。

※出典:国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額

不動産の仲介手数料には消費税が必要

不動産売買の仲介手数料には消費税が加算されます。消費税の課税対象は、事業者が事業として行うものと定められており、不動産会社の仲介も事業に該当するためです。個人が売主となる物件に関しては売買自体には消費税が発生しませんが、不動産会社の仲介業務への支払いに消費税がかかります。

売主が不動産会社の場合は、不動産売買が事業とみなされるため、個人の売買と同じような取引であっても消費税の課税対象となります。また個人であっても何度も繰り返し不動産を売買している場合は、取引が事業とみなされ消費税が課されるケースもあるため注意が必要です。

不動産売買の取引において、不動産会社への仲介手数料以外で消費税が課される主なものは、住宅ローンの一括返済にかかる手数料や、司法書士への報酬です。

売買時の仲介手数料を計算する方法

不動産売買時の仲介手数料は、通常の計算方法と速算式を利用した計算方法の2種類の方法から求められます。それぞれについて詳しく解説します。

通常の計算方法

たとえば不動産売買価格が2,000万円である場合における、仲介手数料の通常の計算方法を紹介します。
まずは2,000万円のうち、200万円以下の部分の仲介手数料について計算します。前述のとおり200万円以下の部分にかかる仲介手数料の上限は売買価格の5%です。

200万円×5%=10万円

次に2,000万円のうち、200万円を超え400万円以下の部分の仲介手数料について計算します。200万円を超え400万円以下の部分にかかる仲介手数料の上限は売買価格の4%です。

200万円×4%=8万円

最後に2,000万円のうち、400万円を超える部分の仲介手数料について計算します。400万円を超える部分にかかる仲介手数料の上限は売買価格の3%です。

2,000万円-400万円=1,600万円

1,600万円×3%=48万円

それぞれの仲介手数料を合計します。

10万円+8万円+48万円=66万円

仲介手数料には消費税がかかるため、算出された仲介手数料の合計に消費税を足しましょう。

66万円+(66万円×消費税10%)=66万円+6万6,000円=72万6,000円

このように、不動産の売買価格が2,000万円の場合の売買の仲介手数料の上限は72万6,000円と計算可能です。

速算式を利用した計算方法

上記で紹介した不動産売買の仲介手数料の計算方法は手順が多く時間がかかります。速算式と呼ばれる仲介手数料の計算方法を利用すると、手数料の金額を簡単に算出可能です。

速算式を利用した計算方法
不動産の売買価格 仲介手数料
400万円を超える場合 売買価格×3%+6万円+消費税
200万円から400万円の場合 売買価格×4%+2万円+消費税
200万円を超え400万円以下の場合 売買価格×5%+消費税

不動産の売買価格が2,000万円の場合の速算式による計算は以下のとおりです。

2,000万円×3%+6万円=60万円+6万円=66万円

仲介手数料には消費税がかかるため、算出された仲介手数料の合計に消費税を足します。

66万円+(66万円×消費税10%)=66万円+6万6,000円=72万6,000円

不動産の売買価格が2,000万円の場合に売買にかかる仲介手数料の上限は通常の計算方法と同様、72万6,000円と計算可能です。

不動産の売買価格が400万円以下の場合の仲介手数料の上限

不動産の売買価格が400万円以下の場合、不動産会社は売主から前述した仲介手数料の金額ではなく、最大で18万円(税抜)の手数料を受け取れます。(※)たとえば不動産の売買価格が300万円の場合、上記の速算式で計算すると仲介手数料は14万円ですが、不動産会社は18万円まで請求可能です。ただし不動産会社が売主に対して、仲介手数料の上限となる18万円を請求するためには、媒介契約時における売主の同意がなければなりません。

また仲介手数料として売主に上限である18万円が請求される場合は、物件の現地調査にかかる費用も含まれています。調査費用を含めた上限が18万円と定められているため、売主は仲介手数料として18万円を支払う場合、別途調査費用を請求されることはありません。

仲介手数料の上限が18万円となるのは売主に対してのみで、買主には適用されません。2018年より前は売主に対しても買主に対しても、上記で解説した仲介手数料が適用されていました。2018年1月1日に宅地建物取引業法の一部が改正され、売買価格が400万円以下の不動産取引における、売主に対する仲介手数料の上限が引き上げられたという背景があります。

※出典:国土交通省「宅地建物取引業法関係

不動産仲介手数料がわかる早見表

不動産売買の仲介手数料は、取引される不動産の価格によって金額が異なります。仲介手数料の目安を把握しておくことで、予算が立てやすく資金を用意しやすくなるでしょう。500万円から5,000万円の不動産を売買する場合の仲介手数料の上限は以下のとおりです。

不動産仲介手数料がわかる早見表
不動産の売買価格(円) 仲介手数料(税抜)の上限(円) 仲介手数料(税込)の上限(円)
5,000万 150万 165万
4,500万 141万 155万1,000
4,000万 126万 138万6,000
3,500万 111万 122万1,000
3,000万 96万 105万6,000
2,500万 81万 89万1,000
2,000万 66万 72万6,000
1,500万 51万 56万1,000
1,000万 36万 39万6,000
500万 21万 23万1,000

不動産仲介手数料は交渉できるのか?

不動産仲介手数料の交渉は可能なのでしょうか。ここからは交渉の可否や交渉しないほうがよい理由などについてそれぞれ解説します。

交渉は可能

前述したとおり、不動産会社の仲介手数料には上限が定められていますが下限は定められていません。不動産会社は法的に認められた上限までの金額内であれば、自由に仲介手数料を決められます。

不動産会社に対して仲介手数料の値引き交渉を持ちかけ、同意を得られれば手数料を引き下げることも可能です。仲介手数料については上限の金額に設定している不動産会社が多いですが、近年では契約成立を増やすため、手数料を安くしたり無料にしたりする会社も増えています。ただし不動産会社の値引き交渉が可能であっても、交渉しないほうがよいケースもあります。

交渉をしないほうがよい理由

仲介手数料とは、不動産会社が売買のためにかけた労力に対する報酬です。仲介手数料を値引きしてしまうと売主にとっては手数料にかかる負担を減らせても、担当者からの心証が悪くなる可能性があるだけでなく不動産の売買に悪影響があるかもしれません。

不動産売買の手数料は成功報酬なので、たとえ売れても不動産会社にとって利益が少ない案件では積極的に営業してもらえない可能性も考えられます。仲介手数料を安く抑えるよりも、きちんと手数料を支払い営業に力を入れてもらってできるだけ高く買ってくれる買主を探すことが、売主にとっての最終的な利益につながるでしょう。

不動産をできるだけ希望に近い条件で高く売却するためには、信頼できる不動産会社に仲介を依頼することが大切です。不動産会社選びを行う際は「近所だから」「大手だから」などの理由で決めてしまわずに、複数の不動産会社を検討してみてください。

ただし複数の不動産会社と個別にやりとりしていると、時間や手間がかかりやすいため、不動産の一括査定サービスの利用するのがおすすめです。一括査定サービスであれば、Webサイトで情報を入力するだけで複数の不動産会社からの査定を受けられ、手軽に比較検討できます。

仲介手数料が無料の不動産会社を探す方法もある

不動産売買の仲介手数料を抑えたい場合は、不動産会社に値引き交渉をするのではなく、最初から仲介手数料を無料に設定している会社を選ぶという方法もあります。不動産会社が行う業務の内容は、たとえ仲介手数料が無料であっても大きな違いはありません。仲介手数料を無料にしていても、安心して媒介契約できる不動産会社はたくさんあるため探してみるとよいでしょう。

不動産仲介手数料の交渉をしやすくするには

どうしても不動産仲介手数料の値引き交渉をしたい場合、契約締結の前に交渉することや、専任媒介契約を申し出ること、中小規模の不動産会社に依頼することなどのポイントがあります。ここからはそれぞれについて詳細を解説します。

媒介契約の締結前に交渉してみる

不動産会社に仲介手数料の値引き交渉をするなら、媒介契約の締結前に行いましょう。不動産会社が仲介業務によって利益を出すためには、まずは売主と媒介契約を結ぶ必要があります。取り扱う案件を増やしたい不動産会社なら、仲介手数料を値引きしてでも媒介契約を獲得したいと考える場合もあります。

媒介契約を締結する前であれば、売主は有利な立場から値引き交渉が可能です。媒介契約を決めることと引き換えに売買の仲介手数料の値引きを受けられるかもしれません。一方で、媒介契約を締結した後に値引き交渉をしても、不動産会社がすでに契約を獲得できているため、交渉内容を承諾される可能性は低いでしょう。

専任媒介契約を申し出る

不動産売買の媒介契約には一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があり、それぞれ条件が異なっています。一般媒介契約では、売主が並行して複数の不動産会社に仲介を依頼可能です。一般媒介契約は売主にとって有利な一方、不動産会社にとっては他社で成約された場合に仲介手数料が入らないといったリスクがある契約形態です。

売主と不動産会社が専任媒介契約、または専属専任媒介契約を結んだ場合、売主はその契約の有効期間中に他社との媒介契約を結べません。また専任媒介契約では売主の自己発見取引(自分で買主を見つけること)が認められていますが、専属専任媒介契約では認められていないという条件もあります。

専任媒介契約を締結していれば、不動産会社は期間内に売買契約を成立させれば確実に仲介手数料を得られます。専任媒介契約は不動産会社側がより有利な契約形態といえるでしょう。
不動産売買の仲介手数料を値引き交渉するなら、専任媒介契約の締結を交換条件にするのも一つの手です。ただし専任媒介契約を一度結んでしまえば、他の不動産会社に仲介を依頼できず、物件売買のチャンスを逃してしまう可能性もあります。手数料の負担軽減と、不動産売買の機会拡大を天秤にかけて慎重に検討してください。

中小規模の不動産会社に依頼する

不動産売買の仲介手数料の値引き交渉をするなら、中小規模の不動産会社に依頼してみましょう。大手の不動産会社では営業のオペレーション(業務手順)がしっかりと決まっている場合が多く、また組織が大きいため担当者が独断で仲介手数料を値引きできないケースが多いです。

一方で、中小規模の不動産会社なら担当者の裁量が大きい場合もあります。担当者に仲介手数料の金額の決定権があれば、交渉次第で仲介手数料を値引きしてもらえる可能性があるでしょう。たとえば、不動産会社のオーナーや社長が媒介契約の交渉を担当しているようなケースなら、担当者の判断で値引きの可否が決まります。

不動産の仲介手数料に関するトラブル事例

ここからは不動産の仲介手数料に関するトラブル事例について、買主に関するもの、売主に関するものをそれぞれ解説します。

買主に関するトラブル

不動産の売買における仲介手数料は計算方法や仕組みが複雑なため、トラブルに発展するケースがあります。買主に関する主なトラブルについて紹介していきます。

仲介手数料以外の費用を同意なく請求される

不動産の売買において買主が不動産会社に支払う費用は、基本的に仲介手数料のみです。しかし不動産会社から、買主に対してコンサルティング費用や広告宣伝費といった、さまざまな名目で、仲介手数料以外の費用を請求されるケースがあります。

説明なく仲介手数料の上限額を請求された

不動産売買の仲介手数料は前述したとおり法的な上限が定められていますが、買主との同意なく上限額を請求してよいわけではありません。基本的に売買の仲介手数料は、買主と不動産会社の交渉と同意によって決定します。交渉なく仲介手数料が決まり上限額を請求された場合、不動産会社の説明義務違反に当たる可能性があります。

やむを得ない契約解除にもかかわらず仲介手数料を請求された

住宅ローンが通らない場合や、売主の契約不適合(契約内容に適合しない引き渡しを行うこと)責任による契約解除など、買主に帰責性がなくやむを得ない契約解除の場合、買主が仲介手数料を請求されるケースは基本的にはありません。ただし買主の自己都合や契約内容違反などによる契約解除では、不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。

売主に関するトラブル

不動産売買においては買主だけでなく、売主に関するトラブルが生じる場合もあります。売主に関する主なトラブルを紹介します。

不当に仲介手数料を請求された

不動産会社と媒介契約を結んでいても、たとえば売主が自己発見取引(売主が自身で買主を見つけて売買取引をすること)を成立させている場合は、売主が不動産会社に対して仲介手数料を支払う必要はありません。ただし売主が不動産会社と専属専任媒介契約を締結しているなら、自己発見取引は認められないでしょう。専属専任媒介契約では、売主が自分で買主を見つけても媒介契約していた不動産会社に仲介手数料を支払わなくてはなりません。

仲介手数料の金額の取り決めに相違がある

仲介手数料は媒介契約時に売主と不動産会社の交渉によって決定され、媒介契約書に記載されます。媒介契約の締結完了後に、想定していた金額と仲介手数料が異なる点に気づいた場合でもすでに媒介契約書に記載されていれば変更は難しいでしょう。

空き家の売買時に高額な仲介手数料を請求された

空き家は建物が古くなっている場合も多く、売却価格については低い傾向にあります。また空き家の売買案件では物件調査費用が高くなりやすく、従来どおりの仲介手数料では不動産会社に利益が生じない場合があるため、手数料の上限が見直されて変更されています。

具体的には「低廉な空き家等の売買に関する特例」に基づき、400万円以下の空き家の売買では、不動産会社は売主へ18万円(+消費税)を請求可能です。(※)

※出典:国土交通省「宅地建物取引業法関係

【買主】仲介手数料のトラブルを回避するポイント

買主が仲介手数料のトラブルを回避するポイントは、契約前に手数料を確認することと、支払いタイミングの確認や交渉を行うことです。それぞれ解説します。

契約時に仲介手数料を確認する

前述したとおり不動産売買の仲介手数料は上限額が定められていますが、下限額は決まっていません。買主は不動産売買の媒介契約を結ぶ前に仲介手数料の金額について、不動産会社と内容をすり合わせて同意する必要があります。仲介手数料については媒介契約書に記載されるため、書類の受け取り時には金額を確認しましょう。

契約前には仲介手数料の値引き交渉も可能ですが、メリットとデメリットを考えて慎重に行ってください。値引き交渉のメリットは仲介手数料の支払い負担を減らせる点です。一方でデメリットは仲介手数料の金額が下がることによって不動産会社の売買成立時の利益が減り、営業活動の優先順位が下がる可能性がある点です。

支払いのタイミングの確認・交渉を行う

不動産売買の仲介手数料については、金額だけでなく支払いタイミングも把握しておきましょう。不動産会社への仲介手数料は売買契約の締結時に半分が支払われ、物件の引き渡し時に残りの半分が支払われるケースが一般的です。しかし支払いのタイミングは決まったものはないため、買主と不動産会社の同意によって自由に決められます。

売買契約の締結時には、買主は売主に対して手付金を支払わなければなりません。仲介手数料と手付金の支払いが被ると、そのタイミングでの経済的な負担が大きくなり、資金繰りがうまくいかなくなる可能性もあるでしょう。資金の工面に不安がある場合は、仲介手数料の支払いのタイミングを不動産会社に確認し、必要があれば交渉してください。

【売主】仲介手数料のトラブルを回避するポイント

売主が仲介手数料のトラブルを回避するには、ホームインスペクションを実施することや、契約解除の項目について確認しておくなどが挙げられます。それぞれのポイントについて解説します。

ホームインスペクションを実施する

ホームインスペクションとは、専門家である住宅診断士が第三者的な立場から住宅の状態を診断することです。診断では外壁や屋根、床下などの劣化状況が見極められ、修繕が必要な箇所や欠陥が洗い出されます。

ホームインスペクションを実施すれば、住宅の状態を正確に把握でき、適正な価格設定が可能です。また住宅に不具合がないことを証明できるため、不動産が売れやすくなる効果もあるでしょう。

2018年4月の宅地建物取引業法の改正によって、中古住宅を取り扱う場合はホームインスペクションの説明や紹介、斡旋の可否の告知などが不動産会社に義務付けられました。不動産会社は重要事項説明の際、ホームインスペクションの実施有無を伝えると共に、実施しているならその結果を開示します。また売買契約時にはホームインスペクションの結果について売主と買主に対する交付が求められます。

ホームインスペクションの実施によって適正な価格設定や事前の不具合発見などができていれば、不動産売買のトラブルや損害賠償請求を避けられるでしょう。ただしホームインスペクションでは主に目視や計測によって住宅の状態を確認するため、不具合や欠陥をすべて把握できるわけではない点には留意しておく必要があります。

不動産契約解除の項目について確認しておく

不動産売買の契約における解除項目について、事前に確認しておきましょう。詳細は以下のとおりです。

手付金放棄

不動産売買の契約締結時に支払われる手付金は、キャンセル料としての側面もあります。買主がすでに支払った手付金を放棄すれば、売買契約が解除されます。買主は売買契約の締結後でも売主が売買の履行に着手する以前であれば、手付金を放棄することで自己都合での契約解除が可能です。

住宅ローン特約

住宅ローン特約は、買主の住宅ローンの審査が通らなかった場合に違約金なしで売買契約を解除できる契約条件です。住宅ローン特約が付帯されている場合は売買契約書に記載があります。

契約不適合責任

契約不適合責任とは契約内容に適合しない引き渡しが行われた場合、買主の損害に対して売主が負わなければならない責任のことです。たとえば購入した物件に瑕疵(欠陥)が隠されていた場合は、契約不適合責任に該当し売買契約が解除される場合があります。

不動産売買の契約において、発生し得る契約解除の項目をあらかじめ知っておけば、思わぬトラブルや混乱を避けられるでしょう。

まとめ

不動産売買に必要な仲介手数料は、不動産会社の業務に対する報酬としての側面があります。仲介手数料の値引き交渉は可能ですが、担当者からの心証が悪くなったり物件が売却しにくくなったりするなど、結果として売主の不利益につながる可能性があります。

不動産売買による利益を増やすためには、仲介手数料を節約するよりも、好条件で購入してくれる買主を見つけることがおすすめです。できるだけ高く不動産を売買するには、複数の不動産会社による査定を比較検討して、条件に合った不動産会社を見つけましょう。

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この記事の編集者

リビンマッチ編集部 リビンマッチ編集部

リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
誤字脱字や事実誤認などございましたら、ぜひともご指摘ください。

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