離婚における引っ越しの手順や手続き。家や家具はどうする?
離婚をすると、夫婦がそれぞれ別の生活を送るために引っ越しが必要です。さらに子どもがいる場合は親権や転校に関して考える必要があるため、手続きが増えます。
引っ越しの際は、今まで共有していた家や家具はどのように扱えばよいのでしょうか。離婚における引っ越しの手順や必要な手続きを解説します。
もくじ
離婚に伴う引っ越しの手順や手続き
離婚に伴い引っ越しをする場合の手順や手続きを確認してみましょう。また、子どもがいる場合には、引っ越しのパターンがいくつかあります。
引っ越しのタイミングは離婚成立後
離婚に伴う引っ越しは、離婚成立後に行うのが一般的です。
ただし、離婚届を提出すると、戸籍の分離や住民票の情報変更が発生します。新たに戸籍や住民票を取得しなければならず、役所で行う手続きが多くあります。
そのため、引っ越し先の確保は、離婚届の提出前から準備しておきましょう。
転居先が賃貸物件であったとしても、物件を探し始めてから入居するまでには最短でも約1カ月の期間がかかります。
物件探しを始めてすぐに好みの物件が見つかったとしても、申し込み後の入居審査や引っ越し業者の手配が必要です。
それぞれの手続きを急いだとしても、目安として以下の期間が必要だと考えておきましょう。
期間の目安 | |
---|---|
申し込み後の入居審査 | 1週間 |
引っ越し業者の見積もりから実際の引っ越しまで | 2〜3週間 |
離婚成立後に速やかに引っ越しをするためにも、財産分与や慰謝料など離婚に向けた話し合いを進めながら、同時進行で転居先を探し始めておくことをおすすめします。
しかし、共同生活を送ることが難しいほどに夫婦関係が悪化している場合は、婚姻届の提出前に別居しているというケースも珍しくありません。
子どもがいる場合は?
子どもがいる場合、まずは親権を父と母のどちらが持つかという話し合いが必要です。
考えられる引っ越しのパターンは以下の3つです。
- 夫婦のいずれかが子どもと一緒に自宅に住み続ける
- 夫婦のいずれかが子どもと一緒に引っ越す
- 夫婦ともに引っ越し、子どもはいずれかについていく
子どもが複数人いる場合は、兄弟が離別するということも考えられます。
夫婦のいずれかが子どもと一緒に自宅に住み続けるケース以外では、引っ越しに伴い子どもの学校の転校手続きが必要になることがあります。
その場合、現在の学校に転校する旨を報告し、引き継ぎの書類などを受け取ります。
また、転居届を提出した後、新しい学校に連絡して転校の手続きを進めます。
いずれの手続きも一度は学校に赴く必要があるため、平日に時間を確保する必要があります。
持ち家の場合は?
持ち家の場合、夫婦のうち家の名義を持つほうが住み続けるというケースが多いです。
ただし、結婚後に取得した持ち家は財産分与の対象です。そのため、引っ越す相手に対してまとまった額の金銭を用意できない場合は、自宅を売却して現金化するのが一般的です。
その場合、夫婦ともに引っ越すことになります。持ち家の扱いについては、後ほど詳しく紹介します。
引っ越しまでの具体的な流れ
離婚に伴う引っ越しの具体的な流れを確認してみましょう。
- 自宅が持ち家である
- 子どもがいる
今回は上記を前提として紹介します。
- 離婚に向けて協議を始める
- 自宅不動産も含めた財産の全体像を把握し、自宅を売却するかどうかを検討する
- 夫婦のどちらが転居するか、子どもの親権はどうするかなどを協議する
- 財産分与について協議する(家具や家電、引っ越し費用も含む)
- 子どもの転校時期などに配慮し、引っ越し時期を決める
- 転居先を検討し、見学〜申し込み〜賃貸契約
- 自宅を売却する場合は⑥と同時進行で売却活動開始〜売買契約〜引き渡し
- 自宅の売却代金などを含めた財産分与の手続きを進める
- 離婚届を提出し、引っ越しをする
- 引っ越し後、転出・転入届提出など子どもの転校手続き
離婚届を提出する前に多くの工程が必要なことを理解しておきましょう。
離婚に伴う引っ越しの注意点
離婚に向けて話し合いを進める際は、引っ越しに伴う費用負担などについても話し合いをしておく必要があります。
引っ越し費用をだれが負担するのかを決めておく
結婚期間が長い場合、荷物も増えるため引っ越し費用が高くなるケースがあります。財産分与の話し合いの時に、離婚後にかかる費用を想定しておかないと、トラブルに発展しやすいです。
夫婦のいずれかが引っ越すという場合は、離婚に向けた話し合いの中で、どちらが引っ越し費用を負担するのかをあらかじめ決めておくことをおすすめします。
家具や家電の分け方を話し合う
離婚に向けた財産分与の話し合いでは、どの家具や家電をどちらが引き取るかについても話し合っておく必要があります。
生活を維持するためには、家具や家電は必須です。そのため、相手方に渡ってしまった家具や家電は新たに調達する必要があります。
夫婦のどちらかが高価な新しい家具や家電を引き取ったり、どちらかが古びた家電ばかりを引き取ることになれば、当然その後の生活にかかる経済的負担に差が生まれます。
転校のタイミングに配慮する
子どもと一緒に引っ越す場合は、なるべく転校のタイミングに配慮することをおすすめします。
授業の進度は学校によって異なるため、学期途中での転校により学習していない単元が発生してしまうリスクがあります。
学習塾や家庭学習などでカバーできればよいかもしれませんが、金銭的に余裕がないというケースも多いでしょう。
離婚は子どもにとっても少なからずストレスがかかるものです。
- 夏休みなどの長期休暇
- 春休みなど学年が変わる時期
上記のようなタイミングで転校することで、子どもにとっては授業に遅れにくく、友達が作りやすいでしょう。
一緒に住んでいた持ち家はどうする?
離婚によって生じる大きなトラブルのひとつとして、持ち家をどうするかという問題があります。ここでは、離婚に伴う持ち家の扱いについて、詳しく紹介します。
財産分与の対象になる?
結婚後に取得した財産は、たとえ単独名義であっても夫婦の共有財産とみなされます。
つまり、結婚後に購入した持ち家は、たとえ夫の単独名義であったとしても財産分与の対象です。
一方、結婚前に購入した住宅や、相続によって取得した不動産は財産分与の対象にはなりません。
財産分与は,
- 夫婦が共同生活を送る中で形成した財産の公平な分配
- 離婚後の生活保障
- 離婚の原因を作ったことへの損害賠償
の性質があると解されており,特に(1)が基本であると考えられています。
ペアローンを組んで共有名義にしている場合
近年は共働きの夫婦が増え、マイホームを購入する場合もペアローンを組んで共有名義にしているケースが多数あります。
共有名義の不動産は、双方の合意がなければ第三者への売却ができません。
夫婦のいずれかが住み続けるという場合、引っ越すほうは自分が住まない家の住宅ローンを支払い続けることになります。そのため、引っ越し先の住居費との二重払いが発生してしまいます。
また、別れた夫婦が共有状態を維持した場合、いずれかに自分の所有分である共有持分だけを売却されてしまうリスクがあります。
新たな所有者から共有物分割請求訴訟を起こされた場合、最悪の場合は競売で自宅を手放して、経済的に著しく不利益を被る可能性があります。
離婚後のトラブルを避けるためにも、共有名義の不動産は離婚時にしっかりと協議した上で売却しておくことをおすすめします。
売却のタイミングは離婚前?離婚後?
自宅を売却する場合、そのタイミングは離婚前と離婚後のどちらがよいのでしょうか。2つのパターンについて、メリットやデメリットを整理しておきましょう。
離婚前に売却
不動産の売却から引き渡しまでの期間は早くても3〜6カ月かかります。
売却してから離婚する場合、売却期間中に引っ越し先を探したり、離婚後の生活基盤を落ち着いて整えたりできます。
また、住宅ローンが残っている場合、家を売却してから引っ越すことで住居費の二重払いが生じないため経済的です。
さらに、離婚前に売却してしまうことで、離婚後に相手方と連絡を取り合う必要がありません。離婚後のトラブルが少ないという点も大きなメリットといえます。
しかし、売却期間中も同居を続けなければならないことが苦痛になるかもしれません。早く売却したいという気持ちが大きくなり、相場よりも安く売却してしまうというケースもあります。
離婚後の売却
離婚してから売却する場合、早めに離婚ができます。夫婦のいずれかが引っ越してしまえば、落ち着いて売却活動に専念することができるため、できるだけ高く売りたいという方にはおすすめの方法です。
しかし、住宅ローンが残った状態で夫婦ともに先に引っ越すという場合、引っ越し先の住居費と住宅ローンの二重払いが発生してしまうため注意しましょう。
また、離婚後にも財産分与に関してお互いに連絡を取り合う必要があるため、代理人を立てておくことも必要かもしれません。
住宅ローンが残っている場合
離婚に伴って自宅を売却したい場合、まずは住宅ローンの残高を確認し、自宅がアンダーローンの状態なのかオーバーローンの状態なのかを把握する必要があります。
アンダーローンとは、自宅の売れる価格が住宅ローンの残高を上回っている状態です。この場合は、売却価格で住宅ローンを完済し、残ったお金を分配することで自宅の売却や財産分与の手続きがスムーズに進みます。
一方、オーバーローンとは、自宅の売れる価格が住宅ローンの残高を下回っている状態のことを指します。この状態で売却する場合、抵当権抹消のために夫婦の手持ち資金の中から差額を補填する必要があります。
手持ち資金がない場合は売却が難しいため、夫婦のいずれかが自宅に住み続けるという選択をとることもあります。
親権を持つ妻と子どもが自宅に残り、夫が住宅ローンの支払いを続けながら別居するということも可能です。
この場合、自宅の名義は夫のままで、妻と子どもが住み続けることになるため、住宅ローンの支払いは養育費に含まれるケースが多いです。
自宅の売れる価格を確認しておく
離婚は結婚よりもパワーが必要という話もあります。財産分与や子どものメンタルケアなど、関係が破綻した相手と話し合うべきことも多く、心労も大きいでしょう。
しかし、「早く手放して楽になりたい」という思いから、よく調べずに家の売却を進めてしまうと、せっかくの資産を相場より安く手放すことにもなりかねません。
離婚を考える時は、まずは夫婦の共有財産の全体像をつかむことが大切です。そこから引っ越しや手続きのタイミングを決めていきましょう。
家に関しては、住宅ローンの残高が分かる書類などを取り寄せ、さらに自宅の売れる価格を把握しておくことをおすすめします。
売れる価格を知るためには、複数の査定価格を比較することが一番です。
一括査定サイトの「リビンマッチ」では、一度の手間で複数の不動産会社から査定結果を無料で受け取れます。さまざまな手続きに追われる離婚時でも手間が省けるため、ぜひ利用してみましょう。
離婚時の引っ越しに関するよくある質問
- 離婚に伴う引っ越しのタイミングは?
- 離婚成立後に行うのが一般的です。しかし、離婚ではさまざまな手続きが発生するため、引っ越し先の確保は離婚届の提出前から準備しておきましょう。
- 離婚して引っ越す際、家や家具は?
- 結婚後に購入した持ち家は、たとえ夫の単独名義であったとしても財産分与の対象です。また、家具や家電の分け方で離婚後の生活にかかる経済的負担に差が生まれるため話し合いが必要です。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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