空き家にかかる税金を紹介!空き家対策は今後ますます強化される?
2023年3月に京都市で全国初となる「空き家税」が2026年より導入されることが決定しました。これは、固定資産税や都市計画税とは別に課税されます。
ますます強化される空き家対策ですが、所有者にとっては負担が大きくなるばかりです。空き家を所有することでかかる負担を把握するために、空き家にかかる税金について解説します。
所有する空き家にどのくらいの税金がかかるのかを理解し、適切な活用をしましょう。
もくじ
空き家にかかる税金
住んでいない家や使っていない家など、いわゆる空き家にも税金は発生します。納税は国民の義務であり、支払うべき税金を滞納すると差し押さえにまで発展しかねません。
空き家にかかる税金は、主に「固定資産税」と「都市計画税」のふたつです。
固定資産税
空き家に限らず、不動産には固定資産税がかかります。
固定資産税は毎年1月1日に不動産を所有している人に納税義務が発生します。固定資産税の納税額の計算式は以下のとおりです。
固定資産税評価額 × 1.4%(標準税率)
固定資産税評価額は3年に1度見直しがされます。また、固定資産税は空き家だけでなく、空き家の土地に対しても発生します。
都市計画税
固定資産税のほかにも、都市計画税も空き家にかかる税金のひとつです。
都市計画税はすべての人が課税対象になるわけではありません。都市計画税は市街化区域にある土地や建物を所有している人に対して、毎年課せられる税金です。
空き家が市街化区域にあるかどうかは、地方公共団体(自治体)や不動産会社に聞いたりインターネットで調べたりすれば確認できます。都市計画税の納税額の計算式は以下のとおりです。
固定資産税評価額 × 0.3%(制限税率)
制限税率の0.3%は市町村によって異なり、最大で0.3%です。都市計画税も空き家の建物とその土地のふたつが課税対象です。
住宅用地の特例措置
固定資産税と都市計画税には「住宅用地の特例措置」というものがあり、要件を満たすと固定資産税と都市計画税の負担を抑えられます。
住宅用地の特例措置に該当する場合、固定資産税評価額が以下のようになります。
固定資産税 | 都市計画税 | |
---|---|---|
200m2以内 | 1/6 | 1/3 |
200m2を超える部分 | 1/3 | 2/3 |
空き家であっても、条件を満たせば「住宅用地の特例措置」が適用されます。ただし、空き家が「特定空き家」に指定されると、特例措置は適用されません。特定空き家の詳細については後述します。
京都市で導入される「空き家税」とは
2023年3月25日に総務大臣が同意したことで、京都市で全国初となる「空き家税」が2026年から導入される予定です。
正式名称は「非居住住宅利活用促進税」で、空き家の売却や利用の促進を目的にしています。税額は空き家の価値や立地に応じて決められ、固定資産税の半額程度となる見込みです。
空き家の活用を促す新税は初の試みですが、空き家対策の抜本的な解決策として注目を集めています。
空き家の税金を抑える方法
空き家の税金を抑える方法について解説していきます。
住宅用地の特例措置が適用される場合
住宅用地の特例措置が適用される場合は、空き家のままにしておくほうが税金を抑えられます。
空き家を更地にすると、空き家(建物)に対する税金の負担はなくなりますが、住宅用地の特例措置の適用がなくなってしまうためです。
空き家を更地にして特例措置が適用されない場合と、空き家があって特例措置が適用される場合の固定資産税の違いを見ていきましょう。
【前提条件】
- 土地の広さ:200m2
- 土地の固定資産税評価額:1,000万円
- 建物の固定資産税評価額:500万円
【更地にする場合】
- 土地:1,000万円 × 1.4% = 14万円
- 合計:14万円
【空き家を残す場合】
- 土地:1,000万円 × 1/6 × 1.4% = 2万3,300円(端数処理、10円未満切り捨て)
- 建物:500万円 × 1.4% = 7万円
- 合計:9万3,300円
住宅用地の特例措置の適用がなくなると、固定資産税評価額にかけられていた「1/6」「1/3」などがなくなります。そのため、空き家を更地にするほうが固定資産税や都市計画税の総額が多くなります。
しかし、空き家を所有し続けるデメリットは少なくありません。詳細は下記コラムを参考にしてください。
特定空き家の場合
前提として、空き家が特定空き家に指定されてしまうと、住宅用地の特例措置が適用されません。つまり、特例措置で固定資産税評価額にかけていた「1/6」「1/3」がなくなるため、固定資産の納税額が最大で6倍になります。
そのため、基本的には特定空き家にならないように注意が必要です。
特定空き家は空家等対策特別措置法で指定された空き家のことで、所有者に対して自治体が行政指導できるようになります。場合によっては、50万円以下の過料を科せられたり、空き家の強制解体とその費用の負担が必要になったりするため注意が必要です。
法律が制定された背景には空き家の放置による建物の倒壊や火災、不審者に利用されるなどといった近隣住民の被害があり、その対策といわれています。そのため、十分な管理がされていない空き家は、特定空き家に指定されてしまうかもしれません。
とはいえ、いきなり特定空き家に指定されるわけではないため、自治体からの指示があればそれに従い、管理状態を改善すれば特定空き家の指定を回避できます。近くに住んでいる人はご自身で、遠方に住んでいる人は管理会社に依頼して、特定空き家を回避しましょう。
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空き家対策は今後ますます強化される
空き家は今後もさらに増える見通しです。
加えて、空き家は放置し続けると周囲の環境に悪影響を与えてしまうため、空き家対策は今後ますます強化されるでしょう。
空き家問題の現状
空き家は、1998年の182万戸に対し2018年は349万戸と、20年間で2倍近く増加しています。
国土交通省 「空き家政策の現状と課題及び 検討の方向性」より
2030年には、470万戸程度にまでのぼると予想されています。国土交通省が、特定空き家の制度を活用し問題を解決しようとしていますが、自治体によってはマンパワーが不足しているため、特定空き家になってからの対応には限界があります。
空き家対策に係る課題や問題意識として、現状の予測では居住目的のない空き家は470万戸程度(2030年)に増加する見込みであり、地方自治体のマンパワー不足等により、除却を中心とした対応や危険な特定空家等になってからの対応では限界があるとした。
今後の空き家対策
2023年3月3日に「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」が 閣議決定されました。空き家対策を強化するために挙げられた項目は以下の4つです。
- 所有者の債務強化
- 空き家等の活用拡大
- 空き家等の管理の確保
- 特定空き家等の除去等
空き家の所有者には、現在は適切な管理の努力義務がありますが、これに加えて国・自治体の施策に協力する努力義務が追加されました。
また、空き家を減らすために、所有者やその家族に「空き家にしない意識」を持ってもらおうともしています。そのために、空き家対策の重要性と空き家のリスクを周知しています。
空き家状態となったあとの取り組みは、空き家の流通・活用の促進です。所有者へ活用を促す取り組みを中心に、活用需要の掘り起こしやマッチングの促進などに取り組んでいます。空き家の所有者だけではなく、空き家となっている土地・建物を有効活用してくれる可能性を秘めている事業へのアプローチも行っています。
早めの対策が必要
空き家対策は早めに行うのがおすすめです。
特定空き家に指定されてしまうと、住宅用地の特例措置が適用されなくなってしまい、固定資産税の負担が最大6倍まで膨れてしまいます。ほかにも、過料や解体と解体にかかった費用の負担などもデメリットです。加えて、空き家を放置し過ぎると、建物の劣化だけではなく、地価の下落リスクもあります。
空き家となってしまった建物、あるいは、空き家になってしまいそうな建物への対処は大きく以下の3つです。
- 代行サービスの利用
- 賃貸にする
- 売却する
空き家管理の代行サービスがあります。空き家となっていても、管理がしっかりとされていて、住宅用地の特例措置の要件を満たせます。代行サービスの利用料は依頼先やサービス内容によって変動するため、確認が必要です。
次に、空き家を賃貸物件にすることです。借主が空き家だった建物を管理してくれるため、特定空き家にはなりにくいでしょう。ただし、賃貸を始めるためにリフォームや清掃を業者に依頼する場合、費用対効果はあまりよくありません。
最後に、空き家の売却です。売却すると空き家の所有権が購入者へ移動するため、空き家の管理責任がなくなり、過料や解体費用の請求もありません。
売却する際に気になるのが売却価格です。売却価格は不動産一括査定サイトの「リビンマッチ」で確認できます。リビンマッチは空き家の情報を一度入力するだけで、同時に複数の不動産会社へ査定の依頼ができます。査定結果を見てから売却をするかどうかを判断できるため気軽に利用できます。
無料で利用できるため、ぜひ活用するとよいでしょう。
大手住宅メーカーの注文住宅販売や不動産テック企業の仲介業務に4年間携わり、不動産取引にかかわった件数は350件以上にわたります。2021年よりリビンマッチコラムの執筆・編集を担しています。皆さんが安心して不動産取引を行えるよう、わかりやすくリアルな情報を発信します。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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