不動産査定書とは?作成方法や費用、注目すべきポイントをわかりやすく解説
不動産売却の重要な段階に、査定があります。不動産査定書は、この査定を受けた結果を書面でまとめたものです。
しかし、一般の人にとって不動産査定書は、内容を理解して適切に活用することは簡単ではありません。この記事では、不動産査定書の基本から、適切な査定の依頼方法、そして査定書を受け取ったときにチェックするポイントまでをわかりやすく解説します。
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不動産査定書とは?
不動産査定書とは、家や土地などの価値を、不動産会社などの専門家が評価した書類のことです。不動産査定書は、不動産にどれくらいの価値があるかを知るために必要になります。
物件の所在地、面積、築年数、市場価格などが不動産査定書に記載されており、公平な不動産の取り引きをするうえで非常に重要な情報となります。査定は不動産会社や不動産鑑定士などの専門家に連絡して、必要な情報を伝えることからはじめます。正しい査定書をもらうには、信頼できる専門家を選ぶことが大切です。
不動産査定書に記載されている内容
不動産査定書は、物件の価値を専門的に評価した文書であり、その記載内容を理解することは、売買や資産評価の際に重要です。査定書には、物件の所在地、土地の面積、建物の構造、築年数、そして市場価格に影響を与える周辺環境の情報などが含まれます。また、比較対象となる類似物件の売買情報や、査定方法に基づく価格も記されています。基本からわかる不動産査定書を参考にすることで、これらの記載内容がどのように価値判断に役立つのかを深く理解できます。
不動産査定書には物件の価値を判断するために、多くの重要な情報が記載されています。主に物件の基本情報、評価された価格、査定を行った基準や方法、そしてその査定価格の根拠となる理由が記載されています。
まず、物件の基本情報として、次の情報が記載されているのが一般的です。
- 物件の所在地
- 土地、建物の面積
- 建物の構造や築年数
- 利用可能な設備など
次に物件の市場価値を示す、査定価格が記載されます。価格は同じ地域にある類似物件との比較や、過去の取引例、現在の市場動向をもとに算出されます。訪問査定であれば、実際に物件を確認した情報が加味されます。
最後に、価格の根拠となる理由が記載されます。地域の発展性、物件の独自性、不動産市場の状況などから、査定価格の根拠を知ることが可能です。
不動産査定書はどんなときに必要?
不動産査定書は売買などの取り引きをするとき、非常に重要な役割を果たします。それ以外にも不動産査定書が必要になる場面があり、主なケースには次のものがあります。
- 不動産の売却
- 自宅など所有する不動産を売り出すとき、適正な価格を知るために査定を受けます。査定書によって、売却価格の設定に客観的な根拠を持たせられます
- 不動産の購入
- 購入を検討している不動産の価格が適正かどうかを判断するときにも用いられます。特に購入前の交渉材料として、査定価格を参考にすることがあります
- 住宅ローンの申請
- 金融機関から住宅ローンを借りるとき、その不動産の価値を担保として評価する必要があります。査定書は不動産の価値を証明する書類になります
- 相続税の申告
- 不動産の相続税の申告には、正確な不動産の評価が必要です。不動産の評価を客観的に示すために査定書が用いられることがあります
- 資産の評価
- 個人や企業が資産の総額を把握する際に、不動産の正確な評価が求められます。このとき、不動産査定書が資産評価の根拠として活用されます
不動産会社と不動産鑑定士の不動産査定書の違い
不動産査定書は、不動産会社と不動産鑑定士によって作成されます。
不動産会社が作成する不動産査定書は、主に売却を検討している物件の市場価格を推定するために作成されます。比較的早く手に入れられ、不動産売却の参考価格として利用されます。作成にかかる費用は、一般的に無料です。
一方、不動産鑑定士による不動産査定書は、法的な価値評価を目的としており、不動産鑑定評価基準に基づいて厳密に物件の価値を算定します。不動産鑑定士による査定書の多くは、正確な価値が法的に求められる状況で用いられます。作成には時間とコストがかかりますが、その代わり精度の高い価値評価が期待できます。
不動産査定書と不動産鑑定評価書の違い
不動産査定書には大きく分けて、不動産会社による不動産査定書と不動産鑑定士が作成する不動産鑑定評価書の2種類があります。
書類の種類 | 不動産査定書 | 不動産鑑定評価書 |
---|---|---|
作成者 | 不動産会社、不動産鑑定士 | 不動産鑑定士 |
特徴 | 所有する物件の市場価格を知るために作成されることが多い。短期間で作成でき、不動産会社に依頼すると費用がかからないことが多い | 法的な効力のある、公的な不動産の価値を示す。相続や贈与、裁判所の手続きなど、法的な根拠が必要なときに作成される。作成は有料で、作成にも時間がかかる |
不動産会社による査定は、売買で必要な市場価格の目安を提供します。一方で不動産鑑定士による査定は、裁判など公式な場面で要求される法的な価値判断を提供します。それぞれの違いを理解したうえで、査定書を依頼することが大切です。
不動産会社が作成する不動産査定書は無料
不動産会社が作成する不動産査定書は基本的に無料です。そもそも、不動産鑑定士以外が不動産査定により報酬を得ることは、法律で禁止されています。
不動産鑑定士でない者は、不動産鑑定業者の業務に関し、不動産の鑑定評価を行つてはならない。
不動産査定書は、主に不動産の売買における金額を決めることを目的としています。不動産会社からすると「査定依頼をされる⇒そのまま売却の仲介依頼があるかもしれない⇒仲介手数料で利益を得られる可能性がある」と考えられます。そのため、不動産会社は不動産査定で利益を得る必要がないともいえます。
不動産鑑定士が作成する不動産査定書は有料
不動産鑑定士に作成を依頼する有料の不動産査定書は、不動産鑑定評価書とも呼びます。費用は鑑定事務所によって異なりますが、約20万〜30万円が目安です。不動産鑑定評価書は、国家資格として登録している不動産鑑定士のみに作成が認められています。不動産会社に従事している者であっても、国家資格を有していなければ作成できません。
公的な書類のために正しい不動産評価額を示したい場合に利用されます。具体的には、以下のような場面で使用されることが一般的です。
- 金融機関への担保評価
- 相続税や贈与税など税金に関する証明
- 離婚時の財産分与の根拠
また、不動産鑑定評価書より安い費用で不動産鑑定士に不動産の評価をしてもらえる不動産価格意見書や不動産価格調査書もあります。しかし、これらはあくまでも簡易的な内容のため、公的な証明としては使えません。
作成者によって結果に差がある
不動産査定書は不動産会社によって記載内容が異なります。不動産会社によって評価するポイントが異なるため、査定価格にもばらつきがあります。そのため、1社だけに依頼するより複数社に査定を依頼して比較するほうが、より正確な相場を把握できます。大切な資産を高く売却するためにも、比較検討は重要です。
不動産査定書を作成してもらう方法
不動産を売却するときは、まずその価値を正確に把握することが大切です。そのために、不動産会社の査定を受けて、不動産査定書を作成してもらう必要があります。不動産査定書をスムーズに、そして正確に作成してもらうための具体的な方法を紹介します。
不動産会社へ依頼する
不動産会社へ査定を依頼するには、まず信頼できる不動産会社を見つけることからはじめましょう。インターネットの口コミや周囲の評判を参考にして、複数の不動産会社を候補にしてください。
選んだ不動産会社に連絡を取り、査定をしてほしい旨を伝えます。このとき、査定する物件の種類、所在地、面積、築年数など、基本情報を正確に伝えます。不動産会社によってはWebサイトがあり、そこで必要情報を入力できることもあります。
次に、不動産会社からの返答を待ち、査定の日時を決定します。査定では不動産の現地調査が行われるため、立ち会う必要があります。査定を受けたら不動産会社から不動産査定書が提供されます。
不動産鑑定士へ依頼する
不動産売却を行うときは、基本的に不動産会社へ査定を依頼します。そのため、不動産鑑定士への依頼は、あまり一般的な方法ではないことに注意が必要です。高度な専門性が求められる場合や、正確で客観的な市場価値の評価が必要なときに依頼します。査定に時間がかかるだけでなく、20万円を超える費用がかかることが一般的です。
査定してほしい不動産の所在地に対応できる不動産鑑定士に連絡して、どれくらいの費用がかかるのか相談、見積もりを依頼しましょう。
依頼したい不動産鑑定士を決めたら契約を締結して、査定を行います。査定にはさまざまな情報と現地調査が必要になります。不動産鑑定士に求められた情報を提供し、現地調査の日程調整を行いましょう。査定が完了したら、不動産鑑定士から不動産査定書が提供されます。
不動産査定書を作成するときの注意点
不動産査定書を作成してもらうときは、いくつかの注意点があります。まず、査定を依頼する不動産会社や不動産鑑定士は、慎重に選びましょう。実績や評判を調べ、可能であれば過去に依頼した人の口コミも参考にしてください。信頼できる会社へ依頼すると、その後の取り引きも安心して任せられます。
また、必要になる情報は、査定を受ける前から用意しておきましょう。登記簿謄本や固定資産税評価証明書などを用意しておくと、スムーズに依頼できるでしょう。
また、物件の現状を正直に伝えることも大切です。改修が必要な箇所や、近隣の計画中の開発情報など、価値に影響を与える情報はすべて伝えましょう。隠してしまうと、あとからトラブルになるおそれがあります。
不動産査定書の作成に必要な書類
不動産査定書の作成を依頼するときは、査定の正確性を高めるためにいくつかの書類が必要になります。次の書類を用意しておくと、査定をスムーズに進められます。
- 登記済権利証(権利証)、登記事項証明書
- 身分証明書
- 公図と地積測量図の写し
- 建築確認済証(建築確認通知書)、検査済証
- 固定資産税及び都市計画税納税通知書
- 購入時の売買契約書、重要事項説明書
- 住宅性能評価書やシロアリ防除の保証書
- 管理規約、管理組合の決算報告書(マンションの場合)
- 住宅ローン返済予定表(返済中の場合)
- リフォーム・改修の履歴(リフォームをしている場合)
これらの書類はすべてが必要なものではありません。少なくとも土地の広さ、建物の広さ、所有者がわかれば、査定を行うことは可能です。しかし、より正確な査定価格を提示してもらうのであれば、できるだけ多くの情報を伝えられるようにしておくことが大切です。
不動産会社や不動産鑑定士に相談して、必要な書類を確認しておくとよいでしょう。
査定を受けるときの基礎知識
不動産査定を受けるときに、あらかじめ知っておきたい基礎知識を紹介します。知識を身につけておけば、不動産会社に相談するとき、スムーズに話ができるようになります。それだけ査定も順調に進み、納得したうえで不動産査定書を受け取れるでしょう。
机上査定と訪問査定の違いを理解する
不動産査定には「机上査定」と「訪問査定」の2種類があり、それぞれに大きな違いがあります。2種類の査定の違いを理解することで、自分の状況や目的に合った査定方法を選べます。
- 机上査定
- 物件を実際に訪問せずに行う査定です。不動産会社が、提供された情報や公共のデータ、市場動向などをもとにして査定価格を算出します。早ければ当日、遅くとも3日程度で査定価格がわかります。ただし、物件の状態や周辺環境を確認せずに査定するため、あまり正確ではありません
- 訪問査定
- 不動産会社などの専門家が物件へ直接訪問し、内外装の状態、立地条件、近隣の環境などを細かくチェックしたうえで査定価格を算出します。査定価格の提示まで、訪問査定を受けてから1週間以上かかることがあります。売却を本格的に考えていて、具体的な価格を知りたいときに適しています
査定は複数社への依頼がおすすめ
不動産の査定を受けるときは、複数の不動産会社へ依頼しましょう。不動産会社によって査定の基準や市場分析の方法が異なるため、1社だけに頼るより、複数の視点から物件の価値を把握できるのです。
また、複数の査定結果を比較することで、特定の会社が異常に高いまたは低い評価をするリスクを避けられます。これは、不当な価格で物件を売買されることを防ぐだけでなく、おおよその市場価格を把握するのにも役立ちます。
さらに、複数社への依頼は、不動産会社のサービスや対応を比較する機会にもなります。実際に売却することになると、不動産会社の担当者の相性は非常に重要です。査定を依頼する段階で、担当者との相性を見極められる機会になるのです。
不動産査定書のチェックポイント
不動産査定書を手に入れたら、記載されている情報を確認しましょう。そして記載されている項目がどのような意味を持っているのか、正しく理解することが大切です。不動産査定書の特に注目すべきポイントを解説します。
物件情報
物件の所在地、土地の面積、建物の構造、建築年、利用可能な設備やサービス、そして改修履歴など、不動産の基本的な情報が記載されています。これらの情報から、物件の現状や特徴、価値を判断するための重要な基礎データを得られます。
物件情報を確認することで、査定価格がどのように算出されたのか、また自分の物件が市場でどのように位置づけられるのかが理解できます。
査定価格
査定価格には対象の不動産が、現在の不動産市場でどの程度の価値があると見積もられているかが記載されています。査定価格は、不動産会社が行った詳細な市場分析、物件の状態評価、周辺環境の考慮、そして似た条件の物件と比較して算出されます。
しかし、査定価格はあくまでもひとつの指標に過ぎず、最終的な取引価格と異なる場合があります。市場の需給バランス、売主と買主の交渉などで価格は上下します。
査定価格の上限と下限
不動産会社によっては、上限売却価格と下限売却価格の両方を記載することがあります。この場合、下限売却価格は不動産会社が直接買い取った場合の買取価格にすることがあるため、確認しておくとよいでしょう。売却を検討している場合は、上限売却価格と下限売却価格のどちらもが住宅ローン残高を上回ることが理想です。
周辺環境
周辺環境の項目では、物件のある地域の特性や利便性、住環境の質などが評価されます。公共交通機関へのアクセスのよさ、近隣の商業施設、教育機関、医療機関の有無や距離など、住む人にとって重要な情報が含まれています。
周辺環境を理解することで、物件が持つ潜在的な価値などを見極められます。不動産の売却や購入を検討するときは、周辺環境の評価を考慮しておきましょう。
価格の根拠
物件の価格評価に影響を与えた要素が、明確に示されます。近隣にある同様の物件との比較、地域の市場動向、物件の特性(立地条件、築年数、建物の状態、改修の有無など)、そのほかにも将来の開発計画などが考慮されます。
価格の根拠を理解することで、査定価格が現実的で公平なものかどうかを判断できます。また、査定を行った不動産会社がどのような基準や方法を用いて価値を評価したかがわかり、不動産会社の信頼性を測るポイントにもなるでしょう。
査定根拠となるプラスとマイナスの項目
重要なのはどこが評価されているのか、何がマイナスとなっているのかです。一般的に築年数・立地・広さ・周辺環境の項目で基本となる価格を計算し、その物件の状況によって加算したり、減算したりします。たとえば、リフォームやリノベーションなどはプラスの評価をされるため、加算されます。一方で、らせん階段や、戸建てにおいて浴室が3階以上にあるなど、特異性のある間取りは減算の対象です。
査定価格で売却できるか
もっとも重要なのは、不動産会社が査定した金額で本当に売却できるのかどうかです。
査定価格は過去の事例を参照しているため、ある程度は売却が可能な金額を示しています。しかし、自社に仲介を依頼してほしいがために高めの査定価格を示す会社も少なくありません。
特に、複数社の中で1社だけ飛び抜けて高い査定価格であり、そのうえで専属専任媒介契約などを求めてくる場合は検討の余地があるといえます。
一括査定ならスムーズに依頼できる
不動産の査定では、複数の不動産会社への依頼がポイントになります。異なる査定基準を比較することで、所有する不動産の市場価値を正確に知ることが可能になるのです。
一括査定サイトの「リビンマッチ」を利用すれば、不動産会社への査定をスムーズに進められます。所有する不動産の情報を一度入力するだけで、査定に対応できる複数の不動産会社を紹介してもらえます。あとは気になる不動産会社を選択し、査定を依頼するだけです。
できるだけ多くの不動産会社を紹介してもらうなら、おおよその売却時期を選択するのがコツです。まずはリビンマッチから、査定を依頼してみましょう。
不動産査定書に関するよくある質問
- 不動産査定書はどこに注目して見たらいいの?
- 最初に見るべきなのは、不動産の査定価格です。売却を検討している場合は、上限売却価格と下限売却価格のどちらもが住宅ローン残高を上回ることが理想です。また、どこが評価されているのか、何がマイナスとなっているのかといった査定根拠などに注目しましょう。
- 不動産査定書の依頼方法や費用は?
- 不動産会社が作成する不動産査定書は無料です。直接不動産会社を訪問して依頼する方法もありますが、現在はインターネットを利用して依頼する方法が主流となりつつあります。中には、複数の不動産会社に一括で査定を依頼できるサービスもあります。
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リビンマッチ編集部
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