古家付き土地のまま不動産売却するメリットとデメリットとは?
マイホームや、相続した実家がすでに築年数が経っており、建物の価値がほとんどないような場合があります。売却を検討する場合は、建物を残したまま売却するのと、解体してから売却するのとでは、どちらがよいのでしょうか。
そういった場合、建物を解体せずに古家付き土地として売却する選択肢があります。中古住宅や更地として売却するケースとどのような違いがあるのか、メリットやデメリットを確認してみましょう。
もくじ
古家付き土地とは?
そもそも古家付き土地とはどのような物件のことを指すのでしょうか。
建物を解体せずに土地として売却する物件
古家付き土地とは、建物を解体せずに、土地として売却する物件のことを指します。
建物が建った土地の購入を検討する人は、その物件を購入して住宅として使用するケースと、建物を解体して土地を利用するケースがあります。
古家付き土地として売却する場合、建物自体にはほとんど価値がないため、基本的には後者の人をターゲットとします。
古家付き土地と中古住宅の違い
古家付き土地と中古住宅ですが、両者には明確な違いはありません。
先述のとおり、古家付き土地は主に土地を購入する人をターゲットとして売却しますが、買った人は、解体せずにそのまま家に住むことも可能です。
単に、売主がどのような人をターゲットにするかで、古家付き土地か中古住宅かが決まると考えるとよいでしょう。
古家付き土地と更地の違い
古家付き土地と更地は、どちらも土地として売り出す方法ではあります。しかし、古家付き土地が建物を解体せずに売り出すのに対し、更地は建物がない、土地だけの状態で売り出します。
古家付き土地も、建物を解体して整地すれば更地として売り出すことが可能です。
これらの方法のうち、どの方法を選べばよいか、明確な答えはありません。物件の状態などから売主が判断するしかないのです。
そのためには、古家付き土地として売り出すメリット・デメリットを理解し、判断することが大切です。
古家付き土地 | 建物が残っているが、土地として売り出している |
---|---|
中古住宅 | 土地と建物のセットで売り出している |
更地 | 土地に建築物がなく、土地のみで売り出している |
古家付き土地として売却するメリット
古家付き土地として売却するメリットについて紹介します。
解体費用がかからない
古家付き土地として売却する場合、更地として売却するのと違い、解体費用がかかりません。解体費用の相場は、木造住宅の場合1坪あたり約3万円です。
たとえば、30坪の木造住宅であれば約90万円の費用がかかります。
税金が安くなる
古家付き土地は、税金の負担を抑えられる可能性があります。
毎年1月1日時点において不動産を所有している人には、固定資産税が課されます。
このとき、土地の上に建物が建っていると、最大で固定資産税が6分の1になる特例があります。
建物を解体した後、すぐに土地が売却できればよいのですが、売却できずに数年間売れ残ってしまう可能性もあります。そうしたケースでは、固定資産税の負担が非常に大きくなってしまいます。
なお、建物を解体せずに残す場合でも、空室等対策特別措置法により、「特定空家等」に指定されると固定資産税の特例を受けられなくなる点に注意が必要です。
この特定空家等は、しっかりと管理しておらず、建物の倒壊の可能性があるようなケースで指定されるおそれがあります。空き家にする場合はしっかり管理することが大切だといえます。
家を使いたい人もターゲットになる
古家付き土地として売却する場合、土地として売却しますが、買った人は買った土地と建物をどのように扱おうと自由です。
中古住宅のようにそのまま住んでしまうことも可能ですし、数年住んだ後に建物を解体して建て替えるという選択肢もあります。
古家付き土地として売却すれば、土地を求めている人以外に、中古住宅を求めている人もターゲットとできる点はメリットです。
古家付き土地として売却するデメリット
古家付き土地として売却するデメリットについても紹介します。
土地を買いたい人にとっては手間が増える
土地を買いたい人にとっては、古家付き土地を購入した後、建物を解体しなければならないことから、手間が増えてしまいます。
また可能性は低いですが、建物を解体することで地中埋設物(昔、その場所にあった建物の基礎など)が見つかることも考えなければなりません。
同じような条件で、更地と古家付き土地が売りに出されていたような場合は、更地が選ばれることになるでしょう。
こうしたことが重なれば、古家付き土地が長く売れ残ってしまう可能性があります。
価格を安く設定する必要がある
売主が事前に解体する場合は解体費用は売主の負担ですが、古家付きの場合、買主が解体費用を負担します。
このため、その解体費用程度は、相場より価格を安くすることが一般的です。
先述しましたが、更地の土地と古家付き土地がほぼ同条件で売りに出されていると、古家付き土地は選ばれません。
管理の手間が増える
古家付き土地として売却する場合、売れるまでの間は建物の管理もする必要があります。
数週間程度であれば問題はありませんが、場合によっては数カ月、数年単位で売れ残ってしまうケースもあります。その期間中は、掃除をするなどして管理しなければいけません。
一方、建物を解体してしまえば、管理する必要があるのは土地だけです。
中古住宅として売却する特徴とは?
中古住宅として売却する際の特徴も見てみましょう。
中古住宅の需要が高まっている
日本は住宅を購入する際、新築住宅を選ぶことが多い傾向にありますが、最近では、若い世代を中心に中古住宅に対する抵抗感が少なくなってきています。
東日本不動産流通機構の「首都圏不動産流通市場の動向(2020年)」によると、2010年からの10年間で中古戸建て住宅の成約数は3,000件近く増えていることが分かります。
中古戸建住宅の成約件数(件) | |
---|---|
2010年 | 10,745 |
2020年 | 13,348 |
特に家がまだまだ住める状態なのであれば、中古住宅としての売却を検討してみてもよいでしょう。
購入希望者が絞られてしまう
中古住宅として売却する場合、土地を購入したい人をターゲットにしにくくなります。
中古住宅は土地の価値と建物の価値を合わせた金額で売りに出されます。土地の購入希望者が、わざわざ金額の高い中古住宅を購入することは考えにくいです。
建物が古いようなケースでは特に、古家付き土地として売却するか、解体して更地にするのがおすすめです。
更地として売却する際の特徴とは?
更地として売却する際の特徴を見てみましょう。
購入希望者の幅が広がる
中古住宅を購入する人が増えてきているとはいえ、中古住宅を検討する前に、一度は新築住宅を検討する方がほとんどです。
更地にすることで、新築を建てたい人をターゲットにできます。
時間と費用がかかる
更地として売却するには、解体費用の負担と売り出すまでの時間がかかります。
また、解体業者を手配したり、家の中にある不用品の処分をしたりする費用も必要です。
早く資金が欲しいようなケースでは、解体~整地まで約1カ月はかかってしまうので注意が必要です。
古家付き土地として売却するならまず査定を受けてみよう
古家付き土地を売却するにはメリットもあれば、デメリットもあります。
それらを比較して、古家付き土地として売却するだけでなく、更地や中古住宅として売却することも検討してみましょう。
どの方法がよいかについては、自分で判断することは難しいため、プロにアドバイスをしてもらいましょう。
その際、複数の会社の査定を受けることをおすすめします。
同じプロとはいえ、不動産会社ごとに得意分野や得意なエリアが違うため、査定結果も違います。それらを比較して検討することで、自分に合った売却方法が見つかるでしょう。
複数の会社から査定を受ける際、1社1社電話をかけたり、訪問したりするのは手間なので、一括査定サイトの利用がおすすめです。
一括査定サイトであれば、物件情報を入力するだけで、複数の不動産会社から査定を受けることができます。
大手住宅メーカーの注文住宅販売や不動産テック企業の仲介業務に4年間携わり、不動産取引にかかわった件数は350件以上にわたります。2021年よりリビンマッチコラムの執筆・編集を担しています。皆さんが安心して不動産取引を行えるよう、わかりやすくリアルな情報を発信します。
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リビンマッチ編集部
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