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マンションを相続したときの手続きを解説。手順ごとの役割と注意すべき点

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マンションを相続したときの手続きを解説。手順ごとの役割と注意すべき点

マンションの相続では、相続人同士との話し合いや、登記、相続税の申告など、複雑な手続きが発生します。さらに相続の発生から相続税の申告までは期間が限られているため、効率よく行うことが大切です。

手続きや提出する書類に不足があると、やり直しが発生して申告期限に間に合わないおそれがあります。マンションの相続を円滑に行うためにも、手続きの内容を確認しておきましょう。

マンション相続の手続きと期限

マンションを相続するときは、次の手順で進めていきます。

  1. 遺言の確認
  2. 相続人調査
  3. 相続財産調査
  4. 遺産分割協議
  5. 相続登記
  6. 相続税の申告

相続が発生してから相続税を申告するまでの期限は10カ月以内です。期限ギリギリで申告すると、訂正があったときに間に合わなくなるおそれがあるため、スケジュールに余裕を持って進めましょう。

①遺言書の確認

マンションの相続が発生したとき、最初に行うのが遺言書の確認です。

財産の相続人と相続の割合は法律によって定められていますが、遺言書は、法律よりも優先されます。遺言書があれば、内容に沿って相続が行われるため、相続人調査、相続財産調査、遺産分割協議は不要です。

ただし、遺言書は法律に基づいて作成されていなければ効力がありません。法的な効力がない遺言書に従って相続を行った場合、あとからトラブルに発展するおそれがあるため注意しましょう。

なお、遺言書に記載されていない財産が見つかった場合は、通常の手順で相続を進めます。

②相続人調査

相続人調査では、財産の相続権を持っているすべての人を明らかにします。財産の相続は、相続人全員の同意があって成立するため、明確にしておく必要があります。

相続人調査は次の手順で進めます。

  1. 被相続人に関連する書類を取得する
  2. 遺言書を確認する
  3. 相続人の身分証明書を確認する
  4. 相続人調査の報告書をまとめる

相続が終わったあとに新しい相続人が現れた場合、相続が無効になるため最初からやり直しです。調査が不十分だと、あとから手間や時間がかかるため、抜けている相続人がいないようにしましょう。

被相続人に関連する必要書類とは

相続人を漏れなく探すには、被相続人の出生から死亡までに関わる戸籍謄本をすべて取得する必要があります。

相続人調査を行うために必要となる被相続人の戸籍謄本は次のとおりです。

相続人調査で必要となる被相続人の戸籍謄本
書類 概要 入手場所
戸籍謄本 戸籍に記載されている全員の身分事項を証明する書類 被相続人の本籍地を管轄する役所
改製原戸籍謄本かいせいげんこせきとうほん 新様式の戸籍へ反映される前の情報が記載されている書類
除籍謄本 転籍や死亡などの理由で戸籍に誰も残っていないことを証明する書類 本籍地が移る前の住所を管轄する役所

本籍地が離れていて直接窓口に行けない場合は、郵送でも取得できます。請求書、手数料、返信用の切手と封筒を入れて送付しましょう。被相続人の代理人として戸籍謄本を取得する場合は、委任状が必要です。

なお、コンビニ交付サービスで取得できるのは現在の戸籍謄本のみです。そのほかの書類は役所で取得します。

③相続財産調査

相続財産調査は、被相続人が残したすべての財産を把握するための調査です。相続財産調査では、不動産や現金などプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も相続の対象です。

相続財産調査の手順は次のとおりです。

  1. 財産の種類を確認する
  2. 財産の評価額を算出する
  3. 財産目録を作成する

財産の調査で漏れがあると、調査から漏れた財産に対して相続の手続きが発生します。申告しない財産があれば、税務署の指摘を受けるおそれがあるため、漏れがないように手順を確認しておきましょう。

①財産の種類を確認する

相続財産調査では、まず被相続人が所有する財産をすべて把握します。

相続できる財産は、現金や預貯金、不動産、株式・債券、貴金属などが一般的です。ただし、資産価値があれば、趣味の道具や収集品なども相続財産に含みます。

また、相続財産のなかにはマイナスの財産も含まれるため、住宅ローンや自動車ローンなどの残債がないかも確認が必要です。被相続人のローン状況は、CICやJICCといった信用情報機関に登録されており、問い合わせれば情報の開示ができます。

②財産の評価額を算出する

被相続人の財産が把握できたら、それぞれの評価額を算出します。

相続税は、財産の総額をもとに算出するため、被相続人の財産が全部でどれくらいの価値があるのかを明確にする必要があります。相続する財産の評価額は、相続税を算出するもとになるため、相続税評価額といいます。

現金や預貯金であれば、額面がそのまま評価額になります。しかし、それ以外の財産は、現金に換算したときにいくらになるのか計算が必要です。評価額の算出方法は財産の種類によって異なり、マンションの場合、建物部分と土地部分で次のように計算して評価額を求めます。

マンションの評価額 = 建物部分の評価額 + 土地部分の評価額
■建物部分の評価額
固定資産評価額×1.0
■土地部分の評価額
土地全体の評価額×持分

マンションの評価額の詳細については関連記事をご確認ください

③財産目録を作成する

相続する財産が明確になったら、すべての財産を一覧にした「財産目録」を作成します。マンションを相続した場合、次の内容を記載します。

  • 財産の種類
  • 所在地
  • 面積
  • 評価額
  • 備考

財産目録の記載ミスはトラブルの原因になりやすいため、間違いがないように記入しましょう。

相続財産調査は弁護士に依頼すると手間がかからない

相続財産の把握が難しい場合は、弁護士への依頼を検討しましょう。弁護士は、依頼を受けた事件の証拠や資料を収集するために、金融機関、企業、官公庁などへの情報の開示請求が法律で定められています。

この制度を弁護士会照会といい、相続財産調査を依頼すれば、金融機関などに対して口座の有無や残高の確認ができます。そのため、被相続人しか知らない財産であっても、すべて明確にできます。

④遺産分割協議

相続人と相続財産が明確になったら、遺産分割協議を行います。遺産分割協議は、被相続人の財産を、誰がどのように相続するかを決める話し合いです。

相続人全員が財産の分割に同意をすれば完了ですが、漏れがあると無効や取り消しになるため注意しましょう。

遺産分割協議の具体的な進め方は次のとおりです。

  1. 遺産分割協議の開催日時を確定する
  2. 相続人同士で財産の分割について話し合う
  3. 取り決めた内容を遺産分割協議書にまとめる

なお、開催日時の確定、協議の進行、遺産分割協議書を作成する人は、相続人同士の話し合いで決めるのが一般的です。

遺産相続分割協議は全員参加が必須

遺産分割協議は、相続人全員が参加しなければ無効になります。スケジュールの確認と調整をして全員が参加できる日時を選びましょう。

電話やメールでも参加できるため、全員が同じ場所にいて顔を合わせている必要はありません。また、「相続人の年齢が低い」「病気が原因で正常な判断ができない」といった理由で参加できなければ、選任した代理人の参加が可能です。

遺産分割協議は、相続税の申告期限に間に合うならいつ行っても問題はありません。

ただし、遺産分割協議の開催が遅くなると、話し合いが難航したときに申告期限に間に合わなくなるおそれがあります。そのため、相続人と相続財産が確定したら、少しでも早いタイミングで行いましょう。

相続財産の優先順位・分割方法の種類

遺産相続協議では、相続人全員が相続財産の分割について話し合います。相続人には優先順位があり、相続できる割合も法律で決まっています。

法定相続人が相続する法定相続分
法定相続人 法定相続分
配偶者と子 配偶者:2分の1
子:2分の1を人数で分ける
配偶者と両親 配偶者:3分の2
両親:3分の1
配偶者のみ 全部
子のみ 全部を均等に相続

ただし、相続する財産はすべてがきれいに分けられるとは限りません。たとえば、評価額4,000万円のマンションと現金1,000万円を配偶者と子供2人で相続する場合、配偶者は2,500万円で子供が1,250万円ずつ分け合います。

しかし、マンションを均等な価値に分割するのは簡単ではありません。そのため、相続では次の方法のいずれかで分割するケースが多いです。

相続財産を分割する方法
分割方法 概要
現物分割 財産をそのままの状態で分割する
代償分割 特定の相続人が財産を相続して、
他の相続人の相続分の債務を負担して分割する
換価分割 財産を売却して現金化してから分割する
共有分割 2人以上の相続人で財産を共有で取得する

それぞれの分割方法の詳細は関連記事をご確認ください。

話し合いで決まらなければ調停や裁判を行う

相続人の話し合いだけで遺産分割協議が解決しない場合は、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てます。遺産分割調停をすれば、相続人の間に調停員と裁判官が入り、解決に向けた話し合いを進めます。

⑤相続登記

相続登記は、マンションの名義人を被相続人から相続人へ移すための手続きです。マンションを相続したあとは、相続登記が必要です。

マンションの相続登記は次の手順で進めます。

  1. 必要書類の取得
  2. 登記申請書の作成
  3. 法務局に提出

マンションの相続登記は、2024年4月1日から義務化され、それ以前に相続した分も対象です。取得した日から3年以内に手続きをしないと10万円以下の過料の対象となるおそれがあるため、忘れずに手続きをしましょう。

相続登記の手続きについては関連記事をご確認ください。

法務局への申請方法は3種類ある

相続登記の書類がすべてそろったら、法務局へ提出します。法務局へ提出する方法は、窓口に直接申請する以外にも「郵送」「オンライン」で申請する方法があります。

相続登記を申請するのは、マンションの住所を管轄する法務局です。現在住んでいる場所から、相続するマンションまでが遠くて窓口へ行けない場合は、郵送かオンラインで申請しましょう。

⑥相続税の申告・納付

マンションの相続登記が終わったら、税務署で相続税の申告と納付を行います。申告と納付をするのは、被相続人の住所地を所轄する税務署です。財産を取得した人の住所地を所轄する税務署ではありません。

相続税を申告するときは、税務署に下記の書類を提出します。

相続税申告に必要な戸籍関係の書類
書類 入手場所
被相続人の戸籍謄本
(出生から死亡までの連続したもの)
被相続人の本籍地を管轄する役所
被相続人の戸籍の附票
相続人全員の戸籍謄本 相続人の居住地を管轄する役所
相続人全員のマイナンバーカード
相続人全員の印鑑証明書
遺言書または遺産分割協議書の写し 相続人が作成
マンションの相続税申告に必要な書類
書類 入手場所
固定資産税課税明細書 マンションの名義人の住所
(紛失時は、不動産がある住所を管轄する役所で名寄帳なよせちょうの写しを交付)
登記事項証明書 不動産がある住所を管轄する法務局
(オンラインでも取得可能)

期限ギリギリに申告をすると書類の不足や訂正などで期限が過ぎてしまうおそれがあるため、余裕をもって申告をしましょう。

また、相続税の申告と納付は同時に行う必要はありません。相続発生から10カ月以内であれば申告から納付までの期間が空いていても手続きは完了します

マンションの相続に悩んだら査定をしてみる

マンションを相続すると、評価額によっては相続税がかかります。また、相続したあとも税金や管理費などの維持費がかかるため、金銭的な負担から相続放棄を検討する場合があるかもしれません。

マンションを相続すべきか悩んだら、査定を行ってみましょう。マンションの価値が相続前にわかっていれば、相続すべきかどうかの判断もしやすくなります。

マンションの査定をするなら一括査定サイト「リビンマッチ」が便利です。

一度の査定で、最大6社の不動産会社に依頼ができるため、売却価格の比較が短期間でできます。また、相続したあとに売却する場合も、不動産会社と話を進めていれば早期売却につながる可能性が高いです。ぜひご利用ください。

この記事の編集者

リビンマッチ編集部 リビンマッチ編集部

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