団地の売却方法を徹底解説。売れない原因が築年数の場合は?
団地に正式な定義はありませんが、一般的にひとつの敷地に配置された複数の共同住宅のことをいいます。
団地のほとんどは築年数が古くなり、相続される機会が増えました。相続したものの使い道がないと、売ってしまいたいと考えるでしょう。
しかし、建物の劣化などが理由で売れないことを懸念する人が多いようです。
本記事では、団地の相続や売却事情について詳しく解説します。また、どのように工夫をすれば売れるのか具体的な方法も紹介するので、ご参考になれば幸いです。
もくじ
団地とは?売れないって本当?
団地の概要や相続について確認して、売れないといわれる理由を考えてみましょう。
団地が広がった背景
団地という言葉が一般的に使われるようになったのは、日本住宅公団(現在の都市再生機構)の前身である、住宅営団が行ったプロジェクトに語源があるといわれています。
日本住宅公団は、太平洋戦争後の1955年に設立されました。当時深刻な問題となっていた住宅不足を解消するため、複数の共同住宅をひとつの敷地に配置して効率化を図る団地を開発しました。さらに、居住性能を確保するプロジェクトを各地ですすめていきました。
日本住宅公団のプロジェクトは、地方自治体の住宅政策にも取り入れられました。住宅供給公社などが事業主体となり、同様の団地が賃貸用および分譲用として全国に広がっていったのです。
こういった団地は相応の築年数を迎え、相続される機会が増えています。
相続について
団地の相続は、日本住宅公団のような公的な共同住宅と、民間デベロッパーが開発と分譲をした団地型マンションも基本的に同じです。
管理組合への加入が義務
相続される所有権は区分所有であり、敷地や建物は持分に基づいて共有されます。
団地を相続すると、これらの区分所有権と共有持分権が引き継がれ、区分所有者として以下の義務を継承します。
- 管理組合への加入
- 管理費や修繕積立金などの支払い
また、団地の管理組合を組織する方法は、以下の2種類あります。
- 1棟ごとに単独で組織する
- 全棟一括して組織する
団地を相続したときには、管理方法を確認する必要があります。
また、相続後にすぐ売却する場合や、あるいは相続登記前の状態でも、管理組合には相続人の連絡先などを通知しましょう。いつでも連絡ができる状態にしておく必要があります。
相続したときの手続き
団地を相続したら、まず管理組合に区分所有者が変更になった届出をします。管理組合からの通知を、確実に受け取れるようにする必要があります。
管理組合は町内会と違い、区分所有者それぞれの資産と共有資産を維持するために必要な組織です。管理組合が健全に運営されていることで、団地に資産としての価値が生まれます。
さらに、団地を相続したら以下のポイントを押さえておきましょう。
- 管理組合に必要な手続きをすみやかに行う
- 管理組合総会にできるだけ出席する
- 管理組合の状況に関心をもち情報収集に努める
建て替えについて
団地には、すでに築50年を経過して建て替え時期が来る物件があります。
団地は、一般的には一団地認定による設計をしています。一団地認定とは、ひとつの敷地に複数の建物を建てるために建築規制を緩和する、特定行政庁による認定のことです。
建て替えには、以下のケースがあります。
- 再び一団地による計画をする
- 一団地認定を取り消したうえで建て替える
どちらの場合でも建て替えるためには、管理組合で建て替えを決議する必要があります。決議できない物件は老朽化がさらに進み、そのまま放置せざるを得ないことになりかねません。
建て替えに必要な事業資金の捻出が、建て替え決議に至らない原因の大きな要素です。
団地は売れない?
団地の売却は難しいのでしょうか。団地であってもマンションであっても、売れやすい物件と売れにくい物件の特徴はほとんど同じです。
売れにくい物件には、次のような特徴があります。
- 管理組合の健全性が低く、建て替えや敷地売却の可能性が低い
- 設備や仕様が古く現状のままではニーズがない
建て替えや敷地売却の可能性が低い物件は、管理組合が機能不全になっているケースが多いです。
また、特に日本住宅公団の団地は、戦後の住宅不足解消のために建てられたものが多いため、築年数が古いことがあります。そのため、市場のニーズに合わせるためには、売却方法を工夫する必要があります。
団地の売却方法
売りにくい団地を売却するには、弱点を補い売りやすい物件に変えるか、売りやすい条件を整える必要があります。
リフォームやリノベーションをしてから売る
設備や仕様が古くニーズの低い物件の場合は、リフォームやリノベーションにより再生すると売りやすくなります。
特に、日本住宅公団の物件は築年数が古く、間取りや設備、特にバランス釜の浴室は現代では考えられない仕様です。部屋の間仕切り壁などを撤去して間取りから作り直す、スケルトンリノベーションが必要なこともあるでしょう。
しかし、たとえば5階建ての場合は、柱や
リノベーションは建築士などの専門家、そして管理組合にもしっかりと相談して進めましょう。
物件をそのままで売る
リフォームやリノベーションは多額の費用がかかるため、難しいこともあるでしょう。
物件を現状のままで売っても、買主を見つけることはできます。
リフォームやリノベーションが必要な物件であっても、買主が自分の好みで再生させたいと考えるケースがあります。むしろ、リフォーム前の物件を希望条件とする人もいます。
高値で売却することは難しいですが、工事のための引っ越しなど手間をかけずに売却することが可能です。
また、現状の設備が使用可能で割安な売却価格であれば、投資を目的とした需要にも適しています。ターゲットを絞り込んだ販売戦略を練るとよいでしょう。
買取も検討する
一般的な売却が難しい場合には、不動産会社による買取を検討するのもよいでしょう。
管理組合でスムーズに建て替え決議できる場合は、建て替え後の資産価値上昇を見込んで、区分所有権を買い取ってもらう方法があります。
不動産会社が買い取り後に敷地を売却する場合でも、買取価格と敷地売却で得られる差益が期待できると、不動産会社にとっては魅力ある物件です。
売却できずに困っている物件であっても、視点を変えると買取再販物件として成立することがあります。一般的な方法で売却できないときは、不動産会社に買取を相談しましょう。
買取は、市場価格よりも約2~3割価格が下がりますが、管理組合の協議が進まず先行きの見通しが立たない場合は有効な選択肢です。
団地の売却に関する注意点
団地の売却は、基本的に一般のマンション売却と同じです。しかし、築年数が経過している場合は、建て替えの可能性について確認することが重要です。
建て替えか敷地売却が決まるまで保有する
老朽化が進み、共用部分の安全性にも懸念があるような物件は売却が難しいです。建て替えが望ましいですが、事業資金の捻出ができず、管理組合の協議がまとまらないことがあります。
建て替えられないマンションは解体し、敷地を売却する方法を採用する必要があります。
マンションを解体するにも、管理組合の決議が必要です。
一定の要件を満たすマンションは、要除却認定マンションの対象になります。要除却認定マンションとは、老朽化により維持や修繕が困難だと認定されたマンションのことです。
要除却認定マンションは、耐震性の不足や外壁の劣化が原因で、人に危害が加わるおそれがあります。そのため、管理組合で区分所有者などの5分の4以上から同意が得られると、敷地を売却できます。
また、団地型マンションの場合は、敷地を分割し該当する1棟のみの解体と除却も可能です。
自分が所有する1室を売却することが難しい場合は、建て替えか敷地売却のいずれかを選択する必要があります。管理組合で協議が進むのを待つことになるでしょう。
売却可能性を見きわめる
団地の売却を検討するときは、通常の売却が可能かどうか見極める必要があります。
建て替えが難しい物件は売りにくいです。建て替えの可能性があるかどうかは、管理組合の運営状況が大きな影響を与えます。そのため、物件の状況はもちろんですが、管理組合の運営状況が健全かどうかも重要です。
団地やマンションの売却と管理組合に詳しい不動産会社に相談して、管理組合や物件の状況を確認してもらいましょう。
一括査定サイトで会社を探す
団地の売却について相談する不動産会社は、一括査定サイトで探しましょう。
一括査定サイトは、不動産がいくらで売れるのかを知るために、査定を依頼するサイトであり、多数の不動産会社が登録しています。
査定の申込みは物件ごとに行いますが、物件の所在地によって査定を担当する不動産会社が一覧で表示されます。それぞれの会社の特徴などを事前に知ることもでき、実際に査定を依頼すると直接担当者に相談できます。
団地やマンションの売却に詳しい不動産会社を見つけるなら、一括査定サイトを利用しましょう。
団地の売却に関するよくある質問
- 団地は売れない?
- 管理組合が機能不全になっていたり、設備や仕様が古くなっていたりする団地は、売れにくいです。特に日本住宅公団の団地は、戦後の住宅不足解消のために建てられたものが多いため、築年数が古いことがあります。そのため、市場のニーズに合わせるためには、売却方法を工夫する必要があります。
- 団地を売るときに気をつけることは?
- 物件の状況はもちろんですが、管理組合の運営状況が健全かどうかを確認しましょう。また、自分が所有する1室を売却することが難しい場合は、管理組合の協議によって建て替えか敷地売却が決まるまで保有することになります。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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