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メタバース×不動産|誕生の歴史や今後の展望。賃貸市場での活用事例は?

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メタバース×不動産|誕生の歴史や今後の展望。賃貸市場での活用事例は?

新型コロナウイルスの流行とともに、改めて脚光を浴びるようになったメタバース。仮想空間や仮想現実とも呼ばれており、現在、多くの企業が新しい市場として開拓投資を始めています

メタバースは今後、新しい経済の流通を生み出すものとして期待できるでしょう。不動産の分野でも注目を集めており、すでに活用事例もあります。

メタバースの基本的な内容や不動産との関係を解説します。

仮想空間「メタバース」とは

メタバースは最近耳にするようになったばかりで、具体的にイメージできる人は少ないでしょう。ここでは、メタバースとは何かという基本的な内容を紹介します。

メタバースの語源

一般的にメタバースは、仮想空間と同じ意味で使用されることが多いです。しかし本来は、超越を意味する「Meta(メタ)」と世界を意味する「Universe(ユニバース)」から形成された造語「Metaverse(メタバース)」です。

その超越した世界という言葉のとおり、現実社会とは異なる次元の世界を指します。

定義となる7つの要件

メタバースの定義として、以下の7つの要件があります。

  • 三次元である
  • アバターを存在させられる
  • 多くのユーザーが同時接続できる
  • 創造により素材を作成できる
  • 架空通貨による経済を流通できる
  • アクセスが容易である
  • 実世界と関連性がある

この要件を満たすものを広い定義で考えれば、テレビゲームの「あつまれ どうぶつの森」や「フォートナイト」の世界もメタバースです。

なお、経済産業省の「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業 報告書」では、メタバースを以下のように定義しています。

一つの仮想空間内において、様々な領域のサービスやコンテンツが生産者から消費者へ提供

経済産業省「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業 報告書」

メタバースの歴史と今後の展望

新しい経済市場として期待されているメタバースがこれから成功するのか、それとも失敗で終わるのか、その動向が注目されています。

メタバース誕生の歴史や今後の展望を解説します。

メタバースはいつ生まれた?

メタバースという言葉や定義の誕生は、1992年に発売されたSF小説に登場したのが始まりだという説があります。

しかし、テレビを中心としたマスメディアでメタバースという単語が呼ばれるようになったのは、ここ数年の話です。

その背景のひとつには、新型コロナウイルスの流行があります。在宅勤務やオンラインでのコミュニケーションが求められ、そこからメタバース、いわゆる仮想空間に注目が集まったと考えられます。

つまり、現実的な言葉として意味をなし始めたのは、新型コロナウイルスの流行後と考えてよいでしょう。

先駆けになったセカンドライフ

仮想空間での生活というと、メタバースの先駆けになったSecond Life(セカンドライフ)があります。

セカンドライフは「Your World. Your Imagination.(あなたの世界 あなたの想像力)」というキャッチフレーズを掲げて、2007年に日本で流行のきざしをみせた仮想空間です。人口の多い場所の土地や生産物(アバター)などに対して、仮想通貨を用いた取引が行われるようになりました。

100万人以上の月間アクティブユーザー(1カ月間の利用者数)を誇ったセカンドライフでしたが、あっという間にブームは終わりました。

その主な理由は、以下だといわれています。

  • ある程度の処理速度を備えたパソコンが必須
  • 仮想通貨に目をつけた投資家が増えた

セカンドライフは、登場する時代が早すぎたのが最大の敗因ともいえるのではないでしょうか。しかし、メタバースの誕生とともに、今後の復活が期待できます。

博報堂が発表した「広告がインターネットの利用価値を壊す」の衝撃

博報堂DYホールディングスは、2022年11月に発表したレポートで「インターネットでは、広告によってサイトの美観や体験の質が下がる場面も生まれている」と記載しました。

広告がビジネスとして拡張を続けていくと、生活者のプライベートな空間を過剰に侵食するようにもなっていきます。特にインターネットでは、広告によってサイトの美観や体験の質が下がる場面も生まれ、個人がサービス側に渡したデータが企業の広告ビジネスにも用いられるようになることで、個人が追跡され、望まない場所、タイミングで広告を浴びさせられるようにもなりました。

株式会社博報堂DYホールディングス「Metaverse as Possible Futures メタバースと15の生活者シナリオ」

博報堂DYホールディングスは、多数のテレビCMやデジタル広告を取り扱っている会社です。それにも関わらず「体験の質の低下」に言及したことは、現在の広告産業の先進として積み重ねてきた結果のひとつなのでしょう。

Adblockなど、インターネット上の広告を強制的に表示させないプラグインが評価される一方で、広告を強制的に表示させる、また非表示では利用できないサイトやシステムも開発されています。これは、ユーザーと広告主(アフィリエイターを含む)との価値観と目的の違いを表しています。

そしてメタバースの世界にも、広告の導入が検討されつつあります

大きな駅構内にあるような、壁一面に広告を出す方法もあれば、スマホのゲームやマンガアプリのように報酬を得るために広告を表示させる方法もあります。後者を導入した際に質を保てるのかは、メタバースにおける広告展開の課題となりそうです。

メタバースの不動産は取引が可能

メタバースでは、自分の土地つまり区画を所有できます。すべての土地ではありませんが、売却したり貸し出したりといった取引が可能です。

しかし、メタバースでの不動産取引は、現状ではあまり活発に行われていません。一方でメタバースと不動産に関する新たな取り組みもあり、今後に期待ができるでしょう。

不動産取引を可能にした技術

メタバースには、ブロックチェーンという技術が導入されています。ブロックチェーンとは、ネットワーク上の取引記録を暗号技術によって正確に記録する技術です。

ブロックチェーンを活用して、所有者が明確な、偽造できないデジタルデータが生まれました。これを、NFT(Non-Fungible Token)といいます。音楽や絵などデジタル上のアイテムでも、NFTとして希少価値がある資産として扱えます。

メタバースの土地も同様に、所有者をひもづけられるため、価値があるものとして取引が可能です

メタバースの土地や建物は不動産ではない

土地や建物といった、現実世界では不動産として扱われるものも、メタバースでは民法で定められた不動産とは認められません

ここが大きなポイントで、不動産ではないのですから、当然ながら不動産取引の基本となる宅地建物取引業法などが適用されません。

このように、指標が見えにくく守るべき規則や法律が不明であることなども、メタバースで不動産取引が活性化しにくい間接的な原因として考えられています。

今後のメタバースの展開次第によっては法改正も考えられますが、それは数年先になるでしょう。

メタバースの土地価格

現実世界の土地を購入する際は、一般的に利便性が高い以下のような条件の土地が人気です。

  • 最寄り駅まで近い
  • 商業施設が充実している
  • 子育てがしやすい

しかし、メタバースでは移動や買い物、子育てなどの概念がないため、こうした条件を意識しない特徴があります。

そのためメタバースの土地価格が決まる要因としては、人が集まる場所かどうかという1点に集約されています

TENGUN Ogijimaプロジェクトとは

日本電信電話社(NTT)が立ち上げたTENGUN Ogijimaプロジェクトは、メタバースと不動産の関係の可能性を広げる取り組みといえます。

これは、香川県高松市に存在する男木島おぎしまをメタバースの舞台とすることで、島のよさをリアルに近い形で体験でき、島民との交流を気軽に実現させる取り組みです。人口低下や介護・医療、教育など、離島が抱える多くの問題を解決させる目的があります。

まだ研究段階ではありますが、メタバースにおける不動産と現実世界の不動産が絡み合うことで、新しい形の定住が生まれる取り組みとなる可能性があります

参考:日本電信電話株式会社「地域共創推進に向けた「TENGUN Ogijimaプロジェクト」発足~IOWNで実現されるフォトリアルな「男木島」メタバースによる、関係人口創出・拡大をめざした共同検討を開始~

メタバースをリアルの不動産取引に活用する

メタバースを利用した現実世界の不動産取引も、少しずつ増え始めています。現実でしかできなかったことができるようになり、家にいながらアパートを借りたり、マンションを購入したりできる社会になりつつあります。

VR機能を利用した新しい賃貸営業

メタバースを積極的に取り入れている賃貸不動産会社は、ここ数年で一気に増えています。

オンライン上で接客を行い、VRを利用して室内状況の確認できるサービスを提供し、契約までを行う。これらを進化させたメタバース内の店舗も、少しずつ開拓されています。

また、オンラインに接続されたパソコンだけを設置した無人店舗もあります。これにより、遠方から進学や就職で引っ越しをするとき、新幹線や飛行機で現地に行かずに賃貸契約ができます。いまのコロナ禍にマッチしたスタイルといえます。

住宅展示場は新しいメタバースの形

メタバースで不動産売買を完結するのは難しいですが、ひとつの場所に多くのハウスメーカーによるモデルルームを集結させた住宅展示場は、メタバース化させやすい媒体です。

仮想空間内にハウスメーカーの実際のモデルルームを3D化させて表示し、室内をVRなどを利用した画面で確認できるサービスもあります。たとえば「メタ住宅展示場」では、実物を4Kデジタル撮影しており、リアルな質感がパソコンやスマホで確認できます。

その上でオンライン接客により、自宅にいながら住宅について気軽に相談できます。

不動産売却のメタバース化は未来に期待

一方で、不動産を売却する場合のメタバース化は、少し難しいでしょう。

いまのメタバースは一つひとつを切り離した空間のため、不動産売却をメタバース化しても集客しにくいという問題があります。

しかし、メタバースの世界のみならず、ITの分野は急激な進化を遂げてきました。近い将来に思いもよらない活用方法が見つかるかもしれません。

現状では、不動産売却は無料のインターネットサービスである一括査定サイトの「リビンマッチ」を利用するのが一番よい方法です。全国の不動産会社に最大6社まで査定依頼ができるので、査定結果を比較して、自宅にいながらいまの家の価値を確認できます。

この記事の編集者

リビンマッチ編集部 リビンマッチ編集部

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