【弁護士が解説】マンション相続の名義変更に必要な手続きと書類

マンションを相続すると、所有者が被相続人(亡くなった人)から相続人に移るため、名義変更の手続きが必要です。
しかし、マンションの相続が初めての人は、名義変更の手順や必要なものなどわからないことも多いでしょう。ここではマンションを相続した際に必要な名義変更の手順、必要書類、費用について解説します。
この記事の監修者

弁護士:古関 俊祐(こせき しゅんすけ)
弁護士法人新小岩法律事務所
弁護士登録後、都内の大手法律事務所に入所。実務経験を積んだ後、2017年9月に出身地である葛飾区の新小岩に自身の法律事務所を開設。開設当初から地域に根ざした事務所づくりを目指しており、依頼者が相談しやすい丁寧な対応に定評がある。相続、債務整理、離婚、交通事故など幅広い分野の案件に対応。
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マンションの名義変更とは
マンションの名義変更は、売却や相続、贈与などでマンションを所有する名義人が変わったときに、新しい名義人の情報を登記簿に登録する手続きのことです。相続を理由に不動産の名義人を変更する手続きを「相続登記」といいます。
不動産や所有者に関する情報は、登記簿という帳簿に記録され法務局で管理されています。登記簿の情報は自動で変更されないため、マンションの名義人が亡くなっても、名義変更の手続きをしなければ名義人は被相続人のままです。
相続したマンションの名義が被相続人のままだと、さまざまな制限やペナルティがあるため、早めに手続きを行いましょう。
名義変更しないと売却や担保ローンが組めない
相続したマンションを売却したり、担保にしてお金を借りたりするには、名義人の承諾が必要です。マンションの名義人が被相続人のままになっていると、承諾する人がいないものと扱われ、たとえマンションを相続した相続人であっても売却などができません。
相続したマンションの売却や担保にしてお金を借りるのであれば、事前に相続登記をして名義人を相続人に変更しておく必要があります。
2024年4月から相続登記が義務化される
不動産登記法の改正により2024年4月1日から相続登記が義務化されます。これまで、不動産の相続登記は任意となっていたため、マンションの名義人が被相続人のままでもペナルティはありませんでした。
しかし、義務化になった後は、手続きを怠ると10万円以下の過料を科されることがあります。
相続登記の期限は、遺産分割協議が成立した日から3年以内です。マンションを複数人で相続する場合は、期限までに全員分の登記を終わらせる必要があります。
遺産分割協議がまとまらないなどの理由で、名義変更の手続きが相続登記の期限に間に合わないときは「相続人申告登記」という制度を利用しましょう。
相続人申告登記は、不動産の法定相続人をとりあえず登記しておく制度です。マンションを相続した場合、法務局の登記官に「被相続人から不動産の相続をしたこと」「不動産の相続人であること」を伝えます。そのあとに審査が行われ、通過すると申請義務を果たしたことになります。
ただし、相続人申告登記だけでは、相続登記が完了したことにはなりません。相続人が確定したら、改めて正式に相続登記の手続きを行う必要があります。
監修者からのコメント
法改正で相続登記が義務化されたことにより、不動産の相続手続についてのご相談が増えています。
中には10年以上も相続登記がしておらず、その間に相続人の方が亡くなってしまい相続人の更に相続人の方とやりとりをしなければならないという事態も生じています。
その場合は、これまで関わりのなかった遠い親戚がどこに住んでいるかを調べるところから始まり、その方と相続についての連絡をしなければいけない事態になり話合いそのものが難航して裁判に発展して解決までに相当長期間の時間がかかってしまうパターンも多々あります。
相続登記は、書類の作成や資料の収集が必要なためどうしても後回しにしてしまいがちですが、後回しにするとさらに面倒なことになってしまいますので、早め早めの対応を心掛けるようにしましょう。
相続したマンションの名義を変更する手順
マンションの相続登記は、次の手順で進めます。
- 必要書類の取得
- 登録申請書の作成
- 法務局で手続き
相続登記は、司法書士に依頼することもできます。費用はかかりますが、書類の取得や法務局での手続きといった手間を省けるだけでなく、確実に手続きを進めてもらえるため安心です。
なお、マンションの相続人を確定させる手続きは関連記事をご確認ください。
監修者からのコメント
相続登記にあたっては、①被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本の取得と②遺産分割協議書の作成が特に大変な作業になってきます。
- ①被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本の取得
- 出生から死亡までの戸籍謄本は、被相続人によっては遠方の市役所などへ連絡をして古い戸籍謄本を発行してもらう必要があり、郵送でのやり取りも可能ですが相当な時間がかかることもあります。
- ②遺産分割協議書の作成
- 遺産分割協議書の作成についても、相続人の間で話合いをまとめた上で話合いの結果を誤りなく書面に記載する必要があります。せっかく登記申請書を法務局に提出できても、遺産分割協議書の記載内容に誤りや不備があるため相続登記ができないと法務局に言われてしまうと、場合によっては一から遺産分割協議書の作成をやり直すという事態にもなりかねません。
書類の準備や作成はよく調べながら進めるようにして、ご自身では難しいと感じたら遠慮なく弁護士や司法書士へ相談されるようにしてください。
必要書類の取得
相続したマンションの名義変更に必要な書類は次のとおりです。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺産分割協議書および相続人全員の印鑑証明書
- 相続関係説明図
- 固定資産評価証明書
- 登記申請書
書類が不足していると相続登記ができません。また、被相続人の戸籍から新たな相続人が出てくることがあり、遺産分割協議のやり直しが必要になることもあります。
名義変更に必要なすべての書類がそろうまでに予想したよりも時間がかかることがあるため、早めの行動が重要です。
登記申請書の作成
登記申請書は、被相続人が所有していたマンションや戸建てなどの不動産の名義を、相続人に変更するための書類です。不動産がある住所を管轄する法務局に提出して受理されると、法務局の登記官の審査を経て名義変更の登記が完了します。

登記申請書の例
登記申請書は法務局のホームページに定型の書式が公開されており、おおむね下記の内容を記載する必要があります。
- 登記の目的
- 登記が必要になった原因
- 被相続人の名前
- 相続人の名前・住所・電話番号
- 添付する書類の情報
- 登記識別情報通知の要否
- 申請日と管轄する法務局
- 課税価格と登録免許税
- 不動産の表示
- 収入印紙(用紙に貼付する場合のみ)
登記申請書は、形式もあわせて必要な情報が記載されていることが重要です。記入する情報に抜けや漏れがあると、法務局から連絡がきて訂正を指示されます。訂正の指示をされると、それだけ名義変更に時間がかかるため注意しましょう。
共有名義の相続登記は割合を明記する
一つのマンションを複数の相続人で相続するときは、共有名義で相続登記をすることも考えられます。共有名義の場合は、登記申請書を作成するときに、相続人全員の名前、住所、電話番号と、それぞれの持分を記載します。
それ以外の手続きは、相続人が1人のときと大きくは変わりません。
法務局で手続き
相続登記の手続きは、不動産の所在地を管轄する法務局で行います。必要書類を提出して、不備がなければ2~3週間程度で「登記完了証」「登記識別情報通知書」が交付されます。
登記完了証は、不動産の登記が完了したことを証明する書類です。登記識別情報通知書は、不動産を売却するなど相続人が不動産を手放す際に権利証の代わりとなる情報が記載されている重要な書類となります。
どちらの書類も再発行はされない書類ですし、特に登記識別情報通知書は不動産を手放す際に提出が求められる重要な書類のため、紛失しないように管理しましょう。
名義変更は郵送でも申請できる
相続登記は、郵送でも手続きが可能です。郵送の場合は、必要書類を封筒に入れて法務局へ送ります。封筒の表面には「不動産登記申請書在中」と記載して、追跡ができるように書留郵便ややレターパックプラス(赤いレターパック)で郵送しましょう。
マンションの名義変更にかかる費用
マンションの名義変更には次の費用がかかります。
種類 | 費用 |
---|---|
書類の取得 | 2,000~3,000円 |
登録免許税 | 固定資産税評価額の0.4% |
登録免許税は、金融機関を通じて現金で納付するのが原則です。金融機関で登録免許税を納付したあとは、領収証書を登記申請書に貼付してから法務局に登記申請をします。
ただし、登録免許税が3万円以下であれば、収入印紙でも納付できます。登記申請書に必要な額の収入印紙を貼り付けて提出すれば登記申請はできます。
名義変更が終われば売却できる
マンションを相続したものの、「誰も住む予定がない」「維持費が負担になる」という場合には、売却を検討しましょう。マンションの名義変更が完了していれば、不動産会社に依頼して売却の手続きを進められます。
ただし、マンションの売却価格は不動産会社によってまちまちです。1社だけに依頼してしまうと比較ができないため、相場よりも安く売られてしまうケースもあります。
そのため、マンションを高く売るなら一括査定サイト「リビンマッチ」を利用しましょう。リビンマッチなら最大6社の不動産会社へ一括で査定依頼を出せるため、複数の不動産会社の売却見込み価格を簡単に比較できます。
スマホでも簡単に依頼ができるため、ぜひこの機会にご利用ください。

弁護士法人新小岩法律事務所・代表弁護士
弁護士登録後、都内の大手法律事務所に入所。実務経験を積んだ後、2017年9月に出身地である葛飾区の新小岩に自身の法律事務所を開設。開設当初から地域に根ざした事務所づくりを目指しており、依頼者が相談しやすい丁寧な対応に定評がある。相続、債務整理、離婚、交通事故など幅広い分野の案件に対応。
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リビンマッチ編集部
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