【宅建士執筆】売れる家、売れない家の特徴|価格を下げずに売る方法
国土交通省の「令和3年度 住宅市場動向調査」によると、既存住宅つまり中古一戸建て住宅の購入理由ランキング1位は「価格が適切だったから」です。2位は「一戸建てだから」、3位は「住宅の立地環境が良かったから」でした。
売れる家には売れる理由があります。本記事では、どのような家が売れるのか、売れないのか、そして価格を下げずに売れない家を売る方法について宅建士目線で解説します。
売れる家の特徴
売れる家の特徴は次のとおりです。
- 価格が適切である
- 立地環境がよい
- 建物の状態がよい
- 土地と建物の広さが適正である
- 間取りやデザインが一般的である
- 信頼性が高い
価格が適切である
家の価格は周辺の相場と建物の状態、土地と建物の大きさ、築年数を総合的に判断して設定します。周辺の相場よりも少しお手頃な価格であると問い合わせが入りやすくなります。
早期成約を目指すなら、何度も値下げをする必要がない価格設定を最初に行うことが大切です。
立地環境がよい
最寄り駅の距離が近く交通の利便性がよい場所や、学校や買い物施設、病院など生活をするうえで必要な施設が近くにある場所は立地環境がよく、人気です。騒音や振動の少ない閑静な住宅街であることも重要です。
また、明るく日当たりのよい場所に建っていることも売れる家の特徴です。東南角地の家は日が入りやすいため最も選ばれやすく、人気が高いです。
建物の状態がよい
築年数が古くても、外壁や屋根、
土地と建物の広さが適正である
土地と建物の広さが適正でないと需要者が減ってしまいます。土地の広さが100坪あると総額が高くなってしまったり、広さが15坪だと使い勝手が悪くなってしまったりといった理由です。
標準的な広さは土地が35~60坪程度、建物が30~38坪程度です。この広さであれば、需要者も多く売れやすいといえます。
間取りやデザインが一般的である
限られた人しか生活ができない間取りや、好みがわかれる色使いをしている個性的な家は実際に生活しているイメージがしにくいため、需要者があまりいません。
分譲住宅の広告に出ているような、一般的な間取りやデザインが売れやすい家の特徴です。
信頼性が高い
「耐震基準適合証明書」といって、住宅が現行の耐震基準に適合しているときに発行される証明書があります。築年数がある程度経過していても耐震基準適合証明書があると、耐震性のある家という印象を受けます。
また、大手ハウスメーカーが建築した家は、建物の仕様や構造、アフターサービス面で信頼性が高いと考える人が多いため、選ばれやすいです。
売れない家の特徴
売れない家の特徴は次のとおりです。
- 価格が適切でない
- 不便な場所にある
- 車の出し入れにストレスがある
- 手入れがされていない
- 境界がわからない
- 旧耐震基準で建てられた
- 再建築不可や違反建築物である
価格が適切でない
どんなによい家でも相場より高ければ、売れ残ってしまうおそれがあります。反対にあまりにも相場より安すぎると、なにか問題があるのではないか、とネガティブな印象を受ける人もいるでしょう。
不便な場所にある
郊外、都市計画区域外など不便な場所にある地域の家は売るのが難しいでしょう。都市計画区域外とは都市計画法の適用や効果が及ばない、居住人口が少ない地域のことです。近くに買い物施設や病院がなかったり、車がないと生活ができなかったりと、日常生活の面で不便を感じやすい地域です。
インフラ整備が行き届かず、災害時は道路や水道などのライフラインが断たれるおそれもあります。また、災害の危険性も高い傾向にあるため資産価値もほぼゼロに等しいでしょう。
車の出し入れにストレスがある
駐車場のスペースが限られていたり、前面道路が狭かったりすると、売れにくい傾向にあります。車のサイズが限定されたり、かなりの運転技術が必要だったりするためです。
出し入れするたびにストレスを抱えてしまうおそれがあることから、特に車を頻繁に使う人から敬遠されがちです。
手入れがされていない
清掃や片付けがされておらず汚れている、庭の草木が伸びきっている、など手入れがされていない家はとても印象が悪いといえます。
手入れが行き届いていないと目に見えない構造部分もダメージを受けているおそれがあるため、購入を検討している人にとって不安の原因になるでしょう。
境界がわからない
家を売るときに、その土地の境界を明示することは義務となっています。
境界がはっきりしておらずわからないままだと、買主が家を購入したあとに隣接地の方とトラブルになるおそれがあり、なかなか売れません。
旧耐震基準で建てられた
建物には耐震基準が設定されています。耐震基準は、建物がどの程度の揺れに耐えられるかを表す目安で、旧耐震基準と新耐震基準の2種類あります。
1981年5月31日以前に建築確認、つまり建築基準法に適合しているか確認された建物を旧耐震基準、1981年6月1日以降に建築確認された建物を新耐震基準と呼びます。
旧耐震基準は法律で震度5強程度の地震で倒壊しないと定められているのに対し、新耐震基準は震度6~7程度の地震でも倒壊しないと定められています。旧耐震基準は新耐震基準と比べると耐震性に不安があり、建物の強度は低いと考えられます。
このような旧耐震基準の家は耐震性を重視して家を選ぶ方にとって、敬遠されがちです。
再建築不可や違反建築物である
建築基準法上、家を建築するには一定のルールがあります。ルールに則っていない再建築不可の家は売れません。将来的に建て替えることができず、担保評価のなさから住宅ローンの利用ができない金融機関が多いためです。
また、建ぺい率や容積率に違反している違反建築物も住宅ローンを使えない場合があります。住宅ローンを組めても金利が高いなどで、不利な条件を提示されることもあるため、なかなか売れないでしょう。
しかし、違反建築物であっても売却できないわけではありません。売りたい家が違反建築物の方は、下記の記事を売却の参考にしてみてください。
売りやすくする方法7選
売れない家を売りやすくする最も単純な方法は、価格を下げることです。しかし、売却価格の減額以外にも家を売りやすくする方法はあります。
下記では価格を下げずに家を売りやすくする方法7選を紹介します。
内覧会を開催する
内覧時の印象はとても重要です。家の中や外の状態を見せることで、購入を検討している人の不安を取り除くことができます。
一般的に5~10件の内覧があって、成約に至ります。しかし、物が散乱していたり掃除が行き届いていなかったりすると、どれだけ内覧会を開催しても成約に至りません。いつでも内覧会ができる状態にしておくことが大切です。
リフォームやハウスクリーニングをする
支出にかかる費用を考慮する必要がありますが傷や汚れ、劣化がある部分はリフォームをすると売りやすくなります。
水回りは築年数を重ねるごとに劣化していくので、購入をためらう原因のひとつです。また、タバコやペットの臭いが染みついている家も、印象がよくありません。水回りの交換や、クロスの貼り替え工事、プロによるハウスクリーニングを行いましょう。
旧耐震基準の家は耐震診断を行い十分な補強工事をすることで、耐震性が高まり、売りやすくなります。
インスペクションをする
インスペクションは「建物状況調査」「住宅診断」ともいわれています。建築士の資格を持つ専門の検査員が住宅の検査を行います。主な検査対象部分は基礎や床、柱などの構造部分、配管などです。
インスペクションを行うことで、家の内部の状態を把握できます。調査結果をもとに、買主にもきちんと説明することで買主の不安が解消されるため、成約につながりやすくなります。
良心的な不動産会社に売却を任せる
不動産会社の中には、囲い込みをする会社があります。囲い込みとは、売主と契約をしている不動産会社が、他社から物件の問い合わせがあっても「他の客と商談中」などと偽って物件を紹介せずに、自社で買主を探すことで売主と買主の両方から手仲介手数料をもうらうことです。
囲い込みは悪質で、宅建業法に抵触するおそれがあります。囲い込みをしない良心的な会社に売却を任せましょう。
境界を明示する
家の境界が不明なときは境界標やブロック塀、金属プレートなどを使って土地の範囲を明確にする必要があります。
境界の確定は土地家屋調査士などの有資格者とその土地の所有者、隣接地の所有者が立ち会って行います。境界を明示することで隣接地とのトラブルを防げます。
周辺で販売中の家を確認する
売り出し中の周辺の物件をインターネットなどで調べると、その家の価格、築年数、土地や建物の広さを確認できます。
周辺の家と自分の家を比べて販売価格を設定することで、早期成約につながります。
不動産の一括サイト「リビンマッチ」を使う
不動産の一括査定サイト「リビンマッチ」を使うと、複数の不動産会社から売却価格を査定してもらえます。査定してもらうことで、売却価格の相場や不動産会社間での価格差を確認できます。
確認したら、最も高い売却価格を提示した会社などに話を聞いてみましょう。どのように家を売る予定なのか、売りやすくする方法などを質問することで、アドバイスがもらえます。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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