借地権付き建物の売却方法。地主に高額な承諾料を要求されたら?
しかし、売却方法を工夫することで、売ることも十分に可能です。
借地権付き建物を売却する方法を詳しく紹介します。また、トラブルに発展するケースも確認して、対処をしておきましょう。
もくじ
借地権付き建物とは
借地権付き建物とは、借りた土地に建てた建物のことです。どのような制限があるかなどを確認しておきましょう。
借地権とは
そもそも借地権とは、借りた土地を使用する権利のことで、大きく以下の2つに分けられます。
- 地上権
- 地主にお金を払うことで土地を自由に利用できる権利。地主の許可を得なくても、建物の売却や賃貸ができる。
- 賃借権
- 地主にお金を払うことで土地を利用できる権利。ただし、そこに自由度はなく、建物の売却や賃貸をするためには、地主に承諾料を支払う必要がある。
地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。
賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
一般的に借地権付き建物の場合の借地権は、賃借権のことを指しています。つまり、借地権付き建物とは賃借権付き建物であるといえるでしょう。
借地権の種類
借地権は、契約内容によって主に以下のように2つに分類されます。
- 普通借地権
- 定期借地権
定期借地権については、さらに以下の3つに分けられます。
- 一般定期借地権
- 事業用定期借地権
- 建物譲渡特約付定期借地権
それぞれの違いを以下の表にまとめました。
普通借地権 | 定期借地権 | |||
---|---|---|---|---|
一般定期借地権 | 事業用定期借地権 | 建物譲渡特約付定期借地権 | ||
建物の利用目的 | 制限なし | 制限なし | 事業に用いる場合に限る | 制限なし |
契約の更新 | 可 | 不可 | ||
契約期間 | 30年以上 | 50年以上 | 10年以上50年未満 | 30年以上 |
定める特約 | 制約なし |
|
30年以上が経過したら建物を地主に譲渡する |
参考:国土交通省「定期借地権の解説」
借地権割合とは
借地権割合とは、その土地に対して借地の権利がどれくらいの割合であるかを示すものです。主に、相続税評価額を算出する際に使用されます。
たとえば、借地権割合が70%の場合、土地の評価額が2,000万円なら借地権の評価額は1,400万円です。
借地権割合は、国税庁の「路線価図・評価倍率表」で確認できます。各路線価図に書かれている数字の横のアルファベットが、借地権割合を示しています。
記号 | 借地権割合 |
---|---|
A | 90% |
B | 80% |
C | 70% |
D | 60% |
E | 50% |
F | 40% |
たとえば、以下の画像では「28D」と記載されてるため、借地権割合は60%です。
借地権付き建物の売却に関しては、個別の事情が関わるため、借地権割合が売却価格に影響があるとはいえません。
借地権付き建物は売れない?
借地権付き建物は売却するのが難しいといわれますが、その理由は地主との関係にあります。
用途が制限されるため人気がない
家を建てる場合、一般的には先に土地を購入します。しかし、以下のような理由から借地権付き建物を所有している方は多いです。
- 土地を購入するお金がない
- 立地がよい土地があったが、すでに地主がいた
借地権付き建物の場合、土地の所有者は地主になるため、用途が制限されます。リフォームや建て替えをする場合でも、地主の許可が必要です。
そのため、借地権付き建物は不動産市場で人気がありません。
売却するには地主の許可が必要
借地権付き建物を売却する場合、地主の許可が必要です。
賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
地主に許可を得ずに売却した場合、契約違反とみなされて契約を解除されるケースもあります。
また、承諾料として借地権価格の約5〜10%を支払う必要があります。
売却活動を始める前に承諾料の交渉を行っておきましょう。
借地権付き建物の売却方法
借地権付き建物を売却するのは、通常の不動産市場で販売する方法だけではありません。
地主との交渉で借地権の売却や底地の買取をすれば、不動産価値を上げて売却できます。
一般の不動産市場で売却する
借地権付き建物は、不動産会社に依頼し、不動産市場に中古物件として販売するのが一般的です。しかし、借地権付き建物は土地が含まれないため、売却価格の総額は一般の不動産よりも下がります。
また、地代の支払いや用途の制限があるため、成約まで進むためには工夫と時間が必要です。地主に支払う承諾料は売主の負担になるので、注意しましょう。
なお、売却する時期や販売価格は売主が決められます。工夫次第では市場で売却することも可能なので、周辺のニーズなどを見極められるようにしっかりと情報収集をしましょう。
建物を地主に売却する
建物を地主に売却してしまう方法もあります。買主を探す必要がないため、話がスムーズに進めば、市場で売却するよりも早く売却活動を終わらせることが可能です。
この場合、建物だけでなく、借地権も地主に買い取ってもらいます。地主にとっても、借地権が戻ることで土地の資産価値が上がるため、メリットがある取引といえるでしょう。
ただし、地主が借地権を取り戻す意志がない場合など、交渉に時間がかかるケースもあると理解しておきましょう。
なお、地主に契約更新を断られたことを理由に売却を検討している人もいるでしょう。その場合は、建物買取請求権を行使できます。建物買取請求権とは、地主に建物を買い取らせる権利のことです。地主は拒否する権利はありません。
借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
底地 とセットで売却する
借地権付き建物と
底地とは、借地権が設定されている土地を指します。なお、借地と底地は物理的には同じ土地のことです。
地主から底地を買い取ることで、土地の所有権を取得します。
底地をセットで売り出せば、その土地の所有権自体を売却することになるため、不動産価値も上がります。不動産価値が上がれば、建物だけの場合よりも高値で売却できる可能性が高いです。
借地権付き建物に関するトラブル事例
トラブルが発生するおそれがあるのも、借地権付き建物が売れない理由のひとつです。
明け渡しを要求される
メインの住居が別にあり、老朽化している建物を所有していた場合、地主から「使っていないのであれば、更地にして明け渡してほしい」といわれることがあります。
地主側から契約解除を要求する場合、相当の理由が必要です。使っていないというのは、相当の理由には該当しません。
どうしても明け渡してほしい場合は、地主が立退料を支払う必要があります。
地代の値上げを要求される
地主自身の収入が減ったことを理由に、地代の値上げを要求されることがあります。要求に応じない場合、地代を受け取らないといった対応をする地主もいるようです。
その場合、地代の未払いになり、契約を解除されるおそれがあります。
売却時に高額な承諾料を要求されたら?
借地権付き建物として売却することを地主に相談した場合、相場よりも高額な承諾料を要求されるトラブルもあります。
承諾料の金額は法律で決められていない
承諾料の相場は、借地権価格の5〜10%ですが、法律で明確に定められているわけではありません。
しかし、承諾料自体は支払う必要があります。
裁判所で許可を受ける
地主から高額な承諾料を要求された場合は、裁判所で借地非訟裁判と呼ばれる、借地権譲渡に関して土地所有者の承諾に代わる許可を受けるのがおすすめです。
裁判所に承諾料を定めてもらうことで、適正な承諾料を決められます。
まずはリビンマッチで簡単査定!
借地権付き建物の取り扱いは複雑で、地主とのトラブルも発生します。たとえ地主と顔見知りの関係であったとしても、お金や権利関係が絡む話にはトラブルが付き物です。
取り扱いに悩んだ場合は、信頼できる不動産会社に相談しましょう。借地権の取り扱いを熟知している不動産会社であれば、地主との共同売却や底地の買取といった交渉も仲介してくれます。
さらに、複数の不動産会社に査定を出せば、高値で売却できる可能性も上がるでしょう。
しかし、自分だけで探すのは労力と時間が必要です。一括査定サイトの「リビンマッチ」を利用すれば、簡単な物件情報をたった一度入力するだけで複数の不動産会社へ査定依頼ができます。
まずは、売却の可能性を探る意味でも、リビンマッチを利用してみましょう。
借地権付き建物の売却に関するよくある質問
- 借地権付き建物の売却は地主の許可が必要?
- 地主の許可が必要です。地主に許可を得ずに売却した場合、契約違反とみなされて契約を解除されるケースもあります。
- 借地権付き建物を売却する方法は?
- 一般の不動産市場で売却する方法以外にも、建物を地主に売却したり、地主から底地を買い取ってセットで売却したりする方法があります。
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