土地の相続手続きとは?基本の流れや必要書類を解説
相続とは、相続の権利を持つ人が亡くなった人の財産を引き継ぐことです。土地の相続を受ける場合はさまざまな手続きが必要になるため、事前に必要書類や手続きの流れなどを確認しておきましょう。
本記事では相続の手続きの流れや必要な書類、関連の特例などについて解説します。また相続後の土地をどうすればよいのか悩む方向けに相談先や土地の売却方法なども紹介するため、ぜひ参考にしてください。
もくじ
まずは土地を含む相続手続きの流れを確認
まずは土地の相続手続きを円滑に進めるためにも、全体の流れを確認しておきましょう。
相続人・相続財産を把握する
土地を相続するためには、まず自分が相続人に該当するか確認する必要があります。相続人とは、遺産相続の対象になる人であり、正式名称は法定相続人です。相続人に該当するのは、以下のとおりです。
- 配偶者
- 子ども
- 親
- 兄弟姉妹など
上記に該当する人は相続の手続きをする前に、自分が相続人であることを証明しなければなりません。具体的には被相続人(亡くなった人)の出生から死亡までが記録されている戸籍謄本を確認し、相続人が誰かを確定します。戸籍謄本は被相続人の本籍がある市区町村で取り寄せられます。
また被相続人の財産には資産だけでなく、負債も含まれるため相続手続きをする前にすべての財産を把握しておきましょう。被相続人の預金通帳や金融機関、保険会社から届いた郵便物を念入りにチェックしてください。
相続する財産の中に住宅以外の土地がある場合は、固定資産税課税明細書を確認すれば土地の所在地や固定資産税評価額を把握できます。固定資産税課税明細書は年に1回発行されますが、見当たらない場合は市区町村に問い合わせれば固定資産評価証明書を発行してもらえます。固定資産評価証明書は相続手続きで必要な書類のため、紛失しないように保管しておきましょう。
遺言書があるか確認する
相続手続きでは遺言書の記載内容が優先されるため、遺言書があるかどうかで手続きの流れが変わります。遺言書は大きく分けて以下の2種類があります。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
被相続人が自筆の遺言書を残している場合、住宅に保管しているケースがあります。住宅を探して見つからない場合は、法務局の遺言保管所で保管されている可能性があるため、遺言書の有無を確認しましょう。公正証書遺言は最寄りの公証役場の遺言検索システムで遺言書を検索できます。
自筆証書遺言とは
自筆証書遺言とは被相続人がすべて自筆し、署名・捺印をした遺言書のことです。遺言書の内容を自由に記載できる反面、素人が作成した場合に法律的な不備が生じる可能性があります。遺言書の内容や署名・捺印のいずれかに不備があると無効になるため、自筆証書遺言を作成・確認する場合は注意が必要です。
作成した遺言書は被相続人が自分で保管するか、法務局の遺言保管所に登録するのが一般的です。被相続人が自分で保管した場合、破損や紛失のおそれがあります。
公正証書遺言とは
公正証書遺言とは被相続人の指示によって公証人が代筆し、内容を確認後に署名・捺印した遺言書のことです。公証人とは、公証事務を行う法律の専門家です。公証人に依頼をすれば、法的に効力のある遺言書を作成できます。作成された遺言書は公証役場で保管されるため、破損や紛失する心配がありません。ただし公証人に遺言書の作成を依頼する際は、政令で定められた手数料を支払う必要があります。具体的には以下のとおりです。
目的の価額 | 手数料(円) |
---|---|
100万円以下のもの | 5,000 |
100万円を超え200万円以下のもの | 7,000 |
200万円を超え500万円以下のもの | 1万1,000 |
500万円を超え1,000万円以下のもの | 1万7,000 |
1,000万円を超え3,000万円以下のもの | 2万3,000 |
3,000万円を超え5,000万円以下のもの | 2万9,000 |
5,000万円を超え1億円以下のもの | 4万3,000 |
1億円を超え3億円以下のもの | 4万3,000円+超過額5,000万円までごとに1万3,000円を加算した金額 |
3億円を超え10億円以下のもの | 9万5,000円+超過額5,000万円までごとに1万1,000円を加算した金額 |
10億円を超えるもの | 24万9,000円+超過額5,000万円までごとに8,000円を加算した金額 |
※出典:日本公証人連合会「公証人手数料令第9条別表」
遺産分割協議を行う
相続人や相続される財産の範囲と遺言書の有無を確認した上で、相続人が集まって遺産分割協議を行います。遺産分割協議とは、相続人全員を集めて遺産をどのように分けるのかを話し合うことです。遺産分割協議で遺産の分割の話し合いが終わった後は、遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議書は相続人全員が同意して署名をしなければ、法務局へ提出できません。遺産分割協議で相続人全員が遺産の分割に同意してから遺産分割協議書を作成しましょう。遺産分割協議書には正式なフォーマットや記載方法は指定されていません。誰が見ても誰にどの遺産がどれくらい相続されるのかが分かるように記載しましょう。
ただし遺産分割協議書の有効性は法務局で判断されます。分かりづらい内容の遺産分割協議書を提出すると、法務局から修正や訂正を求められる可能性があるでしょう。提出後に修正や訂正の手間が発生しないようにするためにも、丁寧に作成してください。
法務局に必要書類を提出する
遺産分割協議後は、相続登記に必要な書類を法務局に提出します。相続登記とは土地の相続を申請する手続きです。提出が必要な書類は、相続する内容によって異なります。土地の相続手続きに必要になる書類の詳細については後ほど解説します。法務局に相続登記に関する必要書類を提出すると、1~2週間後を目安に新しい土地の権利証が相続人に発行されるという流れです。
税務署に相続税を申告する
土地を相続すると、相続税が生じます。相続税は相続した遺産の合計額に基づいて計算され、複数の相続人で遺産分割を行った場合はその割合で負担する税額が変わります。相続税は土地の相続が開始された翌日から10カ月以内に税務署へ申告・納税しなければなりません。(※)期日までに相続税の申告・納税をしなかった場合、追徴課税が課せられるため申告期限を守りましょう。
遺産分割協議で話がまとまらず、申告期限に間に合わない場合は概算で出した相続税を申告・納付可能です。納付した相続税が実際に納付すべき税額よりも多い場合でも還付を受けられるため、相続税の払い過ぎを心配する必要はありません。
※出典:国税庁「[手続名]相続税の申告手続」
土地を相続したときの相続税の計算方法
土地の相続を受けた場合、相続税を納付する必要があります。相続税はすべての財産額と基礎控除額、相続税率、控除額が分かれば誰でも計算できます。相続税の計算式は以下のとおりです。
相続財産×相続税率-控除額=相続税額
相続財産とは、すべての財産額から基礎控除額を引いた金額のことです。基礎控除額は以下の計算式で計算されます。(※)
3,000万円+600万円×相続人数=基礎控除額
相続財産を計算式にすると以下の計算になります。
すべての財産額-基礎控除額=相続財産
相続税は相続される遺産の総額にかかるわけではありません。すべての財産額から基礎控除額を引いた相続財産に対し、法律で定められた税率を乗じ、控除額を引くことで相続税を求められます。
※出典:国税庁「No.4152 相続税の計算」
取得金額別:相続税の税率・控除額の一覧表
相続税の税率や控除額は法定相続分に応じた取得金額によって異なります。一覧表にまとめたので、相続税を計算する際の参考にしてください。(※)
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率(%) | 控除額(円) |
---|---|---|
6億円超 | 55 | 7,200万 |
6億円以下 | 50 | 4,200万 |
3億円以下 | 45 | 2,700万 |
2億円以下 | 40 | 1,700万 |
1億円以下 | 30 | 700万 |
5,000万円以下 | 20 | 200万 |
3,000万円以下 | 15 | 50万 |
1,000万円以下 | 10 | 0 |
相続人1人が8,000万円の遺産総額を受け取る場合を例に、相続税の計算方法を確認していきましょう。まずは相続財産から計算します。
8,000万円-(3,000万円+600万円×1人)=4,400万円
上記の計算式により、相続財産は4,400万円となりました。次に、一覧表から相続税率と控除額を確認します。相続税率は20%、控除額は200万円です。次の計算式で相続税を求めます。
4,400万円×20%-200万円=680万円
遺産総額が8,000万円で相続人が1人の場合は、納付すべき相続税は680万円です。
※出典:国税庁「No.4155 相続税の税率」
【一覧表あり】土地の相続手続きに必要になる書類
土地の相続手続きで提出が必要な書類は、以下の表のとおりです。
書類名 | 取得場所 |
---|---|
遺産分割協議書 | 相続人が作成 |
相続人全員の印鑑証明書 | 市区町村の役場 |
被相続人の住民票の除票 | 市区町村の役場 |
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 | 市区町村の役場 |
相続人全員の戸籍謄本 | 市区町村の役場 |
土地を相続する人の住民票 | 市区町村の役場 |
土地の登記事項証明書(登記簿謄本) | 法務局 |
土地の固定資産評価証明書 | 市区町村の役場 |
遺産分割協議書に捺印された印鑑が正しいものか確認するために、相続人全員の印鑑証明書を添付する必要があります。被相続人の存在や死亡した事実の証明と、相続人の該当者を特定するために被相続人の本籍地が記載されている住民票の除票、出生から死亡まで記録されている戸籍謄本を市区町村の役場から取り寄せます。
他には、最新の相続人全員の戸籍謄本や土地を相続する人の住民票が必要です。また相続する土地に関する書類として、該当する土地の登記事項証明書(登記簿謄本)と土地の固定資産評価証明書も用意しておきましょう。
土地を含む遺産分割の方法を解説
遺産分割の方法は大きく分けて4つあります。それぞれの方法を詳しく解説します。
遺産分割方法1:現物分割
現物分割とは相続人全員でそれぞれの相続する割合を決めて遺産を分割する方法です。現物分割が可能な財産として不動産や預金、現金などが挙げられます。現物分割をするメリットは、現物の財産をそのまま分けるだけで簡単に遺産相続の話し合いをまとめられる点です。
ただし土地のように売却するタイミングによって価値が下がったり上がったりする財産を相続すると、不公平に感じる人が出てくるおそれがあります。平等に遺産を分割するなら、土地を現金化した上で分けるようにしましょう。
遺産分割方法2:代償分割
代償分割とは相続人の1人が土地を相続し、他の相続人に相当額の金銭を支払う方法です。たとえば2人の相続人で5,000万円の価値がある土地を代償分割する場合、1人が土地を相続してもう1人に2,500万円の金銭を支払います。
代償分割のメリットは簡単に分割できない土地や有価証券などの財産を分けられるため、円滑に遺産分割を進められる点です。ただし代償金額を支払える資金力を持つ人でなければ代償分割を行えません。
遺産分割方法3:換価分割
換価分割とは遺産の土地や建物を売却した利益を相続人全員で分割する方法です。土地を現金化してから手元に残った現金を分割すれば、公平な遺産分割を行えます。換価分割をするメリットは、相続人全員が同額の遺産が得られるため不満が出にくい点です。
ただし土地や建物を売却する際に譲渡所得税の納付や処分費用が発生する上に、売却手続きの手間がかかります。また土地や建物を残したいと希望する相続人が1人でもいれば遺産分割協議で相続人全員の同意が得られないため、遺産分割に時間がかかる可能性があります。
遺産分割方法4:共有分割
共有分割とは土地を共有名義として相続人全員で相続する方法です。共有分割できる財産として、土地・建物などの不動産や有価証券が挙げられます。
共有分割にするメリットは土地や建物を売却せずに維持できるため、遺産分割の問題を先送りにできる点です。相続人の中で土地や建物を売却せずに維持したい人と、売却して現金化したい人に分かれると、相続税の申告期限までに結論を出せない場合があります。共有分割して問題を先送りすれば、相続後に時間をかけて話し合えます。
ただし遺産分割の根本的な問題は解消されないため、将来的にトラブルの原因になるおそれがあります。
相続手続きに関連する特例もチェック
相続手続きに関連する特例として、小規模宅地等の特例や配偶者に対する相続税額の軽減の特例があります。
小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例とは相続した土地にかかる相続税を大幅に軽減できる特例です。小規模宅地等の特例が適用されると、相続税を計算する際に用いられる相続した土地の評価額が8割まで減額されます。(※)土地の評価額が下がれば相続税も減るため、節税対策に効果的です。小規模宅地等の特例が適用される土地は、大きく分けて3種類あります。
※出典:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
特定居住用宅地等
特定居住用宅地等とは、被相続人が亡くなる直前まで生活していた土地や、被相続人の生前に生計を一にしていた親族が暮らしていた土地のことです。「生計を一にする」とは、同居する被相続人と共同で生活費を使用していた場合や、同居していなくても生活費の送金のやり取りがあった場合が該当します。
土地を相続する人 | 要件 |
---|---|
配偶者 |
|
同居していた親族 |
|
その他の親族 |
|
貸付事業用宅地等
貸付事業用宅地等とは、被相続人が生前に貸付業で利用していた土地や、被相続人と生計を一にしていた親族が貸付業を行っていた土地のことです。
土地の種類 | 要件 |
---|---|
被相続人が生前に貸付事業で使用していた土地 |
|
被相続人と生計を一にしていた親族が貸付事業で使用していた土地 |
|
ただし2018年4月1日以降は、被相続人の亡くなる前の3年間に貸付事業を開始している場合は特例を受けられません。
特定事業用宅地等
特定事業用宅地等とは、被相続人が生前に事業で使用していた土地や、被相続人と生計を一にしていた親族が事業で用いていた土地のことです。
土地の種類 | 要件 |
---|---|
被相続人が生前に事業で使用していた土地 |
|
被相続人と生計を一にしていた親族が事業で使用していた土地 |
|
2019年4月1日以降は、被相続人の亡くなる前の3年間に事業用として取得された土地は特例を受けられなくなりました。ただし事業用に新たに取得した建物や減価償却資産の価額が宅地などを相続する際の価額より15%以上の場合は、特例が適用されます。
配偶者に対する相続税額の軽減
配偶者に対する相続税額の軽減とは、被相続人の配偶者にかかる相続税を軽減する特例です。対象になる相続税は、遺産分割後に相続した財産に応じて計算された税金です。特例が適用された場合、被相続人の配偶者が相続した財産が1億6,000万円または被相続人の配偶者の法定相続分相当額以下であれば相続税は非課税となります。(※)
たとえば被相続人の配偶者が相続した財産が1億7,000万円だった場合、1億6,000万円を上回っていますが、法定相続分相当額までは特例の対象に入ります。配偶者に対する相続税額の軽減の要件は以下に紹介する3つです。
※出典:国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減」
法的な配偶者である
配偶者に対する相続税額の軽減が適用されるのは、婚姻届を出して法的な夫婦と認められている配偶者のみです。被相続人と同居をして生計を一にしていても、事実婚や内縁関係にあるパートナーは対象外となります。
相続税の申告書を提出している
配偶者に対する相続税額の軽減の特例を受けるためには、相続税の申告書を税務署に提出する必要があります。ただし相続を受けた財産の評価額が基礎控除額を上回っていない場合は相続税が生じないため、申告書を提出する必要はありません。
遺産分割が確定している
遺産分割の確定とは遺産分割協議で相続する財産が決まり、相続人全員が合意に達したことを指します。遺産分割が確定していない場合、被相続人の配偶者が相続する財産も決まらないため特例は受けられません。
相続した土地の売却を考えているなら?
相続した土地を売却する場合、何から始めればよいのか分からない方も多いでしょう。相続した土地を売却する際の具体的な流れを確認していきましょう。
相続人を確定させる
土地を相続する人が確定すれば、名義変更や売却手続きを進められます。遺産分割協議での話し合いで合意し、相続人全員の署名と捺印を含む遺産分割協議書の作成によって、土地の相続人が確定します。前述したとおり、被相続人が所有する土地を相続した場合、相続登記の手続きを済ませておかなければ売却手続きを始められません。
土地の名義を変更する
土地の相続人が確定したら、土地の名義変更を行います。土地の名義変更をする手続きが相続登記です。相続登記をせずに放置すると、土地は相続人全員の共有財産とみなされ、土地を売却できません。土地を相続する場合は、相続登記を行って土地の名義変更をすれば売却できるようになります。
また、相続登記は義務化されていませんでしたが、2024年4月1日から義務化されます。相続する土地を巡るトラブルを避けるためにも、土地の名義変更を済ませておきましょう。
不動産会社へ相談する
土地を売却する際は不動産会社に相談するのが一般的です。土地を高く売りたい場合は、土地がある地域についてよく把握している不動産会社に相談するのが大切です。
土地がいくらで売れるか調べるなら、不動産会社に査定を依頼しましょう。不動産会社へ自分で査定を依頼することもできますが、各不動産会社へ個別に申し込むと手間も時間もかかります。また相続した土地が遠くにある場合、度々その地域の不動産会社を訪れるのは難しいでしょう。複数の不動産会社に土地の査定をまとめて依頼するなら、不動産の一括査定サービスの利用がおすすめです。
一括査定サービスにはさまざまな不動産会社が登録しており、複数の不動産会社から土地の査定結果をまとめて受け取れるため、査定価格を比較検討する際に便利です。一括査定の手続きの流れは以下のとおりです。
- 希望のサービスを選ぶ
- 必要事項を入力する
- 査定を依頼したい不動産会社にまとめて情報を送信する
- 申し込み完了
媒介契約を結ぶ
土地の売却を依頼する不動産会社を選定した後は、以下の3つの契約方法の中から1つを選び、媒介契約を交わします。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
それぞれの契約方法の特徴やメリット・デメリットなどについて解説します。
一般媒介契約
一般媒介契約とは、2社以上の不動産会社と契約を交わしたり、自分で土地の買主を探したりできる契約方法です。一般媒介契約のメリットは複数の不動産会社が競うことで査定価格が上がり、土地を高く売却できる可能性が高まる点です。ただし人気がないエリアの土地は売りにくいため、買主が見つからない可能性があります。
一般媒介契約に向いている人は人気エリアにある土地を売りたい人や、複数の会社とやり取りしながら自分でも買主を探したい人です。
専任媒介契約
専任媒介契約とは、不動産会社一社と契約を結ぶ契約方法です。専任媒介契約のメリットは不動産会社から広告や宣伝のサポートを受けながら、自分でも買主を探して直接取引ができる点です。ただし特定の不動産会社と契約を結ぶ必要があり、複数の不動産会社とはやり取りできません。
専任媒介契約に向いている人は、不動産会社から手厚いサポートを受けながら自分でも買主を探したい人や、不動産会社とのやり取りをシンプルにしたい人です。
専属専任媒介契約
専属専任媒介契約とは、特定の不動産会社に土地の買主を探してもらう契約方法です。専属専任媒介契約のメリットは不動産会社から手厚いサポートを受けられる点です。ただし自分で土地の買主を探せないという制約があります。
できるだけ早く土地を売りたい人や複数の不動産会社とやり取りする手間を減らしたい人は、専属専任媒介契約がおすすめです。
土地を売り出す
不動産会社と媒介契約を結んだ後は、土地の売り出しを開始します。土地の売り出しとは売却活動のことです。具体的には広告を打ち出したり土地の売却情報を物件のWebサイトに登録したりして土地の買主を探します。
土地の売り出し価格が相場と大きな差があると売却できる可能性が低くなるため、不動産会社と相談して適正価格を設定しましょう。また広告を掲載する際は、最寄り駅や周辺環境の充実度などが分かる文言を入れると土地の魅力が伝わりやすくなります。
購入希望者の対応をする
土地の売り出し後は内覧者への対応が必要です。不動産会社と媒介契約をしている場合は、不動産会社で内覧の対応をしてもらえるため、売主が立ち会う必要はありません。購入希望者が不動産会社に対して買付申込書を提出すると売主に開示され、売買契約の締結に向けた交渉が開始されます。不動産会社と綿密に連携を取りながら交渉を進めましょう。
売買契約を結ぶ
購入希望者との交渉が終わり、売主と買主の双方が合意に至った後は売買契約を締結します。売買契約を結ぶ流れは、以下のとおりです。
- 契約日を調整する
- 売買契約書を交わす
- 買主から手付金が支払われる
- 契約を締結する
売買契約書は売主と買主が直接会って交わす必要があります。その後、買主から手付金を受け取り、契約の締結に至ります。売買契約に関する疑問点や不明点がある場合はそのままにせず、不動産会社の担当者に確認してから契約を交わすようにしましょう。
土地を引き渡す
売買契約の締結後は、契約書で交わしたスケジュールに合わせて土地の引き渡しを行います。土地を引き渡す際の流れは以下のとおりです。
- 買主から手付金以外の残金を受け取る
- 不動産会社と司法書士に報酬を支払う
- 土地の所有権移転登記の申請が行われる
- 土地の引き渡しが成立する
買主がローンを利用して土地を購入する場合は、金融機関によるローンの申請に通るのを待つ必要があります。その後、所有権移転登記の申請によって土地の所有権が買主に移ったら、売買は完了です。
確定申告する
土地の売却によって利益が生じた場合は、確定申告を行ってください。確定申告とは、給与以外に発生した所得を申告する手続きで、確定申告ができる期間は原則、土地を譲渡した翌年の2月16日~3月15日です。
確定申告は自分で手続きできますが、書類作成や申請手続きの手間を減らしたい場合は税理士に依頼する方法もあります。ただし税理士に確定申告を依頼する際は、報酬の支払いが必要です。
専門家に土地の相続について相談したい場合は?
土地の相続や売却に関する内容を専門家に相談したい場合は、以下で紹介する相談先を参考にしてください。
相談先1:不動産会社
土地の売却に関する悩みを相談するなら、不動産会社がおすすめです。不動産会社では土地や建物などの不動産の売買の相談に対応しています。土地を売却する際に売却価格がいくらになりそうか確認したい場合は、相場の調査も可能です。ただし不動産会社によって査定価格が異なるため、複数の会社からそれぞれ査定を取り寄せて比較検討する必要があります。
不動産会社の一括査定サービスを利用すれば、個別に査定を依頼する手間を省けるでしょう。
相談先2:司法書士
土地の登記に関する悩みは司法書士に相談できます。司法書士に相談するメリットは登記手続きを任せられるため、自分で手続きをする手間を減らせる点です。ただし司法書士に手数料を支払わなければなりません。
相談先3:弁護士
土地の相続・売却に関する悩みは弁護士に相談できます。弁護士に相談するメリットは、遺産分割協議や土地の境界を明確にする際の法的な対応を任せられるため、遺産分割を円滑に進められる点です。ただし弁護士への報酬の支払いが発生します。
相談先4:税理士
土地の相続税に関する相談なら、税理士がおすすめです。税理士に相談するメリットは相続税の申告・納付の手続きを任せられるため、書類の不備や申告漏れを防げることです。ただし司法書士や弁護士と同様に、相談料が発生する場合があります。
相続した土地を売却する際に気をつけたいポイントとは
相続した土地を売却する場合、以下に挙げる2つのポイントに気をつけましょう。
売却時には税金がかかる
土地を売却する際は登録免許税や印紙税など、さまざまな税金が発生します。登録免許税とは所有権移転登記の際に生じる税金です。土地の価額に税率2%を乗じると、登録免許税を計算できます。
印紙税とは売買契約書に課せられる税金です。売買契約の金額に応じて印紙税が発生します。
また土地の売却時に利益が出た場合は譲渡所得税がかかります。譲渡所得税の計算式は次のとおりです。
土地の売却価格-(土地の取得費+売却時にかかった費用)-特別控除額=譲渡所得税額
特別控除とは一定の要件を満たした場合に受けられる控除です。譲渡所得税は土地を売却した翌年の3月15日までに納付しましょう。
相続してから3年以内に売却するのがおすすめ
土地の売却は相続後3年以内に済ませるのがおすすめです。相続税の申告期限から3年以内に土地を売却した場合、譲渡所得税が軽減される特例を受けられます。譲渡所得税の軽減とは相続や遺贈によって、取得した土地・建物などの財産を一定の期間内に譲渡すると、相続税額の一部を財産の取得費に加算できる特例です。
なお譲渡所得税の軽減が適用されるには、以下の要件を満たさなければなりません。
- 相続や遺贈によって土地を取得している
- 土地を相続した人に相続税が課税されている
- 相続税の申告期限の翌日から3年以内に相続を受けた土地を譲渡している
特例が適用されて土地を売却して得た利益から土地の取得費を差し引いた結果、所得金額が減少するため、譲渡所得税を軽減できます。
まとめ
土地を相続する場合、さまざまな手続きや税金の納付が必要です。相続した土地を所有したままでいると、固定資産税や相続税の負担が大きくなります。相続税の申告期限から3年以内に土地を売却すれば納付しなければならない税金の負担額を軽減できるでしょう。
また相続した土地の査定を不動産会社に依頼するなら、不動産サービス総合比較サイト「リビンマッチ」がおすすめです。
リビンマッチは、不動産の売買や土地活用など幅広いサービスを提供しており、複数の不動産会社へ土地の査定を一括で依頼できます。無料で手軽に査定価格の比較検討ができるので相続した土地の売却を検討している方は、ぜひお気軽にご利用ください。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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