旗竿地=評価が低い?それでも納得価格で売る方法、あります

「旗竿地は評価が低いから、高くは売れない」そう思っていませんか?
実は、評価が低くても“売り方次第”で納得の価格になることもあります。この記事では、旗竿地をできるだけ高く売るためのポイントを、不動産のプロ「リビンマッチ」がわかりやすく紹介します。
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旗竿地の評価は整形地より2~3割安い!
旗竿地は、一般的な整形地※と比較すると価格が約2~3割安くなる傾向にあります。ただし、どの程度の価格差になるかは地域差や物件の条件によって違います。
たとえば、再開発などで注目されているエリアだと、整形地との価格差は小さいといわれています。また、隣地に大きな庭や駐車場などがあって採光が確保されている場合も、周辺相場との価格差は小さくなるようです。
そのため、旗竿地だからと一律に2~3割安くなるとは限らないのです。旗竿地を売却する場合は、その地域の不動産相場や、個別の不動産の特性を確認する必要があります。
旗竿地の評価額を計算する方法
整形地と比べて旗竿地は評価が低くなりますが、どれくらいの価格になるのか計算で確かめることが可能です。旗竿地の評価額の計算方法を見ていきましょう。
旗竿地の評価額を算出する計算式は、次のとおりです。
路線価は国税庁が毎年公表している、1㎡あたりの土地の評価額のことです。1年間の地価の変動を考慮して、実勢価格の80%程度になっています。旗竿地の場合は、間口狭小補正率と奥行長大補正率をかけて、路線価が補正されます。
間口とは道路と接している幅のことで、奥行は道路から土地の端までの長さのことです。間口が極端に狭い土地、間口に対して奥行が極端に長い土地は使いにくいため、補正率をかけて土地の評価を下げるのです。

旗竿地・奥行と間口
間口狭小補正率は、次の表のとおりです。間口距離と地区区分※で補正率が決まります。
間口距離 | 地区区分 | ||
---|---|---|---|
繁華街地区 | 普通商業・併用住宅地区 | 普通住宅地区 | |
4m未満 | 0.90 | 0.90 | 0.90 |
5~6m | 1.00 | 0.97 | 0.94 |
6~8m | 1.00 | 1.00 | 0.97 |
8m以上 | 1.00 | 1.00 | 1.00 |
奥行長大補正率を調べるには、まず次の計算を行う必要があります。
この計算で出た数字と地区区分から、次の表で奥行長大補正率を調べられます。
奥行距離÷間口距離 | 高度商業地区・繁華街地区・普通商業・併用住宅地区 | 普通住宅地区 |
---|---|---|
2~3 | 1.00 | 0.98 |
3~4 | 0.99 | 0.96 |
4~5 | 0.98 | 0.94 |
5~6 | 0.96 | 0.92 |
6~7 | 0.94 | 0.90 |
7~8 | 0.92 | 0.90 |
8以上 | 0.90 | 0.90 |
参考:国税庁「奥行価格補正率表(昭45直資3-13・平3課評2-4外・平18課評2-27外・平29課評2-46外改正)」
旗竿地の評価額の計算例
では、実際に旗竿地の評価額を計算してみましょう。次の条件の旗竿地を例に、評価額を計算します。
- 路線価が1㎡あたり30万円の普通住宅地区
- 間口2m・奥行20mの旗竿地、敷地面積100㎡
- 手前に間口が8m・奥行12.5mの整形地、敷地面積100㎡(補正率1.0で評価額3,000万円)

旗竿地の評価・計算例
間口狭小補正率(2m):0.9
奥行長大補正率(10):0.9
評価額=30万円×0.9×0.9×100㎡=2,430万円
このように、旗竿地は同じ立地でも2割近い価格差がついてしまいます。
旗竿地とは?
そもそも旗竿地とはどういった土地のことをいうのでしょうか。
旗竿地の定義
旗竿地とは、道路に面している部分(間口)が狭く、通路のようになった部分を通って奥に広いスペースのことです。

旗竿地
通路部分を竿、奥の敷地を旗に見立てて、以下のように呼ばれます。
- 旗竿地
- 旗竿敷地
- 路地状敷地
間口や通路部分の幅は約2〜2.5mで、駐車スペースになっていることが多いです。
なぜ旗竿地ができるのか
旗竿地のような変わった形状の敷地は、なぜできてしまうのでしょうか。
旗竿地は最初からこのような敷地形状だったわけではありません。
手前の土地と合わせてひとつの大きな敷地だったものを不動産会社が買い取り、分譲地や新築戸建てとして再販します。その際、買いやすい価格帯にするため、手前の土地と分割して販売することで旗竿地が生まれます。
もともとの大きな土地が売却される理由は、相続や住み替え、税負担などさまざまです。
都心部など地価の高いエリアでは、区画の大きな土地は価格が高すぎて、高所得者以外の方には手が届かないことが多いです。そのため、このように細かく分筆することで買いやすい価格帯にしています。
また、もともと奥行きの長い土地を2分割する場合、2筆の間口幅をそろえてしまうと、それぞれ建物を建てるスペースが確保できません。
敷地の形状によっては手前と奥で2分割する方が建物が建てやすいため、旗竿地が生まれます。
再建築不可物件に要注意
旗竿地の取引で気をつけたいのは、建築基準法の接道義務を満たさない土地があるという点です。
建物を建築するためには、幅員4m以上の道路に2m以上面している必要があります。
建築物の敷地は、道路(中略)に二メートル以上接しなければならない。
(前略)「道路」とは、次の各号のいずれかに該当する幅員四メートル(中略)以上のもの(地下におけるものを除く。)をいう。
旗竿地の中には一部接道幅(間口)が2mに満たない物件があります。そのような物件は新しく建物を建てることができない、再建築不可物件となります。
再建築不可物件は著しく評価が下がってしまうため、所有している土地の間口が2m以上あるかという点はしっかり確認する必要があります。
旗竿地はどういう評価をされる?
旗竿地は、不動産市場の中でどのような評価になるのでしょうか。旗竿地のメリットとデメリットを踏まえて、確認していきましょう。
旗竿地のメリット
まずは、旗竿地のメリットを紹介します。
購入者が買いやすい価格
旗竿地の特徴は、何といっても購入者にとって買いやすい価格であることです。
土地の価格を計算する時には、坪単価や㎡単価など、1坪や1㎡あたりの価格を指標にします。
旗竿地は敷地形状が特殊なため、同じ立地条件や広さの整形地と比較すると、坪単価や㎡単価が安くなります。
購入者は、デメリットに納得さえしていれば、住宅の取得金額が大幅に抑えられたり、予算オーバーだと思っていたエリアでも戸建てに手が届くということが多々あります。
そのため、ほかのライバル物件よりもターゲットが広がることはメリットといえるでしょう。
プライバシーが守られる
道路に面したところに窓があると、通行人から室内が見えやすくなってしまいます。
旗竿地の場合、家は道路から奥まった部分に建っています。そのため、通行人の目を気にする必要がなく、プライバシー性が高いといえます。
また、道路から奥まったところに建物があるため、車の走行音なども気になりにくいという特徴があります。
駐車場が2台分確保しやすい
都心部では土地の価格が高いため、一般的な戸建ての場合駐車スペースはギリギリ1台分を確保できるというケースが大半です。
しかし、旗竿地であれば通路部分を有効活用することで、2台分の駐車スペースが確保しやすいです。
車を2台保有している方にとっては、メリットが大きいです。
旗竿地のデメリット
次に、旗竿地のデメリットを紹介します。
日当たり・風通しが悪い
旗竿地は周囲を建物に囲まれているため、1階部分の日当たりや風通しが悪いというデメリットがあります。
風通しが悪いと、湿気などがこもりやすいため家の劣化が進みます。さらに、日当たりが悪いと、1年中電気をつける必要があるケースもあります。
ただし、戸建ての場合は、以下のように間取りを工夫することで風通しや採光を確保することも可能です。
- リビングを2階にする
- 吹き抜けや天窓などを設ける

吹き抜け
また、共働きなど、ライフスタイルによっては日当たりを気にしないという方も多いかもしれません。
類焼のリスクが大きい
周囲を建物に囲まれていると、近隣で火災が発生した時に類焼のリスクが高くなります。住宅密集地の場合は、隣の建物との距離が近いため、さらにリスクは上がります。
旗竿地に建てる建物は、耐火性の高い外壁を選ぶことが大切です。
縦列駐車になる
2台分の駐車スペースが確保しやすいことをメリットとして紹介しました。しかし、その駐車場は縦列駐車になります。
つまり、奥に駐車している車を出したい時は、一度道路側の車を出す必要があります。そのため、使い勝手が悪くなることはデメリットといえるでしょう。
再建築時にコストがかかる
旗竿地と整形地の2区画における新築戸建て分譲の場合、まずは手前のスペースを十分に使いながら旗竿地の建物の施工を進めます。その後、手前の土地の建物を施工します。
しかし、建て替え時の作業は、旗竿地の敷地内だけで行う必要があります。
この際、通路部分に大型の重機が入れない場合、職人の数を増やす必要があります。解体費用などが高額になり、再建築コストが高くなってしまう可能性があります。
リセールバリューが低い
旗竿地の物件は、前述したとおり、購入時には価格が抑えられておりメリットがあります。しかし、逆にいえば高く売れないということでもあります。
実際に建物が建っている場合、日当たりの悪さや建て詰まり感が目立ちやすく、予想以上に価格が安くなってしまうというリスクもあります。
旗竿地は売りにくい?
評価額が低くなりやすい旗竿地ですが、旗竿地を所有している方や相続した方が売却したい場合、売りにくくなってしまうのでしょうか。
おとり物件に使われやすい
旗竿地は、坪単価や㎡単価が安くなるため、文字だけの不動産広告でおとり物件に使われやすいことに注意が必要です。
インターネットで物件検索する人が増え、文字情報だけの不動産広告で集客したお客さんに現地でアポイントを取るというケースがあります。
デメリットを理解せずに見学するため、現地で日当たりの悪さや建て詰まり感が気になって購入者の意欲が下がってしまいます。
旗竿地の売却は、旗竿地であることをしっかり情報開示した上で、適正価格で売り出すことが重要です。
不動産買取という選択肢
旗竿地には採光や再建築時のネックがあるため、売却に時間がかかりやすい傾向があります。
現金化を急いでいる場合には、不動産買取という選択肢もおすすめです。
買取価格は市場価格よりも安くなってしまう点は注意が必要です。しかし、旗竿地の場合は一般の買主相手にも価格を下げざるを得ないケースも多いため、業者によっては大きく変わらないケースもあります。
まずは、通常の売買相場を把握した上で、スピーディな現金化や仲介手数料不要のメリットを考慮して検討するのもよいでしょう。
リビンマッチを活用しよう
旗竿地の売却にあたっては、まずは市場価格を理解するところからスタートすることが重要です。
不動産売却の一括査定サイトである「リビンマッチ」を活用して複数の不動産会社に同時に査定を依頼することで、実際に売れる価格を正確に把握できます。
また、価格だけでなく担当者が親身に相談に乗ってくれるかなど、対応を比較できます。
リビンマッチを利用する際は、入力フォームに旗竿地であることや、間口(接道幅)や奥行きの長さをしっかりと明記しておきましょう。
旗竿地に関するよくある質問
- 旗竿地はどうして評価が低い?
- 日当たりや風通しが悪く、スペースを利用しにくいことが理由として挙げられます。また、奥行価格補正率や間口狭小補正率によって補正されるため、旗竿地の評価額は同じ立地でも2割近い価格差がついてしまいます。
- 旗竿地は売りにくい?
- 一般的な整形地と比較すると価格が約2〜3割安くなる傾向にありますが、地域差や物件の条件によって違います。売却時には、旗竿地であることをしっかり情報開示した上で、適正価格で売り出すことが重要です。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
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