独身で持ち家あり。死後どうなる?遺産やお墓など今からできる対策も紹介
最近では、持ち家でひとり悠々自適に住む独身者が増えています。しかし、高齢になってくると気になるのが死後、持ち家や遺産はどうなるのかといった問題です。
本記事では、そんな独身で持ち家にお住まいの方が抱く、将来への疑問や不安を解消します。いまのうちにできる不動産対策についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
もくじ
持ち家や財産は死後、法定相続人に引き継がれる
個人が所有する持ち家や財産は所有者の死後、所有者の法定相続人に権利が引き継がれます。法定相続人とは、民法で定められた被相続人の遺産を相続できる人のことです。
法定相続人は被相続人の遺産を相続する権利がある
被相続人に配偶者や子どもがいれば、配偶者や子どもが法定相続人です。独身で配偶者も子どももいない場合は、親が法定相続人です。
さらに、親も亡くなっていれば兄弟姉妹、兄弟姉妹も亡くなっていればその子ども、つまり被相続人から見て甥や姪が法定相続人です。
また、以下のようなケースはいずれも被相続人の子であるため法定相続人に該当します。
- 現在は独身だが、離婚歴があり元配偶者のもとに子どもがいる
- 認知している子どもがいる
- 養子がいる
遺産分割等を経て、相続が完了すれば名義は相続人になる
持ち家の所有者が亡くなったあと、相続は以下の流れで進みます。
- 遺言書の有無の確認
- 遺言書があった場合は検認
- 相続人の調査
- 相続財産の調査
- 遺産分割協議
- 相続放棄、限定承認
- 遺産分割協議書の作成
- 相続手続き
遺言書があれば、遺言書の内容に従います。なければ相続人の調査をしたうえで相続人が相続します。相続人が複数名いるときは、遺産分割協議で誰が何を相続するかを決定し、相続人全員の同意のうえに、それぞれが相続するという流れです。
なお、遺言書は故人の遺志が最大限尊重されるべきですが、内容が偏っていたり法定相続人の
持ち家の相続手続き(登記済みの建物であれば所有権移転登記)が完了すれば、持ち家の名義は相続人になります。
持ち家は最終的に相続した人が自由にできる
持ち家は最終的に相続した人のものになるため、相続後は居住するのも売却するのも自由です。遠方にいて自分は居住できないが、思い出のある家だから売却したくないときは、手入れをして「賃貸に出す」という方法もあります。
また、相続権があるといっても必ず相続する必要はなく、相続放棄という選択肢もあります。
相続人がいなければ、国に引き継がれる
親も兄弟姉妹も甥や姪も存在せず、戸籍上の相続人が1人もいないときは相続人が存在しません。相続人が存在しないときは、手続きを経て最終的に国に引き継がれます。
国に引き継ぐ手続きは、相続財産管理人がする
国が遺産を引き継ぐ際には手続きが必要です。所有者はすでに亡くなっており、相続人も存在しないとなると手続きできる人がいないため、相続財産管理人が専任されます。
相続財産管理人は弁護士などの専門家が引き受けるケースが多く、遺産を国に引き継ぐための手続きや遺産の引き渡し、管理業務などを行います。
相続人不存在確定後に国に引き継がれる
所有者の死亡から国が引き継ぐまでの流れは以下のとおりです。
- 相続人捜索の公告を申し立てる
- 期間内に誰も申し出なければ、相続人不存在が確定する
- 特別縁故者が3カ月以内に財産分与を申し立てる
- 申し立てがあれば、特別縁故者へ財産分与する
- 残余財産から相続財産管理人の報酬を差し引き、残りが国に帰属される
対象が不動産であれば、最終的に財務局長に引き渡すことになっています。しかし、実際に不動産のまま引き渡されることはほとんどありません。相続財産管理人が相続財産をすべて金銭に換え、現金の状態で国に引き継ぐのが一般的です。
相続人不存在の場合に限り、特別縁故者にも引き継がれる
相続人不存在、つまり相続人が存在しないことが確定したのちに、特別縁故者として認められれば、財産分与の申し立てをすることで遺産の一部を相続できる場合があります。
特別縁故者の要件に該当するのは、内縁の配偶者や被相続人を介護していた人などです。戸籍や縁故があることを証明できる資料を家庭裁判所に提出し、総合的な調査をされたあとに、財産分与を認めるか否か、認める場合はその金額などを決定します。
ただし、要件を満たしても必ずしも認められるとは限りません。相続人以外に遺産を引き継いでもらいたい人がいるのなら、遺言書を作成しておくのがベターです。
迷惑をかけたくないし損もしたくない!今からできる対策
周りに迷惑をかけたくないという思いは、おひとりさまで相続人が関係の薄い甥や姪である場合なら、なおさら強いことでしょう。もしものときに周りへ迷惑をかけずに済み、自分も損をしないためのいまからできる対策を3つ紹介します。
1.今後も住み続けるのか、いずれ引っ越すのか決める
迷うところではありますが、自宅を整理するのにはかなり体力を使います。引っ越すなら、体力のあるうちに決行したほうがよいでしょう。
持ち家を売却するにしても、タイミング的に早く踏み切ったほうがよいときもあります。いずれにしても、できるだけ早い段階で方針を決めておく必要があります。
住み続ける場合
住みなれた家で生涯を終えると決めた場合の、メリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット | デメリット |
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住みなれた家で生涯暮らすのは理想的ですが、その一方で老後もたった1人で暮らしていくことを考えると、防犯面や何かあったときに頼れる人がいないなどの不安要素もあります。
引っ越す場合
引っ越す場合のメリットとデメリットは、引っ越し先が賃貸物件か購入したマンション、あるいは介護施設、老人ホームかで異なります。
下記は、賃貸物件に引っ越したときのメリットとデメリットです。なお、賃貸物件には賃貸アパート、賃貸マンション、借家などが該当します。
メリット | デメリット |
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いざ、介護が必要になった際に持ち家より施設へ住み替えやすいのは、賃貸物件ならではです。しかし、居住している限り家賃を払い続けなければならない点や、永久に資産にならない点などはデメリットといえるでしょう。
また、同じ賃貸物件であっても、アパートやマンションに居住する場合は周囲の生活音や、逆に自分が音を立ててしまうことに対しストレスを感じてしまうおそれがあります。借家であれば自由度は低いものの、持ち家で暮らしていたときと、そう変わらない生活をしやすいでしょう。
次は、マンションを購入して引っ越した場合です。
メリット | デメリット |
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実際、老後の住まいにマンションを選ぶ人は多くいます。人気があるのは、駅や病院に近いマンションや、大型商業施設周辺のマンションなどです。しかし、これまで一戸建てに住んでいた人にとっては勝手が違う部分が多く、慣れないうちは窮屈な思いをしてしまうおそれがあります。
また、災害や故障などでエレベーターが止まってしまった場合は、階段を使わざるを得ません。引っ越し先を選ぶ際は、以下の点をチェックするとよいでしょう。
- 利便性がよいか
- 駅や病院に近いか
- エレベーターがあるか
- 災害時に津波や土砂崩れなどの危険性が少ないか
- 建物の設備や耐久性、築年数は問題ないか
介護施設に入居する場合
介護施設に入居するのを理由に持ち家を手放す人は多いです。介護施設に入るには、決して少なくない費用がかかりますが、持ち家を売却すればまとまったお金が手元に入るため、売却金額によっては充分入居費用に充てられます。
介護施設は施設の種類によって特徴や入居条件が異なるため、自分の状態や希望に合わせて、じっくりと選ぶ必要があります。
たとえば、
自分の余生を預けることになるのですから、実際に施設を選ぶ際はパンフレットやサイトだけを見て決めるのではなく、実際に足を運び自分の目で見極めましょう。
2.遺産を残す場合は、誰に渡すのか決める
相続人ではないが遺産を残したい人がいる、身内の仲が悪く相続人同士で揉めるかもしれない、というときは遺言書の作成をおすすめします。
遺言書は、できれば公正証書遺言で作成するのが好ましいです。公正証書遺言は、公的機関である公証役場の公証人が関与する、信頼性の高い遺言書です。費用はかかりますが改ざんや変造の危険性が低く、そのまま公証役場で保管してもらえる点もメリットです。
ほかには、エンディングノートを用意しておくのもよいでしょう。生前にエンディングノートを作成しておくことは、残された人にとってはもちろん、自分自身のためにもなるためです。生前に財産を整理し、遺産を引き継ぐ先を決めておくことで不安が減り、前向きに老後を迎えられるかもしれません。
3.お墓を購入しておくか決める
独身の人が自分のお墓を購入する場合におすすめなのが、
お墓を購入しないときは、
お墓に対してどういった選択をするにしても、独身の人は生前契約をしておくとよいでしょう。お墓の購入や永代供養の契約、葬儀や散骨についても生前に契約しておくことができます。
生きているうちから死後のことを考えるのは気が進まないかもしれませんが、いつかは何とかしなければならない問題です。独身で、お墓の問題に直面することがわかっている場合は、元気なうちにきちんと決めておきましょう。
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この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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