住宅ローン完済に必要な手続きを紹介!完済後に送れる生活とは!
住宅ローンを完済するとき、何か特別な手続きは必要なのでしょうか。
毎月決められた日に、決められた額の返済をすることを「約定返済」といい、約定返済以外で住宅ローンを返済する手続きを「繰り上げ返済」といいます。約定返済はいずれ住宅ローンが完済しますが、その際には特別な手続きは不要です。
この記事では、繰り上げ返済で完済したときの手続き方法と完済に伴って必要となる手続きについて紹介します。また、完済後の生活についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
もくじ
住宅ローンを繰り上げ返済で完済する際の手続き
住宅ローンの完済で手続きが必要なのは、約定返済以外のとき、つまり繰り上げ返済で完済するときです。ここでは、繰り上げ返済のおさらいと完済するときの手続きについて紹介します。
繰り上げ返済の完済手続き
繰り上げ返済には、そのときの住宅ローン残高を一気に返済する「全額繰り上げ返済」と残高の一部を返済する「一部繰り上げ返済」があります。
繰り上げ返済の手続きは金融機関によって異なるため、借入先の金融機関で確認してください。基本的には以下のいずれかで手続きを行います。
- 店頭窓口
- インターネット
- 電話・郵送
金融機関によっては申込期限があり、申込後すぐの完済は難しいようです。返済希望日の15日前、1カ月前とある程度前から申し込みが必要な金融機関もあります。全額繰り上げ返済の手続きを希望する場合は、余裕を持って返済希望の1カ月前くらいまでに連絡しておくとよいでしょう。
繰り上げ返済時の注意点
注意点として、全額繰り上げ返済には手数料がかかる場合があります。手数料は金融機関によって異なります。
また、同じ金融機関であっても、商品の違いや金利タイプの違い、申込方法の違いによって手数料の有無や金額が変わるため、よく確認しましょう。
たとえば、auじぶん銀行の全額繰り上げ返済では、変動金利が適用されている期間であれば手数料がかかりませんが、固定金利が適用されている期間では手数料がかかります。
住宅ローン完済に伴う必要手続きとは
約定返済でも全額繰り上げ返済でも、住宅ローンを完済したあとには別の手続きが必要になります。必要となる手続きは人によって異なりますが、主に以下の2つです。
- 抵当権の抹消手続き
- 火災保険の質権消滅手続き
抵当権とは?外さないとどうなる?
住宅ローンを借りてマイホームを購入する場合、ほとんどの人が抵当権を設定します。抵当権とは、返済が滞って、完済の見込みがなくなったときの担保として、金融機関が土地や建物に設定する権利です。
住宅ローンは数千万以上のお金を貸し付けるため、金融機関は大きなリスクを抱えています。抵当権を設定した土地や建物は、返済が困難となったときに、差し押さえて強制的に売却でき、金融機関は売却代金を回収できます。
抵当権を設定する目的は返済が滞ったときの担保であるため、住宅ローンが完済したあとは不要です。そのため、完済後には、抵当権の抹消手続きを行います。完済後もマイホームに住み続ける際は、抵当権が設定されたままでもすぐに問題は起きないでしょう。しかし、家を売却したいとき、相続するとき、金融機関が合併したときなどに抵当権が設定されたままだと不都合が起きます。
たとえば、抵当権が設定された家は売却できません。抵当権を外す手続きを経てから売却となるため、不動産を現金化したいときに余計な時間がかかってしまいます。また、抵当権の抹消手続きに必要な書類には有効期限があるため、期限を過ぎると再発行が必要です。完済したあとはなるべく早く抵当権を外す手続きを行いましょう。
抵当権の抹消手続きの手順
抵当権の抹消手続きの手順を紹介します。ここでは、自分で抵当権の抹消手続きをする際の手順を解説します。司法書士に依頼する場合は、詳しい手順を司法書士にご確認ください。
手順①:金融機関から手続きに必要な書類が届く
住宅ローンを完済すると、金融機関から抵当権の抹消手続きに必要な書類が届きます。
さまざまな書類が届きますが、抵当権の抹消手続きに必要な書類は以下の3点です。
- 抵当権解除証書(放棄証書)
- 委任状
- 登記済権利証(または登記識別情報通知)
それぞれの種類に必要事項を記入します。書き間違いや紛失、有効期限が切れてしまうと再発行が必要となるため、注意してください。
手順②:不動産の情報を取得する
申請書などの書類に記入する際、抵当権を抹消する不動産の情報が記載されている「登記事項証明書」が必要です。
日本全国の法務局で、マイホームの土地の「地番」と建物の「家屋番号」を用いて入手できます。地番や家屋番号がわからない場合でも、法務局で住所を伝えると教えてもらえるため問題ありません。
手順③:登記申請書を作成して法務局へ申請する
登記申請書を作成して、法務局に抵当権抹消を申請します。管轄の法務局で申請しますが、窓口で直接申請するほか、郵送でも申請は可能です。申請時に、登記完了日を確認しましょう。
注意点としては、登記上の住所・氏名が登記を申請した時点と変わっている場合は、抵当権の抹消手続きの前に変更手続きが必要な点です。住所が変わっている場合は、住民票か戸籍の附票、氏名が変わっている場合は戸籍が必要です。
手順④:抵当権抹消が完了したら法務局へ書類を受け取りに行く
登記申請に不備がある場合は、法務局から連絡があります。その際は、申請に使用した印鑑を持って、法務局に足を運んでください。
不備の連絡がない場合は、登記完了日以降に完了後の書類を受け取りに行きましょう。本人以外が行く場合は以下の3点が必要です。
- 登記申請に使用した印鑑
- 受け取る人の本人確認書類
- 委任状
抵当権の抹消手続きにかかる費用
抵当権の抹消手続きには登録免許税がかかります。登録免許税は、対象の不動産ひとつに対して1,000円です。通常、マイホームの土地と建物の双方に抵当権が設定されるため、登録免許税は2,000円かかります。
また、司法書士に抵当権の抹消手続きを依頼する場合は、登録免許税とは別で司法書士報酬が必要です。依頼する司法書士によって変わりますが、5,000〜15,000円が相場です。手続きのための時間を確保できない人や相続や金融機関の合併などが原因で手続きが複雑になってしまった人などは、司法書士への依頼をおすすめします。
火災保険の質権消滅手続き
火災保険に質権が設定されている場合があります。マイホームが焼失してしまうと、金融機関は抵当権を行使できません。しかし、火災保険に質権を設定しておくと、火災保険の保険金を金融機関が回収できます。
完済したあとは質権が不要となるため、すぐに質権を消滅させましょう。金融機関から保険証券と質権消滅承認請求書が届きます。その後、保険会社に連絡をして手続きをすると、質権が抹消されます。質権が抹消されても、火災保険の保障は継続するため、保険証券は大切に保管しましょう。
住宅ローン完済後はどんな生活ができる?
令和3年度の「住宅市場動向調査」によると、住宅ローンの返済額は年間120万円を超える世帯が多いようです。ボーナス払いがないと仮定した場合は、返済で毎月10万以上を使っていたことになります。
毎月使えるお金が10万円以上増えると、生活に与える影響が大きくなります。ここでは、住宅ローン完済後にどんな生活ができるか、紹介していきます。
生活の質を上げられる
毎月使えるお金が増えるため、生活の質を上げることができます。最新の便利な家電を購入して、家事の負担を減らし自由な時間を増やしたり、趣味に使うお金を増やしたりできます。
また、返済に充てていたお金の一部を数カ月貯金すると、ある程度まとまったお金になるため、旅行などもしやすくなるでしょう。
老後の資産形成ができる
完済時の年齢にもよりますが、老後資金の形成も可能です。人生100年時代といわれており、老後生活を豊かに過ごすためのお金も多く必要です。
いままで返済に充てていたお金を貯金や運用に回すと、老後資金が増え豊かな老後生活を過ごせるようになります。
住み替えでライフスタイルに合った生活ができる
住む家によって生活の質は大きく変わるため、住宅ローンを完済したあとに住み替えを検討する人が多いです。これはライフスタイルによって、最適な家の広さや設備が異なるからです。
完済までに15年、20年以上の期間があった場合、マイホームに住み始めたころと住宅ローンを完済したあとでは、ライフスタイルが大きく変わっているでしょう。
たとえば、子どもが産まれると広い家のほうが生活しやすいですが、子どもが独立したあとは狭い家のほうが生活しやすいと感じる人もいます。ほかにも、介護を想定してバリアフリーが整っている家に住みたいと考える人もいるでしょう。完済後のライフスタイルや将来のライフスタイルを想定したうえで、快適に過ごしやすい家に住み替えると生活の質が上がります。
また、住宅ローンを完済する前であっても、住み替えは可能です。マイホームの売却資金と住み替えローンを合わせて、現在の住宅ローンを完済し、ライフスタイルに合った家に住み替えられます。
大手住宅メーカーの注文住宅販売や不動産テック企業の仲介業務に4年間携わり、不動産取引にかかわった件数は350件以上にわたります。2021年よりリビンマッチコラムの執筆・編集を担しています。皆さんが安心して不動産取引を行えるよう、わかりやすくリアルな情報を発信します。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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