住まない実家は相続してはいけない?相続放棄より相続後の売却をおすすめする理由
相続予定の遺産に実家が含まれていると、「住まないのに実家を相続しても負担になる」という不安から相続してはいけないのでは、と考える方は少なくありません。
実家を相続したほうがよいのか、それとも相続してはいけないのかは状況によって違います。どちらが自身にとって最適であるかを判断するのは容易ではありません。
本記事では、具体的なケース別に実家を相続するべきかどうかの考え方を紹介します。人が住まない家がどうなるのかも理解して、対処方法を検討しましょう。
住まない実家は相続してはいけないのか?
ここでは、相続してはいけないケースと相続したほうがよいケースをそれぞれ紹介します。これを参考に、住まない実家を相続する可能性のある方は検討してみましょう。
遺産が管理できない家だけの場合は相続してはいけない
実家を相続しても管理できない場合は、相続放棄を選択肢に入れておきましょう。
管理ができないと建物の老朽化が進むだけでなく、雑草などによって近隣住民に迷惑がかかるおそれがあります。
ただし、相続放棄をすると、実家だけでなく遺産すべてを放棄することになります。遺産の中に相続したいものがある場合は、慎重な判断が必要です。
また、一度相続してしまうと、あとから相続放棄はできないので注意しましょう。
相続しても売却できない可能性が高い場合は相続してはいけない
実家が老朽化していたり、田舎にあったりといった理由で買主が見つからない可能性が高い場合も、相続放棄を検討してみましょう。
実家を相続しても有効活用できず、処分に困るおそれがあります。処分に困る前に、そもそも相続しないというのも賢い選択です。
売れるか売れないかを判断するには、まず相続予定の実家を不動産会社に査定してもらいましょう。専門家の視点から物件の状況を細かく確認してもらえます。
なお、不動産会社によって得意不得意があるので、複数の不動産会社に査定依頼ができる一括査定サイト「リビンマッチ」の活用をおすすめします。
実家を賃貸として貸し出せる場合は相続しても問題ない
賃貸需要があり家賃収入が期待できる場合は、実家の相続をおすすめします。
実家を貸し出して本業とは別に家賃収入を得られれば、生活にゆとりが生まれるかもしれません。さらに、住まない間も入居者が室内の清掃などを定期的に行ってくれるため、建物をきれいに保てます。
ただし、家の老朽化が進んでいる場合は、修繕費がかかるおそれがあります。そのことも資金計画に入れておきましょう。
資金的な余裕がある場合は相続してから土地を有効活用する
資金的な余裕がある場合は、実家を相続したあとに駐車場やアパートなどにして有効活用してみてもよいでしょう。
実家を取り壊して駐車場にしたり、アパートなどを建てて賃貸経営したりすれば、実家をそのまま貸し出すより高い収入を得られる可能性があります。
ただし建物を解体するには、約90万〜250万円の解体費用がかかります。多額の建築費用も必要なため、資金的な余裕がある場合に限ります。
また、需要がない立地で駐車場経営などをしても意味がありません。有効活用する際は需要があり、儲かる可能性があるのかを慎重に見極めることが重要です。
実家を売却して利益が出る場合は相続しよう
実家を売却して、さまざまな経費を差し引いても利益が得られる場合は、相続破棄をせずに実家を相続することをおすすめします。
ただし、意外と経費がかかって赤字になってしまうという事態も考えられるため、経費計算はしっかりと行っておきましょう。
なお、実家の老朽化が進んでいると、売却が完了するまで時間がかかるおそれがあります。そのため、一括査定サイトなどを活用して早期売却できるように工夫しましょう。
実家を相続してから売却するメリットについて、詳しくはのちほど紹介します。
人が住まない家がどうなるのか
相続してから考えようとして、いざ相続すると、処分を面倒に感じて放置してしまう方は少なくありません。
しかし人が住まない家をそのまま放置すると、さまざまなリスクやデメリットがあります。
管理ができず劣化が早まる
管理する人がいないと、室内の通風や清掃などが行われません。そのため建物の劣化が早まってしまいます。
劣化が進んでしまってから売却や活用を検討しても、家の価値は低く、余分な費用がかかってしまうでしょう。
特定空き家に指定されるリスクがある
特定空き家とは、国土交通省が示している以下4つの基準のいずれかに該当する空き家のことです。
- 倒壊などの著しく保安上危険となるおそれがある状態
- 著しく衛生上有害となるおそれがある状態
- 著しく景観を損なっている状態
- 放置することが不適切である状態
(前略)「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。
人が住まない家の維持管理を怠り放置すると、上記の基準を満たしてしまい特定空き家に指定されるおそれがあります。
地方公共団体(自治体)から特定空き家に指定され、そのあとの勧告に従わず放置し続けると、住宅用地の特例措置が適用できず、固定資産税が高くなってしまうので注意が必要です。
特定空き家に指定されるリスクを避けるためにも、早期の処分を検討しましょう。
近隣トラブルになるおそれがある
実家の老朽化が進むと、地域の美観を損ねかねません。また樹木や雑草が伸びるなどして隣の敷地に侵入し、近隣トラブルに発展するおそれがあります。
最悪の場合、損害賠償を請求されることもあります。
相続後の売却がおすすめ
管理できない実家をただ所有し続けることはリスクが高いです。実家にだれも住む予定がないなら、相続後の売却をおすすめします。
相続放棄という選択肢もありますが、実家以外の財産もすべて放棄しなくてはいけません。相続後に売却すれば、相続を放棄するよりも利益を得られる可能性があります。
実家を有効活用する場合と比べて手間と費用がかからない
相続した実家を賃貸に出したり、解体してからアパートを建てたりすることもできますが、多くの手間や費用がかかります。
売却してしまえば、更地にする解体費用や新しく建物を建築する費用はかかりません。
それどころか、売却代金を得ることもできます。
資金的な余裕がない方や安定志向の方は、実家を活用するのではなく売却を検討しましょう。
遺産分割でもめにくい
法定相続人が複数人いる場合も、相続後に実家を売却するのがおすすめです。
実家の売却代金を公平に分けられるため、遺産分割でほかの法定相続人ともめる可能性が低くなります。
とはいえ、すべての法定相続人が同意しないと実家の売却はできません。事前に将来的に実家をどうするのかについて話し合っておきましょう。
相続放棄より得する可能性が!
売却できる可能性があるなら、実家を相続放棄するよりも相続してから売却しましょう。
相続放棄をすると1円も得られませんが、相続した家を売却することで売却代金が得られるためです。
ただし、売却にかかる経費との比較をする必要があります。最悪の場合、売却価格よりも経費のほうがかかるといったことも考えられるため十分に注意しましょう。
とはいえ、売却益が残るケースのほうが多いので、実家を相続する際は売却を検討しましょう。
また、実家の売却が可能かどうかを調べる際は、不動産売却の一括査定サイト「リビンマッチ」を利用しましょう。
リビンマッチでは、一度の手間で複数の不動産会社に査定依頼ができます。さまざまな査定結果や提案を比較できるため、実家に需要があるかがすぐにわかります。
住まない実家を相続してはいけない!と決めつける前に、可能性を模索するのが賢い選択です。
実家の相続に関するよくある質問
- 住まない実家は相続してはいけない?
- 相続しても管理できなかったり、売却できない可能性が高いなら、相続しないほうがよいでしょう。しかし売却して利益が出る場合や、賃貸として貸し出せる場合などは相続することをおすすめします。
- 人が住まない家はどうなる?
- 管理ができず劣化が早まり、特定空き家に指定されるリスクがあります。特定空き家に指定され、そのあとの勧告に従わず放置し続けると、住宅用地の特例措置が適用できず、固定資産税が高くなってしまいます。
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