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土地売却の注意点!よくある後悔18選とプロ直伝の予防策

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土地売却の注意点!よくある後悔18選とプロ直伝の予防策

土地売却は価格交渉や契約書の確認といった手続きだけでなく、準備段階から注意すべきポイントが多数あります。

実際に多くの売主がつまずいたよくある後悔18選をもとに、プロの視点で「トラブルを防ぐために何をすべきか」を具体的に解説します。

これから土地の売却を検討している人も、すでに動き出している人も、今一度基本を確認してみましょう。後悔のない取引の第一歩は、“注意すべきポイント”を正しく理解することから始まります。

土地売却のトラブルに注意!よくある後悔事例18選とプロが教える予防策

土地売却は数百万円から数千万円の金額が動く高額な取引です。戸建てやマンション売却とは異なる特有のトラブルが多く、ひとつの失敗が大きな損失につながることも珍しくありません。

土地売却の専門家が「よくある後悔事例」と、売主が「今すぐ」取り組むべき予防策をステップごとに解説します。

【STEP1:売却準備編】権利・状態の確認ミスによる後悔

売却活動を始める「前」の段階では、準備不足によるトラブルが少なくありません。この時点でつまずくと、売却自体ができなくなったり、大幅な減額につながったりすることもあります。

土地の権利関係や物理的な状態を確認しないまま売却を進めると、取り返しのつかない事態になりかねません。事前にしっかり調査することで、スムーズな売却が可能になります。

相続登記していなくて売却できなかった

相続登記後に売却

相続登記後に売却

よくあるのが、土地の名義が亡くなった親のままだったため、売却できなかったケースです。不動産を売却するには、売主本人の名義になっている必要があります。

相続した土地でも、名義変更(相続登記)をしなければ法的に売却できません。2024年4月からは相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内に登記しない場合、10万円以下の過料が科されるおそれがあります。

相続登記の完了までには数週間から数カ月かかることもあるため、「売れたときに登記変更すればいい」と考えていると、売却のチャンスを逃してしまうでしょう。

予防策

まずは売却を検討した時点で、法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得し、現在の名義人を確認してください。オンラインでも請求できるので、遠方の土地でも簡単に確認できます。

名義人が故人のままであれば、司法書士に相談して相続登記を進めましょう。相続人が複数いる場合は遺産分割協議が必要になるため、早めに行動することが大切です。

登記費用は司法書士への依頼内容によって異なりますが、一般的には10〜20万円程度が目安となります。

土地の共有者から売却の同意を得られなかった

兄弟など、複数の共有者がいる土地を売却しようとしたケースです。共有名義の不動産を売却するには、全員の同意が必要です。

一人でも反対する人がいれば売却できず、売却活動にかけた時間や費用が無駄になってしまいます。共有者の中に連絡が取れない人がいたり、意見が対立したりすると、問題は長期化するでしょう。

「自分の持分だけなら売れる」と考える方もいますが、持分のみの売却は買主が見つかりにくく、大幅な値下げを迫られることがあります。

予防策

土地の売却活動を始める前に、必ずすべての共有者と話し合いましょう。売却するかどうかの意思確認に加え、売却条件(希望価格や時期)についても事前に協議しておくことが大切です。

共有者全員の同意が得られたら、その内容を書面に残しておくと安心です。売却時には全員の実印と印鑑証明書が必要になるため、スケジュールの調整は早めに行います。

意見がまとまらない場合は、弁護士や司法書士に相談し、共有物分割請求などの法的手続きを検討してください。

土地の境界が曖昧で隣人と揉めた

境界標がなかったり、ブロック塀の位置が実際の境界と異なったりするケースです。売却活動中や契約後に隣地所有者とトラブルになり、売却が白紙に戻ることもあります。

境界が不明の場合、買主の中には「購入後に隣人と揉めるかもしれない」と不安を感じる人もいます。結果として買主が見つからなかったり、値下げ交渉の材料にされることも少なくありません。

特に地方の古い土地では境界が曖昧なケースが多く、「今まで問題が起きていないから大丈夫」という思い込みは危険です。

予防策

まず現地で境界標(コンクリート杭や金属プレートなど)の有無を確認してください。境界標がない場合や位置が不明確な場合は、隣地所有者と筆界確認書を取り交わすことをおすすめします。

より確実な方法は、土地家屋調査士に依頼して「確定測量」を実施することです。費用は50〜100万円程度かかりますが、境界を明確にすることで買主の信頼を得られます。

現況測量の概要
項目現況測量確定測量
目的おおまかな面積確認法的な境界の確定
費用約10〜20万円約40〜100万円
関係者土地家屋調査士のみ隣地所有者・役所立ち会いあり

法務局で数百円で取得できる地積測量図は、隣地との境界確認に役立ちます。ただし、過去に正式な測量を行い、法務局に提出・登録されていない土地は、そもそも存在しないことになっている点に注意が必要です。

隣地所有者が複数いる場合や、境界について揉めそうな場合は、売却前に測量しておくとトラブルを防げるでしょう。

貸している土地(借地)の買主が見つからない・退去してもらえない

貸している土地(底地)を売却したケースです。借地権が設定された土地は投資家以外の買主からは敬遠されるため、売却が非常に困難になります。

借地人(建物を建てるために土地を借りている人)がいる土地を売却するには、借地人の承諾を得て「借地権と底地を同時に売却」または「底地のみの売却」かを選ぶ必要があります。

特に、底地のみを第三者に売却する場合は、更地価格の10〜30%程度の価格になることも珍しくありません。

退去してもらえば更地として売れる」と考えても、借地権は法律で借地人が強く保護されており、正当な事由がなければ退去を求めることはできないのです。

予防策

最もよい方法は、借地人に土地を購入してもらうことです。借地人が購入すれば完全な所有権を得られるメリットがあります。

借地人に購入してもらえない場合は、「底地と借地権の同時売却」を検討しましょう。専門の不動産会社に仲介を依頼し、借地人と協力して第三者に売却する方法です。

底地のみの売却は最終手段として考え、複数の底地専門の業者に査定を依頼して条件を比較してください。

建築不可・再建築不可の土地で、売却価格がゼロに近かった

土地の法令上の制限を確認せず、買主が家を建てられない土地だったケースです。建築基準法の接道義務(幅4m以上の道路に2m以上接していること)を満たしていない土地は、原則として再建築不可となります。

「道路」とは、次の各号のいずれかに該当する幅員四メートル(特定行政庁がその地方の気候若しくは風土の特殊性又は土地の状況により必要と認めて都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内においては、六メートル。次項及び第三項において同じ。)以上のもの(地下におけるものを除く。)をいう。 建築基準法「第四十二条」

再建築不可の土地は住宅ローンが利用できないため、現金購入できる買主に限られます。さらに、新築住宅が建てられないので、市場価格の30〜50%程度まで下がることがあるため注意が必要です。

「昔は家が建っていたから大丈夫」という考えは危険です。建築基準法の改正により、現在は建築できなくなっている土地も多くあります。

予防策

売却前に市役所(役場)の建築指導課や都市計画課で、用途地域、建ぺい率、容積率、接道状況などを確認しておきましょう。

不動産会社に査定を依頼する際は、法令上の制限について担当者に共有します。契約時に買主へ説明される重要事項説明書でも、土地の制限についての記載を事前に確認しておくと安心です。

再建築不可の土地だとわかった場合は、隣地所有者への売却や駐車場としての活用など、別の選択肢を検討しましょう。例えば、前面道路が狭いことが原因であれば、以下のようにセットバックを行うことで建築が可能になるケースがあります。

幅員4メートル未満の土地はセットバックが必要

セットバックのしくみ

ただし、セットバックした部分はフェンスなどを建築できません。セットバックの要否と誰が(売主または買主)対応するのかは、不動産会社と相談しながら進めて行く必要があります。

古家付き土地を放置して売却が遅れた

相続した土地に古い家屋が残ったまま放置した結果、売却が長期化したケースです。築年数が経過した空き家は見た目の印象が悪く、買主から敬遠されがちです。

古家が残っていると「解体費用は誰が負担するのか」という点で、買主と揉めることもあります。さらに、管理が行き届いていない空き家は、特定空き家に指定されて固定資産税が増加するリスクもあるのです。

予防策

相続したらすぐに不動産会社へ相談し、古家付きと更地のどちらで売却すべきか判断しましょう。放置期間が長くなるほど、建物の劣化が進み売却が困難になります。

売却方針が決まるまでの間も、最低限の管理は欠かせません。定期的な換気、雑草の除去、郵便物の整理など、空き家を放置しない工夫が必要です。

遠方に住んでいる場合は、管理会社や不動産会社の巡回サービスを利用するのも有効です。早めの行動がスムーズな売却につながります。

【STEP2:売却戦略編】査定・価格設定・費用の落とし穴

査定・価格設定・費用の落とし穴

査定・価格設定・費用の落とし穴

土地売却の「進め方」や「お金」に関するトラブルも、気をつける必要があります。手元に残る金額に直結するため、事前の準備と情報収集が欠かせません。

ここでの判断ミスは、数十から数百万円の損失につながります。特に査定や不動産会社選びは、売却成功の鍵を握る重要なポイントです。

相場を知らずに安く売却してしまった

不動産会社の査定額を1社だけで判断して契約した結果、「もっと高く売れたのでは」と後悔するケースです。土地は戸建てやマンション売却と比べて相場がわかりにくく、同じエリアでも形状や接道状況で価格が大きく変わります

不動産会社の中には、契約を取るために相場より高い価格を提示するところもあります。売主が相場を知らないと、適正価格かどうか判断できません。

「査定額が高いから」と安易に決めてしまうと、数百万円単位で損するおそれがあるのです。

予防策

相場を知るためには、必ず複数社(最低3社以上)に査定を依頼します。一括査定サービスを活用すれば、一度の情報入力で複数社に依頼できるので効率的です。

また、査定額だけでなく、金額の「根拠」を各社に確認することが重要です。近隣の取引事例、土地の特性(形状、接道、法規制)を踏まえた説明があるか、しっかりチェックしましょう。

査定額が他社より極端に高い、または低い場合は、その理由を納得できるまで質問してください。適正価格を知ることが損をしない売却の第一歩です。

売り出し価格を高く設定しすぎて売れ残った

相場より高い価格で売り出したため、問い合わせがなく売れ残ってしまったケースです。売主は「少しでも高く売りたい」と考えますが、相場から大きく外れた価格では買主が見向きもしません。

土地は築年数という概念がないため、値下げせずに高値で長期間放置されがちです。しかし、売却するまで固定資産税や管理費用がかかり続けます。

また、売り出してから時間がたつと「売れ残り」というイメージがつき、さらに売りにくくなる悪循環に陥ることがあります。

予防策

複数社の査定結果と周辺の成約事例を参考に、適正な価格帯を見極めてください。希望価格と査定価格に大きな開きがある場合は、その差の理由を確認する必要があります。

売り出し価格の設定では、「強気価格」「適正価格」「早期売却価格」の3段階を考えておきましょう。最初は適正価格よりやや高めで様子を見て、反応が悪ければ3カ月程度で価格を見直す戦略が一般的です。

不動産会社と相談しながら、市場の反応を見て柔軟に価格調整していくことが、早期売却のポイントになります。

信頼できる不動産会社を選べず、売却が長期化した

土地売却は専門性が求められます。「囲い込み」をされたり、土地の特性に合わない販売活動をされたりして、長期化するケースが少なくありません。

囲い込みとは、不動産会社が両手仲介(売主と買主の両方から仲介手数料を得ること)を狙って、他社に物件情報を公開しない行為です。結果として買主候補が限られ、売却チャンスを逃してしまいます。

また、土地の法規制や特性を理解していない担当者では、適切な買主層にアプローチできません。

予防策

複数社に査定を依頼する際、土地売却の実績を必ず確認してください。特に、同じエリアや類似した土地の売却経験があるかどうかが重要になります。

媒介契約の種類(専任媒介、専属専任媒介、一般媒介)の違いも理解しておきましょう。専任の名前がつく契約は、1社に任せる代わりに積極的な販売活動が期待できますが、囲い込みのリスクもあります。

一方、一般媒介は複数社に依頼できますが、各社の販売意欲が低くなるデメリットがあります。担当者の対応や提案内容を見て、信頼できる業者かどうか判断することも大切です。

家屋の解体費用が高くて元を取れなかった

「古家付き土地」と「更地」のどちらで売るかの判断を誤り、解体費用を売却価格に上乗せできなかったケースです。解体費用は木造住宅で100〜200万円程度かかります。

「更地の方が売れやすいだろう」と安易に解体すると、その費用分を回収できないことがあります。特に建物の状態が比較的良好な場合、古家付きのまま売ったほうが有利なケースも多いのです。

解体後は固定資産税の住宅用地特例(最大6分の1に減額)も適用されなくなり、税負担が増える点にも注意が必要です。

予防策

古家付き土地・更地で売る場合のそれぞれのメリット・デメリット
項目古家付き土地で売る場合更地で売る場合
メリット
  • 解体費用が不要
  • 買主が自由にリフォームできる
  • 建物付きのため固定資産税が低い場合もある
  • 建物の印象に左右されない
  • 建築計画を立てやすい
  • 即建築可能で活用の幅が広い
デメリット
  • 老朽化が進むと印象が悪い
  • 建物の解体を買主が負担した場合、値下げを要求されやすい
  • 解体費用が発生する
  • 解体工事により、売却が遅れる
  • 固定資産税が上がる可能性がある

解体する前に、必ず不動産会社に相談してください。古家付きのまま売るメリットと、更地にするメリットを比較検討しましょう。

エリアの需要も重要な判断材料です。新築志向が強いエリアや、土地の形状・立地がよい場合は更地が有利です。一方、リフォーム需要がある場合や、解体費用が高額になる場合は古家付きで販売したほうがよい場合もあります。

複数の不動産会社に「古家付き」と「更地」の両方で査定してもらい、手取りを比較することをおすすめします。

敷地の見栄えが悪く、悪い印象を与えてしまった

遠方に住んでいるなどの理由で土地を放置し、雑草が生い茂り、不法投棄をされるなどして、買主の印象が悪くなったケースです。買主は現地を見て購入を判断するため、第一印象が重要になります。

土地が荒れていると、買主は「管理が大変そう」「近隣住民との関係が不安」といった、マイナスイメージを持ってしまうでしょう。結果として購入意欲が下がり、値下げ交渉の材料になってしまいます。

予防策

売却活動を始める前に、一度土地の様子を見に行きましょう。場合によっては雑草の刈り取り、ゴミの撤去、境界付近の清掃などを実施してください。

遠方に住んでいて定期的な管理が難しい場合は、管理会社や不動産会社の巡回サービスを利用する方法もあります。月額数千円〜1万円程度で、草刈りや見回りを依頼できるサービスです。

内覧前にはできるだけ現地を確認し、印象を良くする工夫を行うことが大切です。わずかな費用で見た目を改善するだけで、スムーズな売却につながります。

確定測量の費用が想定外にかかり、利益が減った

確定測量

確定測量

境界トラブルを避けるために測量が必要になったものの、その費用が想定外の出費となったケースです。測量費用は土地の面積や形状、隣地所有者の数によって異なりますが、50〜100万円以上かかることも珍しくありません

特に隣地所有者が複数いる場合や、官民境界(公共の道路や土地との境界)の確認が必要な場合は、費用がさらに高額になります。測量の費用を計算に入れていないと、手取りが大きく減ってしまいます。

買主から測量を求められ、想定外の費用負担に慌てないようにしましょう。

予防策

売却の諸費用として仲介手数料や登記費用だけでなく、測量費も含めて資金計画を立てましょう。

計測が必要な場合は、土地家屋調査士に事前見積もりを依頼し、具体的な金額を把握してください。不動産会社に相談することで、調査士を紹介できる場合があります。

測量費用は決して安くありませんが、境界を明確にすることで買主の信頼を得られ、結果的にスムーズな売却につながります。費用を節約してトラブルになるより、回避するための先行投資と考えるとよいでしょう。

媒介契約の種類を理解せずに失敗した

各媒介契約の概要
契約の種類依頼可能な会社数レインズ登録報告義務メリットデメリット
一般媒介複数社任意なし競争原理が働く各社の販売意欲が低い
専任媒介1社のみ義務(7日以内)2週間に1回以上積極的な販売活動囲い込みのリスク
専属専任媒介1社のみ義務(5日以内)1週間に1回以上最も積極的な活動囲い込みのリスク、自己発見取引できない

媒介契約の違いを理解せずに契約し、思うような販売活動をしてもらえなかったケースです。媒介契約には「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類があり、それぞれ特徴が異なります。

専任と名前がつく契約は1社のみに依頼する代わりに、レインズ(不動産情報ネットワーク)への登録義務や定期報告義務があります。一方、一般媒介は複数社に依頼できますが、報告義務がないため各社の販売意欲が低くなりがちです。

それぞれの特徴を理解しないまま選ぶと、期待した販売活動が行われず、納得のいく売却ができないことがあります。

予防策

媒介契約のメリット・デメリットを理解したうえで選びましょう。専任媒介・専属専任媒介は、不動産会社が積極的に販売活動を行う義務がある一方、囲い込みのリスクもあります。一般媒介は競争原理が働く反面、各社の本気度が下がるおそれがあるためです。

土地の特性によっても最適な契約は変わります。人気エリアで需要が高い土地なら一般媒介でも売れる可能性は高いでしょう。しかし、旗の形をした「旗竿地」など、売りにくい土地は専任で1社に担当してもらったほうが、売れやすくなります。

契約期間は3カ月が一般的です。成果が出ない場合は更新せず、別の会社に変更することも検討してください。

【STEP3:契約・決済編】売却中〜売却後の金銭トラブル

契約時や売却が完了後に発生する、最も深刻なトラブルです。契約書の不備や告知義務違反は、損害賠償に発展する可能性があります。

特に地中埋設物や契約不適合責任に関するトラブルは、数百万円単位の出費につながることも珍しくありません。また、税金の計算ミスや必要書類の不備も、手取りが減少する原因となります。

このステップで紹介するトラブルは売却後も続く可能性があるため、契約前の慎重な準備と専門家への相談が欠かせません。

地面に何か埋まっていて、損害賠償を請求された

売却後に買主が家を建てようと掘削した際、過去の建物の基礎(コンクリートガラ)や廃棄物が出てきたケースです。この場合、売主は「契約不適合責任」を問われ、撤去費用を請求されます。

契約不適合責任とは、契約内容に記載されていない不具合があった場合、売主が負う責任のことです。地中埋設物がある事実を知っていたのに告知しなかった場合はもちろん、知らなかった場合でも責任を問われることがあります。

撤去費用は埋設物の量や深さによりますが、数十万円から数百万円かかることも少なくありません。せっかく売却が成立しても、高額な出費が発生すると赤字になる可能性があります。

予防策

売主が知っていることは、すべて不動産会社と買主に告知する義務があります。過去の建物の状況、解体工事の有無、土地の利用履歴など、わかる範囲で詳しく伝えてください。

「知らなかった」としても売主の責任と判断されることがあるため、心配な場合は売却前に地盤調査を実施するのも、ひとつの方法です。費用は10〜30万円程度ですが、トラブルを避けるための保険と考えましょう。

また、売買契約書に「契約不適合責任の範囲」を明記することも重要です。免責条項(売主が責任を負わない条件)を設定できる場合もあるので、事前に不動産会社や司法書士に相談してください。

売却代金で住宅ローンを完済できなかった

売却価格がローン残高(残債)を下回り、売却代金だけではローンを完済できなかったケースです。

不動産を売却するには、抵当権(金融機関が設定している担保権)を抹消する必要があります。抹消にはローンの完済が必須なため、売却価格が残債を上回るか、不足分を自己資金で補うことになります。

売却価格が残債を下回る状態を「オーバーローン」と呼び、この状態では通常の売却ができません。ローン残債を事前に把握していないばかりに、売却計画が頓挫しないように注意しましょう。

予防策

売却活動を始める前に、金融機関に連絡してローン残高を正確に把握してください。返済予定表だけでなく、売却後の正確な残高を確認しましょう。さらに、売却の諸費用も事前に把握しておくことが重要です。主な諸費用は以下のとおりです。

売却諸費用の内訳表
費用項目内容金額の目安
仲介手数料不動産会社に支払う手数料(売却価格が400万円超の場合:売却価格×3%+6万円+消費税)2,000万円で売却した場合は約72万円(税込)
測量費用境界確定測量の費用(土地の面積や隣地所有者の数で変動)50〜100万円程度
登記費用抵当権抹消登記や所有権移転登記の費用(司法書士報酬含む)2〜10万円程度
解体費用古家の解体費用(該当する場合)木造で坪2~4万円程度
その他土地の清掃・草刈り、各種証明書の取得、引っ越し費用など必要に応じて発生

オーバーローンの場合でも売却する方法は、あります。自己資金で不足分を補う任意売却(金融機関の同意を得て売却する方法)を検討する住み替えの場合は住み替えローンを利用するなどです。

早めに金融機関や不動産会社に相談することで、解決策が見つかる可能性が高まります。抵当権抹消の手続きは司法書士に依頼するのが一般的で、費用は2〜10万円程度です。

売却後の税金(譲渡所得税)が高額で驚いた

譲渡所得税の概要
所有期間区分所得税住民税合計税率
5年以下短期譲渡所得30%9%39.63%
5年超長期譲渡所得15%5%20.315%

※復興特別所得税を含む

土地売却で利益が出た際に「譲渡所得税」がかかることを知らず、納税資金を準備していなかったケースです。譲渡所得税は売却価格から、購入時の費用と売却時の諸経費を差し引いた利益(譲渡所得)に対して課税されます。

税率は所有期間によって異なり、5年以下(短期譲渡所得)は約39%、5年超(長期譲渡所得)は約20%です。数百万円の利益が出れば、税金も数十万円から百万円以上になることがあります。

また、特例(3,000万円控除など)が使えるかどうかも重要です。自宅の売却では3,000万円の特別控除が適用できる場合がありますが、土地のみの売却では適用条件が厳しくなります

予防策

売却前に概算の税金を計算しておきましょう。計算式は「譲渡所得=売却価格−(取得費+譲渡費用)」です。取得費が不明な場合は、売却価格の5%を取得費とみなす概算取得費で計算します。

税理士や不動産会社に相談すれば、より正確な税額を試算してもらえます。特に相続した土地や、購入時の書類が残っていない場合は、専門家のアドバイスが欠かせません。

土地を売却した翌年には確定申告が必要です。申告期限は翌年の2月16日〜3月15日頃なので、早めに準備を始めておくと安心です。申告を忘れると、無申告加算税として追加で課税される可能性があります。

個人間取引で契約書に不備があり、責任問題に発展した

知人や親族との個人間取引で、契約書の内容が不十分だったケースです。不動産会社を通さずに取引をすれば仲介手数料を節約できますが、契約書の抜け漏れが大きなリスクを生みます。

例えば、重要事項の記載漏れ、契約不適合責任の範囲が不明確、支払い条件や引渡し時期の曖昧さなど、トラブルにつながりやすいポイントは多くあります。不動産会社によるサポートがないと、トラブルが起きた際に責任の所在が不明確になり、裁判に発展することもあるでしょう。

「知り合いだから大丈夫」という考えは非常に危険です。むしろ知り合いだからこそ、詳細な契約書を作成し、トラブルにならないよう注意しましょう。

予防策

個人間取引でも、必ず専門家に契約書の作成を依頼してください。司法書士や行政書士に依頼すれば、法的に有効な契約書を作成してもらえます。

可能であれば、不動産会社に仲介を依頼することをおすすめします。仲介手数料はかかりますが、重要事項説明書の作成、契約書の作成、トラブル時の対応など、安心して取引できることは大きなメリットです。

最低限、売買契約書には不動産の種類や面積、売買代金と支払い方法、引渡し時期、契約不適合責任の範囲、特約事項などを明記する必要があります。

必要書類(権利証など)がなくて買主が不安になった

売却に必要な書類がそろっておらず、買主が不安を感じて契約が遅れたケースです。特に権利証(登記済証または登記識別情報)が見つからない場合、買主は「本当に所有者なのか」と疑念を抱くでしょう。

権利証以外にも印鑑証明書、固定資産税納税通知書、測量図、建築確認済証(古家がある場合)など、土地の売却には多くの書類が必要です。書類がそろっていないと、決済が延期されたり、最悪の場合は契約解除になったりすることもあります。

また、相続した土地の場合、過去の書類を探す必要もあるでしょう。

予防策

売却活動を始める前に、必要書類のチェックリストを作成してください。不動産会社によっては、リストを提供してくれるところがあります。

権利証が見つからない場合でも売却は可能です。司法書士による本人確認情報の作成(費用5万〜10万円程度)や、事前通知制度を利用する方法があるため、早めに相談しましょう。

測量図や境界確認書がない場合は、土地家屋調査士に相談して再作成する必要があります。書類の準備には時間がかかるため、売却を決めたら早めに行動することが大切です。

土地売却で発生する費用・税金まとめ

土地売却では、売却価格がそのまま手元に残るわけではありません。仲介手数料や測量費用などの諸経費、さらに利益が出れば譲渡所得税も発生します。

事前に費用の全体像を把握しておかないと、「思ったより手元に残らなかった」と後悔することになります。売却時に発生する費用と税金を整理し、少しでも手取りを増やすためのポイントを解説します。

売却費用の内訳と目安

土地売却で必要となる主な費用を以下にまとめました。売却価格の5〜7%程度が諸費用の目安と考えてください。

売却諸費用の内訳表
費用項目内容金額の目安
仲介手数料不動産会社に支払う手数料(売却価格が400万円超の場合:売却価格×3%+6万円+消費税)2,000万円で売却した場合は約72万円(税込)
測量費用境界確定測量の費用(土地の面積や隣地所有者の数で変動)50〜100万円程度
登記費用抵当権抹消登記や所有権移転登記の費用(司法書士報酬含む)2〜10万円程度
解体費用古家の解体費用(該当する場合)木造で坪2~4万円程度
その他土地の清掃・草刈り、各種証明書の取得、引っ越し費用など必要に応じて発生

売却にかかる費用を事前に見積もり、売却価格から差し引いた「手取り」を計算しておくことが重要です。

譲渡所得税と節税のポイント

土地売却で利益が出ると、譲渡所得税が課されます。譲渡所得の計算式は「売却価格−(取得費+譲渡費用)」です。

譲渡所得税の税率

所有期間が5年以下(短期譲渡所得)の場合、所得税30%+住民税9%=合計39.63%(復興特別所得税含む)となります。所有期間が5年超(長期譲渡所得)の場合、所得税15%+住民税5%=合計20.315%(復興特別所得税含む)となります。

所有期間は、売却した年の1月1日時点で判断するため注意が必要です。例えば、2020年3月に購入した土地を2025年4月に売却しても、2025年1月1日時点では5年未満のため短期譲渡所得に該当します。

節税のポイント

譲渡所得税は売却価格そのものではなく、売却によって得た「利益(譲渡所得)」に対して課税されます。節税の基本は、この利益をいかに正しく少なく計算するか、にあります。

利益(譲渡所得)=売却価格-(取得費+譲渡費用)

この計算式にもとづき、以下の3点が重要です。

「実際の取得費」を証明する

取得費が不明な場合、法律上は「売却価格の5%」のみ経費(概算取得費)としてみなされます。

しかし、購入時の契約書などで実際の購入額(例:売却価格の60%など)を証明できれば、高額な実費を経費として差し引けます。その結果、利益(譲渡所得)が大幅に圧縮され、税額が大きく下がります。

「譲渡費用」を漏れなく計上する

仲介手数料、測量費用、建物の解体費用など、売却のために直接かかった費用(譲渡費用)も、経費として差し引けます。領収書は捨てずに保管し、これらを漏れなく計上することで、税額を減らせます。

「特別控除」を適用する

マイホーム売却時の「3,000万円特別控除」など、条件が合えば土地売却に利用できる特例制度があります。

ただし、適用条件は複雑なことが多いため、税理士に相談して利用できるか確認することが不可欠です。

確定申告の注意点とタイミング

土地を売却した翌年には、必ず確定申告が必要です。利益が出なかった場合でも、申告することで税務署に取引の透明性を示せます。

申告期限は、売却した翌年の2月16日〜3月15日です。例えば2025年に売却した場合、2026年2月16日〜3月15日に申告します。期限を過ぎると無申告加算税や延滞税が課されるおそれがあるため、早めの準備が大切です。

確定申告には売買契約書、仲介手数料の領収書、測量費用の領収書、登記費用の領収書、取得時の契約書などが必要です。売却後すぐに書類を整理しておきましょう。

初めての不動産売却で確定申告に不安がある場合は、税理士に依頼するのが安心です。報酬は5〜10万円程度かかりますが、正確な申告と節税アドバイスを受けられます。

特に譲渡所得が高額な場合や、複数の特例を適用する場合は、専門家のサポートが欠かせませがおすすめです。

【まとめ】土地売却最大の注意点は「信頼できる不動産会社選び」

土地売却では相続登記や境界問題、契約不適合責任など、さまざまなトラブルが潜んでいます。しかし、トラブルの多くは、事前の調査と信頼できる不動産会社選びによって防ぐことが可能です。

特に土地売却は専門性が高く、経験豊富な不動産会社に依頼するかどうかで売却価格が大きく変わります。複数社に査定を依頼し、土地売却の実績や対応の丁寧さを比較検討してください。

売却を始める前に、以下のポイントを確認しておきましょう。

売却前の最終チェックリスト

  • 登記簿謄本で名義人を確認する(相続登記は完了しているか)
  • 共有者全員の同意を得ておく(相続・共有の場合)
  • 境界標の有無と、隣地所有者の認識を確認する
  • 住宅ローン残高を正確に把握する
  • 必要書類(権利証、測量図など)を準備する
  • 複数社へ査定を依頼する(最低3社以上)
  • 売却にかかる諸費用と税金の概算を計算する

売却前に確認することで、スムーズな売却が実現できます。まずは信頼できる不動産会社に相談し、あなたの土地に合った売却戦略を立てましょう。

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リビンマッチ編集部アイコン リビンマッチ編集部

リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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