不動産売却時の税金計算でリフォーム代金は含めていいの?
リフォーム済みの不動産は売却時に反響が増えるというメリットもありますが、リフォーム代金は確定申告時の税金計算に含められるのでしょうか。
この記事では不動産売却にかかる税金と税制優遇、リフォーム代金の扱いについて分かりやすく解説します。
もくじ
不動産売却で利益が出ると税金がかかる
不動産売却は買った時よりも高く売れた場合に税金がかかります。まずは売却時の税金についてのポイントを抑えておきましょう。
税金の種類は譲渡所得税
不動産売却時は、譲渡所得税という税金がかかります。譲渡所得税には住民税・所得税・特別復興所得税が含まれています。給与所得は年収に応じて税金が変わりますが、不動産を売却したからといって年収が大きく変動することはありません。
譲渡所得税は分離課税となり、いくらで売却をしたとしても完全に独立して計算されます。計算方法は以下のとおりです。
この譲渡所得課税額に、取得年月に応じた税率を掛け合わせ、譲渡所得税が算出されます。
取得年月に応じた税率は取得して5年が分岐点
譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年以内は短期譲渡所得、5年を超える場合は長期譲渡所得という扱いになり、税率が変わります。
短期譲渡所得と長期譲渡所得の税率は、それぞれ以下のとおりです。
物件の所有期間 | 税率(%) |
---|---|
短期譲渡取得 | 39.63 |
長期譲渡取得 | 20.315 |
譲渡所得が出た場合は確定申告が必要
リフォームした物件を売却し、譲渡所得が出た場合は納税の義務があります。そのため、確定申告する必要があります。確定申告は、売却した年の翌年の2月16日から3月15日の間に行います。
現在はe-Taxといってオンラインで申請することが一般的です。税額が自動計算されるので計算ミスも防げます。オンライン申請のおおまかな手順は以下のとおりです。
- 売買契約書から譲渡による収入金額や必要経費などを入力する
- 源泉徴収票などから給与の支払金額や公的年金などの支払い金額を入力する
- e-Taxにてデータを送信する
詳細は国税庁の「所得税の確定申告」を確認してみましょう。
リフォーム費用は譲渡費用?それとも取得費用
譲渡所得税を減らすためには、譲渡費用か取得費用を増やすという手段があります。リフォーム代金はどちらに含まれても節税効果はあります。
リフォームの費用が譲渡費用に含まれるか、所得費用に含まれるかは、リフォームの目的や内容によって違います。
売却目的の場合は譲渡費用
売却を目的としたリフォームは譲渡費用に含まれます。国税庁のホームページには、譲渡費用の定義は下記のように記されています。
譲渡費用とは、土地や建物を売るために直接かかった費用のことです
たとえば、購入希望者がなかなか現れず、早期売却のために行ったリフォームは譲渡費用に含まれます。
設備費や改良費に当たる場合は取得費用
取得費用に該当するものとして、国税庁はホームページにて下記のように記しています。
取得費には、売った土地や建物の購入代金、建築代金、購入手数料のほか設備費や改良費なども含まれます
つまり、リフォームが設備費や改良費に該当すれば、取得費用に含むことができます。設備費と改良費は以下のとおりです。
- 設備費
- 物件取得後に付加した設備費用
- 改良費
- 物件取得後に加えた改良のための費用
なお、よく似た言葉で、修繕費があります。修繕費は取得費用に含まれないので注意が必要です。これらの違いは価値を上げるために行ったかどうかということです。
たとえば、設備が壊れたので同じ型番のものと交換する場合は修繕になり、取得費用には含まれません。フローリングに新たに床暖房をつけることは資産価値を高める設備費に含まれるので、取得費用となります。
売却時に利用できる控除や特例とは
リフォームした不動産を売却する時に、確定申告をすることで税制優遇を受けられる特別控除がいくつかあります。
3,000万円の特別控除
居住用の財産を売却した際に、譲渡所得税を3,000万円まで控除できるという特例措置があります。
譲渡所得税が3,000万円を超えるケースはそう多くはないため、この控除を利用できれば譲渡所得税の負担がなくなることがほとんどです。
この控除を利用するためには主に以下の条件を満たす必要があります。
- 自分が住んでいた家屋か、住まなくなった日から3年を経過していない家屋
- 親子などの近親間での取引でない
- 売却した年の前年および前々年に3,000万円の特別控除の特例を受けていない
- 売却した年の前年および前々年にマイホーム買換えや交換の特例を受けていない
- 売却した家屋や敷地について収容の特別控除などを受けていない
相続取得時の売却取得費特例
相続で物件を取得し、相続登記から3年以内に売却する場合は相続税を取得費用に含めることができます。
リフォーム代金を取得費用に含めることができれば、譲渡所得税の負担が軽減されるように、相続税を取得税に加算できれば大きく軽減できます。
相続税が発生しているという条件がありますが、相続財産に居住している人にとっては大きな税制優遇となる可能性があります。この特例を受けるための主な条件は下記のとおりです。
- 相続や遺贈によって財産を取得した者である
- 相続税が発生している
- 財産を相続登記から3年以内に売却を終えている
損益通算と繰越控除の特例控除
不動産売却で譲渡損失が出た場合でも税金を抑えられる場合があります。譲渡損失とは不動産売却で損失が発生してしまうことをいいます。
一定の条件を満たすことで、売却で出た損失分をその年のほかの所得と相殺できます。これを損益通算といい、住民税や所得税を抑えられます。また、所得よりも損失額のほうが大きくなった場合でも、翌年以降の所得からも繰越控除ができます。この特例は最長で4年間利用できます。損益通算と繰越控除が利用できるケースは下記の2つです。
- マイホームを買い替える時
- 買い替えでなくても住宅ローン残高が売却金額を超えている時
上記には条件がいくつかありますので、下記コラムにて確認してみましょう。
まずはプロに相談してみよう
リフォームした物件をすでに売却されている方は、確定申告の準備をしましょう。分からない箇所があれば、税務署や仲介してもらった不動産会社に相談することで、ミスなく行えます。
これから売却をする方は、まず信頼できる担当者を見つけることから始めます。優秀な担当者を見つけないと、希望通りの金額で売却できる可能性が低いです。担当者探しでは不動産の一括査定サイト「リビンマッチ」を利用してはいかがでしょうか。一度に複数社へ査定依頼ができるので、各不動産会社の担当者を比較検討できます。
問い合わせの手間も省けて、効率よく不動産売却を進めることができるでしょう。
リフォームした不動産を売却する際によくある質問
- リフォームした代金は譲渡所得税の計算に含むことができる?
- リフォームをした目的によって違いますが、譲渡費用または取得費用に含めることができます
- 譲渡費用か取得費用のどっちに含まれる?
- 売却を目的としたリフォームは譲渡費用に含まれます。リフォームが設備や改良、つまり価値を上げるために行ったものであれば、取得費用に含むことができます。
大手住宅メーカーの注文住宅販売や不動産テック企業の仲介業務に4年間携わり、不動産取引にかかわった件数は350件以上にわたります。2021年よりリビンマッチコラムの執筆・編集を担しています。皆さんが安心して不動産取引を行えるよう、わかりやすくリアルな情報を発信します。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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