家を壊して更地にする費用を構造別に紹介!安く抑えるコツは?補助金は利用できる?
日本では老朽化した家が年々増加しており、所有者が適切な管理を怠って放置するケースもあります。そのため、地方公共団体(自治体)は、更地にする費用や老朽化した家をリフォームするための補助制度を設けています。
家を壊して更地にする費用の目安や安く抑えるコツを紹介します。また、更地にするメリットとデメリットを把握して、所有している家をどのようにすべきかを考えましょう。
構造別!家を壊して更地にする費用
戸建住宅の構造は大きく分けて、木造・鉄筋コンクリート造・鉄骨造の3種類です。日本では、木造の戸建て住宅が最も一般的ですが、規模が大きかったり、車庫や倉庫などを併設したりする場合は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造が採用されることがあります。
更地にする費用は、家が木造か鉄筋コンクリート造かによって金額が大きく異なります。
構造 | 坪単価の目安(万円) |
---|---|
木造 | 3~7 |
鉄筋コンクリート造 | 6~12 |
鉄骨造 | 5~9 |
たとえば、木造30坪の場合、坪単価を7万円とすると以下の金額が目安です。
解体費用の目安=7万円 × 30坪=210万円
ただし、地域や外構の有無、敷地の条件などによって金額は変動します。
同じように計算して、坪数別の解体費用の目安を下記表にまとめました。
構造 | 30坪 | 35坪 | 40坪 | 45坪 | 50坪 |
---|---|---|---|---|---|
木造 | 90~210 | 105~245 | 120~280 | 135~315 | 150~350 |
鉄筋コンクリート造 | 180~360 | 210~420 | 240~480 | 270~540 | 300~600 |
鉄骨造 | 150~270 | 175~315 | 200~360 | 225~405 | 250~450 |
構造によって金額が異なる理由
構造によって金額が異なるのには、以下3つの理由があります。
- 解体に使用する機械
- 処分する廃棄物の種類
- コンクリートは解体に長い日数がかかる
木造に比べ、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の費用が高くなるのは、建物を壊すのに大きなパワーがある機械が必要なためです。
また、木造の場合、廃棄物は木くずなどで比較的軽量です。一方、鉄筋コンクリートの場合はコンクリートガラなどの重量物を廃棄する必要があるため、費用が高くなる傾向にあります。
さらに、家を壊すとき、コンクリートの解体に最も時間がかかります。木造、鉄骨造であっても基礎はコンクリートで造られていますが、鉄筋コンクリートは最も多くのコンクリートを使用しているため工事日数が長くなり、その分費用がかかります。
費用の内訳
更地にする費用には、家の解体だけでなく、それまでの仮設工事や家周辺の外構解体などにかかる費用も含まれています。
具体的には、大きく分けて5つの項目があります。
項目 | 内容 |
---|---|
仮設工事 |
|
建物の解体費用 |
|
建物周辺外構解体費用 |
|
整地費用 | 平地に整える作業 |
現場管理費 |
|
仮設工事は工事を行うまでの準備、建物の解体費用は実際に家を壊すための費用です。
また、建物や外構構造物の解体では、基礎も解体するため、地面が穴だらけになります。そのため、整地費用がかかります。
更地にする費用が高くなる原因は?
更地にする費用は、家の規模や階数によって左右されます。
さらに、以下のような敷地条件に当てはまると費用が高くなります。
- 家の規模が大きい
- 階数が少ない
- 敷地が広い
- 隣の家と距離が近い
- 前面道路の幅が狭い
- 敷地が傾斜地となっている
- 外構構造物や植栽が多く残っている
- 地中埋没物がある
それぞれについて、詳しく説明します。
家の規模が大きい
家の規模が大きくなればなるほど、更地にする費用は大きくなります。ただし、規模が大きくなると、1坪あたりの単価は安くなる傾向にあります。
たとえば、木造2階建て30坪の解体に100万円がかかったとします。同じように木造2階建てでも、60坪の解体費用が30坪の倍の200万円になるわけではなく、約180万円になります。
階数が少ない
階数によっても、解体費用は変わってきます。
家を壊すとき、最も多くの費用と時間がかかる部分は、基礎と屋根の解体です。
たとえば、木造2階建て30坪と木造平屋建て30坪のケースで考えてみましょう。家全体の坪数は同じですが、平屋は基礎と屋根の面積が2階建ての2倍です。そのため、平屋の解体費用は高くなる傾向があります。
敷地が広い
敷地が広ければ、それだけ整地する範囲が広く、費用が高くなります。
ただし、敷地が広いだけで解体するものがなければ、工事機械を効率的に使用できるため、安くなる可能性もあります。
隣の家と距離が近い
隣の家と距離が近いと、慎重な作業が求められます。
通常は機械が一気に解体するところを、隣の家への影響を考慮して手作業で解体する手間がかかります。そのため費用が高くなり、工事日数も増えます。
前面道路の幅が狭い
前面道路が狭いと、ブルドーザーなどの重機が入ってこれない可能性があります。
その場合、手作業での搬出が必要になることがあるため、費用が高くなります。
敷地が傾斜地となっている
土地の傾斜がきつい場合は、地盤が崩れないような措置をしたうえで工事をする必要があります。
なお、傾斜が緩い場合でも、大型重機の倒壊に配慮して、仮設工事や部分的な手作業での解体が発生する可能性があります。
このような対応が必要なケースでは、費用が高くなる傾向にあります。
外構構造物や植栽が多く残っている
以下のような外構構造物や植栽があると、別途解体費用が必要です。
外構構造物 | 駐車場土間 |
---|---|
カーポート | |
塀 | |
植栽 | 生垣 |
樹木 |
そのため、敷地が広く外構に構造物が多く残っている場合、費用の総額が高くなります。
地中埋没物がある
家を壊す中で、以下のような地中埋没物が発見されるケースがあります。
- 不法投棄されたコンクリート片や瓦、タイル
- 大きな岩石
- 古い井戸
- 家の基礎に使用された杭
重機で掘り起こして撤去する必要がある埋没物もあり、追加費用がかかります。
費用を抑える5つのコツ
更地にする費用を抑えるコツは以下の5つです。
- 自分でできる範囲は処分をしておく
- 自社にゴミ(産業廃棄物)処理場がある解体業者に依頼する
- 解体業者へ直接見積もりを依頼する
- 複数社の見積もりを比較する
- 補助制度を活用する
それぞれについて詳しく説明します。
自分でできる範囲は処分をしておく
更地にする費用には、室内家具の解体や搬出、処分も含まれています。
木造の家を壊す場合、木製の家具であれば分別の手間はないため、無料で処分してくれる業者もあります。
しかし、木や鉄やアルミ、ガラスなどの素材が使われており、処分に分別が必要なものもあります。この場合、解体業者の手間が増えるため、費用が割高になる傾向があります。
家の構造や基礎は、専門作業員でなければ解体できませんが、手で運べる程度の家具については、自分でできる範囲で処分をしておけば、費用を抑えられます。
自社にゴミ(産業廃棄物)処理場がある解体業者へ依頼する
解体工事から出る産業廃棄物の処理は、解体費用の大きな部分を占めます。自社にゴミ処理場を持つ解体業者に依頼すれば、以下のようなメリットがあり、費用を抑えることにつながります。
- 中間処理コストが不要になる
- 廃棄物の運搬費用を削減できる
通常、解体で出たゴミは最終処分場に運ばれる前に、中間処理施設で破砕やゴミの分別などの処理が行われます。しかし自社の処理場で最終処分までの処理が可能であれば、廃棄物の中間処理施設を経由する必要がなくなり、コストダウンにつながります。
また、自社にゴミ処理場があれば、解体現場から最終処分場までの運搬距離が短くなり、運搬費用が抑えられます。
解体業者へ直接見積もりを依頼する
ハウスメーカーや知り合いの工務店などに、更地にする費用の見積もりを依頼できます。
しかし、ハウスメーカーや工務店は、見積もり依頼を受けると解体業者を下請けに付けて、工事を請け負う見積書を作成します。そのため、ハウスメーカーや工務店の工事管理や窓口対応のための費用が上乗せされます。
工事管理や窓口対応をしてくれる分、安心感はありますが、費用を抑えることを優先したいなら、直接解体業者へ依頼するとよいでしょう。
複数社の見積もりを比較する
見積もりは、1社だけでなく複数社に依頼するとよいでしょう。複数社から見積もりを出してもらえば、敷地の特性や更地にする費用の内訳などをより詳細に知ることができます。
また、競争原理が働き、より安く工事を発注できる可能性もあります。
補助金を活用する
市町村などの地方公共団体によっては、更地にする費用や老朽化した家のリフォーム費用の補助制度などが設けられています。
たとえば、茨城県笠間市では「笠間市空家等対策の推進及び空家等の利活用の促進に関する条例」があります。対象の家には、解体費用の2分の1かつ補助金上限額50万円が補助されます。
参考:笠間市「空家等の適正管理について」
また、家を残して活用するためのリフォームについても、補助制度が設けられている市町村があります。
家を壊さないほうがお得なケースもある
家が老朽化すると、更地にしようと考えてしまいがちですが、更地にすることにはメリットとデメリットの両方があります。建物を残したまま売却する方法もあるため、さまざまな選択肢を検討してから方向性を決めましょう。
更地にするメリット
更地にすると、以下2つのメリットがあります。
- 防災上の問題や衛生面の悪化を防止できる
- 建物がない土地を探している人に売却できる
防災上の問題や衛生面の悪化を防止できる
古い家を放置すると、外装材や構造部材の劣化が進み、防災上の問題が生じるおそれがあります。たとえば、倒壊や外壁の落下などが考えられます。
また、老朽化した家が空き家になると、ごみの不法投棄や衛生面の悪化などの問題が生じ、景観や近隣住民の生活環境に悪影響を及ぼすおそれがあります。
更地にすることで、これら防災面や衛生面の心配はなくなります。
建物がない土地を探している人に売却できる
土地を売却するために、古い家を解体するケースもあります。
後ほど詳しく説明しますが、建物付きのまま売却できるケースもあります。しかし、老朽化して価値がなくなった家は、購入後のリフォームや解体が必要です。
そのため、新たに住宅を建てるために、建物が残っていない土地を探す購入層に売却できます。
更地にするデメリット
更地にするデメリットは、以下の3点です。
- 解体費用がかかる
- 土地の固定資産税が高くなる
- 工事中のトラブルに注意
解体費用がかかる
更地にすると不動産購入層が多くなりますが、そのために解体費用という投資が必要です。
家の規模や敷地条件などによって金額に大きな差があるため、安く抑えられればよいですが、条件によっては想定以上の出費がかさむおそれがあります。
土地の固定資産税が高くなる
敷地に建物が建っている場合は、土地の固定資産税に対する特例措置が適用されている場合が多いです。
たとえば、住宅用地であれば、以下の特例が適用されます。
200平方メートルを超える部分(一般住宅用地) | 課税標準 × 3分の1 |
---|---|
200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地) | 課税標準 × 6分の1 |
参考:国土交通省「土地の保有に係る税制」
これらは、居住用の建物が建っている土地が対象です。
そのため、更地にすると、建物が建っていたときに比べて固定資産税が増額する可能性があります。
工事中のトラブルに注意が必要
更地にするための工事は、騒音や振動、ほこりなどのさまざまな問題が発生しやすい状況です。
事前に近隣住民へあいさつをしたり、仮囲いなどの仮設工事を見込んだ見積もりをしたりするなどの注意が必要です。
古い家をそのまま売却できる可能性も
古い家でも、特に以下の2点を満たす場合は、そのまま手放せる可能性があります。
- 屋根や外壁が健全
- 耐震安全性が確保されている
それぞれについて、詳しく説明します。
屋根や外壁が健全
屋根や外壁の外装材が健全であるかどうかで、家の寿命は左右されます。
内装については、劣化していてもリフォームで比較的安価によみがえります。一方、屋根や外壁が健全でない場合は、雨漏りなどで構造躯体まで劣化が進行しているおそれがあり、改修に多額の費用がかかります。
屋根や外壁が、雨漏りやひび割れなどの損傷がなく健全である場合は、構造躯体が損傷している可能性は低いでしょう。そのため、解体せずとも価値があるといえます。
耐震安全性が確保されている
家は耐震安全性は重要なため、現在は耐震基準が法的に定められています。耐震基準がない時代に建てられた家は、耐震安全性を確かめる必要があります。
耐震安全性が確保された家かを判断するには、以下の2点を目安にしましょう。
- 昭和57年以降の建設かどうか
- 耐震補強の施された家かどうか
現在の耐震基準は、昭和56年に制定されました。そのため、昭和57年以降の建設であれば、耐震基準を満たしている可能性が高いです。
また、地方公共団体などが制定している補助制度を利用して、耐震補強を施した家もあります。
昭和57年以降の建設、または耐震補強を施した家であれば、耐震安全性が確保されているといえます。そのため、解体しなくても売却できる可能性があります。
まずは家や土地の価値を正確に把握しよう
更地にする場合、家の構造や規模、階数、敷地条件などによっては多額の費用がかかるおそれがあります。
また、古い家でも、健全で耐震安全性が確保されていれば、価値のあるものと判断される可能性があります。
そのため、まずは現状を正確に把握することが重要です。
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更地にする費用に関するよくある質問
- 更地にする費用の目安は?
- 30坪の場合、木造は90万~210万円、鉄筋コンクリート造は180万~360万円、鉄骨造は150万~270万円が費用の目安です。ただし、地域や外構の有無、前面道路の幅など、さまざまな要因によって金額は変動します。
- 更地にするデメリットは?
- 家を壊す費用がかかるだけでなく、土地の固定資産税が高くなったり、工事中にトラブルが発生したりするおそれがあります。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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