孤独死があったら家はどうなる?まずするべきことや家の対処方法について
人生100年といわれる時代を迎えたことで、高齢者がひとりで暮らす期間も長くなっています。そのため、終活として孤独死への対策が必要な時代かもしれません。
本記事では孤独死があった家がどうなるのか、孤独死が起こったときに何をすればよいのかを詳しく解説します。
近い将来、孤独死が自分のまわりで起こる可能性は十分にあります。早めに対処法を知っておきましょう。
もくじ
孤独死があったら家はどうなる?
誰にもみとられずに家で亡くなると、その家はどのような扱いになるのでしょうか。孤独死の実情と併せて確認してみましょう。
孤独死とは
孤独死とは、主にひとりで暮らしている方が、自宅で誰にもみとられずに亡くなることを指します。
その言葉の雰囲気から、高齢者が病気や老衰によって亡くなることをイメージする方が多いでしょう。しかし実際は、20代や30代などの若い世代でも、脳梗塞や転倒による事故、さらには自ら命を絶つことにより発生します。
また一般社団法人 日本少額短期保険協会が2021年に公表した「第6回孤独死現状レポート」によると、2015年4月~2021年3月における孤独死者の男女比は以下のとおりです。
人数(人) | 割合(%) | |
---|---|---|
男性 | 4,614 | 83.1 |
女性 | 929 | 16.9 |
孤独死者数は男性が女性の約5倍と、大きな差があることがわかります。
これは女性はコミュニティを築くことが得意なのに対して、男性は仕事を辞めたと同時にコミュニティを失って孤立しやすい傾向があるからだと考えられます。
65歳以上のひとり暮らしは増加傾向
引用:内閣府「令和4年版高齢社会白書」
1980年におけるひとり暮らしをしている男性は約19万人、女性は約68万人でした。しかし2020年には男性が約231万人、女性は約440万人と、大幅に増加していることがわかります。
これからの高齢化社会では、さらに孤独死の発生数が増える可能性が高いといえるでしょう。
空き家でも固定資産税など税金がかかる
孤独死により空き家となった場合でも、相続した家族に固定資産税などの税金が課せられます。
特に不慮の事態で空き家となってしまった際は、相続するかどうかも含めて、家をどうするかの判断に時間がかかるでしょう。
その間も固定資産税などの課税対象になるだけではありません。長期間空き家の状態が続くと、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、特定空き家に認定されるおそれがあります。
この法律において「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。
特定空き家に認定されると、固定資産税の優遇措置が適用されないため、さらに課税額が高くなります。
【補足】事前にできる対策はある?
高齢者が終活として事前に対策を行っていた場合と、なにも対策をしていない場合では、そのあとの家の対処方法は大きく変わってきます。
自分の孤独死によって親戚などに迷惑をかけたくない場合は、事前に保険加入を検討するとよいでしょう。
最近では、孤独死にも適用される保険商品が豊富にそろっています。
もっともシンプルなのは、信頼できる親戚や子どもなどの家族を受取人とした、低額の死亡保険に加入しておくことです。
残された遺族は家の処分費用に保険金を使って負担を減らせます。さらに定額の死亡保険であれば、日々の支払いは抑えられるでしょう。
ほかに、孤独死が発生した際の原状回復費用を補填する火災保険や少額短期保険など、さまざまな商品が誕生しています。
決して高額な保険である必要はありませんが、最低限の保証を得られる保険への加入をしておけば、将来的に安心でしょう。
孤独死を知ったらまずするべきことは?
もし身内の孤独死を知ったら、その住まいについてどのように行動するのがよいのでしょうか。そのまま何もせず放置をしていると、確実に空き家となってしまいます。
そのため、孤独死を知ったあとは、速やかに対応する必要があります。
特殊清掃で原状回復
亡くなった日から、それを誰かが知るまでに時間がかかった場合、そのままでは室内を利用できないおそれがあります。
そのときは、清掃や消毒といった特殊清掃を依頼する必要があります。
この特殊清掃とは、犯罪や自殺、孤独死などにより室内が通常と大きく異なる状況になったときに行う、特別な清掃です。
遺品整理を依頼する
残された遺品の整理を相続人や身内だけで行うのは、難しいケースがあります。
それまで故人も生活をしていた部屋にはさまざまな物があり、以下のような作業が必要です。
- テレビや冷蔵庫など大型家電の処分
- タンスやソファーなど家具の処分
- 衣類や細々とした雑貨類などの仕分け
最近は終活として、老後の暮らしの中で少しずつ物を減らしていく方が増えていますが、それでも残るものは少なくありません。
特に孤独死があった家が遠方にある場合は、遺品を整理するのに多くの手間や時間がかかります。そのため最近は、遺品整理を専門家に依頼することが多いようです。
相続放棄を検討する
孤独死が発生した家を相続する権利がある場合、そもそも相続するかの判断が必要です。
家の管理ができない状況などでは、相続放棄も検討するでしょう。
なお2021年に成立した相続土地国庫帰属法は、不動産のみ相続の権利を放棄することに特化しています。
土地が管理できないまま放置されることで、将来、「所有者不明土地」が発生することを予防するため、相続又は遺贈(遺言によって特定の相続人に財産の一部又は全部を譲ること)によって土地の所有権を取得した相続人が、一定の要件を満たした場合に、土地を手放して国庫に帰属させることを可能とする「相続土地国庫帰属制度」が創設されました。
本来であれば検討したいところですが、対象は土地のみであるため、建物は適用外です。
相続放棄は、すべての遺産に関する権利を放棄することになるため、慎重に検討する必要があります。
孤独死があった家の対処法
孤独死が発生してしまった場合、その家の対処法としてさまざまな選択肢があります。
更地にするか再活用するか
孤独死が発生した家を相続したら、建物を取り壊して更地にしてしまうのか、それともそのまま再活用するのかを考えます。
これは状況により判断する必要があるため、どちらがよいとは一概にはいえません。
具体的には、以下が判断する際のポイントです。
- 特殊清掃が必要か
- 心理的な負担や不安がないか
もし何か気になる点があるのなら、思い切って更地にしておき、そこから再活用か売却を検討してもよいでしょう。
また建物の状況が良好で、築年数や老朽化の問題がない場合は、そのまま再活用という方法も考えられます。
事故物件扱いになる?
孤独死があった家は、事故物件として扱われるのでしょうか。
この疑問の本質は、事故物件の扱いになるかどうかではなく、賃貸や売買を行う際に告知義務があるのかどうかという点です。
2021年に国土交通省が公表した「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」には、売買と賃貸は両方、孤独死を含む自然死や不慮の死などの場合は告知不要とあります。
このガイドラインに従って考えると、孤独死を含む自然死、つまり病気や老衰などは告知することが不要です。
一方で事件や事故、また自殺については告知義務が発生します。また自然死であっても、その発見までに時間が経過し特殊清掃を必要とするような場合は、同様に告知が必要です。
本来、告知義務を定める目的は、買主または借主の心理的負担を明確化することを目的としているからです。
不動産会社に相談してみよう
孤独死が発生したことで、家の売却や活用に悩んだ際は、信頼できる不動産会社に相談してみましょう。
高齢者のひとり暮らしが増えている昨今、不動産会社も孤独死の起こった物件を取り扱う機会が増えています。過去に経験のある不動産会社や担当者であれば、適切な解決方法を示してくれるでしょう。
また、不動産会社に相談するときは、複数の不動産会社に査定を依頼できる一括査定サイトの「リビンマッチ」を利用しましょう。リビンマッチでは、家の査定価格がわかるだけではありません。実際に売却が可能なのかどうかも含めて、さまざまな提案を一度に確認できます。
さらに対応を比較すれば、親身に相談に乗ってくれる不動産会社を簡単に見つけられます。
これから孤独死は増加していくでしょう。それを受け入れて、生前から正しく準備をして、残された者として正しく対処する心構えが重要です。
後悔しないためにも、リビンマッチで専門家の意見を聞いておきましょう。
孤独死と家に関するよくある質問
- 孤独死があったら家はどうなる?
- 孤独死により空き家となった場合、長期間空き家の状態が続くと、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、特定空き家に認定されるおそれがあります。特定空き家に認定されると、固定資産税の優遇措置が適用されないため、さらに課税額が高くなります。
- 孤独死を知ったらまずは何をする?
- 特殊清掃による原状回復や遺品整理が必要です。また、孤独死が発生した家を相続する権利がある場合、そもそも相続するかの判断が必要です。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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