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山林の売却方法をわかりやすく解説!取引相場や売買の流れ、税金などの費用は?

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山林の売却方法をわかりやすく解説!取引相場や売買の流れ、税金などの費用は?

山林は、土地やマンションと同様に売買することが可能です。しかし、通常の不動産と性質や取引相場が異なり、売却方法に悩む方もいるでしょう。

また、売却でかかる税金や費用など、注意するべき点が多くあります。

本記事では、山林を売却する際に知っておくべき基本的な知識から売却の流れまで、幅広く解説します。

山林売却の基本知識

まずは、山林を売却する際の基本的な知識を確認してみましょう。

山林の4つの分類と取引相場

山林は、4種類に分類されます。それぞれの取引相場は以下の表のとおりです。

山林の取引相場
種類 取引相場(円/㎡)
都市近郊林地 1,000〜5,000
農村林地 100〜1,000
林業本場林地 ~100
山村奥地林地 ~100

種類によって取引価格に大きな差があることが分かります。その理由を確認してみましょう。

​​都市近郊林地

都市近郊林地は市街地の近郊にある山林のことをいいます。

都市から近いことで、キャンプや事業などさまざまなニーズとマッチしやすいです。取引相場は1㎡あたり約1,000〜5,000円と、4種類の中で最も高く取引されています。

中には、近くまで電気が通っているケースや、前面道路まで上下水道管があるケースもあり、活用の幅が広いです。

都市近郊林地の特徴

  • 都市部から近くにある山林
  • 近くまでインフラが整備されいることがある
  • 山林のなかでは比較的高く売買される

農村林地

農村林地は農村にある林地のことで、里山ともいわれます。

田舎暮らしを希望する方や、近年のキャンプブームなどでニーズが高まりつつあります。

取引相場は、1㎡あたり100〜1,000円と、都市近郊林地と比較するとかなり安くなってしまいます。

農村林地の特徴

  • 農村地域にある山林
  • 農業を中心に行う地域にある
  • 都市近郊林地より売買価格が安い

林業本場林地

林業本場林地は、主に林業を目的とした山林のことを指しています。林業とは、山林で育てた樹木を伐採して材木として売る産業のことです。

林業本場林地の取引相場は1㎡あたり100円以下と、農村林地よりも安くなっています。

林業本場林地の特徴

  • 主に林業を行う地域にある山林
  • 需要が著しく低い
  • 売買価格が非常に安い

山村奥地林地

山村奥地林地とは、林道などがなく、整備されていない林地のことを指します。 

道が整備されていなければ土地や材木の活用が難しいことから、取引相場の多くは1㎡あたり100円以下となっています。

山村奥地林地の特徴

  • 集落から離れた、林道などもない山奥にある山林
  • 非常に不便な地域にあり、需要が低い
  • 売買価格が非常に安い

山林の資産は2種類

山林には、土地と樹木(材木)の2種類の資産があります。日本の住宅は木造住宅が中心なため、材木の原料となる樹木は立派な資産です。

そのため、山林を売却する方法には、以下の2パターンがあります。

  • 山林をそのまま売却する
  • 樹木だけを売却する

樹木は材木にしたり、立木のままで売却が可能です。材木は数年たてばまた成長してくるため、手入れを行うことで継続的な収入にもなります。

相続した場合は届出が必要

都市部でも空き家問題が深刻化していますが、相続によって権利関係が複雑化した森林の所有者が把握できないという問題が以前から社会問題になっていました。

そこで、平成24年4月から森林の所有者届出制度が始まり、売買や相続で取得した山林は所有者の届出が義務づけられています

平成23年4月の森林法改正により、平成24年4月以降、森林の土地の所有者となった方は市町村長への事後届出が必要になりました。

林野庁「森林の土地の所有者届出制度」

なお、以下のような申請用紙に必要事項を記入して届け出ます。

森林の土地の所有者届出書

森林の土地の所有者届出書

東京都産業労働局「お知らせ(森林の所有者届出制度について)」

また、相続で取得した山林を放置していると毎年固定資産税が発生してしまうため、売却を考える人が多いのが現状です。

相続登記が義務化されていることに注意

相続登記とは亡くなった人(被相続人)の不動産を相続人が相続したことを、法務局に申請して登記簿に記載する手続きのことをいいます。

2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。相続登記の期限は原則として相続開始から3年以内です。相続登記の申請を促進し、所有者不明土地の発生を防ぐことを目的としています。正当な理由なく登記を怠った場合、10万円以下の過料が科されます。

相続登記の義務化により、相続人の責任が明確になり、土地の所有権が適切に管理されることが期待されています。相続登記をしないと所有者と証明できず、売却できないので注意が必要です。

数代も前から相続登記をせずに放置していた山林だと、相続人を調査するだけで膨大な手間がかかります。司法書士などの専門家に依頼して対処しましょう。

山林を所有するメリット、デメリット

山林を所有し続けることには、メリットとデメリットがあります。売却するときは、メリットとデメリットを比較して、よく検討しましょう。

山林を所有するメリット

  • 税制面での優遇
  • 自然とのふれあい

山林を所有していると、税制面での優遇があります。山林所有者は固定資産税の減税措置や山林所得に対する特別控除など、税制上の恩恵を受けられます。さらに山林を所有することで、自然とのふれあいを楽しめるでしょう。

山林を所有するデメリット

  • 管理の手間
  • 鳥獣被害対策のコスト

山林を所有していると、管理の手間がかかります。下草刈りや間伐など定期的な手入れが必要で、管理を怠ると山林が荒廃してしまいます。また、シカやイノシシなどの野生動物の対策も必要で、防護柵の設置や捕獲などのコストがかかります。

【体験談】相続した負担の重い土地を売ることに…

相続で非常に条件の悪い土地を所有することになった体験談です。管理や税金などの負担があり、売却することを決意しました。ただ、なかなか引き受けてくれる不動産会社が見つからず、ようやく1社と契約できたそうです。

山林に限らず、売れにくい土地は非常に苦労することがわかります。できるだけ早い段階で売却を進めていくとよいでしょう。

山林売却の流れ

山林売却の流れ

山林売却の流れ

山林を売却する手続きの流れは、以下のとおりです。

  1. 土地の状況を確認する
  2. 売却方法を決める
  3. 不動産会社と媒介契約を結ぶ
  4. 契約・引き渡し

土地の状況を確認する

土地の状況は以下のような項目を確認しておきましょう。

  • 林道があるか
  • 樹木(立木)の種類や樹齢
  • 傾斜がどのくらいあるか

これらは、市町村役場で取得する登記簿や森林簿で確認できます。

売却方法を決める

土地の売却方法には、以下の2種類があります。

  • 公簿売買
  • 実測売買

実測売買とは、登記簿に記載された面積と相違がないか改めて測量を行い、隣地の所有者と境界を確定させてから行う売買のことです。

しかし、山林は面積が広く、道がないことが多いため、正確に測量するには費用が高額になってしまいます。

売却した土地に建物を建てるというケースも少ないため、登記簿に記載された面積で行う公簿売買が一般的です。

不動産会社と媒介契約を結ぶ

売却方法が決まったら、必要書類をそろえて不動産会社と媒介契約を締結します。

媒介契約を結ぶことで、広告や買主募集などの売却活動を不動産会社に一任できます。

通常の宅地の取引と同じように、以下の3種類の中から契約形態を選択します。

  • 一般媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 専属専任媒介契約

選び方のポイントは、他社の顧客にも情報提供が可能なレインズへの登録義務があるか、複数の業者に依頼ができるかという点です。

媒介契約の特徴
項目 一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
複数の業者に依頼 可能 不可 不可
レインズ登録義務 なし あり(7日以内) あり(5日以内)
自ら見つけた買主 契約可能 契約可能 契約不可
活動報告義務 なし あり(2週間に1回) あり(1週間に1回)

契約・引き渡し

スムーズに買主が見つかった場合は、通常の不動産と同じように契約と引き渡しの業務を行います。

契約は双方立ち会って行うことが一般的ですが、最近はIT重説などが普及し、契約手続きをオンラインで行える環境が整ってきました。

ただし、引き渡しの際は金融機関で売主・買主がそろって残代金の引き渡しや所有権移転のための手続きを行います。

山林売却にかかる費用と必要書類

山林を売却するにあたっては、税金や仲介手数料などの費用がかかります。また、売却に必要な書類も、通常の不動産売却とは異なるため注意しましょう。

税金

特に注意が必要なのは、山林所得税と譲渡所得税の2つです。立木部分と土地部分で分けて計算する必要があります。

これ以外にも、通常の不動産売却と同様に、印紙税や登録免許税がかかります。

山林所得税

山林所得とは、山林にある樹木を伐採して売却したり、立木のままで売却することで発生する所得です。

山林をそのまま売却する場合は、土地の部分は後で説明する、譲渡所得になります。

山林所得とは、山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得をいいます。ただし、山林を取得してから5年以内に伐採または譲渡した場合は、山林所得ではなく事業所得か雑所得になります。また、山林を山ごと譲渡する場合の土地の部分は、譲渡所得になります。

国税庁「No.1480 山林所得」

課税山林所得は、以下の計算式で算出できます。

課税山林所得=総収入金額-必要経費-特別控除額(最高50万円)

必要経費には、植林費などの取得費、草刈費などの育成費、維持管理費、伐採費、運搬費、などが含まれます。

ここから、山林所得税額は以下の計算式で求められます。

山林所得税額=課税山林所得 × 5分の1 × 税率 × 5

税率は所得金額により違いますが、国税庁の「No.2260 所得税の税率」で確認できます。

譲渡所得税

譲渡所得税は、山林の土地に対して課税される税です。

課税譲渡所得金額は、以下の計算式で算出できます。

課税譲渡所得=売却価格 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額(一定の場合)

山林の場合、購入価格などの取得費が分からないことも多くなります。その場合は、売却価格の5%を取得費として算出します。

譲渡所得税は、課税額に山林の所有期間に応じた税率をかけることで求められます。

長期譲渡所得
売却した年の1月1日現在の所有期間が5年超えの場合は約15%
短期譲渡所得
売却した年の1月1日現在の所有期間が5年以下の場合は約30%

仲介手数料

山林を売却する時は、仲介業者に支払う手数料が必要です。

住宅など通常の不動産売却では、宅地建物取引業法によって仲介手数料の上限が決められています。しかし、山林の売買は宅地建物取引業が適用されないため、上限がありません

しかし、一般的には山林の売買でも、通常の不動産と同様の基準で仲介手数料が定められることがほとんどです。そのため、以下の計算式で算出されます。

仲介手数料=物件価格 × 3%+6万円+消費税

しかし、これはあくまで速算式のため、注意が必要です。宅地建物取引業法で定められた仲介手数料の上限は、下記の表のとおりです。

仲介手数料の上限
200万円以下の部分 売買価格の5%
200万円~400万円の部分 売買価格の4%
400万円以上の部分 売買価格の3%

山林の場合、取引価格が400万円以下になることも多いため、速算式を使わずに計算する必要があります。

必要書類

山林の売却にあたって、必要な書類を一覧にまとめました。

必要書類
書類 目的 取得場所
登記事項証明書 地番や地積、所有権の確認 法務局
公図 土地の位置や地番の確認 法務局
固定資産税通知書 固定資産税額の確認 自宅(役所で再発行可能)
地盤図 地下の地質体の分布 地質調査総合センターHP
森林情報 森林基本図、森林計画図、森林簿 森林情報管理システム

一般的な不動産の取引に必要な書類のほか、山林の樹木などの状況を示す書類が必要になる点に注意が必要です。

山林を売却する方法

山林は一般的な不動産よりも需要が少なく、売却しにくいのも事実です。ここでは、上手に売却するためのいくつかの方法を紹介します。

森林組合に相談する

売却先を探す際は、各都道府県に設けられている森林組合に一度相談してみるとよいでしょう。

森林組合は、森林組合法に基づき、森林所有者の経済的社会的地位の向上並びに森林の保続培養及び森林生産力の増進を図ることを目的として設立される、森林所有者を正組合員とした協同組織。

林野庁「森林組合の現状と課題」

森林の所有者が組合員になっているため、近隣の山林を買い取りたいという方を紹介してもらえたり、森林を活用したい事業者を紹介してもらえるケースがあります。

なお相談する森林組合は、全国森林組合連合会の「都道府県森林組合連合会一覧」で探してみましょう。

民間のサイトを活用する

森林組合のほかにも、山林の売買を専門に取り扱う民間サイトを活用するのもよいでしょう。

近年のキャンプブームなどで山林の所有を希望する個人も増えており、こうしたサイトへのアクセスは増えています。

また、運営サイトに林業の専門家が在籍しているケースもあるため、活用方法を熟知した人に情報提供ができるというメリットがあります。

不動産買取という選択肢

一定期間売却に出しても買主が見つからない場合は、不動産買取を活用するのもひとつの選択肢です。

相続の場合は相続税の納付までに一定の期限があります。そのため、スピーディに現金化できることは大きなメリットです。

ただし、買取価格が一般的な流通相場よりも安くなってしまうことや、立地条件によっては買い取ってもらえないケースもあることは覚えておきましょう。

一括査定サイトを利用する

一括査定サイトの「リビンマッチ」は、所在地や面積などの情報を入力すれば、複数の不動産会社に一度の手間で査定依頼ができる無料のインターネットサービスです。物件情報を入力するため、初めから自分が所有する山林を取り扱ってくれる不動産会社が見つかりやすいです。

また、査定価格や提案内容を比較できるため、自分の条件に合った売却ができる可能性が高いです。専門家の意見を幅広く聞くと、今後のプランを計画しやすいでしょう。

まずはリビンマッチを利用してみて、依頼先が見つからなければ違う方法を検討するのが賢い選択です。

まずはリビンマッチの利用から始めましょう

山林は一般的な不動産よりも特殊なため、一般的な不動産会社では扱っていないケースが大半です。

土地勘がある地元の不動産会社や、山林の取引実績が多い不動産会社に任せるのがおすすめです。

しかし、地元の不動産会社に1件1件問い合わせても、「山林の売買は扱っていない」と断られてしまうかもしれません。

そのため、まずは一括査定サイトの「リビンマッチ」を利用しましょう。山林である旨を記載していれば、初めから山林を取り扱ってくれる業者が相談に乗ってくれるため、手間を省けます。

山林の売却に関するよくある質問

山林を売却する流れは?
まず、林道があるかなど土地の状況を確認してから、売却方法を決めます。山林の場合は、登記簿に記載された面積で行う公簿売買が一般的です。そこから、不動産会社と媒介契約を結んで買主が見つかれば、契約をして引き渡しを行います。
山林の売却でかかる税金の注意点は?
山林の場合、山林所得税と譲渡所得税あり、立木部分と土地部分で分けて計算することに注意しましょう。

この記事の編集者

リビンマッチ編集部 リビンマッチ編集部

リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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