「解体費用がない」ときの対処法3つ。補助金や費用相場なども紹介
使わない建物や古くなった建物を所有していると、管理やメンテナンスの手間と費用がかかります。解体して、負担から解放されたいと考える方もいるでしょう。
しかし建物の解体は専門家に依頼する費用がかかるため、資金を準備する必要があります。
本記事では、「解体費用がない」と困っている方向けに具体的な対処法を紹介します。解体費用の相場と見比べながら、自分に合った方法を選びましょう。
もくじ
「解体費用がない」ときの対処法3つ
解体費用が払えないときは、以下3つの方法で対処してみましょう。
- 解体費用の節約
- 地方公共団体(自治体)の助成金や補助金の活用
- 空き家解体ローンの利用
それぞれについて詳しくみてみましょう。
解体費用の節約
解体費用を節約するには、解体業者の手間を減らすことがポイントです。具体的には、以下の作業を自分で行っておくと、費用を節約できる可能性があります。
- 建物内の片付け、家財の処分
- 草木の撤去
解体業者は建物の解体をする前に、建物内の家財や敷地内の片付けを行います。この作業を依頼前に実施しておけば、すぐに重機で建物を解体できます。工期を短縮できるため、解体費用の節約につながります。
また12月〜3月は、公共工事が増えるなどの理由で解体業者への発注が増える時期です。繁忙期を避けて依頼すると、安く引き受けてもらえる可能性があるので、費用を抑えるのに効果的です。
地方公共団体(自治体)の助成金や補助金の活用
昨今は町の防災や景観、治安などの観点から、空き家を減らすことが課題となっています。
そのため国をあげて空き家対策を実施しています。
国土交通省の調査によると、空き家の総数は1998年から2018年の20年間で約1.5倍に増加しています。
引用:国土交通省「空き家の現状と課題」
中でも増加が顕著なのは賃貸又は売却用の住宅を除いた、その他の住宅で、この20年間に約1.9倍の増加率です。
そのため空き家対策として、建物の解体時に使える助成金や補助金を支給している地方公共団体があります。以下に代表的な例を挙げます。
地方公共団体 | 補助・助成制度 | 補助内容 |
---|---|---|
横須賀市 | 空き家に対する解体助成制度 | 解体工事費用の2分の1、上限35万円 |
横浜市 | 住宅除却補助制度 |
以下のうち、もっとも低い金額
|
飯塚市 | 飯塚市老朽危険家屋解体撤去補助金制度 | 補助対象経費の2分の1、上限50万円 |
それぞれ条件がありますが、老朽化した建物を解体するときは、助成制度や補助制度をうまく活用して解体費用を抑えましょう。
空き家解体ローンの利用
まとまった金額を準備できないために解体に踏み切れない方は、空き家解体ローンの利用を検討しましょう。
空き家解体ローンとは名前のとおり、空き家解体に使用できるローンのことです。基本的に無担保で借り入れられ、金融期間によりますが最長の借入期間は10〜15年に設定されているケースが多いです。
さらに、一般的な無担保ローンであるフリーローンよりも、低金利で設定されています。利用すれば初期費用を抑えられるでしょう。
解体費用の相場は?
解体費用は規模や構造、立地やエリアなどの条件によって変動します。
ここからは一般的な解体費用の相場と価格が変動する要因を紹介します。
規模、構造別の費用相場
ここでは、神戸市の「国土交通省空き家対策モデル事業採択 解体費用シミュレーター」を使って、規模、構造別の解体費用相場をまとめました。
規模 | 木造 | 鉄骨造 | コンクリート造 |
---|---|---|---|
31〜40坪(万円) | 137〜186 | 169〜229 | 207〜280 |
41〜50坪(万円) | 171〜231 | 212〜286 | 260〜351 |
51〜60坪(万円) | 204〜277 | 254〜341 | 312〜422 |
坪単価(万円/坪) | 4〜5 | 5〜6 | 6〜7 |
このように、解体費用は木造、鉄骨造、コンクリート造の順に上昇していっていることがわかります。
解体費用を左右する要因
ここでは、解体費用の代表的な変動要因を3つ紹介します。
立地
解体工事には重機やトラックが必要です。そのため建物の立地状況が工事のしやすさを左右します。
たとえば以下のような特徴がある場所で解体を検討している場合は、注意が必要です。
- 狭小地
- 住宅密集地
- 道が細い
- 高低差がある
上記に該当する際は、特殊な車両や仮設部材を用いて対応する必要があります。その結果、相場より高額になる可能性が高いです。
解体業者へ見積もりを依頼して費用を確認しましょう。
エリア
依頼するエリアによって、作業に関わる人件費や重機のレンタル料などが変わります。都市部では人件費が高い傾向があるうえに、重機置き場の家賃も高いため経費が割り増しになります。
また、解体で出たゴミを運ぶ処分場が離れた場所にあるほど、廃材処分をスピーディに進めるのが困難です。完了までに日数がかかり、結果的に費用が高くなってしまいます。
付帯工事の有無
解体工事には、付帯工事が必要になるケースが多いです。
付帯工事とは、建物本体以外の以下のようなものを解体する工事のことです。
- 庭木
- ガレージ
- カーポート
- 井戸
- 地中埋設物
また、1981年以前に建てられた建物はアスベストを使用していることがあります。アスベストは石綿ともいい、肺がんなどの健康被害を起こすおそれがあるため、撤去と処分に特殊な作業が求められます。
建築物(建築設備を含む)の解体・改修工事を行う際は、有資格者(建築物石綿含有建材調査者等)による事前調査の実施が義務付けられます。
そのため建物の解体工事とは別途の工事として扱われ、アスベストの調査費用や除去費用がかかります。
費用が払えないなら解体せずに対処する
ここまで建物を解体することを前提に解説してきましたが、解体せずに使っていない建物の対処をする方法もあります。
具体的には以下の方法です。
- 賃貸へ出す
- 古家付き土地として売る
解体工事をしたあとは手元に何も残らないですが、上記のような方法では、建物という資産を活用して収入を得られる可能性があります。
賃貸に出す
建物は無人の状態が続くと換気や掃除が行われないため、どんどん傷んでいきます。自分で管理やメンテナンスをしたくない場合は、賃貸へ出すのも有効な選択肢のひとつです。
国土交通省の「平成 15 年 住宅需要実態調査結果」によると、借家の家賃と共益費の合計の平均は月額5.8 万円であり、最頻値は5.0〜6.9万円が23.4%です。
また空き家対策の一環として、地域によっては若者世帯の定住を狙って補助事業を実施している地方公共団体もあります。
たとえば千葉県佐倉市では、若者世帯と子育て世帯を対象に、毎月上限2万円で2年間の補助を受けられる戸建賃貸住宅家賃補助事業を行っています。
参考:佐倉市「戸建賃貸住宅家賃補助事業について」
さらに在宅勤務を認める企業が増えた影響で快適な住環境へのニーズが高まっていることもあり、賃貸市場は今後伸びていくと考えられます。
いずれ解体を行う予定だとしても、家賃で収益が得られるのであれば解体費用をためるために一時的に賃貸として運用するのもよいでしょう。
古家付き土地として売る
建物が古くなったために解体を検討している場合、築20〜30年経過しているケースが多いでしょう。そういった建物は基本的に中古一戸建て物件としては売れにくいです。
しかし建物の価値を無視し、相場より安い価格設定で古家付き土地として売り出す方法があります。
古家といっても状態がよければ買主が見つかる可能性は十分ありますし、立地を気に入ってリフォームや建て替えを前提に購入する方もいるでしょう。
売りに出す際は少しでも買主が見つかる可能性を高めるために、家の周りや内部の清掃と簡単な補修を行っておきましょう。
また、日本建築学会技術報告書の「中古住宅購入者による住情報の利用実態−中古住宅流通とリフォームの活性化に向けた調査報告 その1−」では、中古住宅を購入しない理由のひとつの背景として、売主と買主の情報の非対称性があるといわれています。
補修した箇所などに関する情報をしっかりと買主に共有して、安心してもらいましょう。
相場より低い売却価格にはなりますが資金が手に入るため、解体費用が払えないときはまず売却を検討することをおすすめします。
まずは一括査定で売却価格をチェック!
古家付き土地として売却を検討する際は、まず一括査定サイトの「リビンマッチ」を利用しましょう。リビンマッチは一回の情報入力で複数の不動産会社に査定依頼ができる無料のインターネットサービスです。
同条件で複数社を比較できるため、実際の売却価格に近い金額が把握できます。
自分の足で不動産会社を回る場合は、各不動産会社のスタッフに会社独自の記入シートでヒアリングをされます。その中で情報の過不足が発生するおそれは十分にあります。
自宅にいながら査定結果を見比べることができるのはメリットといえます。査定結果を解体費用と比較して、売却と解体のどちらを実施するか判断をしましょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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