注文住宅は売却しにくい?実は売れやすい理由と高値で売る6つの方法
間取りや設備など、自分や両親がこだわって建てた注文住宅。手放す際は、家の価値を正当に評価してもらい高値で売りたいところです。
不動産の売買担当経験をもとに、昔は注文住宅が売れにくいといわれていた理由や、いまは売れやすくなっている理由、注文住宅の成約価格の推移、高値で売却するポイント6選をわかりやすく解説します。
もくじ
【事前知識】注文住宅とは?建売との違い
注文住宅を売却するなら、事前知識として建売との違いを説明できるようにしておきましょう。実際に売却する際、建売住宅と比較されるケースがあるためです。
注文住宅
注文住宅は建物の大きさや間取り、仕様、設備など、すべてを自分で決めます。建物に関することは全部自分で決められる分、自分好みの家づくりができますが、費用は高額です。
注文住宅を建てるハウスメーカーは、建物の請負だけを行っているところも多く、その場合は建てる土地を購入者側が見つけてくる必要があります。
親からもらった土地に建てるなど土地がすでにある場合は、建物代だけで済みますが、土地まで自分で購入するとなると多額の資金が必要です。
建売
建売住宅とは、建売会社が見つけてきた土地のうえに建売会社が建物を建てて、土地と建物セットで販売する住宅のことです。
建売住宅の購入者は、建売会社が建てた物件(建物+土地)を購入するため、建物の間取りや仕様など、決められる範囲に制限があります。
また、建売会社はデザインや間取り、設備、仕様などが同じ建物を量産する形で建物コストを抑えているため、会社が同じなら基本的に建物はほぼ変わりません。
一般的に注文住宅よりも安く新築住宅を購入できますが、自分好みの家づくりをしにくい点がデメリットです。
注文住宅は売却しにくい?昔はそういわれていた理由
注文住宅は売れにくいと言われていますが、売れにくい理由は本当に「注文住宅だから」でしょうか。
注文住宅が売れにくいといわる理由を確認して、売るためのヒントを探しましょう。
デザインが奇抜すぎる
中古の注文住宅と聞いて、デザインが好みに合うか不安に感じる方もいるでしょう。注文住宅は建てた人の好みがはっきり出るため、こだわりが強すぎてデザインが奇抜な物件も多々あります。
極端な例として、「内装が派手なピンク色で統一されている」「トイレがガラス張りになっている」といったものが挙げられます。
奇抜すぎるデザインは好みが分かれるため、購入者が見つかりにくい傾向があります。しかし、デザインが極端に奇抜でない限り、デザインが理由で売れないということはあまりありません。
ハウスメーカー側も、建築中に自社の看板を設置するため、あまりに奇抜なデザインは基本的におすすめしません。ブランドイメージとかけ離れた印象を与えるような建築は、避けたいからです。
また、当初の希望で建物のデザインが奇抜になりすぎている場合は、外壁塗装やリフォームを依頼するなどで、ある程度リカバリーすることも可能です。
間取りが一般的でない
間取りが一般的でないと、物件によってネガティブ要素になる危険性があり、リカバリーしにくくなります。たとえば、キッチンの近くにスケルトン階段のあるデザインはオシャレに見えますが、調理の音や料理の臭いが2階に伝わりやすく、ストレスを感じることがあります。
また、音楽好きな人で極端に大きな防音性能つきの居室がある場合や、映画好きな人でホームシアターのある地下室など、趣味や生活様式が反映されている場合も多くあります。
一般的にクセのない間取りであれば、まったく懸念点にはなりませんが、どう使えばよいかわからない部屋があるなど、使うイメージができない間取りは懸念材料となります。
また、間取りは時代によって流行が変化します。たとえば、もともと戸建住宅は1階リビングが当たり前でしたが、最近は洗濯物を干す作業との動線を考えて2階リビングの物件が増えてきました。
このように、間取りは流行によって左右されるケースもあるため、周辺の競合物件や過去の成約事例をよくチェックすることが大切です。
建物が大きすぎる
注文住宅は、周辺の平均的な建物面積よりも極端に大きな場合があります。
物件価格にもよりますが、建物の大きさをそのまま価格に反映している場合、無駄に大きく必要性がないという理由から、売れない原因になります。
土地の条件が悪い
建物にかける資金が多く、土地代にお金をかけられなかった物件の場合、土地の条件が悪すぎて売れない原因になる場合があります。
たとえば、通路部分が狭い敷地延長の土地やレッドゾーン(土砂災害警戒区域)にかかっている土地、変形地など、条件の悪い土地に建った注文住宅などです。
条件のよい土地は周辺相場より価格が高くなるため、建物の条件を優先し土地の条件を妥協しているケースは珍しくありません。注文住宅は建物だけでなく土地の広さや道路づけも、売れやすさや成約価格に大きく関わってきます。
土地の条件が悪い場合は、それを考慮した価格設定がポイントです。特に、中古物件の中で注文住宅を狙って探している方は、土地にある程度ゆとりがある物件を求めるケースが多いです。エリアによって求められる土地面積は変わりますが、周辺の競合物件を見て土地面積が平均より低い場合は、マイナスポイントになります。
設備が古すぎる
長期間メンテナンスもしておらず、老朽化が目に見えてわかるような設備の注文住宅は、その分低価格になったり売れにくくなったりします。
周辺の競合物件よりも仕様や設備面で劣っている場合は、その分の価格を安くしたり清掃や買い替えを検討したりするなど、不動産会社に相談しましょう。
なお、共働き世帯が多い現在は、食器洗い乾燥機や浴室乾燥機などの設備が好まれるため、中古物件でついていると価格に大きくプラスされます。
売り出し価格が高い
売れ残る原因として特に多いのが、売り出し価格を下げられない事情があることです。たとえば、多額の住宅ローンが残っている場合などです。
購入する側にも予算があるため、売り出し価格が高い物件ほど、購入できる層が限られるため、売れるまでに時間がかかりやすいでしょう。
最近は売れやすくなっている理由
中古の注文住宅は売れにくいと言われることもありますが、最近は逆に売れやすくなっており、好んで購入する層も増えています。
以下では、中古の注文住宅が最近売れやすくなっている理由を解説します。
新築住宅の需要が減り、中古注文住宅の需要が増えた
以下の表は、2008~2022年度までの注文住宅の着工数です。
着工年度(年度) | 注文住宅着工数(万戸) |
---|---|
2008 | 31.9 |
2009 | 28.5 |
2010 | 30.5 |
2011 | 30.6 |
2012 | 31.2 |
2013 | 35.5 |
2014 | 28.5 |
2015 | 28.3 |
2016 | 29.2 |
2017 | 28.4 |
2018 | 28.3 |
2019 | 28.9 |
2020 | 26.1 |
2021 | 28.6 |
2022 | 25.3 |
参考:国土交通省「建築着工 統計調査報 告」令和4年計
※戸数に誤りがないことは、国土交通省へのヒアリング調査で確認済みです。
2008年の注文住宅着工数は31.9万戸でしたが、2022年には25.3万戸まで減少しています。表からは、新築で注文住宅を建てたいというニーズが次第に減っていることがわかるでしょう。
新築は一度でも誰かが住んだら、中古になります。そのため、注文住宅の着工数が減っていることは、中古注文住宅の数自体も減っていることを意味します。
新築注文住宅のハードルが上がっていることで、中古注文住宅の需要は増加しています。新築と比較して費用が抑えられることに加え、注文住宅であれば建物の仕様や設備が充実している物件が多いためです。
中古の注文住宅を購入したり、既存の住宅をリフォーム・リノベーションしたりと、新築住宅を建てることにこだわらない人が増えてきているのです。
土地価格の上昇により中古戸建の価格も上昇しているため、これを機に売却して住み替えを検討する方が増えています。いまなら高値で売却できる可能性が高いため、戸建の注文住宅に住んでいて住み替えを検討している方にとっては、絶好の売却タイミングといえるでしょう。
中古戸建(注文住宅)の成約(売却)価格は上昇中
以下は、公益財団法人東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)」をもとに、2018~2022年の5年間における首都圏の中古戸建の成約価格をまとめた表です。
西暦(年) | 成約価格(万円) | 土地面積(㎡) | 建物面積(㎡) | 平均築年数(年) |
---|---|---|---|---|
2018 | 3,142 | 145.76 | 105.82 | 21.11 |
2019 | 3,115 | 146.82 | 104.96 | 21.38 |
2020 | 3,110 | 147.99 | 105.24 | 21.62 |
2021 | 3,451 | 143.77 | 104.25 | 21.20 |
2022 | 3,753 | 143.97 | 104.13 | 21.31 |
あくまで中古戸建を一括りにしたデータのため、注文住宅以外も含まれていますが、2018~2022年の5年間で中古戸建の成約価格が上昇しているとわかります。首都圏の不動産市場が全体的に好調であることを考えると、2022年の平均成約価格といまの成約価格もおおよそ同レベルと考えてよいでしょう。
また、補足データとして2022年の1年間における築年数別の中古戸建の成約価格も併せて記載します。
築年数(年) | 成約価格(万円) |
---|---|
築0~5 | 4,821 |
築6~10 | 4,653 |
築11~15 | 4,436 |
築16~20 | 4,024 |
築21~25 | 3,955 |
築26~30 | 3,333 |
築31~ | 2,345 |
土地価格と建築資材の高騰により新築物件が高い
新型コロナウイルス感染症の影響により在宅勤務が普及してきた時期から、首都圏を中心に高騰していた土地価格はさらに大きく跳ね上がりました。
また、同じく戸建住宅に使う木材も世界的な需給バランスや円安などの影響を受け、高くなっています。
土地価格と建築資材の高騰により、新築の注文住宅と建売住宅どちらも以前と比べ割高になっており、購入のハードルは上がっています。
購入時の不動産市況にもよりますが、新築に比べ中古の注文住宅は価格が割安で購入する側にとって手ごろに感じられる物件も少なくありません。
「新築は、買いどきでない」と、中古の注文住宅を狙って購入するケースもあります。
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中古でも建物のスペックが高い
築年数にもよりますが、注文住宅は中古でも構造がしっかりしており、仕様や設備などスペックが高い物件が多いです。
築20年以内の物件であれば、間取りも最近のトレンドに合った物も多く、「下手な新築よりいい」と評価する人もいます。
物件によっては、雨漏りなどの修繕が必要な場合もありますが、一般的な戸建であれば購入後に大きな修繕が必要になることも少ないでしょう。
旧分譲地など土地条件がよい物件が多い
中古の注文住宅は、大手ハウスメーカーの旧分譲地内に建てられた物件など、土地の条件がよい物が多くあります。
注文住宅に限らず、建物の価値は築年数が古くほど下がりますが、土地の価値は大きく変わらず、むしろ高くなる場合もあります。そのため、土地の条件で物件を探す人も少なくありません。
建物が中古でも土地の条件で購入する層は問題なく購入するため、土地の条件がよい中古の注文住宅は、新築の建売よりも高い価格で取引されるケースもあります。
一般受けしにくい個性的な注文住宅は売れる?
中古の注文住宅の需要は高まっていますが、「注文住宅でたくさんカスタマイズしたけど、売れるのだろうか?」「売却価格は低くなってしまうのだろうか?」と不安に感じている方もいるでしょう。
結論から言うと、クセのある物件でも売ることは可能であり、できる努力をして高く売れるケースもあります。
たとえば、外観や内観のデザインが明らかに奇抜な建物でも、外観は塗装を依頼し、内観は壁紙を張替えて、印象を変えることも可能です。
また、個性的な部分が功を奏して、高く売れるケースもあります。まずは、個性的な部分を気に入ってくれる買主を探してみて、無理そうならクセのある部分を補修する売り方でもよいでしょう。
不動産の売却は、たった一人でも気に入ってくれる人がいれば問題ありません。悲観することなく自宅のアピールポイントや、場合によっては手を加えた方がよいポイントなどを自分なりにまとめ、不動産会社に相談して売却方法を考えましょう。
注文住宅を高値で売却するポイント6選
注文住宅を高値で売却するポイントを紹介します。
- 老朽化している部分をリフォームや修繕できれいにしておく
- 強みとなる部分を把握して強く訴求する
- 家の外回りをきれいにしておく
- サイトに載せる写真や動画は晴天の日に
- 閲覧者に伝わりやすい写真や動画の撮り方を
- 売却に強い不動産会社を見極める
老朽化している部分をリフォームや修繕できれいにしておく
費用はかかりますが、築古で老朽化しており、必ずリフォームや修繕が必要になる部分は、売却前にきれいにしておきましょう。買ってからリフォームや修繕が必要なのに高値を出して買おうとは思わないものです。
購入後に費用がかかることがわかりきっている物件は、どこか割高でマイナスの印象を与えてしまいます。希望金額でしっかり売りきりたい方は、懸念点を解消したうえで売却を進めましょう。
強みとなる部分を把握して強く訴求する
注文住宅だけに限ったことではありませんが、物件の強みとなる部分は自分で把握して、売却を依頼する不動産会社に強く訴求しましょう。このとき、重要なのは客観的に見てわかる強みと、住んでいたからこそわかる強みを分けて考えることです。
客観的な強みは、ポータルサイトや販売図面に載せて訴求します。住んでいるからこそわかる強みは、不動産会社が実際に買手に会って交渉する際に訴求してもらいましょう。
家の外回りをきれいにしておく
戸建住宅は、庭など家の外回りをきれいにしておくことも大切です。ポータルサイトに物件を掲載していると気になった方が、不動産会社に住所だけ問い合わせてふらっと見に来ることもあります。
内覧は売主にアポイントを取りますが、外観だけの場合はアポなしで来るケースも多いため、外回りが汚いと印象が悪いです。内覧に備えて家の中だけきれいにする方が多いですが、外観でNGだと内覧まで発展しません。
家を売り出す場合は、必ず外をきれいにしたうえで売却を始めましょう。
サイトに載せる写真や動画は晴天の日に
ポータルサイトに載せる写真や動画は必ず晴天の日に撮ってもらいましょう。
マンションの場合はあまり関係ありませんが、戸建住宅は外観や道路づけも大切なポイントとなるため、内観だけでなく外観も必ず写真を撮ります。晴天の日に写真を撮ってもらうことで写真や動画自体もきれいで雰囲気のよい印象を与えられます。
悪天候時の写真とは比べ物にならないほど違いますので、物件の印象をよくし高く売却するために必ず不動産会社に実践してもらいましょう。
閲覧者に伝わりやすい写真や動画の撮り方を
写真や動画を撮ってもらう際にもうひとつ意識してほしいポイントは、閲覧者に対して何を伝えたいのかが明確に伝わるかどうかです。たとえば、庭の広さをアピールしたい場合に、ただ庭だけを写しても広いかどうかは伝わりません。
そのような場合は、少し距離を取った位置から建物と一緒に写したり、プールや屋外テーブルを設置した状態で写したりすると、庭が広いことを伝えられます。
基本的に写真や動画は不動産会社が撮りますが、得意な方は自分で撮ってもよいでしょう。不動産会社に撮ってもらう場合は、撮った写真を都度確認し満足いかない場合は遠慮せず要望を伝えて撮り直してもらいましょう。
売却に強い不動産会社を見極める
売却に強い不動産会社を選ぶことは、高値で注文住宅を売却するための大切なポイントです。会社選びに妥協してしまい、安易に知り合いの会社や近くの会社に依頼してしまうと、「本来はもっと高く売れたのに」という事態になりかねません。
不動産会社選びの際には、実績や評判、手数料などを比較検討し、信頼できる会社を選びましょう。また、不動産会社によっては、物件の価値を上げるアドバイスや、リフォームなどの提案を行ってくれる場合もあります。しっかりと会社を見極め、最大限の利益を得るようにしましょう。
注文住宅を高く売るための過程で利用してほしいのが、不動産の一括査定サイト「リビンマッチ」です。住宅情報などを入力すると、一度に最大6社の不動産会社による査定価格がわかります。
査定価格は実際にその金額で売れることを保証した価格ではありませんが、不動産会社がいくらの価値があると判断したかの目安になります。ぜひ複数社の査定価格を確認して、価格の根拠を尋ねてみましょう。根拠を明確に答えられる会社は、信頼できる不動産会社といえます。
また、査定価格だけでなく、不動産会社とのコミュニケーションも重要です。不動産売却は時間がかかる場合がありますので、信頼できる担当者との関係性が良好であることも大切です。査定価格や提案内容などを踏まえたうえで、自分に合った不動産会社を選び、スムーズな高値売却を目指しましょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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