不動産売買における双方代理をわかりやすく解説!代理の基本とやり方
不動産を売却する場合、不動産会社に対して仲介(媒介)を依頼するのが一般的です。売主は不動産会社が見つけてきた買主と契約手続きを行います。
しかしやむを得ない事情などから、売主として契約手続きができない場合、第三者を代理人とすることで、契約手続きを代わりに行ってもらうことが可能です。
その際、禁止されている双方代理にならないように注意が必要です。
本記事では、代理についての基本的な内容と、双方代理についてわかりやすく解説します。また、代理人を選定する具体的な方法も確認しておきましょう。
もくじ
双方代理をわかりやすく解説!自己契約との違いは?
双方代理とは、不動産の売買において、1人(1社)が売主と買主双方の代理人として契約を締結することです。双方代理についてわかりやすく説明します。
そもそも代理とは?
双方代理について理解するために、まず代理とは何かを確認しておきましょう。
代理は売主の代わりに契約締結などの行為をすることを指します。代理を受けた人が行った契約行為はすべて売主に帰属するため、代理人に大きな権限を持たせることを意味します。
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
そのため、信頼のおける方であっても、売主は注意する必要があります。
代理と混同しがちなのが媒介ですが、両者は大きく違います。
媒介は買主の募集などの業務を一部委託しているだけであり、売却の意思決定は売主本人が行います。しかし代理の場合、売却行為の一切を委任された代理人であれば、本人に代わって売却の意思決定ができます。
そのため、一般的な不動産売買においては、自らを売主として、不動産会社に媒介を委託するだけのことがほとんどです。
しかし、以下のように本人が契約手続きを行えない事情がある場合は、売主が代理人を選定します。
- 共有状態の不動産において、共有者のひとりが代表として契約手続きをする
- 遠方の不動産を売却するため契約手続きに赴けない
- 契約手続きにかかる時間が惜しい
- 契約手続きに不安があり、信頼できる第三者にやってもらいたい
なお、代理人には、個人でも法人でもなれます。
双方代理は禁止されている
前述したとおり、双方代理とは、不動産の売買において1人(1社)が売主と買主双方の代理人として契約を締結することです。
本来代理人は代理をする本人の利益を最大化することが求められます。一般的に、売主は物件を高く売りたいと考え、買主は物件を安く買いたいと考えるものです。
こういった利益が相反する売主と買主双方の代理をすると、代理人が自由に売却価格の設定と意思決定ができます。その結果、どちらかに不利益を生じてしまいます。
そのため、双方代理は民法108条(自己契約及び双方代理)において原則禁止されています。
ただし、双方代理により締結された契約は無効となるわけではなく、当事者が追って承認すれば有効とされています。
同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
自己契約との違い
双方代理とともに民法108条で禁止されているのが自己契約です。
自己契約とは、代理を受けた売買について、自分自身が売主もしくは買主として契約を締結することを指します。たとえば売主から売買の代理を受けた不動産について、代理人自ら買主として購入することです。
自己契約が禁止されている理由は、代理人が自らの都合のよいように条件を決定することができるからです。代理を受けた不動産を安価に買いたたくなど、売主にとって不利益を生じるおそれがあります。
ただし、本人からの許諾がある場合など、すでに確定している債権や債務について履行するものについては、禁止されていません。
両手仲介は双方代理にならない?
では、不動産会社が売主と買主双方の間に立って媒介を行うことは問題にならないのでしょうか。
両手仲介はOK
両手仲介とは、ひとつの不動産売買の取引において、不動産会社が売主と買主双方の仲介をすることです。つまり、売主から依頼を受けた不動産会社が、買主も見つけてくることです。この場合、不動産会社は売主と買主の双方から仲介手数料を受け取ります。
両手仲介は双方代理とはならず、問題ありません。
そもそも、不動産の売買や賃貸借の媒介は代理行為ではありません。不動産会社が両方の仲介を行った場合においても、意思決定はいずれも売主と買主ができるので、一方的な不利益を生じることがないからです。
もちろん、不動産会社は媒介を受けた者として、売主と買主の両方にとって納得する条件になるよう、公正中立な立場を取る必要があります。
囲い込みにつながるリスク
不動産会社にとって、売主と買主双方から仲介手数料を得ることができる両手仲介は理想的な契約内容です。
しかし、この両手仲介をするために、売主から媒介の委託をうけた不動産で、自社が見つけてきた買主以外をすべて断ってしまう囲い込みをする不動産会社が存在します。
売主から委託を受けた不動産会社は元付け業者といいます。
元付け業者は、不動産流通標準情報システム「レインズ」に物件情報を登録します。特に、専任媒介契約や専属専任媒介契約の場合は、レインズへの登録は義務とされています。
ほかの不動産会社は、レインズに登録された物件情報を自社のサイトにも掲載し、買主を探します。
ほかの不動産会社が購入希望者を見つけた場合、必ず元付け業者に対して、物件の購入が可能かどうか問い合わせます。
囲い込みを行う元付け業者は、この問い合わせをすべて断ってしまいます。そのため、囲い込みをされると、売却期間が長引いたり、売却価格が下がってしまったりします。
売主の立場では、囲い込みが行われているかの判断は難しいのが実情です。
しかし、レインズ登録時に売主に対して交付されるIDとパスワードを使い、物件の取引情報を確認することが可能です。
取引情報は以下の3つです。
- 公開中
- 書面による購入申込みあり
- 売主都合で一時紹介停止中
特に不動産会社から連絡がないにも関わらず、「公開中」以外に設定されている場合は囲い込みをされている可能性があります。不動産会社に対するチェックを徹底しましょう。
不動産売却を代理人に任せたい場合は?
双方代理は禁止されていますが、不動産売却を代理人に任せることはできます。具体的にどうすればよいのかを説明します。
代理人選定の流れ
代理人を立てて不動産を売却するためには、代理人と本人との間で委任状を作成する必要があります。この委任状が第三者に対して代理行為を行っている証明となります。
一般的な不動産売却における手続きは、大きく分けて以下3つの手順を踏みます。
- 不動産会社との媒介契約の締結
- 買主との売買契約の締結
- 決済・物件の引き渡し
代理人の選定はいつでも構いません。不動産売却すべての手続きを一任するのであれば、媒介契約の締結より前のタイミングで、委任状を作成しましょう。
また、売却を代理人に委任する場合は、以下の書類が別途必要です。
- 売主本人と代理人それぞれの印鑑証明書(3カ月以内のもの)と実印
- 売主本人の住民票
- 代理人の本人確認書類(運転免許証など)
委任さえ完了すれば、媒介契約と売買契約の両方とも、代理人の押印が本人のものと同じ意味を持ちます。そのため、後のさまざまな契約手続きはすべて代理人が代わりに行ってくれます。
代理人と連絡を取りながら、契約書などを確認して問題がないことを確認しましょう。
委任状のひな形
では、実際に委任状を作成していきましょう。ここでは、典型的なひな形を紹介します。
このひな形で注目するポイントは、序文で代理人に委任する内容を「売買契約を締結する一切の権限」としている点です。
この内容を変更することで、代理人の権限を制限できます。たとえば最終的な売買契約の締結だけは自らで判断したいという場合は、「売買契約締結以外の一切の行為」などと記載しましょう。
委任する内容が明確になっておらず、売主が委任していないと思っていた内容について代理人が決めてしまうと、後々トラブルに発展するおそれもあります。十分注意しましょう。
一括査定サイトのリビンマッチを利用しよう
代理での不動産売買は、代理人の権限が本人と同格となることから、本人に与える影響が強くなります。そのため、代理の依頼先は、親族や共有名義の不動産の共有者など、信頼できる一部の人間になることが一般的です。
しかし、「3,000万円以上の値段で売れるなら、不動産会社の判断で売るか決めてください。」などと不動産会社にも代理を依頼できます。
信頼のできる不動産会社を探すなら、まずは一括査定サイトの「リビンマッチ」を利用しましょう。
リビンマッチは複数の不動産会社に査定依頼ができる無料のサービスです。査定結果を比較して信頼のおける不動産会社を見極められます。売却を検討されている方は一度利用してみてはいかがでしょうか。
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この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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