家を持たないアドレスホッパーとは?メリットデメリット、生活費用も解説
アドレスホッパーとは特定の住居を持たずに、その日の気分に合わせて移動しながら生活を送る人のことです。移動した場所によってホテルやゲストハウス、マンスリーマンションなど宿泊場所を変えて生活しています。
「アドレス(住所)をホッピング(転々)する」から作られた造語で場所を問わず仕事ができるフリーランスに人気のライフスタイルです。
本記事では、そんな家を持たないアドレスホッパーの生活に興味がある方へ向け、その利点と欠点、生活費用の情報と、家を持たない生活をするかどうかの判断材料を提供します。
もくじ
アドレスホッパーとノマドワーカー、デュアラーとの違い
アドレスホッパーに似ているライフスタイルとして「ノマドワーカー」「デュアラー」という単語があります。
ノマドワーカーとの違い
ノマドワーカーは特定の働く場所を持たず、自分で働く場所を決めている人のことです。「ノマド」という言葉は「遊牧民」という意味があり、働く場所に制限がない点はアドレスホッパーと同じですが、住居に関しては定義されていません。
ノマドワーカーはコワーキングスペースやカフェ、インターネットカフェなど、さまざまな場所で仕事をしています。都心部ではノマドワーカーが快適に過ごせるコワーキングスペースも増えています。
デュアラーとの違い
デュアラーは「デュアル(二重)」という英単語が語源の生活拠点が2カ所ある人です。たとえば、平日は東京や大阪といった都心部で働いて、週末は地方の田舎で生活を送るライフスタイルです。
デュアラーは趣味を重視した生活を送りたい人が多く、地方の田舎で釣りやハイキング、農業、サーフィンなど、自分の好きなことに没頭できる生活環境をつくれます。
アドレスホッパーのメリット
アドレスホッパーのメリットは次のとおりです。
全国、海外どこにでも住める
アドレスホッパーは住居の場所を1カ所に限定しないので、全国の都会から田舎、さらには海外でも生活できます。住居先によっては天気のよい日に山や川などの自然豊かな場所で、のんびり過ごすこともできます。
定住しないため、住居を移動するたびに新しい人と出会えるでしょう。さまざまな人と出会ってコミュニケーションを取ることで、自分の視野や可能性が広がる機会を得て、常に新鮮で刺激がある生活を送れます。
ミニマリストになれる
アドレスホッパーを経験した人に共通するのが、本当に自分に必要な物だけを所有するミニマリストになる点です。
家を持つライフスタイルは1年以上着ていない服や試供品、読まない本など不要な物、余計な物を所有しやすいです。しかし、アドレスホッパーは常に生活先を変えるため、自然と必要最低限の物を自分で取捨選択ができる力が身につきます。
生活費や固定費を抑えられる可能性がある
家を持たないということは、今まで当たり前のように支払っていた生活費や固定費を抑えることにつながります。たとえば家賃や、光熱費、インターネット料金、駐車場代などが不要になるため、固定費用を抑えられます。
実際に沖縄でアドレスホッパーをしている方に開始前後の生活費を確認してみました。(はみ出した表内の文字は横にスクロールできます)
内訳 | 開始前(円) | 開始後(円) |
---|---|---|
家賃・宿泊費 | 7万 | 4万2,500 |
食費 | 5万2,000 | 5万5,000 |
交通費 | 8,000 | 2万3,000 |
医療費 | 6,500 | 7,300 |
通信 | 3,200 | 3,500 |
日用品・雑費 | 2万1,000 | 2万4,000 |
合計 | 16万700 | 15万5,300 |
内訳費用はあくまで参考ですが、アドレスホッパーの生活費は10万〜20万円に収まる人が多いです。宿泊施設や食費、交通費に占める割合が多いので、生活の工夫次第で開始前よりも支出を抑えることが可能です。
たとえば、ゲストハウスであれば一泊約1,500円で二泊目以降は約1,300円になるサービスを展開しているところもあります。特に地方のゲストハウスであれば、連泊することで割引きされることが多いので、うまくやりくりすると家賃・宿泊費を大幅に下げることができます。
隣人と合わなくても、すぐ引っ越せる
移動した先で「この隣人さん、苦手なタイプだな」と思っても、すぐに引っ越せます。万が一近隣トラブルが発生しても、アドレスホッパーには関係ありません。
持ち家のある暮らしと違い、必要に応じて宿泊施設を変えられるため、近隣トラブルに巻き込まれずに済みます。
アドレスホッパーのデメリット
アドレスホッパーのデメリットは次のとおりです。
荷物の受け取りなどが面倒
郵便物や荷物などの受け取りが面倒になる点があります。しかし、全国にある郵便局の窓口で郵便物などを受け取れる郵便私書箱を利用したり、コンビニエンスストアや駅などを荷物の受取先にできたりと、以前よりはスムーズに荷物を受け取れます。
また、定住していないため確定申告に必要な住民票の登録も難しくなります。回避策として実家や友人宅、住所登録ができるシェアハウスなどの住所を使って住民票登録をされている方が大半です。法律的には好ましくありませんが、だからといって、実際に問題になることはいまのところありません。
住民基本台帳法に住所変更があれば転入転出届を出さなければならないと記載がありますが、アドレスホッパーが移動するたびに住民票の変更するのは現実的ではないからです。そのため、実家やシェアハウスサービスの住所にしておくことで基本的に問題ない形になっています。実際に、沖縄のアドレスホッパーの友人は住所を大阪の実家にしています。
住民票に記載した住所で住民税や所得税が計算されるため、定住先がなくてもどこか住所登録可能な場所で住民票を登録しましょう。
好きな物に囲まれた生活が難しい
移動しながら生活を送るため、自分が好きな物に囲まれた生活は難しくなります。
好きな物を収集して眺めるのが好きなコレクターの方、好きな物に囲まれた生活を好むマキシマリストの方は、アドレスホッパーになると必要最低限の物で生活することになるため、満足して生活できないかもしれません。
宿泊費や交通費が増える
アドレスホッパーは、移動するたびに宿泊滞在費や交通費がかかります。移動頻度が多かったり、宿泊費が高かったりすると、定住よりも費用負担が増えることも多いです。
一泊2,000〜3,000円の低価格のホテルに1カ月宿泊しても、月6万円〜9万円はかかります。都心部でもエリアによっては、一般的なマンションの賃貸料とほぼ同じ費用になることもあります。
銀行から信用されにくい
アドレスホッパーになると、クレジットカードを作成しにくくなったり、ローンを組めなくなったりします。審査項目に賃貸か持ち家かという選択があるように、定住先がないと経済的余裕がないのではと考えられ、審査に落ちる確率が高まります。
そのため、アドレスホッパーとして生活を開始する前に、必要な場合はクレジットカードを作成したり、ローンを組んだりしておきましょう。
家を持たない「アドレスホッパー」になるか迷ったら
家を持たない「アドレスホッパー」になるか迷ったら、下記の行動を取りましょう。
家を持たない暮らしを体験する
アドレスホッパーになる踏ん切りがつかない人もいるでしょう。その場合は、約1〜2週間のお試しでアドレスホッパー体験をしてみましょう。
家を残しながらゲストハウスやカプセルホテルを利用して、自分がアドレスホッパーとして生活できそうか見定めましょう。
本格的にアドレスホッパーになることを考え出したら、アドレスホッパー向けのコリングサービスを利用するのがよいでしょう。コリングとは英語で「Co-Liiving」と表記し、複数人が仕事場所と居住場所を共有することです。
コリングサービスを利用すると、毎月定額料金で都市や地方の宿泊施設に住めます。なお、代表的なコリングサービスは、次のとおりです。
- unito(ユニット)
- ADDress(アドレス)
- Hafh(ハフ)
- Hostel Life(ホステルライフ)
いまの家の価値を確認する
アドレスホッパーになるかどうかの判断材料として、いま住んでいる家の価値を確認してみるのもおすすめです。住んでいる家の価値が高ければ、売却したり賃貸に出したりして得たお金で、アドレスホッパーとしての生活費に充てられるためです。
家を持たずに移動し続ける生活は、交通事故に遭う確率や貴重品の盗難、紛失のリスクが高まります。貯金額を増やして万が一のためのお金を安全な場所に預けておけば、思わぬトラブルにも冷静に対処できるでしょう。
高齢化社会が進む日本では人口減少の傾向が続いており、家の供給過多に陥っています。そのため今後、家の価値は下がるおそれがあります。
いまの家を有効活用し理想的な家を持たない暮らしを実現するためにも、早い段階で家の価値を確認しておきましょう。
家の価値を確認するなら不動産の一括査定サイトがおすすめ
家の価値を確認するなら、不動産の一括査定サイトを利用するとよいでしょう。
不動産会社の査定価格は数百万円単位の差が出ることがあります。そのため、特定の不動産会社に査定依頼するよりも、複数社に査定依頼をして、相場感を確認しておいたほうが高く売却しやすいです。賃貸として出す場合も、需要があるかどうかの判断材料にできます。
また、1社ずつ査定依頼をすると手間がかかるため、一度で複数社に査定依頼できる一括査定サイトを利用したほうが便利です。
無料で使える一括査定サイトで複数社の査定価格を確認して、家をどうするか、アドレスホッパーになるかどうか判断しましょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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