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マンションの相続放棄の手順や注意点

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マンションの相続放棄の手順や注意点

被相続人(亡くなった人)が残したマンションの相続は、相続放棄をすれば回避できます。ただし、相続放棄には期限があったり、相続放棄をしてもマンションの管理義務があったりと注意すべき点もあります。

マンションの相続放棄を円滑に行うために、手順と注意点について確認しておきましょう。

マンションを相続放棄する手順

マンションの相続放棄は、下記の手順で進めます。

  1. 相続放棄申述書を作成する
  2. 添付書類を取得する
  3. 家庭裁判所にする
  4. 相続放棄申述受理通知書を受け取る

相続放棄の申述しんじゅつ先は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。マンションの住所を管轄する家庭裁判所ではありません。

申述とは、裁判所へ申し述べることをいいます。相続放棄では、申請とほぼ同じ意味で使われます。申述先や手順を間違えると、相続放棄の完了までに時間がかかってしまうことがあります。手続きに不安のある人は、弁護士または司法書士に依頼しましょう。

なお、マンションの相続に必要な手続きは関連記事をご確認ください。

1.相続放棄申述書を作成する

相続放棄申述書は、相続放棄を家庭裁判所に申述するときに提出する書類です。用紙は家庭裁判所のWebサイトから入手できます。相続放棄をする人が18歳以上の場合と、18歳未満の場合で書式が異なるため、必要なほうを選択してダウンロードしましょう。

また、相続放棄申述書は全国の家庭裁判所の窓口で直接受け取ることも可能です。相続放棄申述書を取得したら、書式の記入例をもとに内容を漏れなく記入します。相続放棄について家庭裁判所から申述人へ連絡することがあるため、情報は正確に書きましょう。

相続放棄申述書には、手数料として800円分の収入印紙を貼付します。1枚目の右上に貼る場所が指定されているため、貼り忘れや貼り間違いがないよう注意してください。

2.添付書類を取得する

相続放棄の申述には、相続放棄申述書とあわせて下記の添付書類が必要になるため準備しておきましょう。

■配偶者・子が相続人

  • 申述人の戸籍謄本(あるいは戸籍の全部事項証明書)1通
  • 被相続人の住民票の除票(あるいは戸籍の附票)1通
  • 被相続人の死亡の旨が記載された戸籍謄本 1通

【代襲相続人の場合】

  • 被代襲者(本来の相続人)の死亡の旨が記載された戸籍謄本 1通

■直系尊属(父母・祖父母等)が相続人

  • 申述人の戸籍謄本(あるいは戸籍の全部事項証明書)1通
  • 被相続人の住民票の除票(あるいは戸籍の附票)1通
  • 被相続人の死亡の旨が記載された戸籍謄本 1通

【代襲相続人の場合】

  • 被代襲者(本来の相続人)の死亡の旨が記載された戸籍謄本 1通

■兄弟姉妹が相続人

  • 申述人の戸籍謄本(あるいは戸籍の全部事項証明書)1通
  • 被相続人の住民票の除票(あるいは戸籍の附票)1通
  • 被相続人の出生時に初めて載った戸籍謄本から死亡の旨が記載された戸籍謄本まで、被相続人が載っている戸籍謄本すべて 各1通
  • 直系尊属が死亡している場合は死亡の旨が記載された戸籍謄本 各1通

【代襲相続人の場合】

  • 被代襲者(本来の相続人)の死亡の旨が記載された戸籍謄本 1通

戸籍関係の書類は、被相続人と申述人との関係によって提出するものが異なります。間違った書類を提出すると相続放棄が認められないため、必要な書類はよく確認しましょう。

3.家庭裁判所に申述する

必要な書類がそろったら、家庭裁判所に申述します。申述は、郵送でも持参でも受け付けています。申述したあとに裁判所から申述人へ郵送で連絡が来ることがあるため、470円分の切手(84円5枚、10円5枚)を同封しましょう。申述が終わると、後日裁判所から「相続放棄照会書」「相続放棄回答書」が届きます。

相続放棄照会書には、財産放棄についての確認事項が記載されており、相続放棄回答書に確認した答えを記入して、裁判所に返送します。相続放棄回答書には返送期限が設けられているため、期限に間に合うように対応しましょう。

4.相続放棄申述受理通知書を受け取る

相続放棄が受理されると、裁判所から申述人へ相続放棄の手続きが完了したことを通知する「相続放棄申述受理通知書」が届きます。相続放棄申述受理通知書は再発行ができません。大切に保管しておきましょう。

なお、相続放棄したことを第三者へ証明する場合は、申述をした裁判所で交付される「相続放棄申述受理証明書」を提出しましょう。

マンションを相続放棄するときの注意点

マンションを相続放棄する場合は、下記の点に注意しましょう。

  • 相続放棄の期限は3カ月以内
  • マンションだけを選んで相続放棄できない
  • 相続人全員が相続放棄しても管理義務が残る

相続放棄は、一度受理されたら原則として撤回できません。注意点をよく確認しておきましょう。

相続放棄の期限は3カ月以内

相続放棄ができるのは相続が開始したことを知った日から3カ月以内です。この期間は「熟慮期間じゅくりょきかん」とも呼ばれています。熟慮期限を過ぎると、単純承認という扱いになり、遺産を相続することになります。

なお、遺産分割協議や相続財産の調査などで、相続放棄が熟慮期間中に間に合わない場合は、家庭裁判所に熟慮期間の延長を申し立てることで、1~3カ月ほど延ばせることがあります。

マンションだけを選んで相続放棄できない

相続放棄は、被相続人が残したすべての財産の相続を放棄することです。そのため、マンションの相続を放棄して、預貯金だけ相続することはできません。ただし、マンションは売却すれば現金化ができるため、相続放棄の決断をする前に一度、不動産会社に査定を依頼してみましょう。

一括査定サイトの「リビンマッチ」で必要な情報を入力すれば、最大6社の不動産会社に一括で査定を依頼できます。短期間で査定価格を比較できるため、熟慮期間内に判断することも可能です。受付は365日対応していますので、ぜひこの機会にご利用ください。

なお、相続したマンションを売却するには、登記変更が必須です。手続きは関連記事をご確認ください。

相続人全員が相続放棄しても管理義務が残る

「相続しても誰も住まない」「持っているだけで維持費がかかる」といった理由から、相続人全員がマンションの相続を放棄する場合があります。しかし、相続人がいないからといって、マンションの管理義務が完全になくなるわけではありません。相続人がいないマンションの管理は、法律によって下記のように定められています。

第九百四十条

相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始められるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。

引用:e-Gov法令検索「民法│第九百四十条」

つまり、相続人全員がマンションの相続を放棄した場合は、相続する人が現れるまで管理義務が残り続けるのです。固定資産税の納付やトラブルが発生した場合は、相続人全員が責任を持って対応します。

相続財産管理人がいれば管理義務を任せられる

相続人がマンションの管理義務を免れる方法のひとつに、相続財産管理人の選任があります。相続財産管理人は、被相続人の財産を相続人の代わりに管理、清算をする人です。

選任された相続財産管理人にマンションの管理を引き継ぐことで、相続人は管理義務から解放されます。ただし、相続財産管理人の選任には、家庭裁判所への申し立てが必要です。

また、マンションの清算までにかかった管理費や経費、相続財産管理人に対する報酬等の支払いが必要になるため、金銭的な負担が増えるおそれがあります。

相続放棄したほうがいいマンションの特徴

相続したマンションに住む予定がなくても、売却すれば現金化できます。しかし、マンション売却は、買主が見つからなければ成立しません。条件の悪いマンションを相続してしまうと、いつまでも買主が見つからず、維持費を払い続けることになります。売却が難しいマンションには、次のような特徴があります。

  • 自主管理をしている
  • 築年数が古い
  • 立地が悪い

それぞれの特徴について確認しておきましょう。

自主管理をしている

売却が難しいマンションの特徴のひとつが「自主管理」です。マンションの自主管理は、共用部分の管理や長期修繕計画の作成、修繕積立費・管理費の徴収を外部の管理会社に委託せず、住民たちだけで行っていることを指します。

管理会社に委託しているマンションと比較して管理や修繕が適切に行われておらず、老朽化が進んでいるケースも少なくありません。将来的な資産価値も期待できないことから、住宅ローンの審査にも通りにくいため買主が見つかりにくいのです。

ただし、売却価格を相場よりも下げることで自主管理をしているマンションであっても売れることがあります。不動産会社に一度相談してみて、売却が難しそうであれば相続放棄を検討してみましょう。

築年数が古い

マンションは築年数が古くなるほど売却が難しくなる傾向があります。原因となるのが住宅ローン控除の適用です。住宅ローン控除は、住宅ローンを組んで住宅を購入した場合、年末時点での住宅ローン残高の0.7%が所得税や住民税から控除される制度です。

住宅ローン控除が適用されるのは、登記簿上の建築日付が1982年1月1日以降の家屋になるため、それ以前のマンションを購入しても適用されません。税金の優遇がないことから、買主が見つかりにくい原因のひとつとなっています。

そのほかにも1981年6月1日以前に建築確認申請が受理されているマンションは、旧耐震基準が適用されており、新耐震基準よりも基準が低いなど、耐震強度の問題から売却が難しくなっています。

築年数が古くても、計画的な修繕と耐震補強工事が実施されていれば売却できる可能性はあります。しかし、そのような対策がされていないようであれば、相続放棄を検討しましょう。

立地が悪い

マンションを売却する際、とくに重要な要素が立地です。首都圏や地方都市では、電車で移動する人が多いため、多少築年数が古くても、駅から近いマンションは高値で売れる可能性があります。

一方、駅から距離があり、スーパーや薬局、役所など生活に必要な施設が周辺にない場合は、買主が見つかりにくい場合があります。将来的に発展する地域であれば、資産価値が上がる可能性がありますが、そうでない場合は相続放棄も検討しましょう。

マンションを相続放棄する前に一度査定を

首都圏の中古マンションの価格はここ数年で上昇傾向にあります。そのため、多少条件が悪いマンションであっても、販売価格を下げることで買主が見つかることもあります。

マンションの相続が発生したときは、相続放棄を行う前に不動産会社に査定を依頼してみましょう。一括査定サイト「リビンマッチ」なら、一回の入力で最大6社の不動産会社に査定を依頼できるため、売却価格の比較が簡単にできます。ぜひこの機会にご利用ください。

この記事の編集者

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