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事実婚の相手に遺産を相続させる方法。税金や注意点も解説

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事実婚の相手に遺産を相続させる方法。税金や注意点も解説

被相続人(亡くなった人)が遺した財産は、法律で決められた法定相続人が相続するのが一般的な流れです。法定相続人は、被相続人の配偶者と血縁関係のある人に限定されるため、事実婚の相手がいても遺産を相続することはできません。

しかし、事実婚の相手に遺産を相続させたい場合は、生前に適切な対策を講じておくことで相続が可能になります。どのような対策をすれば、事実婚の相手に遺産を相続できるのか、その詳細を確認しておきましょう。

この記事でわかること

  • 事実婚の定義
  • 事実婚の相手に遺産相続させる方法
  • 遺産を相続する際の注意点

事実婚とは?

事実婚とは、婚姻の意思がある者同士が婚姻届けを提出せずに、夫婦として共同生活を送ることをいいます。

内縁関係とも呼ばれ、事実婚の相手を内縁の妻や内縁の夫と表現することもあります。 事実婚は婚姻届を提出しないため、戸籍上に記載がありません。

そのため、遺産相続の際は、戸籍上の夫婦と異なる点があります

事実婚の相手には相続権がない

被相続人の遺産を相続するには、相続権が必要です。相続権が与えられるのは、配偶者または血縁関係のある人です。

法定相続人

法定相続人

配偶者とは、法律上の婚姻関係にあり、被相続人と同じ戸籍に入っている人を指します。事実婚の夫婦では、戸籍上の記載がないため相続権はありません

遺産相続では、相続人が遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」を行います。しかし、相続権を持たない人はこの話し合いに参加できないため、事実婚の相手では遺産相続ができないのです。

相続権を持てる人

相続権を持てるのは、被相続人の配偶者、子や孫(直系卑属)、両親や祖父母(直系尊属)、兄弟姉妹です。

ただし、遺産相続には相続できる順位が決まっており、相続人全員が平等に受け取れるわけではありません。相続の優先順位は次のとおりです。被相続人の配偶者は、順位に関係なく常に相続人になります。

法定相続人と相続の順位
順位 法定相続人 詳細
第一位 直系卑属 子や孫など
第二位 直系尊属 両親、祖父母など
第三位 兄弟姉妹 兄弟や姉妹
※不在の場合は姪や甥

内縁の妻や夫、配偶者の親族、離婚した元配偶者など、上記の表に含まれない人は、どれだけ親しくても相続権はありません

事実婚の子供は認知していれば相続権がある

事実婚の相手には相続権はありませんが、その子供には相続権があります。事実婚であっても、親子であれば直系卑属に該当するためです。

ただし、被相続人の子として認められるには、子の親であることを認知する必要があります。認知されて相続権が得られた場合、遺産相続の割合はほかの相続人と同じです。

事実婚の相手の子だからといって遺産相続の順位が下がることや割合が減ることはありません。

事実婚の相手に財産を相続する方法

事実婚の相手には相続権がありませんが、次の方法で遺産を相続することは可能です。

  • 生前贈与をする
  • 遺言書を作成する
  • 特別縁故者を申し立てる

それぞれの方法について確認しておきましょう。

生前贈与をする

事実婚の相手に遺産を相続させるための方法に「生前贈与」があります。生前贈与は、持っている財産を生きているうちに無償で贈ることをいいます。

財産を贈る相手や金額に制限がないため、事実婚の相手にも財産を渡せます。 また、生前贈与には非課税枠があり、年間110万円以下であれば贈与税がかかりません。

毎年少しずつ財産を渡していけば大きな金額でも無課税にすることも可能です。

遺言書を作成する

事実婚の相手に財産を相続させるには、遺言書が効果的です。遺言書は、被相続人の意思を記載した書類です。

遺言書には法的効力があるため、財産の分け方を記載しておけば内容が尊重されます。 ただし、遺言書は正しい形式で作成しないと無効になるため、トラブルにつながるおそれがあります。

トラブルを回避するには「公正証書遺言」として作成しましょう。 公正証書遺言とは、公正証書の形で残す遺言書のことをいいます。

公証役場で法律の専門家によって作成されるため、遺言書が無効になるリスクを回避できます。また、公証役場で保管されるため、盗難や破棄、紛失が起きることもありません。

特別縁故者を申し立てる

事実婚の相手に生前贈与をしておらず、遺言書もない場合に遺産相続する方法が「特別縁故者」です。

特別縁故者とは、被相続人に法定相続人が一人もいない場合、遺産を相続する権利が発生した人をいいます。 被相続人に、配偶者・子供・両親・兄弟姉妹、いとこなどの法定相続人がいなければ、遺産は国のものになります。

そのような場合、事実婚の相手が特別縁故者になることで、遺産を相続できます。 特別縁故者になるには、裁判所に「相続財産分与の申立」を行う必要があります。

ただし、申立人になるには以下の条件を満たしている必要があります。

2. 申立人

被相続人と生計を同じくしていた者 被相続人の療養看護に努めた者 その他被相続人と特別の縁故があった者

裁判所「特別縁故者に対する相続財産分与」

また、特別縁故者になるには、申立人に該当するための証明が必要になり、複雑な手続きも必要です。そのため、生前贈与や遺言書で相続するのがおすすめです。

事実婚の相手に財産を相続する際の注意点

事実婚の相手に遺産を相続する場合、次の点にも注意しましょう。

  • 相続税の配偶者控除が受けられない
  • 遺産をすべて相続することはできない

相続の方法によっては、金銭的な負担が増えたり、遺産トラブルに巻き込まれたりするおそれがあるため、対策が必要です。

相続税の配偶者控除が受けられない

事実婚の相手が遺産を相続する場合、相続税の配偶者控除が適用されません。

相続税の配偶者控除とは、配偶者が相続した遺産の総額が1億6,000万円までであれば課税されない制度です。 相続税は、相続した遺産から基礎控除額を差し引いた分が課税対象になります。

基礎控除額は次の式で算出されます。

基礎控除額 = 3,000万円 +( 600万円 × 法定相続人の人数)

たとえば、1億5,000万円の遺産を事実婚の相手を含めた法定相続人3人で、それぞれ5,000万円の相続した場合、4,800万円を超えた分の200万円が相続税の課税対象です。

相続税の基礎控除額

相続税の基礎控除額

相続した財産が預貯金などであれば、そこから支払うことができます。しかし、不動産など現金以外の財産を相続した場合、税金の支払いが負担になるおそれがあるため注意が必要です。

配偶者控除についての詳細は関連記事もご確認ください。

遺産をすべて残すことはできない

遺産相続には、遺留分いりゅうぶんという制度があるため、事実婚の相手に遺産をすべて残すことはできません。

遺留分とは、被相続人の相続人に最低限保証される相続分のことです。 遺留分は、遺言よりも優先されます。仮に事実婚の相手にすべての遺産を相続させる遺言を遺しても、法定相続人から遺留分の相続を請求された場合、応じる必要があります。

法定相続人の遺留分は次のとおりです。

法定相続人が相続する法定相続分と遺留分
法定相続人 法定相続分 遺留分
配偶者と子 配偶者:2分の1
子:2分の1を人数で分ける
配偶者:4分の1
子:4分の1を人数で分ける
配偶者と両親 配偶者:3分の2
両親:3分の1
配偶者:3分の1
両親:6分の1を人数で分ける
配偶者のみ 全部 2分の1
子のみ 全部を均等に相続 2分の1を人数で分ける

遺留分の遺産相続を遺言を残したとしても、ほかに法定相続人がいる場合は、遺留分の遺産相続を請求されることがあります。

遺留分の相続をめぐってトラブルに発展するおそれもあるため、遺言を遺す場合は遺留分にも配慮する必要があります

遺言書の書き方によって借金も相続の対象になる

故人の遺言に従って遺産を相続することを「遺贈いぞう」といいます。

遺贈には、「包括遺贈ほうかついぞう」と「特定遺贈とくていいぞう」の2種類があり、相続できる財産が異なることがあります。

相続される財産には、預貯金や不動産などプラスのものだけでなく、借金などのマイナスのものも含まれます。事実婚の相手に財産を相続させるには、遺言書を作成する方法がありますが、書き方によってはマイナスの財産も含まれるため注意が必要です。

包括遺贈

包括遺贈は、すべての財産から一定の割合を遺贈する方法です。たとえば、事実婚の相手に「全財産の〇%を相続させる」と遺言書に明記していた場合は、包括遺贈になります。

包括遺贈は、マイナスの財産も対象です。そのため、財産のなかに借金がある場合は、包括遺贈で定められた割合を相続します。

特定遺贈

特定遺贈は、すべての財産のなかから、特定の財産のみを指定して遺贈する方法です。

たとえば、事実婚の相手に「〇〇社の株式200株を相続する」「〇〇の土地を相続する」と遺言書に明記している場合は、特定遺贈になります。

財産のなかに借金があっても、特定遺贈であれば相続されません。そのため、事実婚の相手にプラスの財産だけを相続できます。

専門家に頼ったほうがいい

遺産相続は、すべての遺産と相続人を把握して、トラブルが起きないように進めることが大切ですが、時間や手間がかかるため専門家へ依頼することも検討しましょう。

遺産相続の場合、まずは弁護士への相談がおすすめです。多くの弁護士事務所では、初回無料相談を実施しているため、遺産相続の進め方について費用をかけずにアドバイスを受けることができます。

無料相談は時間制限が設けられているケースがほとんどです。利用する際はスムーズに話を進めるために、法定相続人や相続する財産、遺産相続の方針を説明できる資料を準備しておきましょう。

不動産は相続はトラブルになりやすい

遺産相続のなかでも、トラブルにつながりやすいのが不動産です。事実婚の相手が不動産を相続した場合、法定相続人との間で遺産トラブルが発生しないためにも必要な対策を確認しておきましょう。

遺留分を除いた遺産を相続させる

事実婚の相手に不動産を相続する場合、法定相続人の遺留分をほかの財産で確保しておきましょう。相続する遺産が不動産のみの場合、相続人が共有名義で不動産を所有することになります。

共有名義の不動産を売却するには、持ち分に関わらず名義人全員の合意が必要になるため、方針によってトラブルにつながるおそれがあります

そのため、事実婚の相手に不動産を相続する場合は、法定相続人の遺留分をほかの財産で用意しておき、共有名義にならないような対策が必要です。

生前に不動産を売却しておくことも検討する

不動産の相続に関して、事実婚の相手と法定相続人の間でのトラブルを回避するには、売却して現金化しておくことも検討しておきましょう

不動産を現金化しておくことで、遺産の分割がしやすくなるため、トラブルが起きにくくなります。

不動産の売却価格は不動産会社によって異なるため、売却する前には必ず複数社で査定をして比較するようにしましょう。

複数の不動産会社に査定を依頼するなら「リビンマッチ」が便利です。 質問に答えていくチャット形式なので、スムーズに入力が可能です。

あとは不動産会社から査定の連絡が届くのを待つだけです。 不動産は遺産相続のなかでもとくに時間がかかるため、手間を省ける方法で進めていきましょう。

この記事の編集者

リビンマッチ編集部 リビンマッチ編集部

リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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