不動産売却で印鑑証明書は何通用意するべき?土地や家の売買契約での役割
不動産を売却するためには、複雑な手続きが多く、準備する書類も数多くあります。その中でも印鑑証明書は、本人であることを証明するための大切な役割を担います。
印鑑証明書は不動産売却においてどういったタイミングで提出する必要があるのでしょうか。また、何通必要なのでしょうか。
本記事は、不動産売却時の印鑑証明書に関して詳しく解説します。具体的な取得方法も紹介するので、不動産売却に備えて準備しましょう。
もくじ
印鑑証明とは
印鑑登録制度は、社会生活において「印鑑」を使うことが多い日本独特の制度といわれます。
印鑑証明書とは、印鑑を居住する自治体に登録し、その印影が登録した印鑑と同一であることを証明するものです。
印鑑証明書は不動産売却において重要な役割がある書類です。
印鑑証明書はなぜ必要か?
不動産の所有権など、権利を第三者に認めさせるためには登記をしなければなりません。
登記は、不動産物件を所管する法務局または地方法務局およびこれらの支局や出張所に申請することで行えます。なお、これらはまとめて登記所といいます。
申請者は当事者本人になり、本人であることを証明するため、印鑑証明書を提出します。
一般には司法書士を代理人として申請するので、司法書士を代理人と定めた委任状に添付して印鑑証明書を提出します。
印鑑証明書の発行には費用がかかるため、何通も証明書を交付してもらうのはもったいないです。一般には印鑑証明書は登記手続きが完了した時点で、登記所から返してもらいます。これを、原本還付といいます。
実印と認印
印鑑証明書は、本人が押印した書類が間違いなく本人が確認し記名・押印したものであることを証明する目的で、市区町村が交付します。住所地の市区町村に、本人が使用する印鑑の印影を登録します。
印鑑登録した印鑑を「実印」と呼びます。印鑑が何本もあるケースもありますが、印鑑登録できるものは1本だけなので、実印は1本だけです。
また、立派な印鑑であっても、印鑑登録していない印鑑はただの「認印」です。
印鑑登録は住民登録地が変更になると再度登録しなおさなければなりません。ただし、同一市区町村内での住所移動の場合は、自動的に住所が更新されます。
売買契約書は実印を使う?
売買契約書に印鑑証明書は添付しないため、売買契約書に押印する印鑑は実印である必要はありません。
不動産会社が仲介に入る売買契約では、自動車運転免許証やパスポートまたは健康保険証などにより本人確認をします。そのほか、登記識別情報通知や登記済権利の保有により確認します。
このように、売買契約の時点では必ずしも実印の必要はないので、印鑑証明書の準備は不要です。
しかし、売買契約は当事者本人が締結したことを客観的に証明する必要が生じる場合もあります。特に売主は、所有権を移転登記する登記義務者になるため、実印を使用するほうが望ましいです。
また、契約当事者が契約締結日に都合が悪く、代理人が契約する場合のように、売買契約に印鑑証明書が必要となる例外のケースがあるので注意が必要です。本人が書いた委任状に実印を押印し、印鑑証明書を添付する必要があります。
不動産売却における印鑑証明
不動産の売却で必要な印鑑証明書は1通です。重要な書類ですので不要な部数を取得する必要はありません。
不動産売却の手続きでどのような役割があるのか解説します。
引き渡しと所有権移転登記
不動産の売却は、契約を締結したうえで、対象の不動産を買主に引き渡すことにより取引が成立します。
不動産の所有権は登記しなければ権利として認められません。
売主が所有権の移転ができる一式書類を司法書士に渡し、司法書士が登記申請することにより引き渡しが行われたとみなされます。
所有権移転には、次の書類が必要です。
- 登記識別情報通知または登記済権利書
- 司法書士を代理人とした委任状
- 登記原因証明情報(司法書士が準備する)
- 売主の印鑑証明書
- 売主の住民票または戸籍附票(登記上の住所と印鑑証明書の住所が異なる場合)
共有不動産の場合
売却する不動産が共有の場合は、共有者全員の印鑑証明書を準備する必要があります。
共有者全員が売却に同意している証明のため、実印の押印と印鑑証明書の添付が登記申請で求められます。
また、委任状や登記原因証明情報にも共有者全員の記名押印が必要です。
共有者がたくさんいると、遠くに住んでいる場合や国外に居住していることもあります。
国外居住の場合は印鑑登録そのものの制度がなく、印鑑証明書を用意できません。そのため、居住地の日本領事館で「署名証明」を発行して本人確認を行います。
【参考】登記識別情報とは?
登記申請の際は、印鑑証明書だけでなく、登記識別情報通知または登記済権利書が必要です。これらは、不動産の所有者に送付される、登記名義人であることを証明する重要な書類です。
登記識別情報通知は、2005年の不動産登記法改正により発行されるようになりました。これまであった登記済権利証の制度がなくなり、コンピューターによる登記の管理に移行しました。
新たな登記申請に対しては、登記済権利書ではなく登記識別情報通知を発行するようになりました。
「登記識別情報」に記された、12桁の数字は重要な情報のため、他人に見られないようシールを貼っています。本人であってもこのシールは剝がさないように注意しなければなりません。
印鑑証明の取得方法
印鑑証明書の取得は日曜日でも可能です。必要になる時期を確認して、事前に準備しましょう。
市区町村の庁舎で直接取得する
印鑑証明書は市区町村の窓口で申請して交付してもらいます。
印鑑登録カードを提示し交付申請します。代理人が申請する場合でも印鑑登録カードを提示し、申請書に正しい記載がされていると交付されます。
また、現在ではマイナンバーカードがあると、コンビニエンスストアで取得することも可能です。
印鑑証明書の有効期間は3カ月です。登記申請時に有効期限が切れる可能性がある場合は、新しい証明書を準備しましょう。
現住所と登記上の住所が異なる場合
登記事項証明書で住所を確認し、現在の住所地と異なる時は、所有権移転登記前に住所変更登記をする必要があります。
実際は、所有権移転申請と同時に住所変更登記申請を行います。
登記上の住所と現住所までの間に、複数の住所移転がある場合は、住所変更の経緯が明確に分かる資料を添付します。
現在の住所地の住民票に登記上の住所からの変更履歴が記載されていない場合は、戸籍附票を本籍地で取得し添付することが必要です。
印鑑証明書はいつまでに必要か?
印鑑証明書は、前述のように所有権移転登記申請に必要となるので、それまでに準備しなければなりません。
一般的には、売買代金の授受を行う決済と引き渡しの時に、所有権移転に必要な書類一式を持参し司法書士に渡します。
決済・引き渡しの時に売主が出席できないなど特別の事情がある場合は、司法書士に郵送するなどして事前に渡すケースもあります。
不動産の売却は契約から引き渡しまでの書類準備など、ミスのないようにしなければなりません。そのサポートをするのが仲介する不動産会社です。信頼できて、気軽に相談できる不動産会社と担当者に巡り合うことが重要です。
信頼できる不動産会社を探し見つけるためには、一括査定サイトの「リビンマッチ」を活用する方法が有効です。複数の不動産会社に一括で問い合わせることができるため、手間をかけずに手軽に比較できます。
印鑑証明書に関するよくある質問
- 不動産売却で印鑑証明はなぜ必要?
- 所有権移転の登記申請を行う際、本人であることを証明するために必要です。
- 不動産売却で印鑑証明書は何通用意するべき?
- 1通です。一般には印鑑証明書は登記手続きが完了した時点で、登記所から返してもらいます。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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