マンション売却前にリノベーションは不要。築古物件を高く売る方法
2021年の公益財団法人東日本不動産流通機構が発表した『築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)』によると、2020年の首都圏中古マンションの成約数は、築31年以上の割合が最も多いことが分かりました。
中古住宅の需要が高まる中で、リノベーションし、資産価値をあげてからの方が売却しやすいと考えるかもしれませんが、実はデメリットが多く、手を加えない方が売却しやすい場合がほとんどです。
その理由について詳しく解説していきます。
もくじ
売却前のリノベーションは不要?
リノベーションとは、住む人のライフスタイルや住みやすさにあわせて、購入時より物件の価値を高めることをいい、リノベと略してよばれることもあります。
マンションを売却する前のリノベーションは、買い手と売り手の双方にとってデメリットが大きいため、必要ないでしょう。その理由を、調査結果も参考にしながら確認してみましょう。
買い手は自分でリノベしたい
中古物件の買い手は、自分で好みの間取りや設備にリノベーションをしたいと考えています。
2019年アットホーム株式会社の『中古住宅のリノベーション実態調査』によると、中古物件を購入した人のうち約8割が「リノベーション前提で住宅を購入した」と回答しました。
また、「最初から中古住宅に絞って物件を探した」と答えた人は約7割です。中古物件の買い手は、新築物件を希望していたものの、理想や好みの物件がなかったため、仕方なく中古物件の購入にいたったわけではないことも注目すべき点です。
売却時に相場より割高になる
中古物件をリノベーションすれば、水回りをはじめとする設備や床材、壁などが新しくなるため、見栄えや印象が良くなります。外観や内装が新築物件と変わらないため、購入希望者の目をひくことは魅力です。
しかし、リノベーション物件は、施工にかかった費用をマンション売却費用に上乗せする必要があるため、周辺の中古物件の相場よりも売却価格が割高になり、買い手がつきづらいです。
時間的な負担が大きい
中古物件のリノベーション工事は、規模によりますが基本的には数カ月かかります。リノベーションの工事が終わらなくては、内覧の案内も、物件の写真も載せられないため、マンションの売却開始時期が遅れてしまいます。
また実際に工事にうつる前に、マンション管理会社の規約を確認したり、見積り依頼などの手続きが必要です。そのため、手間や時間的な負担も大きくかかってしまうのです。
そして工事中の物件には住み続けられないため、工事をすると決めたら、早めに新居を探す必要があります。場合によっては、新居と工事中の物件の維持費を二重に支払う必要があります。
リフォームの場合
リノベーションとよく似た言葉にリフォームがあります。ではリフォームも売却前は不要なのでしょうか。
リノベーションとリフォームの違い
リノベーションとリフォームは、混同して使われることもありますが、言葉の意味には明確な違いがあります。
説明 | 例 | |
---|---|---|
リノベーション | 住む人のライフスタイルや住みやすさにあわせて、購入時より物件の価値を高めること |
|
リフォーム | 古くなった設備や建物を修理したり改修したりして、新築の状態に戻したり、新しい設備に変更したりすること |
|
リノベーションはリフォームに比べて大規模な工事になる場合が多く、費用の負担は大きく、期間も長くかかります。
売却前にリノベーションではなくリフォームするメリット
リノベーションと比較して、売却前にリフォームすることはメリットもあります。下記3点を順番に説明していきますので参考にしてみてください。
- リフォーム中も物件に住み続けられる
- 工事期間が短く、売却活動をすぐに行える
- 買い手がリフォームの費用を用意する必要がない
リフォーム中も物件に住み続けられる
家の一部のみをリフォームする場合は、リフォーム中も物件に住み続けられることもあります。工事中は別の家を借りる必要があるリノベーションとは異なり、一部のリフォーム工事なら仮住まいの費用がかからないメリットがあります。
工事期間が短く、売却活動をすぐに行える
リフォームはリノベーションと比べると、工事期間の短さもメリットのひとつです。簡単なリフォームであれば数日で終わります。そのため、物件の売却活動をすぐに行えるでしょう。
また、物件の見た目が良くなり内覧で好印象を与えられたり、中古物件サイトで買主の目にとまりやすくなったりするメリットもあります。
買い手がリフォームの費用を用意する必要がない
買い手がリフォームの費用を用意する必要がないこともメリットでしょう。
リフォームには、リフォームローンが利用できます。条件によりますが住宅ローンに比べると金利が高くなる場合がほとんどです。
そのため、住宅ローンを組んだ買い手にとっては、リフォームで支出が増えることは、大きな負担に感じてしまいます。すでにリフォームされている物件なら物件販売価格にリフォーム費用が含まれているため、資金に余裕がない人の購入意欲を高められるでしょう。
売れない場合にはリフォームを検討する
手を加えずに売りに出したが、なかなか売れない場合にはリフォームを検討しましょう。
水回りやフローリングなどの主要部分をリフォームすることで買い手がつく場合もあります。
検討する際には、自分で決めずに必ず不動産会社に相談しましょう。
地域によって買い手のニーズも変わるので、独断でリフォームを行っても、マンションの査定額がリフォームにかかった費用を上回るとは限りません。
築年数が古いマンションの売却方法
築年数が古いマンションは、リノベーションをしない方がスムーズに売却活動を始められます。
しかし、古い間取りや設備は、内覧のときに買い手の印象が悪くなったり、住宅検索サイトで多くの人の目にとまりにくくなったりして売却が難しくなるなど、注意すべき点がいくつかあります。
築年数が古いマンションを売却するなら、不動産買取や不動産仲介などさまざまな方法を活用することが大切です。
不動産仲介で売る
築年数が古いマンションを売却する方法のひとつが、不動産仲介です。不動産仲介会社に買い手と売り手の間に入ってもらい、物件の購入希望者を探してもらいます。
不動産仲介の場合、物件の売買は個人間で行いますが、売却を希望する物件の販促活動、買い手が決まったあとの契約書の作成、引渡しまでの事務作業などは不動産仲介会社に一任できます。
また不動産仲介で売る場合、基本的に買い手が個人のお客様です。
内見などのことも考えて、築年数が古い物件は特に見栄えを良くするための努力は必要です。
不動産仲介の方法は3種類あり、下記のとおりです。
- 一般媒介契約
- 複数の不動産仲介会社に仲介を依頼する
- 専任媒介契約
- 不動産仲介会社1社に依頼する(自ら買い主を探すことができる)
- 専属専任媒介契約
- 不動産仲介会社1社に依頼する(自ら買い主を探しても仲介会社を通さなければいけない)
媒介契約についての詳細は下記コラムにて紹介していますので参考にしてみてください。
不動産買取業者へ売る
不動産買取業者に直接物件を購入してもらう方法もあります。購入希望者を探す不動産仲介と異なり、不動産買取の場合はすぐに物件を売却できるスピード感が魅力です。
不動産買取は不動産仲介に比べると物件が売れる確率はあがります。
その反面、購入した物件を販売して利益を出す必要があるため、不動産仲介の相場よりも買取価格は低くなってしまいます。
また不動産仲介とは違い、不動産買取は業者が買い取るため、見栄えを気にする必要はありません。
不動産買取についての詳細は下記コラムにて紹介していますので参考にしてみてください。
一括査定サイトで複数の提案を受ける
不動産の一括査定サイトでは、中古マンションの査定を行ってくれるだけでなく、複数の不動産会社から不動産買取や不動産仲介などさまざまな方法で売却の提案をしてもらえます。
いくつも不動産会社を訪問したり、連絡をする手間も省けて、時間的なメリットにもつながります。
不動産仲介か不動産買取かを決めかねている、さまざまな売却方法を知りたいなら、査定サイトを利用してみましょう。
大手住宅メーカーの注文住宅販売や不動産テック企業の仲介業務に4年間携わり、不動産取引にかかわった件数は350件以上にわたります。2021年よりリビンマッチコラムの執筆・編集を担しています。皆さんが安心して不動産取引を行えるよう、わかりやすくリアルな情報を発信します。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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