マンション売却の確定申告を解説!節税には特別控除の特例がポイント
マンションが購入したときより高く売れたら、確定申告を行い、税金を納める必要があります。会社の年末調整では対応できないので、注意しましょう。
確定申告は売却した翌年の2月15日~3月15日の期間内に行います。もし確定申告をしないと、ペナルティがあるので注意しましょう。
ただし、確定申告を行うと、特別控除、軽減税率の特例などで納税額を減らすことが可能です。実際に税金を納めるケースは決して多くはありません。
マンションを売却した方に向けて、確定申告の方法や節税に関する情報を解説します。高く売れた方は、ぜひ確認してください。
もくじ
マンションの売却で利益が出たら確定申告を
マンション売却は引き渡しを終えると、すべての手続きが終了したと安心する方も多いでしょう。しかし、売却して利益が出た場合は、確定申告が必要です。
年末調整は不可。確定申告が必要になるケース
マンションの売却で確定申告が必要になるケースは、売却益が出たときです。利益が出なかった場合、確定申告の必要はありません。
売却益を計算する
不動産の売却益のことを、正確には「譲渡所得」といいます。譲渡所得は、次の計算式で算出できます。
譲渡所得=譲渡価格-(取得費+譲渡費用)
参考:国税庁「譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
- 譲渡価格
- 売却で買主が支払った金額のこと。
- 取得費
- 売却したマンションの購入価格と購入にかかる諸費用のこと。
- 譲渡費用
- 不動産会社への仲介手数料、売主が負担した印紙税などのこと。
簡単にいうと、マンションを購入した価格より売却したときの価格のほうが高く、さらに購入にかかった諸費用と譲渡費用を差し引いても利益が出る場合に確定申告が必要です。
確定申告とはなに?
確定申告とは、1年間の所得額を計算して申告し、納税額を確定させる手続きのことです。確定申告を行うのは事業所得がある個人事業主や会社の経営者だけではありません。ごく普通の会社員であっても、家賃収入や株の配当金、副業で収入のある人は、申告が必要になることがあります。
年末調整をしても確定申告が必要
年末調整※と確定申告はどちらも目的は同じですが、対象となる所得の範囲が異なります。年末調整は、その年の1月1日~12月31日までの間に支払われる給料が対象です。
確定申告は会社から支払われる給料だけでなく、事業所得や譲渡所得などで得た所得が対象になります。そのため、マンションの売却で利益が出た場合、確定申告が必要になるのです。
確定申告を行わないとどうなる?
確定申告は自分で所得を計算する必要があり、面倒くさいと感じる方も多いでしょう。しかし、きちんと期限までに申告しないと次の罰則を科されます。
罰則の種類 | 違反内容 | 追加課税される税率 |
---|---|---|
加算税 | 確定申告をしなかった | 50万円以下:15% 50万円超過:20% |
重加算税 | 悪質に所得を隠した | 35~40% |
延滞税 | 期限までに納税しなかった | 期限の翌日から2カ月まで:7.3% 期限の翌日から2カ月超過:14.6% |
確定申告をせずにいると、罰則を科されて納税額が増えてしまいます。忘れずに申告をしましょう。
マンション売却で確定申告を行う方法
売却から確定申告までの流れを説明します。確定申告は手続きが複雑だと思われがちですが、流れを抑えれば難しくありません。売却して利益が出ても焦らないよう、事前に流れを把握しておきましょう。
確定申告を行う期間
売却で利益が出た場合、売却した翌年2月16日~3月15日までに確定申告を行います。
たとえば、令和4年11月30日に売却が成立して売却益が出た場合、確定申告をする期間は、令和5年2月16日~3月15日の間です。
確定申告で必要な書類
確定申告をするときは、次の書類を準備してください。
書類の種類 | 取得方法 |
---|---|
確定申告書B様式 | 税務署または国税庁のWebサイト |
確定申告書第三表(分離課税用) | 税務署または国税庁のWebサイト |
譲渡所得の内訳書 | 税務署または国税庁のWebサイト |
物件購入時の売買契約書のコピー | 購入の契約時に受け取る |
物件売却時の売買契約書のコピー | 売却の契約時に受け取る容 |
譲渡費用の領収書 | 売買契約後に不動産会社から受け取るなど |
本人確認書類 | マイナンバーカードなど容 |
譲渡費用のなかには、仲介手数料や印紙税、抵当権抹消登記にかかる費用などが含まれます。領収書は費用が発生するたび、不動産会社の担当者に申し出て作成してもらいましょう。
確定申告に必要な書類はいくつも種類があり、それぞれ取得場所や取得方法が異なります。申告期限ギリギリになって慌てることのないよう、事前の準備が大切です。
確定申告の流れ
確定申告は、次のような流れで手続きをします。
- 必要書類を準備
- 申告書作成
- 申告書提出
- 納税
まず、確定申告に必要な書類を用意し、申告書を作成します。申告書を作成する方法がわからない場合は、国税庁のWebサイトにある「確定申告に関する手引き等」をチェックしてください。
申告書の作成が終わったら申告漏れはないか、記載事項に誤りはないか見直し、期限内に税務署に提出します。売却で利益が出ている場合は利益にかかる税金を納付して手続き終了です。
確定申告の書類を作成する
税務署に提出する書類のうち、売主が作成する書類は次の3種類です。
- 確定申告書B様式
- 確定申告書第三表(分離課税用)
- 譲渡所得の内訳書
確定申告書B様式と確定申告書第三表(分離課税)には、所得金額や税金の額などを記入します。また、譲渡所得の内訳書には、売却したマンションの所在地や居住年数、売買契約日などを記載します。
確定申告書を提出する
確定申告書を税務署に提出する方法は次のように複数あるため、自分に適した方法を選びましょう。
- 所轄の税務署の受付に直接提出する
- 郵便または信書便で所轄の税務署へ送付する
- 電子サービスのe-Taxを利用して提出する
e-Taxは国税庁のWebサイトなどで確定申告書を作成・提出できるサービスです。e-Taxを利用するには、次のものが必要です。
- マイナンバーカード
- ICカードリーダー、またはマイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォン(Android端末またはiPhone)
マイナンバーカードは、申請してから受け取るまで約1カ月かかります。受け取っていない場合は、早めに手続きをしておきましょう。
確定申告で利用できる特別控除
マンション売却の確定申告で利用できる特別控除を紹介します。売却で利益が出ると、所得が増える一方で税金の負担も大きくなります。しかし、特別控除を利用すると税金の負担軽減が可能です。適用できる特別控除を活用し、しっかりと節税しましょう。
3,000万円の特別控除の特例
3,000万円の特別控除の特例とは、自宅を売却すると譲渡所得を最高3,000万円まで控除できる特例のことです。特例を受けるには次の要件を満たす必要があります。
3,000万円控除の特例を受ける要件
- 自宅を売却する
- 売却した前年や前々年に同じ特例を受けていない
- 災害によって滅失した物件は居住しなくなってから3年以内に売却している
- 売買相手が夫婦や親子など特別な関係性でない
参考:国税庁「マイホームを売ったときの特例」
たとえば、マンションが思わぬ高値で売れて1,000万円の譲渡所得が出たとしても、3,000万円の特別控除の特例が適用されると、譲渡所得が控除されて0円になるため税金がかかりません。
3,000万円の特別控除の特例を利用できれば、譲渡所得をぐっと引き下げられ税金の負担額を減らせます。要件を満たす場合、積極的に利用しましょう。
軽減税率の特例
軽減税率の特例とは、所有期間が10年を超える自宅を売却したときに、長期譲渡所得※の税率を通常より低い税率で計算できる特例のことです。特例の適用を受けるには、次の5つの要件すべてを満たす必要があります。
軽減税率の特例を受ける要件
- 日本国内にある自宅を売却する
- 売却した年の1月1日に売却した自宅の居住年数が10年を超えている
- 売却した前年もしくは前々年に同じ特例を受けていない
- 売却した自宅に対して買い換えや交換の特例を受けていない※
- 売買相手が夫婦や親子など特別な関係性でない
※ただし、3,000万円の特別控除の特例は併用可能
参考:国税庁「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」
長期譲渡所得にかかる税率は15%ですが、マイホームを売ったときの軽減税率の特例が適用されると税率は次のようになります。
譲渡所得 | 税率 |
---|---|
6,000万円以下 | 譲渡所得×10% |
6,000万円超 | (譲渡所得-6,000万円)×15%+600万円 |
仮の金額を当てはめると次のようになり、税額が軽減税率で大きく下がることがわかります。
- 特例適用前の税額(6,000万円以下)
- 4,000万円×15%=600万円
- 特例適用後の税額(6,000万円以下)
- 4,000万円×10%=400万円
- 特例適用前の税額(6,000万円超)
- 7,000万円×15%=1050万円
- 特例適用後の税額(6,000万円超)
- (7,000万円-6,000万円)×15%+600万円=750万円
※ほかに譲渡所得に住民税が5%、令和19年までは所得税額に復興特別所得税が2.1%かかります。
3,000万円の特別控除の特例を併用できる場合は、さらに税額が下がります。
買い換え特例
買い換え特例とは自宅を売却して新居を購入したとき、売却で得た譲渡所得への課税を将来に繰り延べられる特例のことです。
たとえば、3,000万円で購入したマンションAを4,000万円で売却した場合、1,000万円の利益が出ているため、1,000万円に対する譲渡所得税を納める必要があります。
しかし、新居としてマンションBを5,000万円で購入して、買い換え特例を利用すると、マンションAを売却した時点では課税されず、マンションBを売却するときまで課税を繰り延べられるのです。
買い換え特例を利用するには、次の要件を満たす必要があります。
買い換え特例を受ける要件
- 自宅を売却する
- 売却した年もしくはその前年、前々年に3,000万円控除の特例や軽減税率の特例を受けていない
- 売却した自宅と買い換えた自宅が日本国内にある
- 売却価格が1億円以下
- 売主の居住期間が10年以上で、所有期間が10年を超える
- 買い換える建物の床面積が50m2以上、土地面積が500m2以下
- 自宅を売却した年の前年から翌年までの3年間に自宅を買い換える など
参考:国税庁「特定のマイホームを買い換えたときの特例」
買い換え特例を受けることで売却直後の税負担を軽減できますが、納税義務がなくなるわけではありません。あくまでも繰り延べられるだけなので、買い替えた新居を売却したときに、税金の支払い義務が生じます。
マンションの売却は不動産会社の比較が重要!
マンション売却で利益が出たとしても、特別控除などが適用されると多くの人は税金を納める必要がありません。気にせず高く売却しましょう。
高く売却するときに大切なのは、所有する物件に適した不動産会社を選ぶことです。マンション売買の実績が少ない、周辺地域の知識に乏しい不動産会社では、所有物件を適切な価格で売却するのは難しいでしょう。複数の不動産会社に売却の相談をして、信頼できる会社を見つけてください。
複数の不動産会社を比較するには、一括査定サイトの「リビンマッチ」を利用してください。所有マンションの情報や連絡先などの情報を一度入力するだけで、複数の不動産会社から査定を受けられます。
担当者の経験や対応、提示された査定価格などを比較して、信頼できる不動産会社と契約してください。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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