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孤独死は告知義務がある?不動産の売買に与える影響とは

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孤独死は告知義務がある?不動産の売買に与える影響とは

最近は子どもが独立して、親と別で住まいを構えるのは珍しくありません。そのため、親の孤独死があった家を相続することもあるでしょう。

その家が遠方にある場合などは特に、売却を検討するケースがあります。

しかし、孤独死があった家は印象が悪くて購入希望者が見つかりにくいと考え、孤独死があった事実を隠したい人もいるはずです。

いわゆる事故物件はその事実を隠して売ってはいけないと知っている人は多いでしょう。では自然死などの場合は、買主に告知する義務があるのでしょうか。

本記事では、孤独死のあった家の売却について詳しく解説します。

孤独死が増えている現状について

少子高齢化が進む日本において、孤独死は社会問題のひとつとして取り上げられています。

ここでは、孤独死に関する現状と不動産取引との関係を解説します。

孤独死の種類と現状

孤独死は孤立死ともいいますが、正式な定義や正確な統計データはありません。

ここでは、東京都の「東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計(平成30年)」より国土交通省が作成したデータを確認してみましょう。

孤独死を「異状死のうち、自宅で亡くなられた一人暮らしの人」と定義したとき、2003年~2018年までの東京都区部における孤独死者数の推移は、以下のとおりです。

東京都区部における年齢階級別の孤独死数の推移

東京都区部における年齢階級別の孤独死数の推移

引用:国土交通省「死因別統計データ」

64歳以下の世代では、孤独死の推移に大きな変化はありません。しかし、65歳以上では15年間で約2.7倍と増加しているのがわかります。

さらに、一般社団法人 日本少額短期保険協会「第6回孤独死現状レポート」によると、2019年における孤独死者の死因別割合は以下のとおりでした。

孤独死者の死因別割合
死因 割合(%)
病死 65.6
死因不明 22.2
自殺 10.9
事故死 1.3

病死が65.6%と、もっとも多いことがわかります。

孤独死が増加する原因

孤独死が増加している代表的な原因は、独居高齢者の増加です。

核家族化が進んでおり、高齢世帯に子や孫がいっしょに暮らすことは少ないです。高齢夫婦は常に、独居高齢者になる可能性がある状態といえるでしょう。

また、生涯独身の人も多く、下図は1970年から2015年までの未婚率推移と、2040年までの予測をグラフにしたものです。

50歳時の未婚割合の推移と将来推計

50歳時の未婚割合の推移と将来推計

引用:内閣府「少子化をめぐる現状-婚姻・出産の状況」

未婚者の増加は必然的に独居高齢者の増加につながり、孤独死も今後さらに増えていくと考えられます。

孤独死と不動産取引

孤独死と不動産取引の関係を考えてみましょう。

孤独死は「亡くなったことが誰にも知られずに放置された期間」の長さによって、心理的な嫌悪感や抵抗感が問題となることがあります。

また死因によっては、孤独死よりも、亡くなり方がより大きな問題となることもあります。

つまり、事件や事故そして自殺といった原因の場合は、事故物件として扱われます。不動産の賃貸借と売買どちらの取引でも、事故物件は告知の義務があります。

今後さらに孤独死が増加することは明らかでしょう。賃貸物件と売買物件の両方で、孤独死の対策を検討する必要があります。


孤独死は告知義務がある?

不動産取引では、孤独死のような心理的にデリケートな事案が発生した物件に関しては、その事実について取引相手に正確に知らせる義務があります。これを「告知義務」といいます。

ここでは不動産売却における、告知義務について詳しく解説します。

不動産売却における告知義務とは

不動産売却における告知義務とは、取引する物件に存在する不具合や欠陥について、買主に対して隠すことなく伝える義務のことをいいます。

不具合や欠陥は瑕疵といい、主に4つのカテゴリーに分類されます。

  • 物理的な瑕疵
  • 法律上の瑕疵
  • 環境的な瑕疵
  • 心理的な瑕疵

孤独死や事故は「心理的な瑕疵」に分類され、抽象的・主観的な要素も含み、非常にデリケートな面があるので注意が必要です。

こういった瑕疵などがあり、取引した物件が契約内容と異なる場合、売主は契約不適合責任に問われます。契約不適合責任に問われると、売主は、代金減額や損害賠償などの請求を受けるおそれがあります。

「この程度のことが…」といったことが、あとに問題になるかもしれません。気になることは軽視せず、できるだけ買主に伝えることが大切です。

孤独死の告知義務

心理的瑕疵の中でも特に人の死に関する告知義務に関して、国土交通省が2021年10月に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を発表しました。

重要なポイントを2つ紹介します。

孤独死に関わる事案の調査義務について

告知とは、売主が知っていた事実を知らせることです。故意に告知義務のある事実を隠した場合は、売主が民事上の責任を問われるおそれがあります。

また仲介を行う不動産会社には、周辺を聞き込みしインターネットで検索するなどの調査義務まではありません。

ただし不動産会社が売却活動をする中で、告知義務のある事案と考えられる情報を知った場合は、売主に確認するなどの注意義務はあると考えられます。

告知が不要なケース

ガイドラインでは、告知をしなくともよいとされている事案を定めています。

原則として、自然死や日常生活における転倒事故など、不慮の死は告知義務がありません

逆にいうと、自然死などの不慮の死以外は、告知しなければなりません。また、自然死などでも、発見までの期間が長く、特殊清掃を行った場合は告知の必要があります

ただし、隣接住戸や日常的に使用しないマンションの共用部などで発生した事案については、告知義務がありません。

告知義務があるかどうかの判断は難しい

事故物件の場合、告知義務があります。

しかし、告知義務のない孤独死があった物件と、告知義務のある事故物件は、その境界線が不明瞭なケースもあります。

また、正確な情報を得ることが難しく、結果的に告知義務違反や虚偽の説明を行ってしまうおそれがあります。

ここでは、孤独死に関する事例として、平成25年7月3日に判決のあった「1棟売り賃貸マンション損害賠償事件」を紹介します。

この事件では、1棟マンションの1室で、自然死として説明を受けて売買取引が行われました。しかし自然死ではなく自殺であったため、売主などの調査説明義務違反を含めた債務不履行や不法行為に対して、損害賠償請求を求めたものです。

判決は調査義務違反や不法行為は認めないものの、売主に対して600万円の支払いを命じました。

参考:一般財団法人 不動産適正取引推進機構 | RETIO判例検索システム「一棟売り賃貸マンションの自殺事故を説明しなかったとして売主等に対して行った損害賠償請求が棄却された事例

この事例では、売主である不動産会社は管理会社にも確認し、自然死と認識していました。買主はインターネットの情報から自殺を疑い、結果的に警察署で自殺であると判明しました。しかし、当初の警察署の説明では、事件性のない自然死と説明されていたものです。

売主が故意に自然死と説明せずに、通常考えられる調査の結果、自然死と認識したものでも、責任を問われるおそれがあるということです。

孤独死があった家は売却に影響がある?

孤独死があった物件の売却では、価格面などに影響があるおそれがあります。売主として知っておきたいポイントを説明します。

事故物件の売却

事故物件の場合、心理的瑕疵があるため相場価格で売却するのは難しいでしょう。

具体的には、相場より約2~3割は値下がりすると考えておきましょう。事故の状況によっては、相場価格の5割以下となるケースもあり、かなり減額する覚悟はしておきましょう

しかし、売却価格は買主次第の面があるため、売却を依頼する不動産会社とよく相談してみましょう。

孤独死のあった物件の売却戦略

孤独死であっても、告知義務のないケースがあります。また、念のため告知をする場合でも、孤独死があったからといって売却が難しいことはありません

前述の事故物件に該当する以外は、通常の売却と変わらないこともあります。

まず、売却を依頼する不動産会社にできるだけ孤独死の状況を正確に伝え、専門家の判断に委ねることが大切です。

孤独死のあった物件だからといってネガティブに捉える必要はありませんが、強気で売却しようと意気込むのもよくありません。客観的に物件状況を把握し、冷静な判断に基づく売却戦略が重要です。

また、事故物件の場合は、不動産会社が仲介して買主を探す売却方法よりも、不動産会社による買取のほうが早く確実なケースもあります。

不動産会社選びが重要

孤独死や事故物件の売却は通常の物件とは異なり、告知事項を正確に伝える必要があります。

調査不足により契約不適合責任に問われる場合もあり、孤独死や事故物件に詳しい不動産会社に売却を依頼することが重要です。

そのような専門家を自力で見つけるのは、簡単ではありません。

まずは、不動産の一括査定サイト「リビンマッチ」を利用しましょう。リビンマッチは一度簡単な情報を入力するだけで、複数の不動産会社に物件の査定依頼ができる無料のインターネットサービスです。全国の不動産会社が加盟しているので、さまざまな不動産会社の特徴を比較できます。

担当者の対応なども比較して、信頼して任せられる不動産会社を見つけられます。

孤独死のあった家の売却に関するよくある質問

孤独死のあった家を売るとき、その事実を告知する義務がある?
自然死や日常生活における転倒事故など、不慮の死は告知義務がありません。ただし、発見までの期間が長く、特殊清掃を行った場合は告知の必要があります。また、自然死と認識したものでも、責任を問われるおそれがあるため注意しましょう。
孤独死があった家は売却に影響がある?
事故物件に該当する以外の孤独死であれば、売却が難しいことはありません。孤独死のあった物件だからといってネガティブに捉える必要はありませんが、強気で売却しようと意気込むのもよくありません。

この記事の編集者

リビンマッチ編集部 リビンマッチ編集部

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