マンション売却でかかる税金はいくら?計算方法や節税、売却にかかる費用も紹介
マンション売却は物件価格の約5〜8%の費用がかります。もっとも金額が大きいのが仲介手数料ですが、ほかにもさまざまな税金がかかります。マンションを売却したときにかかる税金は、意外と簡単に計算できます。どれくらい税金がかかるのか計算をして、心おきなくマンションの売却に集中しましょう。
もくじ
マンションの売却でかかる税金の種類
マンション売却で利益が出ても出なくても、税金を納めなくてはなりません。マンション売却で発生する税金の種類は次のとおりです。
- 譲渡所得税
- 印紙税
- 登録免許税
- 消費税
それぞれについて、詳しく説明します。
譲渡所得税
譲渡所得税とは、マンション売却で利益が出たときに納める税金のことです。譲渡所得税のなかには、住民税と所得税、復興特別所得税の3つが含まれます。
印紙税
印紙税とは、マンション売却のときに発行する売買契約書に対してかかる税金のことで、売却益の有無に関わらず必ず納めなくてはなりません。税額は、取引価格によって異なります。
登録免許税
登録免許税とは、不動産登記の際にかかる税金のことです。マンション売却では、抵当権抹消手続き※をするときに登録免許税を支払う必要があります。登録免許税も印紙税と同様に、売却益の有無に関わらず必ず納めるべき税金のひとつです。
※抵当権抹消手続き
抵当権とは住宅ローンを借りている金融機関が、支払いが滞ったときに担保として住宅を差し押さえる権利のこと。住宅ローンを完済したときは、抵当権を抹消する手続きが必要になる。
消費税
消費税とは、国内において事業者が事業として取引する場合や、対価を得て取引する場合に課される税金のことです。
個人がマンションを売却する場合、買主から受け取る売却代金に消費税がかかることはほとんどありません。しかし、不動産会社に支払う仲介手数料や、抵当権抹消手続きを司法書士に依頼するときに支払う報酬に消費税が発生します。
マンション売却の譲渡所得税の計算方法
マンションの売却価格が、購入したときの価格より高かった場合に課される譲渡所得税の計算方法を見ていきましょう。
譲渡所得の計算方法
譲渡所得税を算出するには、まず次の計算式で譲渡所得の金額を求めます。
譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)
参考:国税庁「譲渡所得の計算のしかた」
取得費とは、マンションの購入価格や購入時に不動産会社に支払った仲介手数料、マンション取得後の改良費、設備費などが含まれます。なお、改良費はマンション取得後の改良費用であり、通常の修繕費用は対象外です。
取得費がわからない場合
購入してから年月が経っていて取得費がわからない場合は、売却価格の5%を取得費にできる。
譲渡費用とは、マンションの売却時に直接かかった費用をいいます。たとえば、依頼した不動産会社に支払う仲介手数料や売主が負担した印紙税などが対象です。
減価償却を算出する方法
マンションを売却する場合は、購入価格のすべてを取得費にはできません。購入価格から減価償却費分を差し引く必要があります。
減価償却とは、経年によって下がる建物や設備の価値を一定の割合で算出したものです。減価償却費は次の式で計算できます。
減価償却費=建物の購入価格 × 0.9 × 償却率 × 経過年数
経過年数は1年未満の端数を6カ月以上なら1年、6カ月未満なら切り捨てて計算します。
参考:国税庁「「減価償却費」の計算について」
また、償却率は建物の構造によって異なります。構造ごとの償却率は次のとおりです。
建物の構造 | 耐用年数(年) | 償却率 |
---|---|---|
鉄筋鉄骨コンクリート 鉄骨コンクリート |
70 | 0.015 |
レンガ造 ブロック造 |
57 | 0.018 |
軽量鉄骨造 | 40 | 0.025 |
木造 | 33 | 0.031 |
譲渡所得税の計算方法
譲渡所得税は、譲渡所得に一定の税率をかけることで算出できます。計算式は次のとおりです。
譲渡所得税=譲渡所得 × 税率
また、譲渡所得税の税率は、マンションの所有期間によって異なります。所有期間がマンションを売却した年の1月1日時点で5年未満のマンションなら39.63%、5年を超えているマンションなら20.315%です。
所有期間 | 税率(%) |
---|---|
5年未満 | 39.63 |
5年以上 | 20.315 |
新築マンションのケース
新築で購入したマンションを売却するケースを紹介します。次の物件を売却すると仮定して譲渡所得税を計算してみましょう。
- 物件種別
- マンション(鉄筋鉄骨コンクリート造)
- 購入価格※
- 3,000万円(建物:2,000万円、土地・そのほかの費用:1,000万円)
- 売却価格
- 4,000万円
- 譲渡費用
- 139万円(仲介手数料:138万円、印紙税:1万円)
- 経過年数
- 20年
- 住宅ローンの残債
- なし
※仲介手数料等の購入にかかる費用を含む。
まず、マンションの減価償却費を次のように求めます。
減価償却費=2,000万円 × 0.9 × 0.015 × 20=540万円
次に、マンションの購入価格(含むそのほかの費用)から減価償却費を差し引いて、取得費を算出してみましょう。3,000万円の購入価格から540万円の減価償却費を引くと、取得費は2,460万円です。
取得費を算出できたところで、譲渡所得を計算します。計算式と計算結果は次のとおりです。
新築マンションの譲渡所得
4,000万円-(2,460万円+139万円)=1,401万円
最後に、上記で算出した譲渡所得の結果をもとに譲渡所得税を求めましょう。所有期間が5年を超えているため、長期譲渡所得の税率をかけて計算します。
新築マンションの譲渡所得税
1,401万円 × 20.315%=約284万6,000円
譲渡所得税が約284万6,000円と算出できました。
中古マンションのケース
次の中古マンションを売却すると仮定して譲渡所得税を求めます。
- 物件種別
- マンション(鉄筋鉄骨コンクリート造)
- 新築年数
- 1988年
- 購入年数
- 1995年(築7年のマンションとして購入)
- 売却年数
- 2020年(購入から売却までの経過年数は25年)
- 購入価格※
- 3,000万円(建物:2,000万円、土地・そのほかの費用:1,000万円)
- 売却価格
- 4,000万円
- 譲渡費用
- 139万円(仲介手数料:138万円、印紙税:1万円)
- 住宅ローンの残債
- なし
※仲介手数料等の購入にかかる費用を含む。
中古マンションも新築マンションと同様に、まず減価償却費から計算します。このとき、購入から売却までの経過年数を使用する点に注意しましょう。
減価償却費=2000万円 × 0.9 × 0.015 × 25=675万円
次に、マンションの購入価格3,000万円(含むそのほかの費用)から減価償却費675万円を差し引き、取得費を割り出します。計算式に当てはめると3,000万円-675万円=2,325万円と取得費を計算できました。
そして、最後に譲渡所得と譲渡所得税を算出します。それぞれの計算式と結果は次のとおりです。
中古マンションの譲渡所得
4,000万円-(2,325万円+139万円)=1,536万円
物件の所有期間は5年を超えているため、長期譲渡所得の税率をかけて計算します。
中古マンションの譲渡所得税
1,536万円 × 20.315%=約312万円
これで譲渡所得税が約312万円と計算できました。
マンションの状態や売却条件によって、譲渡所得は前後します。売却後に支払うべき税金が支払えないことがないよう、事前に資金計画を立てましょう。
マンション売却の節税方法
マンション売却で利益が出た場合、利益が出ない場合よりも多くの税金を納めなくてはなりません。売却益が出るとうれしく思う一方で、税金の負担が増えることを不安に感じる方は多いのではないでしょうか。
しかし、マンション売却に利用できる特別控除はさまざまなものがあり、実際に税金がかかる人は多くありません。売却益が高くても税金のことをあまり気にする必要はないでしょう。
ここでは、マンション売却における節税対策を紹介します。適用できる控除は積極的に利用し、節税対策を講じましょう。
3,000万円の特別控除の特例
「3,000万円の特別控除の特例」とは、居住年数に関わらず譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例のことです。
3,000万円の特別控除の特例を利用できると、税金の負担を大きく軽減できます。ただし、自宅の売却や売買相手が夫婦、親子など特別な関係ではないことなど一定要件を満たす必要があります。それでも多くの人に当てはまるため、積極的に利用しましょう。
参考:国税庁「マイホームを売ったときの特例」
特定のマイホームを買い換えたときの特例
「特定のマイホームを買い換えたときの特例」とは、マンションを売却した代わりに新居を購入する場合、一定要件を満たすと売却益に対する課税を将来に繰り延べられる特例のことです。
たとえば、2,000万円で購入したマンションを3,000万円で売却し、5,000万円で新居を購入したとします。
通常、3,000万円でマンションを売却した時点で売却益に対する譲渡所得税を納めなければなりません。しかし、買い換え特例を利用した場合、5,000万円の新居を売却するときまで課税を繰り延べられます。
とはいえ、買い換え特例は課税される税金が繰り延べられるだけに過ぎず、納税を逃れられるわけではない点に注意してください。
参考:国税庁「特定のマイホームを買い換えたときの特例」
マイホームを売ったときの軽減税率の特例
「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」とは、自宅を売却して一定要件を満たす場合に長期譲渡所得の税率を通常より低い税率で計算できる特例のことです。
軽減税率は3,000万円の特別控除の特例と併用できます。所有期間が10年を超えるマンションを売却する場合、両方の要件を確かめて利用しましょう。
参考:国税庁「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」
マンションを高く売却するなら複数社の査定が必須
マンションをできるだけ高く売却するには、複数の不動産会社の査定を受けることが大切です。複数の不動産会社に査定を依頼すると、次のメリットがあります。
- 査定価格が相場どおりかわかる
- マンション売却に強い不動産会社が見つかる
- 複数の不動産会社に売却の相談ができる
- 担当者を比較して信頼できる人を選べる
マンション売却で1社とだけ相談していると、査定価格が相場どおりなのか、マンション売却が得意な不動産会社なのかがわかりません。高くマンションを売却するなら、必ず複数の不動産会社に相談しましょう。
複数の不動産会社に査定を依頼するときは、一括査定サイトの「リビンマッチ」が便利です。マンションの情報や連絡先を一度入力すれば、対応できる複数の不動産会社を紹介してもらえます。
入力はチャット形式で質問に答えていくだけなので簡単です。まずは気軽に査定を依頼してみましょう。
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