市街化調整区域の不動産を手放したい!売却しにくい理由や手放す方法を紹介
市街化調整区域にある不動産は、売却しにくい物件として代表的なもののひとつです。
市街化調整区域は自然を保全することを目的としている区域です。区域内では原則建物を建てることができず、田畑がある昔ながらの田舎の村が広がっています。スーパーなどの便利施設も少なく、買い手が少ない傾向にあります。
しかし、市街化調整区域の不動産でも売れないとは限りません。
市街化調整区域の中でも売れやすい物件の特徴や、手放したい人ができる具体的な方法を紹介します。
もくじ
市街化調整区域とは?
市街化調整区域の概要や特徴を理解しておきましょう。
市街化を抑制する地域
市街化調整区域とは、都市計画法によって定められた市街化を抑制する地域のことを指します。
市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする。
日本では、効率的に国土を利用するべく、昭和46年土地の利用方法について都市計画法を定めました。具体的には、国土を市街化を積極的に推し進めていく「市街化区域」と、市街化を抑制し自然を保全する「市街化調整区域」に分けました。
市街化調整区域には、以下のメリットがあります。
- 固定資産税が安い
- 都市計画税がかからない
- 自然豊か
一方、建物を建てる行為に対して法的な制限が設けられているというデメリットがあり、購入する人が限られます。
法的な制限がある
市街化調整区域は市街化を抑制する区域のため、建築行為について厳しい制限がかかっています。
市街化調整区域は原則として建物を建てられません。建てるには、後述する特別な条件に当てはまっている必要があります。
また、その条件に当てはまっている場合でも、都道府県知事に対して申請し、許可をもらう必要があります。
何人も、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、第二十九条第一項第二号若しくは第三号に規定する建築物以外の建築物を新築し、又は第一種特定工作物を新設してはならず、また、建築物を改築し、又はその用途を変更して同項第二号若しくは第三号に規定する建築物以外の建築物としてはならない(後略)
市街化調整区域の不動産が売却しにくい理由
市街化調整区域の不動産は以下のデメリットがあり、不動産としては売却しにくい傾向にあります。
- 原則、新たな建物を建築できない(再建築不可)
- 都市ガスなどのインフラ整備がされていない場合が多い
- 周辺にスーパーなどの便利施設が整っていない
- 不動産の担保価値が低いため、購入者が住宅ローンの審査に通りにくい
- 少子高齢化で人口が少なくなっていく日本では、今後の発展が見込みにくい
市街化調整区域のような田舎は過疎化が進んでいるため、ますます売却しにくくなっています。
市街化調整区域でも売れやすい不動産の特徴
売却しにくい傾向にある市街化調整区域の不動産ですが、その中でも、売れやすい物件はあります。特徴を確認してみましょう。
市街化区域に近い
都市化が進む市街化区域に近い場所に位置する不動産のほうが、そうでない不動産より売却できる可能性は高まるでしょう。
所有する不動産が市街化調整区域かどうかは、お住まいの地方公共団体(自治体)の都市計画図を確認すれば分かります。都市計画図では市街化区域と市街化調整区域が色塗りで分けられています。
引用:埼玉県「埼玉県都市計画図」
市街化区域に近い土地のほうが売却しやすい理由は2点です。
1点目は単純に利便性の問題です。都会に近いほうが利便性が高く、買い手に好まれます。
2点目は再建築の許可が下りる可能性が高まる点です。
市街化調整区域の土地に建物を建てる場合、都市計画法第43条の許可を受ける必要があります。認可の基準は都道府県により違うものの、以下のような条件が課されます。
- 対象の土地から敷地相互間100mの位置に50戸の建物が連なっていること
- 土地が接道している幅4m以上の道路が市街化区域まで続いていること
そのため、市街化区域に近いほうが条件に合致する可能性が高まります。
再建築可能な土地
昨今、リモートワークの普及により田舎暮らしに憧れる方が増えています。市街化調整区域であっても、新たに家を建てられる可能性がある土地であれば、売却できる可能性はぐっと高まります。
市街化調整区域内で建築を行なうことができる可能性があるのは次のケースです。
農家の分家
市街化調整区域は基本的に田畑がある土地なので、農家の家が建っています。その農家の子供たちが農家を継ぐために家を建てる場合は、許可が出るケースがあります。
しかし、この農家の分家はルールが非常に細かく、地方公共団体によっても違います。たとえば以下のような決まりがあります。
- 親子ともに農家であること
- 持ち家をほかに所有していないこと
- 本家を継ぐ兄弟がいること
地方公共団体によっては、分家の許可をとって建築した建物でも10年以上経過した後は売却が可能というところもあります。
ほかにも、再建築可能となるルールは地方公共団体により違います。当てはまりそうな方は地方公共団体に確認することをおすすめします。
特別に許可を得た土地
以前は、都市計画法ができる昭和46年3月31日より前にも家が建っていた場合は、同様の規模と用途であれば再建築が可能でした。これは、都市計画法以前からその場所に居住していた人に対しての救済措置です。
この制度は現在では廃止されていますが、地方公共団体によっては、申請をすれば再開発の許可が下りることがあります。売り出す前に確認しておくとよいでしょう。
市街化調整区域の不動産を手放す方法
売れやすい物件の特徴が分かったところで、市街化調整区域の不動産を手放す具体的な方法をご説明しましょう。
不動産仲介会社に相談する
まずは複数の不動産仲介会社に売却の査定を出し、所有する物件にかかる地方公共団体の制限や、似たような物件の売却事例を聞くことから始めましょう。
市街化調整区域の土地は流通量が少なく、地方公共団体によりさまざまなルールがあるため経験豊富な不動産会社でないと扱いに困るということがあります。
値段もつかないことからほかの土地を優先されてしまうこともあるため、できるなら市街化調整区域の売買を普段から行っている会社に依頼するのがおすすめです。
その地域に昔からある地場の不動産屋などが有力な候補となるでしょう。
査定をしてもらった会社の中から信頼できる会社を選び、売却の仲介の依頼を行います。
不動産会社と結ぶ媒介契約にはいくつかの種類があります。市街化調整区域の土地は売れにくい傾向にあるため、複数社に依頼できる一般媒介契約で、広く売却活動を行うことがおすすめです。
空き家バンクやオークションを活用する
市街化調整区域は売れにくいため、さまざまな売却ルートに露出させ購入希望者の目に触れる機会を増やすことが重要です。
そこでおすすめなのが、地方公共団体の運営している空き家バンクや、オークションサイトで出品することです。
これらのサイトでは、市街化調整区域の土地が安値で販売されています。どれも安値で売られている傾向にありますが、手放すことを優先するのであれば、販路の選択肢を増やす意味でも利用してみてもよいでしょう。
周辺の知人に売却する
買い手がつきにくい市街化調整区域の土地ですが、周辺住民が買い手となってくれるケースもあります。
市街化調整区域には専業農家が多く、中には田畑を拡大したいと考えている方もいます。ダメ元で隣地の所有者に聞いてみるのもいいでしょう。
ただし、個人間の不動産取引は素人では難しく、後々トラブルに発展することもあります。不安であれば、書類の作成などを不動産仲介会社に依頼してもよいでしょう。
手放すのが難しい場合は不動産の活用も検討する
どうしても売却できない場合は、それ以外の活用方法を探すのも手です。
建物を建てることが禁じられている市街化調整区域でも、以下の活用方法を取ることが可能です。
- 資材置き場
- 青空駐車場
- 太陽光発電
- 墓地
特に太陽光発電は周辺に人が少ない市街化調整区域向きのビジネスといえます。
資産運用の一手法として検討するのもよいでしょう。
まずは無料の査定を利用しよう
市街化調整区域は建物を建てることについて地方公共団体の許可が必要であることや、利便施設が少ないことなどが理由で売却しにくい傾向にあります。
固定資産税は安い傾向にありますが、相続税などを含めると保有しておくことのデメリットは存在します。
そのため、不動産仲介会社を活用し、早めに売却を試みることをおすすめします。
不動産売却の際は、選択肢を増やすためにも、一度の手間で複数の会社の意見を聞くことができる無料の一括査定サイト「リビンマッチ」を利用しましょう。
リビンマッチは全国多数の不動産会社が加盟しているので、売却しにくい市街化調整区域の不動産でも対応可能な会社が見つかります。
市街化調整区域の不動産売却に関するよくある質問
- 市街化調整区域の不動産はなぜ売却しにくいの?
- 原則、新たな建物を建築できないことが理由として挙げられます。それ以外にも、インフラの整備がされていないことや、周辺に施設が揃っていないことなどがあります。
- 市街化調整区域でも売れやすい物件は?
- 市街化区域に近い物件であれば、利便性が高いため、買い手に好まれます。また、建物を建てる許可が下りる可能性が高いため、売りやすいでしょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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