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社会的インパクト不動産ってなに?わかりやすく基本から解説します

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社会的インパクト不動産ってなに?わかりやすく基本から解説します

ESG(環境、社会、企業統治)投資の分野では、社会課題の解決や地球環境保全など、社会的貢献を目指す取り組みが注目されています。そのなかでも「社会的インパクト不動産」と呼ばれる、社会的インパクトの創出を目指した不動産の開発や運用が注目されています。

そもそも社会的インパクト不動産とはどのようなものなのか、社会的インパクト不動産が登場した背景はなにか、私たちの生活にどのような影響を与えるのかといった点について、基本からわかりやすく解説します。

そもそも社会的インパクト不動産ってなに?

2023年3月、国土交通省は『「社会的インパクト不動産」の実践ガイダンス』を発表しました。とはいっても、社会的インパクト不動産がどのようなものなのか、わかりにくいかもしれません。そこで、定義や投資の対象、目的、取り組み事例などについて解説します。

社会的インパクト不動産とは?

社会的インパクト不動産とは、不動産の利活用者、立地する周辺や地域社会、地球環境が抱える課題解決に取り組むことで、社会的インパクトを生み出し、価値の向上をはかる不動産のことです。

社会的インパクト
事業や活動によって社会や環境にもたらす結果や成果のこと

不動産は中長期的に利用されるもので、利用者や地域、地球のために最善の使い方をすることで社会に貢献できます。

こうした不動産の特性を生かし、社会的インパクト不動産は社会の問題や環境の問題を解決することで不動産の価値を上げ、企業の成長を促すことを目指します。そうすることで、社会的インパクトを与えられる不動産になると期待されているのです。

どんなことに取り組むの?

ガイダンスでは不動産に関わる社会問題を、次の4段階に区分しています。

  1. 安全・尊厳
  2. 心身の健康
  3. 豊かな経済
  4. 魅力ある地域

1段階目の「安全・尊厳」では自然災害への備え、防犯、少子高齢化への対応、多様性・包摂性の実現といった問題の解決を目指します。2段階目の「心身の健康」では、健康で安全な暮らしや快適で利便性が高い環境の整備を、3段階目の「豊かな経済」では地域経済の活性化や生産性の向上を目指します。

そして最終段階である4段階目の「魅力ある地域」では、地域のアイデンティティや魅力の発信、地域コミュニティの再生など、もっとも広範囲な問題の解決を目指します。

社会的インパクト不動産は、具体的な安全・尊厳から抽象的な魅力ある地域づくりまで、幅広い範囲の社会問題の解決に取り組むことが期待されているのです。

ガイダンス作成の目的

社会的インパクト不動産の考え方は、2023年3月に国土交通省が公表した社会的インパクト不動産の実践ガイダンスで示されました。ガイダンスを作成した目的は、不動産の開発・維持・管理を通じて社会的問題に役立てたいという意図があったからです。

不動産の社会価値を向上させる試みはさまざまに行われてきましたが、十分普及しているとはいえません。そこで、社会的インパクト不動産の考え方を紹介し、不動産開発などを通じて社会的問題の解決によい影響を与える社会的インパクトの創出方法などをまとめたガイダンスを作成しました。

この試みを推進することで、官民共同で社会的課題の解決に取り組むことを目指しています。

「ふたつの対話」の重要性

社会的インパクト不動産の考え方を広げるには、資金対話と事業対話というふたつの対話が重要です。

資金対話とは、不動産の開発を行う企業と投資家・金融機関との話し合いのことです。資金対話を円滑に行うことで、出資者に社会的インパクト不動産の意義を納得してもらい、資金を調達することが目的です。

事業対話とは、開発会社と不動産を利用するテナントや不動産で働く従業員、利用者、周辺住民、立地する自治体などとの話し合いのことです。不動産の開発で事業のチャンスを提供するだけではなく、地域住民と話し合って、よりよい活用法などを検討し、地域の問題解決の糸口を探るのが目的です。

このふたつの対話を並行して行うことで、社会的インパクト不動産に対する認識を深めつつ、資金の調達や地域住民の協力を得ることが可能となります。

社会的インパクト不動産の取り組み事例

阪急阪神ホールディングス株式会社は、超高層ビルの「大阪梅田ツインタワーズサウス」でいろいろな事態を想定した、総合的な防災対策を策定しています。主な防災対策として、ビルの耐震性能の強化、非常時の水源確保、ビル機能を維持する重要設備を9階以上に設置する津波対策、非常時に備えたテナント向けの備蓄倉庫の確保などを行っています。

ヤマガタデザイン株式会社は、「SORAIソライ」という子ども向け施設を建設し、遊びを通じた学びの場を提供しています。そこでは、オリジナル遊具や800冊の本を楽しめるライブラリ、海外の子どもたちとの交流などが行われています。

いずれも不動産を通じて、従業員の安全や地域の教育といった社会的な問題に対応することを意図しています。

社会的インパクト不動産が登場したのはなぜ?

社会的インパクト不動産は、不動産分野におけるESG投資の在り方について検討するなかで生まれました。ここでは、ESGとはなにか、「S(社会)」分野に対する関心の高まり、社会的インパクトの重視などについて整理します。

ESG投資とは

ESG投資とは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の3つの要素を考慮した投資のことです。企業がE・S・Gをどれだけ意識した活動を行っているかで投資するべきか否かを判断するという考え方です。

ESG投資の方向性が見えてきたのは、国連責任投資原則のとりまとめ後です。国連責任投資原則は6つの内容からなり、投資する際にESGの考え方を重視することや、企業に情報開示を求めること、企業に積極的に働きかけることなどを提唱しています。

「S」分野への関心の高まり

ESGのうち、E(環境)は二酸化炭素の排出削減など、比較的数値化しやすい内容が多く含まれているため、積極的に指標として活用されてきました。以前は、Sの社会は取り組み内容が幅広く、十分取り組めているとはいい難い状況でした。

しかし、近年では地域が抱える社会的問題の解決のため、不動産がどのように貢献できるかといったことへの関心が高まっています。

社会的インパクトを重視した不動産投資

社会的インパクト不動産の実践ガイダンスでは、不動産を通じて社会的インパクトを与えるためのロジックモデルを提示しています。ガイダンスで例示されているのは「子育て支援」と「魅力ある景観の形成」のふたつです。

子育て支援は、子育て支援施設や子育てに配慮した住宅の整備や支援の提供を通じて、保育所や学童、子ども食堂などの設置を支援し、これらの施設の利用者を増やすことで、少子化対策につなげます。この場合、不動産は保育所や学童、子ども食堂を設置する建物であり、社会的インパクトは少子化対策となります。

魅力ある景観の形成は景観に配慮したデザインを導入することで、ガイドラインに沿った街並みの形成や広告の統制がとれ、魅力ある景観を形成し、景観に魅力を感じた人々が来ることで地域経済の活性化や街並み保全が行えます。この場合の不動産は景観に配慮した物件であり、社会的インパクトは独自の景観形成や地域経済の活性化となるでしょう。

社会的インパクト不動産は私たちにどう影響する?

社会的インパクト不動産の考え方が広がることで、私たちの生活にどういった影響が出るのでしょうか。3つの影響についてまとめます。

地域の安全性の向上

ひとつ目の影響は、地域の安全性が向上することです。今回取り上げた阪急阪神ホールディングスの事例では、ビルが非常時の拠点として機能することを示しました。大規模災害時には多数の帰宅難民の発生が予想されますが、安全面が高い不動産は、こうした非常時に「逃げ場」として機能することが期待できます。

賑わいの創出

ふたつ目の影響は、賑わいを創出できることです。地方都市の悩みのひとつは人口減少に歯止めがかからないことです。こうした地域の人口流出を押しとどめるには、魅力あるまちづくりが欠かせません。

景観を統一したり、地域住民の交流スペースをつくったりといった不動産ならではのアプローチは地域活性化という社会問題解決に大きく寄与すると考えられます。

ネガティブインパクトのおそれも

社会的インパクトを追求することで、ネガティブな影響が出るおそれも指摘されています。観光振興かんこうしんこうをはかった結果、観光客の増加と引き換えに騒音などで地域住民の生活の質が低下するかもしれません。

あるいは、建築時の影響調査が不十分で、土壌汚染や水質汚染等が発生し、生態系に打撃を与えるおそれもあります。社会的インパクト不動産の建設を推進する際は、こうしたネガティブな影響についても考慮しなければなりません。

地域の課題に社会的インパクト不動産で取り組む

大規模施設の建設や地域開発は、生活に直結する重要な動きです。そこに、ESGの「S」の視点を採り入れ、地域の課題を解決する社会的インパクト不動産の考え方は、プラスの影響を与えると考えられます。

しかし、利点にばかり目を奪われては、建設時の調査がおろそかになりかねません。建設着工前に、マイナスの影響についても十分考慮し、新たな問題を引き起こさないよう、十分に注意する必要があるといえます。

所有する不動産の売却が社会貢献につながるかも

都市部や地方に限らず、いま空き家が問題になっています。活用されることなく放置され、なかには近隣に悪影響を及ぼしているケースもあります。不動産は活用されることで、何らかの影響を社会に与えます。もし利用されていない不動産を所有しているのであれば、売却してほかの人に活用をゆだねるのもよいでしょう。

不動産売却では、売却を依頼する不動産会社を探すなどの手間がかかります。リビン・テクノロジーズが提供するリビンマッチは、不動産の情報を入力すれば対応できる不動産会社を紹介するサービスです。

一度の入力で最大6社の不動産会社を紹介するため、信頼して大切な不動産を任せられる会社が見つかるでしょう。もし利用していない不動産を所有していたら、ほかの人に活用してもらうために売却をご検討ください。

社会的インパクト不動産とはなんですか?
不動産の活用によって社会問題や環境問題を解決し、不動産価値の向上や企業の成長を促すことをいいます。
社会的インパクト不動産の取り組み事例にはどんなものがありますか?
総合的な防災対策を行っている大阪梅田ツインタワーズサウスや、遊びを通じた学びの場を提供するSORAIがあります。

この記事の編集者

リビンマッチ編集部 リビンマッチ編集部

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