家を売るか売らないかの判断方法と売却のメリット7選デメリット4選
相続や離婚、引っ越しなど人生の節目に「家を売るか売らないか」で悩む方は少なくありません。高いお金を払って購入した不動産ですから、悩むのも当然です。
そこで本記事では、家を売るか売らないかのチェックポイント3選を紹介します。また、売るかどうかの判断基準として、不動産売却のメリット7選とデメリット4選も紹介します。家を売るべきか正しい判断をしたい方は、ぜひ参考にしてください。
もくじ
家を売るか売らないかの判断ポイント
家を売るか売らないかを判断するためのポイントを紹介します。判断に迷ったら、以下を参考にしてください。
引っ越ししたいか引っ越したくないか
単純に、引っ越したいか引っ越したくないかという気持ちの部分も大切です。引っ越さなければならない理由や、逆に引っ越せない理由がないのなら、自分が今後どのように暮らしたいかで家を売るか売らないかを判断するのはどうでしょう。
老後も引っ越さずに、いまの家に住み続けたい場合は、すぐに売却を考えなくてもよいです。しかし、老人ホームへの入居を考えている場合などは売却も視野に入れて今後の生活設計をしていく必要があります。
家を管理できるかできないか
これからも家を管理していけるのかどうかも、家を売るか売らないかを判断するうえで大切なポイントです。
たとえ長年暮らしてきた家だったとしても、歳をとって体の自由が利かなくなると、住みにくさを感じたり、管理が行き届かなくなったりするでしょう。同居する家族がいなければなおさらです。
また、相続した家が遠方にある場合も管理が難しく、放置せざるを得ないこともあるでしょう。自分が年老いたときのことや、次の世代に管理を任せなければならないことなどを考えれば、売却を決断したほうがよいかもしれません。
家の価値が高いか低いか
いまの家の価値を知ったうえで、売却するかどうかを決めるとよいでしょう。
不動産の価値は、不動産の一括査定サイトで査定して確認するのがおすすめです。査定したからといって売却する必要はありません。
一括査定サイトを利用すると1回の情報入力で複数社の査定価格を比較できます。複数社の査定価格の相場をもとに自分が所有している不動産がどのくらいの価値があるのかが把握できるため、査定してもらうことは売却するかどうかのよい判断材料です。
まだ、売却するかどうかを決めかねているという場合でも、一度利用してみるとよいでしょう。
不動産の一括査定サイトリビンマッチでは、大手から中小企業まで全国にある不動産会社の査定価格を確認できます。最大6社から完全無料で査定価格を確認できますので、家の価値を確認したい方はぜひご利用ください。
不動産売却はデメリットばかりではない!意外なメリット7選
不動産売却には複数のデメリットがありますが、デメリットと同じくらいメリットがあるのも事実です。不動産売却の意外なメリット7選は、次のとおりです。
- 相続で揉める心配が少なくなる
- 売却代金を適切に運用すれば、資産の増加につながる
- 処分できなくなるリスクを解消できる
- 売却損の場合はその年の所得税が安くなる
- 売却できれば一度に大金が手に入る
- 固定資産税の支払いが不要になる
- 売却後は維持費がかからない
相続でもめる心配が少なくなる
相続が発生した際には、法定相続人や受遺者(遺贈を受ける人)で遺産を分割する手続きが必要で、遺産にはこの不動産も含まれます。
ただし、遺産の中に不動産が含まれていると、遺産分割を巡ってトラブルになるリスクがあります。不動産は現金のように、簡単に分割できないためです。
しかし、事前に不動産を売却し現金化しておけば分割しやすくなるため、「誰が不動産を得るのか」など、不動産の相続でもめる心配が少なくなります。
不動産を含む遺産は分割が困難
複数の共同相続人で不動産を分割するには、状況に応じて適切な対応策を取る必要があります。
建物が建っていない土地なら分けることも可能ですが、費用がかかるうえに、土地が細分化することで価値が下がるおそれがあります。また、土地だけでなく建物がある場合は、そもそも分割自体が現実的ではありません。
分割には長男などの特定の相続人が不動産を相続し、次男などの別の相続人に対して代償金を支払う「代償分割」という方法があります。たとえば、遺産が3,000万円の価値がある不動産のみだったとします。
長男が相続すれば、次男は何も受け取れず不公平ですから、平等に分けるために長男が次男に代償金として1,500万円を支払います。しかし、1,500万円をすぐに用意するのは難しいかもしれません。その場合は、不動産を売却して現金化したほうがより簡単に遺産を分けられます。
しかし、相続開始後に不動産を売却して現金化するなら売却を急ぐ必要があります。相続税は、相続開始を知った日の翌日から10カ月以内に納付する必要があるためです。売却可能期間が限られているわけですから、希望の売却価格に達しないおそれもあるでしょう。
このような理由から、利用しない不動産を早期に売却することが、相続に関するトラブル要因を解消することにつながるのです。
持分の細分化で処分できなくなることも
法律上の手続きに限っていえば、対象の不動産を共有すればこと足ります。仮に相続人が2人で相続割合が2分の1ずつであるなら、持ち分2分の1ずつの共有として所有権移転登記をすればよいのです。
しかしこの方法は、将来的にさらなるトラブルを生む危険性があります。共有された財産を処分するには、共有者全員の同意が必要なためです。
たとえば、兄弟2人が両親から家を相続し、それぞれ持ち分2分の1ずつの共有として所有権移転登記をしたとします。その後、兄弟の一人が亡くなり、その持ち分がさらにその子どもたちに相続される場合、持ち分が細分化されます。さらに相続が発生し共有持分が細分化していけば、子どもや孫などすべての共有者から売却の同意を得る必要があるため、売却自体困難になる危険性があるのです。
売却代金を適切に運用すれば、資産の増加につながる
不動産を活用せずに所有し続けたとしても、バブル期のような地価の高騰が生じない限り資産の増加はあまり見込めません。仮に土地の価格が上がっても、建物の価値は経年によって減少してしまうからです。
一方で不動産の売却代金を元手に、つみたてNISA(ニーサ)などで適切に資産運用をした場合は、資産の増加につながる可能性もあるでしょう。
そもそも日本は、アメリカやユーロ圏に比べ、家計の資産を投資に充てる割合が少ないとされています。
日本銀行調査統計局の「資金循環の日米欧比較」によると、2022年3月時点の日本の家計における金融資産は2,005兆円でした。そのうちの54.3%を占めているのが現金・預金です。債務証券や投資信託、株式等が占めている割合は、16.0%に過ぎません。
対して、アメリカの現金・預金の割合は、115.5兆ドルの家計資産のうちの13.7%しか占めていません。反対に、債務証券や投資信託、株式等が占める割合は55%です。投資と現金・預金の割合だけでいえば、日本とほぼ真逆の構造ともいえるでしょう。
また、ユーロ圏でも現金・預金の割合は全体の35.4%、債務証券や投資信託、株式等が占める割合は31.5%でした。
このことから、政府は「家計の安定的な資産形成を支援するため」の施策として、投資を推奨しています。2024年には、少額投資非課税制度「NISA(ニーサ)」の拡充を予定しています。
NISAを利用し投資で得た利益を非課税にすることで、資金が増加する可能性が高まるのです。
NISA(ニーサ)の拡充で非課税限度額が増える
NISA(一般NISA)は一般家庭の投資を推進する施策として、2014年に創設された制度です。年間120万円まで投資でき、分配金や譲渡益など投資に対する利益が最大5年間非課税になります。
このほか、投資信託の積み立てに利用できる「つみたてNISA」も用意されており、つみたてNISAは年間40万円まで投資可能で、最大20年間投資で得た利益が非課税になります。
一般NISAとつみたてNISAはいずれか一方しか利用できませんが、2024年にはNISAの制度が改正され、一般NISAに相当する「成長投資枠」、つみたてNISAに相当する「つみたて投資枠」が、どちらも併用可能になります。
一般NISAに相当する「成長投資枠」は年間240万円まで投資可能で、利益に対する非課税限度額は総額1,200万円です。つみたてNISAに相当する「つみたて投資枠」は、年間120万円まで投資可能で、非課税限度額は総額1,800万円です。
通常であれば上場株式の配当金や譲渡益に対しては所得税や住民税など20.315%が源泉徴収される仕組みですから、非課税という優遇措置の恩恵を受けやすくなったといえるでしょう。
処分できなくなるリスクを解消できる
不動産をそのまま所有し続けることは、「将来的に処分が困難になるかもしれない」リスクをはらんでいます。
その顕著な事例が、所有者が高齢になって認知症を患った場合などです。認知症を患って物事の意味を正常に理解するのが難しい状態になると「意思能力がない」と判断され、不動産売却のような重大な法律行為は無効とされます。
所有者に意思能力がないと判断されると、家族を代理人として選任し、所有者の代わりに売却してもらえません。「家族を代理人として選任した」という行為自体、明確な意思をもって決定できない状態にあるわけですから、法律上認められていないのです。
成年後見制度の利用には時間と労力が必要
所有者の意思能力がないと判断されたら、成年後見制度などを利用して「所有者本人を援助する人が、所有者本人に代わって法律行為をする」形を取る必要があります。
成年後見制度とは、家庭裁判所に選任された成年後見人が意思能力のない人の財産を管理したり、本人に代わって法律行為をしたりする制度です。
家庭裁判所に申し立てをしてから、後見開始まで通常でも約1~2カ月の期間を要するうえに、不動産売却のように本人にとって不利益が生じるおそれがある法律行為の際には、行為自体にも家庭裁判所の許可を得る必要があります。
「認知症を患った親の自宅を売却して、安心できる高齢者施設への入居費用に充てたい」という希望で家族が売却を検討するケースも少なくありませんが、手続きには多くの時間と労力を要します。
不動産を売却しておくことは、このような「処分ができなくなるリスク」を解消することにつながるのです。
売却損の場合はその年の所得税が安くなる
売却損が生じた場合は、その年の所得税が軽減されます。売却損とは、不動産を売却したときの価格が、不動産を取得したときの原価よりも下回った場合の差額のことです。
たとえば、2,000万円で取得した建物を1,000万円で売却した場合は、1,000万円の売却損が発生します。長年居住してきた住宅であれば、売却価格が取得したときの価格よりも上回ることはほとんどないため、多くの場合は売却損が生じると考えてよいでしょう。
不動産を売却して利益が出た場合は所得税や住民税がかかりますが、売却損が生じた場合、所得税や住民税はかかりません。そのうえ、売却した年のほかの所得と相殺することで所得税や住民税を軽減できます。
不動産を売却した年に相殺しきれない場合は、翌年以降に繰り越しての控除が可能です。これを繰越控除といい、売却した年の翌年から最長3年間繰り越せます。
なお、繰越控除を適用するには以下のような条件があります。
- その年の1月1日時点で5年を超えて所有している不動産であること
- 対象の不動産が自ら居住していた居宅であること
- 居宅部分の床面積が50m2以上あること
売却できれば一度に大金が手に入る
不動産が売却できれば、一度にまとまったお金が手に入ります。不動産の状態によっては、大金を得ることも可能です。売却で得た資金は、以下のように活用できます。
- 移住する
- 老人ホームへの入居費用に充てる
- 海外旅行を楽しむ
売却によって得た資金を元手に、現在よりも環境のよい土地へ移住したり、住まいの買い替えをしたりできます。これまで快適に過ごしてきた家が、年とともに住みづらくなることもあります。その場合は売却して得た資金で、老後の暮らしに合わせた住まいに住み替えるのもよいでしょう。
老人ホームへの入居を検討している場合は、入居費用に充てられます。海外旅行など、これまでできなかったことやお金に余裕がないとできないことを、この機会に楽しむのもよいでしょう。
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固定資産税の支払いが不要になる
不動産を売却すれば、それ以降は固定資産税がかかりません。自ら居住している場合や借家として貸し出していた場合はもちろん、相続した実家を持て余しているような状態でも、不動産を所有しているかぎり固定資産税はかかります。
固定資産税は、不動産によっては大きな金額になることもあり、家計を圧迫することも珍しくありません。今後も居住する予定や運用する計画がないのであれば、売却してしまうこともひとつです。
そのほか、都市計画税の支払いや修繕、メンテナンスなどの維持費も、売却後は削減できます。
売却後は維持費がかからない
建物は建てて終わりではなく、定期的なメンテナンスや修繕が必要です。
一般的に、新築を建ててから10年程度で一度点検し、その後も10年ごとを目安にメンテナンスをする必要があります。問題がなければよいのですが、大きな修繕が必要な場合、多額の費用がかかってしまいます。
しかし、不動産を売却すれば、修繕やメンテナンスなどの必要はないため、維持費がかかりません。
不動産売却のデメリット4選
気になるデメリットについても、確認しておきましょう。主な不動産売却のデメリットは、次のとおりです。
- 売却価格が購入時より安くなる可能性
- 不動産を担保に融資を受けられない
- 不動産を利用した節税(相続)対策ができない
- 不動産を売却する際に多額の費用がかかるおそれがある
売却価格が購入時より安くなる可能性
不動産の売却価格は一定ではなく、常に変動しています。土地であれば価格が上昇することもありますが、建物は築年数が経過するにつれて年々価値が下がっていきます。
国土交通省の「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」によると、新築戸建て住宅の10年後の資産価値は新築の50~60%です。また、20年後は20%弱、30年後は10%前後です。
資産価値が低いからといって売却価格が0円になることはありません。売却価格は住宅の築年数以外にも、設備や地価、需要と供給のバランスなど、さまざまな要因によって決まるためです。
しかし、中古住宅の売却価格は、一般的に新築時の価格よりも安くなる傾向があるため、資産価値が下がることは売却価格にも影響します。
不動産を担保に融資を受けられない
不動産を所有していれば、その不動産を担保に金融機関からの借入が可能です。不動産を担保にすることで、低金利で高額の融資を受けられる可能性があります。
しかし不動産を売却してしまうと、担保の対象がなくなってしまうため、新たに家を購入するときなど融資を受けたいときに融資を受けられません。審査が下りても希望額を借りられないこともあります。
そのため、将来的にまとまった額の現金が必要になる可能性や、担保がなくても借入ができるかどうかを考えて、不動産の売却を決めましょう。
不動産を利用した節税(相続)対策ができない
不動産を売却してしまうと、不動産を利用した相続税対策ができません。相続税を節税するには、相続税評価額の総額を下げる必要があります。相続財産は現金より不動産のほうが相続税評価額が低いため、相続税を抑えられるのです。
不動産の相続税評価額は、市場価格より低いことが多いことで知られています。相続税評価額が下がると、それをもとに計算する相続税も下がるため、相続税対策としての効果が期待できます。
ところが不動産の売却価格は相続税評価額より高値になる傾向があるため、不動産を売却して現金化すると相続税評価額が上がってしまいます。そのため、不動産のまま相続するときと比べると、相続税が上がってしまうのです。
不動産を利用した相続税対策を考えている場合は、売却を踏みとどまったほうがよいかもしれません。
不動産を売却する際に多額の費用がかかるおそれがある
不動産の売却には、多額の費用がかかることがあります。土地の境界確定をする必要がある場合は、境界確定や測量の費用だけでなく、日数もそれなりにかかります。
土地の広さや形状、隣接地の状況によっては目が飛び出るほどの金額になることもありえます。
また、不動産会社に売却を依頼する場合は、仲介手数料も発生します。不動産売買において、売却する側が負担しなければならない費用もそれなりにあることを覚えておきましょう。
不動産売却経験者に聞いた!不動産を売ろうと思ったきっかけは?
不動産の一括査定サイト「リビンマッチ」を利用して、実際に不動産売却をされた方に、売却のきっかけを伺ったので紹介します。
お互いに戸建ての家を持っていたんですよ。だから結婚するぞ!ってなったときに「家、どうしようか」って話になりましてね。色々話している内に片方に住んで、もう片方を売却するかって話になったんです。
引用:リビンマッチ利用者の声「結婚と不動産売却の道しるべ!新たな家の選択について」
現在住んでいる一戸建ては静かで周りの環境も良いのですが、今後年齢を重ねていくにつれて車がないと不便な環境だったため、より立地の良いマンションに住み替えようと考え、売却を考えました。
引用:リビンマッチ利用者の声「「戸建ての売却はタイミングが重要」」
実家ですし、手放すのももったいないなと、そのままにしていたんですが、流石に15年も無人だと劣化がすごくて。いよいよ手放した方が良いかなと考えたのが最近でした。
引用:リビンマッチ利用者の声「15年間空き家を放置…荒れ果てた状態の住宅を売却することに」
不動産売却される方へのアドバイスは?
同じく、売却経験者からもらった今後不動産売却される方へのアドバイスを紹介します。
スピード感と一呼吸置くことですかね。 連絡が途絶えがちだったり、対応が遅い会社は信用にかけますから。 でもそれだけでなく、自分で落ち着いて判断することも大切だと思いました。
引用:リビンマッチ利用者の声「地元の不動産なかなか売れず…遠方の物件は売れるの?」
不動産売却は大きなお金が動くため、会社選びはとても重要だと思います。私は店舗が自宅や物件に近かったことが決め手になりましたが、会社の対応力や信頼性も重要だと思います。また、何か不安なことがあれば遠慮せずに相談することも大切だと思います。
引用:リビンマッチ利用者の声「【体験談】資産整理で不動産売却!自宅近くの会社と取引」
不動産売却に関するよくある質問
- 不動産売却のメリットは?
- 「相続で揉める心配が少なくなる」「売却代金を適切に運用すれば、資産の増加につながる」「処分できなくなるリスクを解消できる」「売却損の場合はその年の所得税が安くなる」「売却できれば一度に大金が手に入る」「 固定資産税の支払いが不要になる」「売却後は維持費がかからない」などが考えられます。
- 不動産売却のデメリットは?
- 「売却価格が購入時より安くなる可能性」「不動産を担保に融資を受けられない」「不動産を利用した節税(相続)対策ができない」「不動産を売却する際に多額の費用がかかるおそれがある」などが考えられます。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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