店舗売却の手順とポイントを紹介!高値で売れるってほんと?
飲食店などの店舗は住居と違って、売買取引の件数が少ないです。そのため、出回っている情報が少なく、何から始めてよいのか分かりません。
初めて店舗の売却を検討する方向けに、手順やポイントを分かりやすく紹介します。基礎知識を身につけて、店舗を少しでも高く売りましょう。
店舗は需要が減少する一方、価格が上昇している
店舗の価値は上昇傾向にあるため、予想以上に高く売れるかもしれません。まずは、店舗物件の動向について紹介します。
新型コロナウイルスによる経済環境の変化によって、多くの企業や個人事業主の経営が苦しくなりました。そのため、経営不振に陥った事業者は、店舗物件を売却するケースが増えています。
また、テレワークやオンラインショッピングの需要増加により、店舗自体の需要が減少しています。そのため、店舗物件を保有するオーナーが、不動産投資から撤退し、店舗物件を手放すケースが増えています。
ただし、需要が減少する一方で、物件の価格は下落することはなく、むしろ高騰する傾向が見られます。不動産価格指数を見ると、一時的な下落は数回見られるものの、すぐに復調していることが分かります。また、店舗物件に限らずに、2013年頃より不動産全体の価格は上昇傾向です。
国土交通省 「不動産価格指数」 より
そのため、店舗物件を売却するオーナーにとっては、大きな利益が見込めるかもしれません。
店舗を借りずに買う人はどんな人?
店舗を売却するには、当然買い手が必要です。店舗を借りるのではなく、購入する人とは、どのような人なのでしょうか。
自社で長期的に使用し、資産として所有したい人
店舗を借りる場合、家賃や敷金・礼金、共益費などの費用が発生します。これらの費用を払い続けるよりも、自社で店舗を所有し、長期的に使用することで経費を抑えたいと考える人がいます。
不動産投資家
店舗の立地がよいと、安定した家賃収入を得られるため、不動産投資家には魅力的な投資先です。また、購入後にリノベーションやリフォームを行い、再販売することで利益を得る人もいます。
店舗を売却するために必要な準備
店舗を売却するためには、事前準備が必要です。特に必要となる準備を2つ紹介します。
売却の目的を明確に
店舗を売却するときは目的を明確にしましょう。
ビジネスの再編、経営資金の調達、事業の移転など、売却の目的を明確にすることで、売却価格や売却時期などの条件が決まるため、売却計画をスムーズに進められます。
なお、店舗の売却価格は、市場価格や相場、物件の状態や立地条件、事業内容などによって決まります。売却価格の目安を知るには、不動産会社に査定を依頼しましょう。査定依頼は複数社にするのがポイントです。複数社の査定価格を比較検討することで、高値で売却できる可能性が高くなります。
居抜きにするかどうか
店舗を売却する際、居抜きにするべきかどうかは、その物件の状況や売却する目的によって異なります。
居抜きとは、これまで営業していた店舗の内装や設備をそのまま残し、買主がそれらを引き継いで営業を開始することです。居抜きにすることで、買主は初期費用を抑えられ、売主も設備の修繕や撤去などの費用を削減できます。
このような理由から、店舗は居抜きで売却するケースが多いです。
しかし、内装や設備が古くなっていたり、壊れていたりする場合は、修繕や改装が必要になるため、費用がかかることもあります。また、既存の内装や設備が買主のイメージやビジネスモデルに合わない場合には、居抜きにすることのメリットも少ないです。
店舗を売却する際に、居抜きにするべきかどうかは、物件の状況や売却する目的などを総合的に考慮して判断する必要があります。
店舗売却における税金の考え方
店舗売却を検討する際、税金に関する知識は非常に重要です。売却による利益には所得税がかかり、取得費や譲渡費用なども影響を与えます。さらに、所有期間による税率の違いや消費税、不動産取得税、固定資産税など、さまざまな税金の要素を理解することで、より有利な条件での売却が可能になります。以下では、具体的な税金の計算方法や注意点について詳しく説明します。
店舗売却に関わる主な税金
店舗を売却する際には、以下の税金が関わります:
- 所得税
- 消費税
- 不動産取得税
- 固定資産税
これらの税金は売却価格や所有期間によって異なります。所得税は売却利益に課税され、消費税は法人取引で適用されます。不動産取得税は新所有者に発生し、固定資産税は売却前後で精算されます。これらを把握しておくと、売却手続きがスムーズに進みます。
所得税
店舗売却による所得税は、譲渡所得として計算されます。譲渡所得は、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた金額です。
取得費には、購入価格や改装費用などが含まれますが、これが明確でない場合は売却価格の5%を取得費として計上することができます。
譲渡所得は、所有期間によって課税率が異なります。以下の表にまとめました:
所有期間 | 税率 |
---|---|
5年以上 | 長期譲渡所得として優遇税率が適用されます |
5年以下 | 短期譲渡所得として高い税率が適用されます |
譲渡所得税の計算方法
譲渡所得税は、譲渡所得に対して以下の税率が適用されます:
- 長期譲渡所得:課税所得が6,000万円以下の場合、税率は15%。6,000万円を超える部分については20%。
- 短期譲渡所得:税率は30%。
さらに、地方税として住民税(長期譲渡所得の場合は5%、短期譲渡所得の場合は9%)と復興特別所得税(譲渡所得税額の2.1%)が課されます。
取得費
取得費とは、店舗を購入する際にかかった費用を指します。具体的には、購入価格、登記費用、不動産業者の手数料、改装費用などが含まれます。これらの費用は売却時の譲渡所得から差し引くことができるため、正確に把握しておくことが重要です。
もし取得費が明確でない場合、売却価格の5%を取得費として計上することができます。この方法は、購入当時の記録が残っていない場合に有効です。
取得費を正確に計算し、必要な書類を準備することで、税務申告をスムーズに進めることができます。また、取得費を適切に申告することで、譲渡所得税を減らすことが可能です。
譲渡費用
譲渡費用とは、店舗を売却する際にかかる費用を指します。これには、売却活動に直接関連するさまざまな費用が含まれます。以下は主な譲渡費用の例です:
項目 | 内容 |
---|---|
仲介手数料 | 不動産業者に支払う手数料。通常は売却価格の一定割合 |
登記費用 | 名義変更にかかる費用 |
測量費用 | 土地や建物の測量にかかる費用 |
契約書作成費用 | 売買契約書を作成するための費用 |
その他の手数料 | 広告費用や、売却に伴うその他の諸費用 |
これらの費用は、譲渡所得の計算時に売却価格から差し引くことができます。そのため、売却にかかる実際のコストを把握し、正確に申告することが重要です。
正確な譲渡費用の計上により、譲渡所得税を減額できるため、費用に関するすべての領収書や契約書を保管しておくことをお勧めします。また、費用の詳細な内訳を明確にしておくことで、税務調査時にも対応しやすくなります。
店舗売却における譲渡費用をしっかりと把握し、適切に申告することで、税務上のメリットを最大限に活用することができます。
税率
店舗売却における譲渡所得税は、売却益に対して課される税金で、所有期間によって税率が異なります。
長期譲渡所得
- 所有期間:5年以上
- 所得税:課税所得が6,000万円以下の場合は15%、6,000万円を超える部分については20%
- 住民税:5%
- 復興特別所得税:所得税額の2.1%
短期譲渡所得
- 所有期間:5年以下
- 所得税:30%
- 住民税:9%
- 復興特別所得税:所得税額の2.1%
長期譲渡所得の計算例
売却価格が5,000万円、取得費が2,000万円、譲渡費用が500万円の場合
譲渡所得
譲渡所得=5,000万円-(2,000万円+500万円)=2,500万円
所得税
2,500万円×15%=375万円
住民税
2,500万円×5%=125万円
復興特別所得税
375万円×2.1%=7.875万円
合計税額
375万円+125万円+7.875万円=507.875万円
短期譲渡所得の計算例
同じ条件で計算すると
譲渡所得
譲渡所得=2,500万円×30%=750万円
住民税
2,500万円×9%=225万円
復興特別所得税
750万円×2.1%=15万7500万円
合計税額
750万円+225万円+15.75万円=990万7500円
長期譲渡所得と短期譲渡所得の税率はこのように大きく異なり、所有期間が5年以上であれば税負担が大幅に軽減されます。税務申告の際には、これらの税率を正確に適用し、必要な税額を計算することが重要です。
消費税
店舗売却における消費税は、法人間の取引で発生します。個人間の売却では通常、消費税は課されません。消費税は売却価格に対して課税され、現在の税率は10%です。ただし、土地の売却には消費税は課されません。
計算例
売却価格が5,000万円の場合、建物部分の価格が2,000万円とすると
消費税
消費税=2,000万円×10%=200万円
このように、建物部分に対してのみ消費税がかかるため、売却時には建物と土地の価格を明確に分けることが重要です。正確な消費税の計算と申告を行うことで、税務上のトラブルを避けることができます。
その他の税金
店舗売却に際しては、他にも考慮すべき税金があります。以下に主要な税金を挙げます。
不動産取得税
店舗の購入者に課される税金です。税率は都道府県によって異なり、3%から4%の範囲で設定されています。
固定資産税
売却時点での固定資産税は、売主と買主で按分して負担します。これは通常、年間の固定資産税額を日割り計算して精算します。
登録免許税
名義変更や登記手続きにかかる税金で、登記する資産の種類や取引内容によって税率が異なります。例えば、所有権の移転登記の場合、不動産の価額の0.4%が適用されます。
印紙税
売買契約書の作成に伴う税金です。契約書に記載された取引額に応じて、定められた金額の印紙を貼付します。
これらの税金を事前に理解し、売却計画に組み込むことで、予期しない費用負担を避け、スムーズに店舗の売却手続きを進めることができます。
店舗売却の手順
売却する目的が明確になったあとの、店舗売却の具体的な手順を紹介します。
1.不動産会社に相談・査定の依頼
まずは、不動産会社に相談して査定を依頼します。
店舗の売却価格は、立地条件や周辺環境、建物の状態や規模などによって大きく異なります。不動産会社に相談し、査定価格を提示してもらいましょう。
相談は複数の不動産会社にして、提案の内容を比較検討したうえで信頼のできる不動産会社と媒介契約を結びます。
2.媒介契約の締結
媒介契約は、不動産会社と店舗の売主が結ぶ契約です。
媒介契約を締結することで、不動産会社は買主を探したり、契約書を作成したりと、売買契約に向けてのサポートをしてくれます。買主と売買契約が成立すれば、不動産会社への報酬として仲介手数料を支払います。
媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3つがあります。3つの違いは以下にまとめるので、参考にしてください。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
依頼できる会社 | 複数 | 1社のみ | 1社のみ |
買主を自分で探す | 可 | 可 | 不可 |
販売状況の報告 | 義務なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
レインズへの登録 | 義務なし | 7日以内 | 5日以内 |
3.販売活動
不動産会社は、インターネットや紙媒体などで広告を打ち出し、購入希望者を探します。複数の媒体に掲載することで、多くの人にアプローチができます。掲載している媒体は、不動産会社に聞くと教えてもらえます。
販売活動は不動産会社に一任するのが基本的です。売主がすることはほとんどありませんが、媒介契約の種類が一般媒介契約または専任媒介契約であれば、売主が自ら買主を探すことも可能です。
購入希望者が見つかれば、内覧を実施します。内覧に関しても、売主が立ち会う必要はありません。ただ、不動産会社より、実際に店舗を利用していた売主のほうが、物件の詳細には詳しいです。そのため、内覧に立ち会って物件の説明をすることは効果的です。
4.売買契約の締結・引き渡し
購入希望者と契約条件がまとまれば、売買契約の締結へと進みます。売買契約書には、物件の引き渡し日や支払い方法などが明記されます。
無事に売買契約が成立したら、買主から手付金が支払われます。手付金の額は売買代金の10%が相場です。
店舗の引き渡しは、売買契約の締結から数週間後が一般的です。引き渡しの日は買主と売主で決めた日程で、売買契約書に記載があります。引き渡し日は、買主から手付金を除く残りの売買代金が支払われます。代金の支払いが確認されたあと、不動産の所有権移転登記が行われます。これによって、物件の所有権が買主に移転します。
契約書に基づいて、物件の引き渡しや支払いが完了したら、売却手続きは完了です。
店舗売却の成功の秘訣
店舗売却を成功させるためには、以下で紹介する3つのポイントを押さえておくことが大切です。
専門家のアドバイスを仰ぐ
店舗売却には、正しい手順と多くのポイントがあります。「できるところまでひとりで進めよう」とは思わず、売却を検討した段階で専門家に相談しましょう。
店舗を売却するときの専門家としては、不動産会社や税理士、ローンがある場合には銀行などが挙げられます。
適正な売却価格で販売する
店舗に限りませんが、適正な売却価格で販売することが重要です。
売却価格は、高すぎると売却が難しくなり、低すぎると手元に残るお金が少なくなります。「とりあえず、この価格で売り出そう」と安易に価格を決定することのないようにしましょう。
売主が適正な売却価格を判断するのは難しいため、不動産会社の助言を受けつつ、決定しましょう。
物件の魅力をアピールする
店舗の早期売却は、購入希望者に魅力をうまくアピールすることが大切です。
内覧に立ち会い、購入希望者に直接アピールポイントを説明するか、それが難しい場合は、不動産会社にアピールポイントを伝えておきましょう。不動産会社は不動産のプロではありますが、店舗に関しては売主のほうが詳しいはずです。
店舗の使い勝手や周辺環境など、購入希望者に響きそうなアピールポイントをまとめておくとよいでしょう。
この記事は、AIによって構成・本文が作成され、当サイトの編集スタッフによってレビューとファクトチェックを行っています。
大手住宅メーカーの注文住宅販売や不動産テック企業の仲介業務に4年間携わり、不動産取引にかかわった件数は350件以上にわたります。2021年よりリビンマッチコラムの執筆・編集を担しています。皆さんが安心して不動産取引を行えるよう、わかりやすくリアルな情報を発信します。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
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