不動産売買契約書とは?記載内容を確認しよう(雛形あり)
不動産を売却する際には、必ず不動産売買契約書を作成して契約を締結します。
契約書には専門的な内容が多く、一般の人にとっては理解するのが難しいです。中には売主側の責任や義務に関する条項もあるため、しっかりと読んでおかなければ思わぬ落とし穴にはまってしまうこともあるでしょう。
そこで今回は、不動産の売却を検討している方に向けて、不動産売買契約書の内容を詳しく解説します。実際に記載されている条文と併せて確認してみましょう。
もくじ
不動産売買契約書とは
不動産売買契約書とは、その名のとおり不動産の売買条件について合意した証拠を残すための契約書です。
不動産売買契約書が必要な理由は?
不動産売買契約書は、売主と買主の双方が不利益を被らないようにするために作成されます。
まず、物の売買は口頭でも成立するため、必ず契約書を作成するという決まりはありません。
しかし、不動産の取引は高額です。取引を行う売主と買主は不動産に関する知識がないことも多いため、契約書を作成することで条件を明確にしています。
実際、不動産仲介会社が守るべき法律である宅地建物取引業法においても、仲介を行う取引の不動産売買契約書は必ず作成するように定められています。さらにその内容は、宅地建物取引士が確認し、記名と押印をすることが義務づけられています。
不動産売買契約書は誰が作成する?
不動産仲介会社が作成します。売主側と買主側でそれぞれ仲介会社が異なる場合は、どちらが作成するかという決まりはありません。
しかし、一般的には、売主側の不動産仲介会社が2通作成し、その条件に合意した売主と買主の双方が署名押印し、それぞれ1通ずつ保管します。
また、個人間で不動産売買では、契約書の作成において知識不足が原因でトラブルが発生することが多いです。このような場合には、司法書士に依頼することがおすすめです。司法書士は、専門的な知識と経験を持っており、適切な契約書の作成や登記手続きなどを行うことができます。
不動産売買契約書の雛形・記載内容
不動産売買契約書の雛形は全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)の「宅建協会会員業務支援サイト」より確認ができます。では、具体的な不動産売買契約書の記載内容を確認してみましょう。
主な記載項目
まずは、契約書の全体感をみてみましょう。不動産売買契約書では、以下のような内容が記載されます。
物件に関するもの |
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お金に関するもの |
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その他の取り決め |
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固定資産税など公租公課の分担は、一般的には、売買の日を基準にして日割りで精算します。
契約書の内容で、売主が特に押さえておきたいのは、解除に関する事項と契約不適合責任です。
解除に関する事項
契約解除となってしまう事項がどういったものか把握しておきましょう。
契約が解除となってしまうのは、どちらかの契約違反が生じた場合や、物件が焼失してしまった場合などが挙げられます。
それに加え、自らの都合で契約を解除したい場合には、買主から受領した手付金を支払う必要があります。
その際、売主が解除する場合は、すでに受け取った手付金を2倍にして返します。買主が解除する場合は、すでに支払った手付金を放棄します。
実際の不動産売買契約書では、以下のような条文で記載されます。
第○条(手付解除)
売主ならびに買主は、相手方が本契約の履行に着手するまでは、互いに書面により通知して、買主は売主に対し手付金を放棄して、売主は買主に対し手付金等受領が済んでいる金員を無利息で返還し、かつ手付金と同額の金員を買主に対して支払うことにより、本契約を解除することができます。
契約不適合責任
売主が把握しておかなければならないものの2つ目は、契約不適合責任についてです。
売主には、対象の不動産の種類・品質・数量に関して、契約に適した状態で引き渡すという義務があります。しかし、不動産が抱える欠陥により契約の目的を果たすことができない場合、契約不適合となります。
契約不適合の例としては、それぞれの項目で以下のようなものがあります。
- 種類
- 不動産の地目が契約書と異なっていた
- 品質
- 雨漏りや、白アリによる腐食のある建物だった
- 数量
- 契約書に記載されている面積より小さかった
実際の不動産売買契約書では、以下のような条文で記載されます。
第○条(契約不適合責任)
- 売主は買主に対し、引き渡し完了日から2年以内に請求を受けたものに限り契約不適合責任を負うものとします。買主は売主に対し契約不適合について生じた損害の賠償を請求することができます。
- 買主は売主に対し、第1項の契約不適合により本契約を締結した目的が達せられないとき、引っ越し完了日から2年以内に限り、本契約を解除することができます。
不動産売買契約の流れや必要な書類は?
不動産の売買契約はどのような流れで行われるのでしょうか。また、不動産売買契約書以外にどのような書類が必要なのでしょうか。
不動産売買契約の流れ
売買契約の当日は、以下の流れで行われます。
- 買主との顔合わせ
- 重要事項説明
- 売買契約書の読み合わせ
- 売買契約書の締結
売買契約書の読み合わせで双方が納得して、契約書に署名と捺印をすれば、売買契約は完了です。
重要事項説明
売買契約を締結する前に、不動産仲介会社はその物件や取引条件について、買主に説明する義務があります。この説明を、重要事項説明といいます。
宅地建物取引業法35条により、業者は、売買・賃貸の契約が成立するまでの間に、書面を交付し、買主・借主に対し、取引主任者をして一定の重要な事項の説明をさせなければならないものとされています。
重要事項説明は、宅地建物取引士が行います。
買主は説明を聞いて、合意した条件と間違いがないかを確認します。また、物件についても、法的な制限などが証拠資料とともに説明されます。
不動産売買契約で準備しておく書類や代金
売買契約を締結するためには、売主は不動産売買契約書以外にも、以下のようなさまざまな準備が必要です。
- 登記識別情報または登記済証
- 売主が本当に権利を有しているか確認するために必要
- 実印と印鑑証明書
- 本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
- 収入印紙
- 売主・買主それぞれが郵便局などで購入して用意しておく
- 仲介手数料の代金
- 買主から支払われた金額から仲介手数料が差し引かれ、売主の口座に振り込まれるのが一般的
その他にも、固定資産税の評価証明書やマンションの管理規約など、売買契約の内容や目的に応じて必要となる書類も用意しておきます。
不動産売却におけるチェックポイント
売主が不動産売買契約書でチェックしておきたいポイントを紹介します。
取引条件や物件の情報が正しいか
不動産のプロといえども、契約書を作成するのは人であるためミスはつきものです。基本的な条件について、改めて確認しましょう。
チェック項目 | 内容 |
---|---|
不動産 | 対象となる不動産の地目や面積、地番などに誤りがないか、不動産登記簿と照合しましょう。 |
売買代金と手付金 | 事前に合意した金額になっているか、手付金の額が妥当か確認しましょう。なお、手付金は売買代金の約1割が相場です。 |
所有権の引き渡し時期 | 一般的には、買主から残りの代金を受領する日に、物件の引き渡しを同時に行います。 |
特に、対象不動産の地目や面積が誤っていた場合、後日買主から契約不適合責任を問われるおそれがあるため、必ず確認しておきましょう。
契約不適合の期間
中古物件を売却する場合は、物件内に契約不適合となる欠陥がある可能性が高いです。
そのため、契約不適合の追及期間がどの程度に設定されているかは必ず確認しておきましょう。
原則、買主が契約不適合による価格の減額請求や損害賠償請求ができるのは、不適合を知った時から1年とされています。しかし一般的には、特約で「引き渡しから○年以内」とすることが多いようです。
契約不適合を追及できる期間について、確認を怠らないようにしましょう。
信頼のできる不動産会社をパートナーにしよう
不動産売買契約書は、取引条件が細かく記載される重要なものです。それを作成するのは仲介を依頼する不動産会社であるため、不動産会社選びは重要です。 売主と買主双方の利益を守ってくれる重要なパートナーであり、不動産売却を安心・安全に成功させるためには欠かせない存在です。
信頼できるパートナーを見極めるためにも、必ず複数社を比較しましょう。まずは一括査定サイトの「リビンマッチ」を利用しましょう。リビンマッチは簡単な物件情報を入力するだけで複数の不動産会社に査定が依頼できる、完全無料のインターネットサービスです。
査定価格はもちろん、担当者の対応や提案されるプランを比較できるので、自分にぴったりのパートナーが見つかります。
不動産売買契約書に関するよくある質問
- 不動産売買契約書の記載内容は?
- 不動産の住所や免責、引き渡しの時期など物件に関するものや、売買代金や手付金の金額などが記載されています。売主が特に押さえておきたいのは、解除に関する事項と契約不適合責任です。
- 不動産売買契約書はそもそも何のために作成するの?
- 売主と買主の双方が不利益を被らないようにするために作成されます。さらにその内容は、宅地建物取引士が確認し、記名と押印をすることが義務づけられています。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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