マンション空き家の原因は?引き起こす問題や処分方法を紹介
日本では、空き家の増加が社会問題化しています。原因としては、所有者死亡に伴う相続で、相続人である子が管理せず放置するケースが多いようです。
では、空き家になるとどのような問題が起きるのでしょうか。また、実際にマンションを相続したときは、どのような対応をすればよいのでしょうか。
この記事では、マンション空き家の現状と、相続した際に知っておくべき点について紹介します。
もくじ
マンション空き家の原因は相続
ここではデータで見る空き家の現状や、問題が生じてしまう社会構造について説明します。
増え続ける空き家
総務省が2018年に実施している「住宅・土地統計調査」では、空き家は848.9万戸、空き家率は過去最高の13.6%となっています。
総務省「住宅・土地統計調査」より
空き家というと戸建てをイメージされる人がいると思いますが、同調査によると空き家総数に占める割合では、むしろ分譲マンションなどの共同住宅のほうが多い状況となっています。
建物種類 | 空き家総数に占める割合(%) |
---|---|
戸建て | 37.5 |
長屋建て | 5.9 |
共同住宅 | 56.2 |
空き家と築年数の関係性
所有者が判明している空き家もあれば、所有者不明となっている空き家も存在します。国土交通省が2016年に管理組合に対して行った調査「マンションの再生手法及び合意形成に係る調査」によると、マンションの築年数が経過するほど、所有者不明の割合が高くなるということがわかります。
国土交通省「マンションの再生手法及び合意形成に係る調査」より
築年数が経過したマンションは、資産価値が高いとはいえず、売却や活用が簡単ではありません。これは、マンションに資産価値がないことから相続人が相続放棄してしまうことが原因だといわれています。
空き家が生まれる原因
空き家の主な原因は相続だといわれており、空き家は都心よりも地方で深刻化しています。
地方で生まれて、進学や就職をきっかけに都市部に出てきた若者たちは、故郷に戻らずそのまま都市部で生活を続けるケースが多くみられます。不動産を所有していた親世代が亡くなると、通常はその子に資産が相続されます。
しかし、過疎地域の不動産は価値が低く、資産として持っていても有効活用できる見込みが乏しいことが多いです。また、Uターンする予定がない場合、遠方から資産を管理し続けるのも現実的に見て難しいところがあります。
こうした状況に加え、管理費用や固定資産税などのコスト負担も継続的に発生するため、結局空き家状態のまま放置されることが多いです。こうして誰も管理することのない空室が次々に生まれていっているのが、いまの日本の現状です。
マンション空き家が引き起こす問題とは
マンションが空き家になると、どのような不都合があるのでしょうか。マンション空き家が引き起こす問題について紹介します。
劣化しやすくなる
建物は使用していないほうが劣化しやすいです。人がいないと清掃はもちろん、換気も行われず、カビや腐食が進みます。
いずれ処分しようと思っていた場合でも劣化がひどくなると、処分が面倒になり、そのまま放置してしまうこともあります。また、マンションは上下左右に入居者がいます。臭いや床の水漏れなどで所有者が損害賠償責任を請求されることもあります。
空き家が増えるとスラム化する
30〜40年と築年数が経過している場合には、同一マンション内で空き家が複数あるケースもあります。空き家が増えてしまうと、当然人の出入りも減ります。さらに適切な管理が行われなくなると、人が立ち寄りにくい異様な空気感を放ち、いわゆるスラム化となってしまいます。
スラム化し人が近寄らなくなると、犯罪の温床となるおそれもあります。スラム化はひとりだけの責任ではありませんが、各々が当事者意識を持つ必要があります。
所有者不明の場合は深刻
空き家の所有者が不明の場合は深刻です。一番の問題は管理費や修繕積立金が徴収できなくなることです。これらの費用が徴収できなくなることで、マンションの維持管理が正常に行えない場合があります。
また、マンション運営に関する重要事項を決められないという問題もあります。マンションの運営管理について定められている区分所有法では、規約の変更は4分の3、建て替えでは5分の4以上の所有者の賛成が必要です。
次の物につき第六十六条において準用する第三十条第一項の規約を定めるには、第一号に掲げる土地又は附属施設にあつては当該土地の全部又は附属施設の全部につきそれぞれ共有者の四分の三以上でその持分の四分の三以上を有するものの同意、第二号に掲げる建物にあつてはその全部につきそれぞれ第三十四条の規定による集会における区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による決議があることを要する。
区分所有者及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地若しくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。
所有者不明の場合、マンション運営の重要事項を決定できないリスクがあり、管理組合運営の足かせになってしまうリスクがあります。
マンション空き家はすぐに売却を
空き家の管理方法としては、空き家のまま保持したり、賃貸にしたりする方法が考えられますが、それぞれ固有のリスクがあります。また、相続放棄して完全に手放すという手もありますが、法的な手続きは煩雑です。
現実的な手間と収益のバランスという点で、売却は非常におすすめの処分方法なので、以下で詳しく説明します。
空き家を持ち続けるリスク
空き家となったマンションに将来的に居住することを検討している場合などは、空き家のまま物件を管理するという選択肢があります。
この場合、マンションを自分の資産として持ちますが、設備などの経年劣化は避けられず、年数がたてばたつほどメンテナンスの必要性が高まります。
また、空き家を持ったまま収益化したい場合は、賃貸に出して賃料を得るという方法も考えられます。入居者に困らなければ継続的に安定した利益を得ることができますが、空き家だった部屋にすぐ入居者が集まることは難しく、想定した利回りを達成できない可能性が十分に考えられます。
空き家を相続放棄することは可能か?
相続で取得した空き家を処分する手段のひとつとして、相続放棄があります。放棄することで管理の手間などから解放されますが、相続放棄の適用対象はすべての遺産であり、マンションだけを選択して放棄ができません。
また、相続放棄は踏まえなければならない法律的なルールや手続きが多く、気軽にできるものではありません。具体的には、次のような流れで進めていきますが、かなりの手間と時間をかける覚悟が必要です。
- ほかの相続人の調査および確定
- 被相続人の資産や負債の状況調査
- 相続方法の選択
また、せっかく親が苦労して手に入れた資産であることを考えると、なるべくメリットの大きい処分方法を選びたいところです。
一括査定サイトを活用して売却しよう
なるべく継続的なコストをかけず、それなりにメリットのあるやり方としておすすめの処分方法は、中古マンションとして売却することです。
完全に資産を売却してしまえば、毎月マンションの管理会社に支払う修繕積立金や、管理費用などのランニングコストをなくせます。また、資産として価値があればあるほど固定資産税の納付額も増えますが、売却後は当然支払い不要です。
一般的な鉄筋コンクリート造のマンションの法定耐用年数は47年とされていますが、実際には法定耐用年数以上に長持ちするものも多いです。そういった点にも考慮しながら、よりよい条件を提示してくれる不動産会社に相談してみましょう。
よりよい条件で売却するには、不動産会社の比較が欠かせません。一括査定サイトの「リビンマッチ」では、不動産会社へ空き家の一括査定ができます。複数の査定結果を受けとれるだけでなく、各会社の対応も比較できます。少しでもよい条件で売却するには欠かせないサービスです。無料で利用できるのでぜひ活用してください。
擁壁がある土地の売却に関するよくある質問
- マンション空き家の原因は?
- マンション空き家の原因は所有者死亡に伴う相続で、相続人である子が管理せず放置するケースが多いです。
- マンション空き家が引き起こす問題は?
- 空き家になることで劣化が進んだり、マンションのスラム化の原因になったりします。
大手住宅メーカーの注文住宅販売や不動産テック企業の仲介業務に4年間携わり、不動産取引にかかわった件数は350件以上にわたります。2021年よりリビンマッチコラムの執筆・編集を担しています。皆さんが安心して不動産取引を行えるよう、わかりやすくリアルな情報を発信します。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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