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芸能人にも人気の「タイ移住」その現実とは?利点や欠点、対策を解説

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芸能人にも人気の「タイ移住」その現実とは?利点や欠点、対策を解説

外務省が公表した2022年度(10月)の「海外在留邦人数調査統計」によると、タイでは約8万人もの日本人が暮らしています。タイの首都バンコク在留の日本人数は世界の都市でみても、アメリカのロサンゼルスに次いで2番目に多いです。

また、イオンや東芝、NTTなど約6,000社の日本企業がタイ進出を果たしている(参考:日本貿易振興機構(JETORO)の「タイ日系企業進出動向調査2020年調査結果(2021年3月)」)ほか、芸能人のマツコさんも移住先として検討(参考:2022年8月8日放送の日本テレビ「月曜から夜ふかし」)するなど注目度の高さが伺えます。

しかし、タイ在留の日本人が多ければ、それだけ「タイ移住を後悔した」「タイ移住は悲惨だった」といったネガティブな情報が多く集まるため、実際はどうなのか気になる人も多いでしょう。

そこで本記事では、タイのバンコクに移住して7年以上の在住者が、実際はどうなのか客観的視点から、タイ移住のメリットとデメリット、デメリットの対処法を紹介します。タイ移住を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

タイ移住の利点5選

タイで暮らす日本人は、日本の企業から派遣された駐在員とその家族、タイの日本企業などで仕事するため移住した現地採用者、老後の居住先として移住した人などです。

さっそく、タイに移住するメリットを見ていきましょう。

地域によっては日本より物価が安い

タイは日本と比べて物価が安いといわれていますが、すべてが日本より安いわけではありません。しかし、交通費や食費、住居費などは安いといってよいでしょう。

2023年2月現在ではタクシーの初乗りは35バーツ(136.5円。1バーツは3.9円で計算。以下同様。)で、タイ料理の食堂では日本人に人気のカオマンガイが40バーツ(156円)前後で売られています。

タイのカオマンガイ

タイのカオマンガイ

バンコクのコンドミニアムの賃料は築年数やエリアなどにもよりますが、1ベッドルームで約1万バーツ(3万9,000円)~1万5,000バーツ(5万8,500円)です。

一方、日本食レストランやスーパーマーケットの日本食品の価格は日本と同程度から約3倍です。また、多くの日本人が暮らすバンコクのトンローなどの高級住宅街にあるコンドミニアムの賃料は、そのほかのエリアの約3倍です。

日本に居住するのと同じ生活をすると物価は日本より高くなりますが、生活の仕方によってはタイで最も物価が高いバンコクでも日本より安い生活費で暮らせます。

医療レベルが高い

タイの医療レベルは、アジアではトップレベルといわれています。タイの有名私立病院の医師はアメリカなどの医療先進国に留学経験がある方も多いため、先進技術の知識も豊富です。

国際的な医療施設の第三者評価機関のJCI(Joint Commission International)に認定されている病院の数は世界で4番目となり、日本の病院数の2倍以上です。

タイの病院は以下の2種類に分けられ、それぞれ特徴が異なります。

公立病院
社会保険が適用されて安い治療費で診察が受けられる
私立病院
高水準の医療レベルやサービス、ファシリティ施設を備えている

多くの外国人が利用するのは私立病院ですが、その理由としては、すべてが高水準レベルと通訳が常駐して言葉の心配がないことが挙げられます。

有名私立病院は費用が高額で、安い費用で診療ができる公立病院の医療レベルも悪くないため、公立病院を利用する外国人もいます。

しかし、タイ語しか通じない場合があるため、タイ語が上級レベル以外の方は日本人通訳が常駐する私立病院のほうが安心でしょう。

なお、日本人通訳が常駐する病院の一例です。

温暖な気候の中で生活できる

タイの季節は最も暑い暑季と雨季、乾季の3つです。この中では乾季は雨が降らず気温も低いため、日本人にとっては最も過ごしやすい季節です。

乾季の時期は北部のチェンマイやチェンライなどは朝晩冷え込みますが、バンコクでは最低気温が20度以上です。

タイで最も暑くなる暑季の数カ月以外は温暖な気候の中で生活できるため、衣服は日本のように季節に合わせたアイテムをそろえる必要がありません。反対に、日本ならではの四季に合わせた服装を楽しみたい方にとっては、デメリットともいえるでしょう。

外国人たちと出会えるチャンスがある

タイは外国人旅行者が訪れるだけでなく、日本人以外にもアジア人や欧米人などいろいろな人が暮らす国です。特に欧米から移住してきた多くの人たちは、国にこだわらず友人関係を築きます。

他国の人たちとは、同じ住居やタイ語学校などの習い事教室、共通の趣味などで出会えるチャンスがあります。日本では外国人との出会いのチャンスが少ないかもしれませんが、多種多様な国の人と仲良くなれる機会が豊富にあるのがタイです。

簡単に近隣諸国へ移動できる

タイはミャンマーとマレーシア、カンボジア、ラオスの4つの国と国境が接しています。せっかくタイに暮らすなら、近隣諸国へ旅行しましょう。

国境を越えるだけでタイとは異なる文化や言葉に触れられるのは、海に囲まれた日本では体験できないことです。交通手段は飛行機やバスなどで、バンコクからは国境が接するカンボジアのポイペトまではバスで約4時間、またイサーン地方を旅行してそのままラオスに入ることもできます。

バンコクの空港からは、LCCが近隣諸国に頻繁に運航しています。そのため移動費用が安く、日本の国内旅行の感覚で気軽に旅行できます。

タイ移住の欠点6選とその対処法

タイ移住にはメリットがありますが、日本と異なる環境も多く、現実を知るほど移住を後悔して、中には悲惨な生活を送る人がいるのも事実です。

移住して初めて気づくこともありますので、後悔しないためにしっかり準備して移住に備えましょう。

英語が通じにくい

英語が通じるのは外国人が利用する施設に限られて、それら以外ではほとんど通じません。

しかし、タイは外国企業が多いためそこで働く人は英語が必須です。また、外国人旅行者や移住者が多いため、日本では英語が通じにくい銀行や病院などでは、英語で意思疎通できます。

翻訳アプリを利用して対処

英語が通じない場合は翻訳アプリを利用するのがよいでしょう。

使い方のコツは、なるべく短い言葉を翻訳することです。長い言葉では違う意味に翻訳される場合があります。

治療費と入院費が高い

タイは同じ治療をしても病院によって金額が異なります。公立病院を利用すれば安い費用で治療を受けられますが、タイ語が堪能でないと症状や希望する治療方法を正しく伝えられません

そのため多くの外国人は、通訳が常駐する私立病院を利用しますが費用は高額です。金額は治療や入院の状況にもよりますが、額面で日本の約3倍です。

保険に加入して対処

タイで働く方は会社が加入する医療保険に加入すれば保険で支払えますが、リタイアして暮らす方などは自分で保険に加入する必要があります。

日本に住民登録があり1年に1回以上日本に帰国する方であれば、保険会社の海外旅行傷害保険やクレジットカードに付帯されている保険が使えます。しかし、帰国しない方は現地の医療保険に加入するとよいでしょう。

下記はタイの保険会社の一例です。

交通事故死の確率が高い

首都バンコクでは毎日のように事故が起きています。

WHO(世界保健機関)の「Global status report on road safety 2018」によると、2016年時点のタイの交通事故死亡率は175カ国のうち9位とアジアでは最悪の順位です。日本が164位で人口10万人あたり4.1人の死亡数なのに対し、タイでは人口10万人あたり32.7人の死亡数と日本より約8倍も多い計算です。

新型コロナウイルス感染症による活動自粛の影響で、タイの交通事故死者数は2020年度、人口10万人あたり27.2人に減少したものの、依然としてアジア最悪の死亡数です。

事故が多い理由は運転時術が未熟なことと、無免許運転が多いことなどで、特にオートバイの事故が多いのが特徴です。

運転を控えて対処

日本の国際運転免許があれば、タイの運転免許を簡単に取得できます。運転免許証を身分証明にできる場合があるため保有すれば便利ですが、車やオートバイがなければ生活できないエリア以外で、自分で運転するのはなるべく控えたほうがよいでしょう。

また、タイにはオートバイのうしろに乗車するバイクタクシーがありますが、事故が多いので必要でなければ乗車するのは避けましょう。

タイのバイクタクシー

タイのバイクタクシー

リタイアメントビザの申請条件が頻繁に変わる

タイのビザは、たびたび制度内容や申請条件が変わります。特にリタイアメントビザは頻繁に変更されます。

タイ政府の定めた基準に達しないと申請や更新ができないため、ビザの手続きの際は在福岡タイ王国総領事館の「ビザの種類」で、よく内容を確認しましょう。

なお、労働ビザは内容や申請条件の変更が少なく、駐在員は会社が手続きしてくれます。現地採用者は日本での最終学歴や最終職務経歴が英文で必要な場合に備えて、移住前に書類を用意すれば、あとは就職先の企業がビザの手続きをしてくれます。

余裕をもった資金計画で対処

就労せずに高額なお金を支払い40歳くらいで、会員権を取得すると最大20年滞在できる「タイランドエリート」の会員になりタイに移住する人もいますが、多くはリタイアメントビザを取得します。

リタイアメントビザは、タイの商業銀行の自身の口座に一定金額以上を保有する必要があります。以前は、タイ政府が設けた基準以上のお金が更新時に口座にあればよかったのですが、現在では年間を通して一定以上の金額の保持と医療保険への加入などが必要です。そのため、移住前には余裕のある資金計画をしましょう。

※一定以上の金額
タイのリタイアメントビザはイミグレーション(出入国在留管理庁)の担当者により理解が異なるため、このように表記しています。

2023年2月現在では、リタイアメントビザの金額にかんする申請と更新条件は下記のとおりです。

    • タイの商業銀行に80万バーツ(約310万円)以上を預金し、預金後3カ月間は80万バーツ以上を保持すること(3カ月以降は40万タイバーツに減額されます。)
    • 更新(1年後)2カ月前からは80万バーツ以上保有すること(公的年金を受給している人は預金金額と献金支給金額を合算できます。)

しかし、イミグレーションの担当者に徹底されていないのか、預金と年金を合算しても現金の比率が少ない場合はクレームをつけられることがあります。

実際に体験した話で、昨年、知人のアメリカ人がリタイアメントビザでタイに移住したときに同席しましたが、書類がすべてそろっていないにもかかわらず許可されました。このように自己主張の強い欧米人には甘く、大人しい日本人には厳しい傾向にあるのがタイの現実です。

生活費が為替に左右される

海外に移住したときに困るのは生活費が為替変動に左右されることです。タイで働いてバーツで収入を得ている人は問題ないですが、日本円で収入を得てタイバーツに両替する人は大きく影響します。

両替手数料を少なくして対処

為替の金額は変えられませんが、手数料を抑えることは可能です。両替する方法としてはキャッシング、海外送金、現金を持参してタイで両替するなどの方法があります。

最も手数料が安いのは現金の持参です。手数料の安い送金方法もありますので安い両替方法を見つけましょう。

なお、下記は手数料が安い海外送金会社です。

Wise(旧TransferWise):オンライン海外送金 | 海外の銀行機能

タイ語の習得が難しい

タイに移住したときに困るのがタイ語です。タイ語は各国の言葉が混ざり合う難解な言語のひとつといわれています。

タイ語を話せなくても生活はできますが、それでは生活の幅は広がらず移住してもつまらない生活になりやすいです。

タイ語学校や大学で習得して対処

タイ語の発音と文字の両方を個人で習得するのは大変です。

タイ語を習得するには、タイ語学校やタイ語講座がある大学で学ぶのが一般的です。タイ語学校や大学は英語で授業を行いますが、日本人が多く暮らすバンコクのアソークからトンローあたりのタイ語学校では、日本語で授業を行う学校もあります。

日本語で授業を行う学校には時間つぶしに学校に来る人たちもいて、真剣にタイ語を習得するのが難しいこともありますので、英語で授業をする学校がおすすめです。

タイ移住は意外と出費がかさむ!貯金額を増やすには

タイは生活費が安いので移住後は日本よりも費用が安くなると思っても、慣れない暮らしでは意外に出費がかさみます。日本とタイの往復代や病気やけがをしたときには高額な治療費が必要なので、手元に余裕のある現金が必要です。

さらに、日本に居住していない家を持ち続けても、余分な費用がかかるだけです。駐在員のように一時的にタイで暮らすだけなら日本に家があってもよいかもしれませんが、老後にタイ移住してそのまま暮らすのであれば持ち家を売却するのもひとつの方法です。

持ち家を売却する際は、不動産の一括査定サイトを利用して複数社の不動産会社を見比べれば、売却を安心して任せられる不動産会社を見つけられます。

一括査定サイトで査定依頼を出した会社の中から、高い査定価格を提示してくれる会社や対応のよかった会社を比較しましょう。売却のノウハウが豊富な不動産会社を見つければ、移住前に売却することも可能です。移住してからでも売却は可能ですが、手続きが面倒です。

タイ移住を検討中の方は、日本にいるうちに家の査定価格を確認しておきましょう。


この記事の編集者

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