離婚したいけどお金がないから我慢?離婚後、生活に困らないためにできること
配偶者との離婚を考えていても、決断できない理由のひとつに経済的な問題があります。離婚後の新しい生活を始めるには、ある程度のお金が必要になるため、安定した収入や貯金があることが大切です。
では、離婚したいけど十分なお金がない場合は、お金が貯まるまで耐えたほうがよいのでしょうか。本記事ではお金が貯まるまで離婚を耐えるべきか、いますぐ離婚すべきかの判断基準と、離婚後の生活に困らないよう、いまからできるお金を得る方法を紹介します。
もくじ
お金が貯まるまで離婚をしないメリットとデメリット
「離婚したいけどお金がないと生活に困る」と考えてしまうと、離婚したくても離婚に踏み切れません。お金が貯まるまでは離婚を我慢する選択肢もあります。その場合のメリットとデメリットを見ていきましょう。
お金が貯まってから離婚をするメリット
お金が貯まるまでは離婚を我慢すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。単に「お金が貯まれば離婚できる」以外にもいくつかメリットがあります。具体的に見ていきましょう。
離婚後の生活準備ができる
お金が貯まってから離婚をするメリットは、離婚後の生活を順調にスタートするための準備ができることです。離婚の前後は新しい住まいの準備や役所の手続き、子どもがいる場合は学校関係の手続きなどが発生します。
準備をしないまま離婚をすると、やることが一気に押し寄せるため、生活を安定させるまでに時間がかかります。お金を貯めているあいだに離婚前にできる手続きや、離婚後の手続きに必要な書類の取得などを済ませておけば、早いタイミングで生活の切り替えができるでしょう。
離婚後の心配は少なくなる
離婚後の心配ごとの第一位は、お金の問題です。離婚したら生活費を稼がなければなりませんし、子どもがいれば教育費なども必要です。専業主婦・専業主夫の場合は、まずは仕事を見つけなければなりません。
共働きの場合でも、今までと同じような生活が難しくなるかもしれませんので、できるだけお金はあったほうがよいでしょう。
お金を貯めてから離婚をすれば、気持ちに余裕が生まれます。お金が貯まるまで離婚に耐えれば、離婚後の心配が少なくなり、スムーズに新しい生活を始めやすいでしょう。
お金が貯まるまで離婚を耐えるデメリット
お金が貯まるまで離婚を我慢すると、当然デメリットもあります。次はデメリットを見ていきましょう。
配偶者によるストレスを受ける期間が長くなる
お金が貯まるまでの期間が長くなればなるほど、配偶者によるストレスを受ける期間も長くなってしまいます。
長期間のストレスは、からだや心を壊してしまう原因となり、ストレスを受けている状態での子育ては子どもにも悪影響を与えてしまう心配があります。
離婚の決心が鈍る
離婚は人生を左右する大きな選択です。一大決心をして離婚を選んでも、決断からあまりに時間が経つと「本当に離婚して大丈夫なんだろうか」と再び迷いが生じてしまうおそれがあります。
変化をおそれるあまり現状維持を望む「現状維持バイアス」の影響を受けると、我慢する結婚生活を選んだり、離婚をずっと先延ばしにしてしまったりと、よい方向に進みません。
年齢が高くなると仕事の範囲が狭まるおそれがある
お金が貯まるまで離婚に耐えているあいだにも、年齢は上がっていきます。20代であったり、専門的なスキルを持っていたりする場合は仕事に困ることは少ないかもしれません。
しかし、一般的に年齢が上がるにつれて即戦力を求められる傾向があるため、専業主婦・専業主夫の期間が長い場合は、希望する職種に就けないことがあります。
お金が貯まるのを待たずに離婚するメリットとデメリット
離婚を決めたら、お金が貯まっていなくても離婚に踏み切る場合もあるでしょう。その場合のメリットとデメリットを見ていきましょう。
お金が貯まるのを待たずに離婚するメリット
離婚を早く決断するメリットは多くあります。具体的に見ていきましょう。
配偶者によるストレスから解放される
離婚することで、配偶者によるストレスから解放される人は少なくありません。
家事や育児に非協力的な配偶者の場合、ワンオペ※で頑張る毎日が続きます。たとえば忙しい中、家事・育児に奔走している横目に、ソファーでスマートフォンをいじる配偶者を見るのは、ストレスです。
また、「ささいなことで声を荒げられる」「顔色を伺って過ごす」「暴力を振るわれる」などの状況が続く生活も、精神的ストレスがかかります。
離婚したいと思ってから可能な限り早く実行すれば、配偶者による肉体的・精神的ストレスから解放され、心身ともに楽になるでしょう。
心身の不調がなくなる
肉体的・精神的ストレスを受け続けていると、体調を崩してしまうことがあります。たとえば、過度な疲労感・肩こりや頭痛などの、からだの不調が続いたり、眠れない・気持ちが落ち込むなど心に不調をきたしたりします。
心身の健康は何よりも大切ですので、お金が貯まるのを待たないで離婚したほうがよい場合があります。早めに配偶者から離れられれば、心身の回復も早く、前向きな気持ちで生活できるでしょう。
子育てによい環境になる
子どもがいる場合、「離婚したら子どもに寂しい思いをさせてしまうかも」と悩む人は多いです。しかし、子は親の関係に敏感です。隠していても、両親の不仲を察している子どもは少なくありません。
家庭の気まずい雰囲気が続くのは、子どもにとってよい環境とはいえません。居心地が悪いですし、日常的に夫婦げんかをしていた場合は勉強に集中できないなど、子どもの成長に悪影響を与えるおそれもあります。
離婚することで父、母と毎日会えなくとも、笑顔が増え、家の雰囲気が明るくなれば、子どもにとってもプラスになります。
お金が貯まるのを待たずに離婚するデメリット
次は、早く離婚することによるデメリットを見ていきましょう。
離婚後に生活が困窮する
お金が貯まっていない状態で離婚すると、離婚後に経済面での不安が多くなるおそれがあります。離婚後は新しい家に住み始める場合も多く、引っ越し費用や家具・家電代などにお金がかかります。生活費も必要ですし、子どもがいれば教育費の問題もあります。
しかし、お金が貯まっていない状態でも離婚を急いだほうがよいケースがあります。解決策は離婚後、生活に困らないためにできることの章より、ご確認ください。
住居に困るおそれがある
お金が貯まっていないと、住む家の選択肢が少なくなる心配があります。ある程度余裕があれば、セキュリティのしっかりしたマンションなどにも住めますが、お金に余裕がないと理想の家には住めないかもしれません。
また、小さい子どもがいる場合は、壁が薄いと隣の家の反応が気になり、落ち着いて生活ができないこともあります。
子どもに十分な教育ができないおそれがある
子どもがいる場合は教育費がかかります。
お金が貯まっていないと私立への進学が難しくなったり、習い事や部活動を諦めなければならなくなったりするかもしれません。闇雲にお金をかければよいわけではありませんが、お金がないと子どもの選択肢は狭まってしまう心配があります。
離婚後、生活に困らないためにできること
離婚できなかったり、先延ばしにしてしまったりするほとんどの理由は、お金がないなどの経済的理由です。しかし、事情によっては離婚を急いだ方がよいケースもあるでしょう。
この項では、離婚後、生活に困らない程度のお金を得るためにできることを紹介します。
なお、離婚後のお金を準備できる方法をいくつか紹介しますが、最低限、生活費を稼ぐために仕事を探しておきましょう。特に専業主婦・専業主夫の場合は見つかるまで時間がかかるかもしれませんので、早めに行動することが大切です。
最近は自宅でできる仕事も多数ありますので、インターネットなどで副業を始めるのもよいでしょう。また、新しく家を探す場合は、初期費用や家賃が安い物件を探しておくと、離婚後の引っ越しがスムーズです。
離婚準備については下記コラムに詳しい情報を掲載しています。詳細はこちらをご覧ください。
離婚準備をしたうえで、離婚後の生活のためにできることは下記のとおりです。
離婚前に別居する場合は婚姻費用を請求する
さまざまな事情で、離婚前に別居する場合も少なくありません。その場合は、婚姻費用を請求できます。
婚姻費用とは、夫婦とその子どもが生活していくために必要な生活費のことです。具体的には以下のような費用が挙げられます。
- 居住費
- 生活費
- 医療費
- 子どもの生活費や学費
婚姻費用は法律上、夫婦がその収入や財産、社会的地位に応じてそれぞれ分担する義務があります。この義務はたとえ別居していても、夫婦である限りなくなることがありません。
そのため、別居後に自分に比べ収入の高い配偶者が生活費を払ってくれないような場合は、婚姻費用を請求できます。
婚姻費用の金額は「月額いくら」という形で決めます。金額は「養育費・婚姻費用算定表」を目安にして算出されるのが一般的で、主に夫婦の収入や子どもの人数、年齢によって決まります。
受け取る側の年収が100万円で子ども1人(0〜14歳) | 支払う側の年収が450万円 | 支払う側の年収が700万円 |
---|---|---|
もらえる婚姻費用の目安 | 8〜10万円 | 12〜14万円 |
参考:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について「(表11)婚姻費用・子1人表(子0~14歳)」
離婚原因によっては配偶者に慰謝料を請求する
離婚原因が配偶者の有責行為であれば、慰謝料を請求できる可能性があります。有責行為とは、離婚原因となる行為のことです。
慰謝料は離婚原因を作った側が相手に支払うもので、相手に与えた精神的苦痛に対する損害賠償金としての意味合いがあります。
離婚原因の中で配偶者の行為を有責行為と認めてもらうには、「法定離婚事由」つまり、法律で定められた離婚理由に該当している必要があります。
具体的な法定離婚事由は次のとおりです。配偶者が次のいずれかの状況にある場合は、慰謝料を請求できる可能性があります。
- 不貞行為(配偶者「以外」と性的関係を結んだ)
- 悪意の遺棄(正当な理由なしに「同居義務」「協力義務」「扶養義務」の3つを怠った)
- 配偶者の生死が三年以上明らかでない(警察に届け出を出しても見つからず、連絡を取ろうにも3年以上連絡がつかず、生死がわからない)
- 回復する見込みがない強度の精神病にかかった(意思疎通がまったくできないなど、夫婦の義務を果たせないほどの精神病。代表例としては、統合失調症や躁うつ病などが挙げられる)
- 婚姻を継続し難い重大な事由に該当する行為をした(DV(家庭内暴力)やモラハラ、犯罪行為、性的不能など)
第二款 裁判上の離婚
(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
引用:民法(明治二十九年法律第八十九号)「第七百七十条」
なお、単なる性格の不一致や愛情がなくなったというような理由では、慰謝料はもらえません。
慰謝料の相場は50〜300万円といわれています。もっとも多いケースは浮気や不倫といった不貞行為で、婚姻関係が長いほどもらえる金額も多くなる傾向にあります。
慰謝料は協議で決める場合と、調停や裁判で決める場合があり、慰謝料の請求理由によっては第三者や弁護士などを交えて話し合ったほうがよいケースもあります。
自治体から公的支援を受ける
離婚後に親権を引き取り、母子家庭・父子家庭(ひとり親)になる人は、地方公共団体(自治体)などから公的支援を受けられます。
ひとり親家庭が利用できる制度は主に以下の7つです。
- 児童手当
- 児童扶養手当
- 児童育成手当(東京都など独自の制度)
- 住宅手当(一部の自治体)
- ひとり親医療費助成
- 保育料の助成
- 就学時援助
なお、利用できる制度は自治体によって異なり、上記のほかにもさまざま支援が受けられる可能性があります。各自治体で相談窓口を設けていますので、必ずインターネットなどで調べて、必要があれば早めに申請しましょう。
養育費の額を決め、不払い対策をする
親権を得た場合は、養育費をもらえます。養育費は、子どもが経済的・社会的に自立するまでに必要な費用です。
親は子に対して扶養義務があり、離婚したからといってなくなることはありません。そのため、親権者でなくなった親は、子どもを扶養するために養育費の支払い義務が発生します。
もらえる金額は「養育費算定表」によって決められ、具体的には以下の4項目をもとに算出されます。
- 養育費を支払う側の年収
- 養育費を受け取る側の年収
- 給与所得者か自営業者か
- 子供の人数と年齢
養育費の目安は、次のとおりです。
受け取る側の年収が100万円で子ども1人(0〜14歳) | 支払う側の年収が500万円 | 支払う側の年収が700万円 |
---|---|---|
もらえる養育費の目安 | 6〜8万円 | 8〜10万円 |
参考:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について「(表1)養育費・子1人表(子0~14歳)」
このように養育費をもらうことは正当な権利ですが、厚生労働省が実施した「令和3年全国ひとり親世帯等調査結果報告書」によると、母子世帯で養育費を受けたことがない人は56.9%います。
確実に養育費をもらうためには、あらかじめ不払い対策をしておくのがよいでしょう。
不払い対策としては、以下のような方法をおすすめします。
- 取り決めた条件を公正証書にしておく
- 調停または審判で取り決める
- 養育費保証サービスを契約しておく
また、子どもの面会に適度に応じるなど、相手の気持ちを途切れさせないことも養育費の不払い対策として有効です。
将来のために年金分割する
将来もらえる年金を年金分割しておくと、婚姻期間中に配偶者が支払った厚生年金を分けてもらえます。ただし、対象となるのは会社員もしくは公務員の厚生年金のみで、国民年金は対象外です。
たとえば、会社員や公務員の配偶者が厚生年金を支払い、自分がパートなどで扶養されている場合、自分は第3号被保険者です。この場合、自分は厚生年金を支払っていませんが、厚生年金を受け取れます。
年金分割の対象になるのは、結婚期間中に配偶者が支払った厚生年金です。結婚前や離婚後に支払った年金は対象外になるため、配偶者が将来受け取る年金の半分がもらえるわけではありません。
年金分割の手続きは年金事務所で行います。なお、年金分割制度は性別に関係なく、年金を多くもらえるほうが少ないほうに分ける制度です。複雑な制度ですので、詳細は専門の窓口で確認しましょう。
夫婦一緒に住んでいる家を売却する
離婚後の生活に困らないようにするため、夫婦一緒に住んでいる家は売却するのがおすすめです。婚姻期間中に夫婦で築いた財産は、すべて財産分与の対象だからです。財産分与とは、婚姻中に夫婦で作った財産を夫婦間で分け合うことです。
夫婦で婚姻中に作った財産は夫婦共有財産となり、たとえば以下のようなものが挙げられます。
- 現金
- 預金
- 保険
- 自動車
- 家財道具
- 貴金属
- 不動産
この中で特に問題になりやすいのが不動産です。離婚後に、不動産をどうするかについては主に3つの選択肢があります。
- 夫が住み続け、妻に家の評価額の半分を現金で支払う
- 妻が住み続け、夫に家の評価額の半分を現金で支払う
- 家を売却して、売却益を二人で分割する
離婚後の生活資金は、家を売却して売却益を二人で分割する方法がもっともおすすめです。家を売却すれば現金化でき、公平に資産を分けられるためです。まとまった現金があれば、離婚後の生活費に充てられます。
家の売却価格を確認して、離婚後の暮らしのためにどのくらいのお金が手に入るか確認しておきましょう。まずは持ち家の価値を調べる必要がありますが、可能なら持ち家の価値は自分で調べましょう。相手に任せていて、万が一実際の査定額より低い金額を提示されてしまうと、離婚後の生活に影響が出るからです。
離婚後の生活費のためには少しでも高く売却したいですが、不動産会社に1社ずつ査定してもらっては、時間がいくらあっても足りません。条件のよい不動産会社を短時間で効率良く見つける方法は、不動産の一括査定サイトリビンマッチの利用です。
複数の会社に無料で査定してもらえるので、不動産を一番高く見積もってくれる不動産会社がすぐに見つかるでしょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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