家の売却にはどのような準備が必要?

家の売却には、どのような準備が必要なのでしょうか。準備をせずに売却を進めても、どこかで足止めを食らってしまうことになり、スムーズな売却ができません。
家の売却に必要な準備について解説するので、売却前の方は必ず確認してください。
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売却する目的を明確に
家の売却を検討するきっかけは、住み替え、相続、転勤、離婚などいろいろありますが、売却する目的をしっかり整理しておきましょう。売却する目的によって売却方法も変わってきます。家を売却する場合、主に以下の方法があります。
- 不動産会社に仲介を依頼し、買主を探してもらう
- 不動産会社に買い取ってもらう
- 自分で買主を探す
一番多いのが不動産会社に買主を探してもらう方法です。仲介を依頼する不動産会社と協議して売出価格を決められますが、相場が乖離している場合や不動産の流通量が少ないエリアでは売却まで時間を要することもあります。
一方で不動産会社に買い取ってもらう場合、早期に売却できますが、売却価格は低くなる傾向です。手間をかけずに売却したい、すぐに資金化したい場合で、買取価格に満足できるのであれば、売却はスムーズに進みます。
不動産会社に頼まず、自分で買主を探す場合、仲介手数料など余計なコストは発生しませんが、不動産に関する専門知識が必要であり、初心者には相当難易度が高いです。
家の売却価格は、エリアや構造、間取り、築年数などで大きく変わります。たとえ不動産会社に査定してもらい売出価格を決定しても買い手から値引き交渉があったりします。
売却する目的を明確にし、少しでも高く売却したいのか、確実に売却する必要があるのかなどを整理し、売却する方法や売出価格の決定を行うとよいでしょう。
ローン残債を確認
売却を進める前にローン残債の確認をしてください。ローンが残っているか否かは売却活動に大きく影響します。
家を売却には抵当権抹消が必要
家を売却検討する際、まず住宅ローンについて正確に確認する必要があります。
ほとんどの方が家を購入する際、35年など長期間の住宅ローンを金融機関から借りいれます。住宅ローンを利用している場合、住宅ローンの借入残高(ローン残債)を確認する必要があります。
住宅ローンは高額で低金利となるため、金融機関は個人の信用だけで融資してくれません。金融機関はローンの担保として、通常、購入した家(土地および建物)を対象に抵当権を設定します。抵当権を設定することで、住宅購入者(債務者)がローン返済ができない場合、金融機関は対象不動産を売却して、優先的にローンを回収できます。
抵当権を設定するには抵当権設定登記が必要であり、住宅ローンの借入がある場合、不動産登記簿謄本に抵当権が登記されています。住宅ローンがすべて完済すると、抵当権抹消登記を行います。
家を売却して第三者に引き渡す場合、ローンを完済して抵当権は抹消しなければなりません。そのため家を売却するにあたり、ローン残高の確認と売却価格の検証を行う必要があります。
住宅ローン残高の確認方法
住宅ローン残高がいくらあるのか確認する方法として、金融機関から毎年10月〜11月頃に送られてくる融資残高証明書(年末残高等証明書など銀行により呼び名は異なります)があります。
融資残高証明書は確定申告や年末調整に使用できる公的な書面で、年末時点でどれくらいの返済額があるかを確認できます。手元にない場合は、再発行を依頼できます。
また、インターネットバンキングが利用できる金融機関であれば、web上で簡単にローン残債を確認できます。
売却価格の検証
家の売却価格を検証するには、自身で取引事例を確認して売買価格を想定する方法と不動産会社に依頼する方法があります。
売買相場を把握するうえでも複数の不動産会社に査定依頼することをお勧めします。売却価格の相場が把握できれば、その金額でローン残債を返済できるか確認します。なお、家を売却する場合、売却価格が手元に残る訳ではなく、以下の諸費用がかかります。
- 仲介手数料
- 印紙税
- 抵当権抹消登記
- 住宅ローン返済手数料
- 譲渡所得税
仲介手数料は仲介会社と締結する媒介契約に基づき支払う費用で、おおむね売買価格の3%程度になります。
印紙税は売買契約書に課税されるもので、売買金額によって異なります。たとえば、売買金額が1,000万円超で5,000万円以下の場合、印紙税は3万円です(軽減措置の適用あり)。
抵当権抹消登記は、抵当権を抹消するために必要で、不動産1件で1,000円(土地と建物で2,000円)ですが、登記手続きを依頼する場合には別途司法書士報酬が必要となります。
これらの諸費用を合計すると売却代金の5〜10%程度になることが多いです。売却価格想定から諸費用を見込んだうえで、ローン残債を返済できれば問題ありません。
オーバーローンの売却
住宅ローン残高が売却価格想定よりも高い場合、オーバーローンと言われ、慎重に対応する必要があります。オーバーローンとなっている家を売却するには以下の方法があります。
- 自己資金でローンを返済する
- 買い替えローン
- 無担保ローン
通常、オーバーローンとなっている場合、自己資金を捻出することが必要です。自己資金を用意できず、ローン残債を返済できない場合は売却を延期するなどして、資金計画やライフプランを見直すことが必要になります。
オーバーローンを解決する方法はいくつかありますが、今より返済金額が上昇し、家計を圧迫してしまう可能性があります。
転勤など止むを得ない事情がある場合、買い替えローンや無担保ローンの活用があります。買い替えローンとは、家を売却して新たに購入する場合に利用できるもので、既存のローン残債+買い替え後の購入資金を借りることができます。当然、これまでより借入額が増加し、返済金額が大きくなります。
無担保ローンは、消費者金融の商品が多くありますが、金利が高くなります。無担保ローンを利用する場合は、今借りている金融機関など取引のある銀行に相談し、借入できる範囲に留めておくようにしましょう。
売却時の必要書類を確認
売却の際に必要となる書類について紹介します。契約時または引き渡し時に必要になるので売却活動しながら準備すれば問題はありません。
しかし紛失している場合は、再発行などの対応が必要です。早めに準備しておくことで、スムーズな売却を目指せます。
- 登記簿謄本または登記事項証明書
- 登記済権利証または登記識別情報
- 土地測量図・境界確認書
- 固定資産税納税通知書
- 建築確認済証および検査済証
登記簿謄本または登記事項証明書
家の所有者や所在、面積などの細かな情報が掲載されているのが登記簿謄本、または登記事項証明書です。
登記簿謄本は法務局で取得が可能です。また、法務局へ行くことが難しい場合は、郵送やオンラインでの取得も可能です。
オンラインで取得できる「登記ねっと 供託ねっと」は、平日の21時まで利用できるので、忙しい方におすすめの取得方法です。
登記済権利証または登記識別情報
登記済権利証、または登記識別情報とは、家の所有者本人であることを証明するために必要な書類です。
権利証とも呼ばれており、不動産を入手したときに発行されます。紛失した場合でも売却はできますが、司法書士に本人確認の書類を用意してもらう必要があるなど、面倒な手間がかかります。
なお、2016年以前は登記済権利証が発行されていましたが、2016年〜2018年頃にかけて登記識別情報が代わりに発行されています。切り替えの時期は各法務局によって違います。そのため、不動産を取得したタイミングで所有している書類に違いがあります。
登記済権利証または登記識別情報のどちらかがあれば問題ないので、事前に準備をしておきましょう。
土地測量図・境界確認書
一戸建てを売却する場合には、土地測量図や境界確認書の準備をする必要があります。
土地の正しい広さを証明する土地測量図がないと、買主はその売買価格に信頼がおけず購入を躊躇してしまいます。また土地の境界が確定していないと、将来的に近隣住宅と境界をめぐってトラブルが起こる可能性があるため、買主にとっては不安です。
いずれの書類も紛失している場合は、基本的に売り主が測量を行います。測量費用は数十万円かかることもありますが、測量されていることで買主は安心して購入の決断ができます。
固定資産税納税通知書
固定資産税は、毎年1月1日に土地や家屋を所有している人が、その価値に応じて納める税金です。
家を売った年の固定資産税は、引き渡し日に応じて売主と買主で按分します。そのため、売主と買主の税負担を確定させるために必要です。
固定資産税納税通知書は、再発行ができません。しかし、金融機関などで固定資産税を納めるための納付書の再発行は可能です。紛失した場合はこちらを準備しましょう。
建築確認済証および検査済証
一戸建ての家を売却する場合は、建築確認済証および検査済証の準備が必要です。
これらの書類は、建築計画が建築基準法の規定に適合し、検査を受けたうえで工事を行っていることを証明するものです。
建築確認済証や検査済証は再発行ができません。紛失した場合は、市町村で保管している建築確認台帳の記載事項証明書を交付することで対応が可能です。
売却にかんする基礎知識を確認
家の売却を検討する場合は、事前に確認すべき項目がいくつかあります。売却にかんする基本的な知識を理解しておくことで、余裕をもった売却活動ができます。
売却にかかる期間
家を売却する場合、一般的には約3〜8カ月の期間がかかります。
しかし、買主が見つからなかったり、あまり人気のないエリアだったりする場合は、1年以上の期間がかかることもあります。
なお、「安くてもいいから早く売却して現金を入手したい」と考えている方は、不動産会社による買取制度を検討してもよいでしょう。
買取制度とは、一般の個人ではなく不動産会社が買主となる家の売却方法です。一般的な仲介とは異なり、すぐに現金化できるのが特徴です。
ただし、不動産会社が家を直接買い取るため、売却価格は相場の約7割になります。その辺りも考慮したうえで、どのように売却するかを検討しましょう。
売却にかかる費用
売却時にかかる費用は一般的に売却価格の約5〜10%です。買取制度を利用する場合は仲介手数料が不要なので、仲介の場合より費用を抑えられます。
売却時にかかる費用は以下のとおりです。
- 仲介手数料
- 印紙税
- 抵当権抹消費用
- 住宅ローン返済手数料
- 譲渡所得税
上記の費用は売却活動前に準備しておく必要はありません。契約時、もしくは引き渡し時に発生する費用です。
しかし、新居の購入などを考えている場合、想定以上の出費がかさむ可能性があります。売却にかかる費用を把握したうえで、余裕のある資金計画を立てておきましょう。
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大手住宅メーカーの注文住宅販売や不動産テック企業の仲介業務に4年間携わり、不動産取引にかかわった件数は350件以上にわたります。2021年よりリビンマッチコラムの執筆・編集を担しています。皆さんが安心して不動産取引を行えるよう、わかりやすくリアルな情報を発信します。
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