後期高齢者の不動産売却。受けられる控除や年金医療費への影響とは
75歳になると後期高齢者となり、健康保険や税金の制度が変わることはご存じでしょうか。
また後期高齢者の中には子どもや孫のために、不動産の売却を検討される方が多くいらっしゃいますが、不都合なことがないか不安でなかなか行動に移せない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、後期高齢者が不動産を売却する際の税金や健康保険料について詳しく説明します。
もくじ
年金額や健康保険料への影響は?
後期高齢者の方が不動産売却の際に不安に思うことは、売却時に利益が出ると年金額が減ってしまうのではないか、ということです。
先に結論をお伝えすると、売却時に利益が出ても、年金の受給額が減ってしまうことはありません。ただし、健康保険料が上がる可能性はあるので、注意が必要です。それでは詳しく説明していきます。
年金の受給額への影響
先程もお伝えしましたが、不動産を売却し、利益が出ても年金の受給額が減ってしまうことはありません。
不動産売却時に利益が出ると、譲渡所得として所得税が課せられますが、年金の受給額に影響することはありませんので、その点は安心して売却することができます。
健康保険料の支払額への影響
後期高齢者の方が不動産売却時に注意すべき点は、健康保険料についてです。
後期高齢者医療制度に加入している方は前年度の総所得を元にして健康保険料が計算されます。
そのため不動産売却に伴い、利益が出た場合は総所得が上がりますので、売却した翌年の健康保険料が上がってしまう可能性を考慮しておきましょう。
しかし譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる制度がありますので、3,000万円以上の利益が出なければ譲渡所得は0円となり、総所得は上がらず、健康保険料が上がることはあまりありません。
もし譲渡所得が生じ、健康保険料が上がることがあったとしても、前年の総所得によって健康保険料が決まるため、値上がりした翌年には再び値上がり前の健康保険料に戻ります。
3,000万円の特別控除が受けられること、値上がりした健康保険料は維持されないことを覚えておきましょう。
3,000万円特別控除の適用条件
譲渡所得課税の特例により、最高で3,000万円を控除できる特別控除ですが、適用するためには条件があります。
下記条件を満たすことで適用可能です。
- 現在主として居住中の自宅であること
- 建物とともにその土地も売却すること
- 住まなくなった日から3年目の年末までに売却すること
- 売却者と購入者が夫婦や親子、内縁関係者などの特別な関係でないこと
- 売却した年の前年・前々年にこの特別控除を適用していないこと
税金の支払いを抑えるためにも3,000万円の特別控除が適用可能かどうか確認しておきましょう。
3,000万円の特別控除については下記コラムにて紹介していますので参考にしてみてください。
後期高齢者が行う不動産売却でかかるお金
ここからは後期高齢者が不動産の売却をおこなうときに必要なお金について説明をします。
不動産売却にかかったお金のことを譲渡費用といいます。
譲渡費用は不動産業者に支払う仲介手数料や売買契約書に貼る印紙代、立退料や解体費などが代表的です。
譲渡費用には含まれませんが、売却時には登記費用が必要になる場合もありますので、注意しておきましょう。
不動産売却時にかかるお金があることも確認した上で、最終的に売却金額を決めることが重要です。
仲介手数料・印紙代
不動産売却時には不動産仲介会社に購入者を探してもらうことが一般的です。
実際に契約になると購入者を探してきた不動産仲介会社に仲介手数料を支払います。
400万円以上の売買価格であれば、以下に消費税を加えた金額が仲介手数料の上限です。
また、売買契約書に貼る印紙代も必要です。
印紙代は売買契約書に記載されている契約金額により定められていますので、事前に確認しておきましょう。
仲介手数料についての詳細は下記コラムにて紹介していますので参考にしてみてください。
立退料・解体費
貸家にしている物件を売却する際に家屋を明け渡してもらうために借家人へ払う立ち退き料や、土地を更地にして売却するために建物を取り壊す解体費が必要になる場合があります。
解体費相当額を値引きして、売却後に購入者自身の費用で解体を実施してもらう、という提案も可能かもしれません。
その場合は売却時にかかる費用を抑えることが可能です。
登記費用
不動産売却時には、所有権移転登記と抵当権抹消登記が必要です。
所有権移転登記は購入者の費用負担で登記を行うことが一般的です。
売却時には不動産に抵当権など権利が付いていない状態にしておく必要がありますので、住宅ローンの融資を受けて購入した物件で抵当権を抹消していない場合などは、抵当権抹消登記を行う必要があります。
登記上の住所や所有者が現況と異なる場合には住所変更登記・氏名変更登記を行わなければなりません。
抵当権抹消登記、住所変更登記、氏名変更登記が必要な場合は、売却者が費用を負担することが一般的です。
登記費用も売却時に必要な経費として必ず資金の計画に組み込んでおきましょう。
不動産会社選びのポイント
少しでも不動産を高く売るためには不動産会社選びが大切です。
しっかりと複数の不動産会社を比較した上で、売却を依頼する会社を選びましょう。
しかし、数多くある不動産会社から自分と相性が良く、高い値段で売却してくれる不動産会社を選ぶことは至難の業です。
それでは不動産を少しでも高く売るために、どのように不動産会社を選べばよいのか説明します。
大手不動産会社
全国にネットワークを持つ不動産会社は抜群の知名度を誇り、多くの物件情報を扱っています。
そのネットワークを活かして、買主を見つけてくるのも早い傾向があります。
ですから買主が見つからず、売却額をどんどん下げざるを得ないという状況が起きにくいです。
しかし、多くの物件を扱うがゆえに営業が担当するエリアも極端に広いため、売却物件があるエリアについてあまり詳しくない可能性もあります。
地域の特徴や相場感について情報が少なければ、売却金額も安く見積もってしまうかもしれません。
そのため売却物件があるエリアについてある程度詳しい担当者を選ぶ必要があります。
地域特化型の不動産会社
地域に密着した地元の不動産会社は、その地域に特化した物件情報や購入希望者の情報を持っています。
そのため、すでに抱えている購入希望者の中で、契約が決まり、希望額で売却できるかもしれません。
しかし、限られた顧客の中で契約が決まらなかった場合になかなか集客ができず、契約まで長期化するかもしれません。
また早期売却に向けて不動産会社の言い値で販売価格が低くなってしまう可能性がありますので、注意が必要です。
査定サイトの利用
不動産会社を選ぶ際はインターネットにて一括査定サイトを利用すると、とても便利です。
一括査定サイトで簡単な項目を入力すれば、大手不動産会社や地域特化型の不動産会社を含む複数社から査定を受けることができます。
一度で各社から査定結果を取り寄せることができ、自宅に居ながら無料で不動産会社を比較し、検討することが可能です。
自分で気になる不動産会社を回る必要もないため、時間や体力を浪費することなく、効率的に不動産会社を選ぶことができます。
安心して少しでも高く不動産を売却したいとお考えの方はぜひ査定サイトを利用してみてください。
大手住宅メーカーの注文住宅販売や不動産テック企業の仲介業務に4年間携わり、不動産取引にかかわった件数は350件以上にわたります。2021年よりリビンマッチコラムの執筆・編集を担しています。皆さんが安心して不動産取引を行えるよう、わかりやすくリアルな情報を発信します。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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