いらない不動産の処分方法!放棄か寄付か?売れるなら高く売る
利用用途のない「いらない不動産を処分したい」と思う方は多いです。
処分方法としては、利益の出る売却が望ましいですが、価値のない不動産だと買い手がつかないこともありますが、そのような場合はどのような対処方法があるのでしょうか。
この記事では、不動産の処分方法と所持しておくことのリスクについて解説します。
もくじ
不動産の処分方法
相続などで所有することになった不動産を処分したい場合、次のような選択肢があります。
- 売りに出す
- 寄付する
- 空き家バンクに登録する
- 相続放棄する
売りに出す
売却するということは、お金に変わるのですから、もっとも理想的な方法です。
不動産の場所や規模にもよりますが、一般的な方法は不動産業者へ売却の依頼をするところからはじまります。しかしその前に、対象の不動産が市場でどの程度の価格で取引されているか「相場」を確かめておくことをおすすめします。
相場は、場所や広さなどの条件が似た物件の売買事例などから知ることができます。また、査定価格なら一括査定サイトを利用することで、手間をかけず各社の査定価格を比較できます。
また、買い手が見つからないような物件の場合は、不動産買取を利用しましょう。一般的な不動産売買では、不動産会社を介して売買が行われることが多いですが、不動産買取では不動産会社が直接買い取ってくれます。
ただし、不動産買取は、売却価格が市場価格よりも低くなることが一般的です。これは買い取った不動産を不動産会社がリフォームをしたり、土地の整備をしたりと手を加えて再販売するためです。再販売して利益を得るためには相場より安く仕入れをする必要があります。
寄付する
売れないような不動産の場合、寄付するという選択肢もあります。寄付する先は、以下などが考えられます。
- 所属する自治体
- 法人
- 隣地
- 宗教法人
しかし、寄付先にとって利用価値がなければ、なかなか難しいのが現実です。自治体や法人は税金面が有利なため、とにかくお金はいらないから誰かもらってくれ、という場合には検討してもよいですが、売れないような不動産という時点で、可能性は高いとはいえません。
ただ、宗教法人の中でも特に寺院が近くにある場合、声をかけてみる価値はあるでしょう。寺院では最近檀家離れが進み、従来のお墓を維持できなくなり、「墓じまい」が進んでいます。
それによって運営が厳しくなっており、「納骨堂」を建てることで、お墓より安い費用で手間もかからない経営を進める寺院が増えています。その用地や駐車場として利用できる可能性があります。
空き家バンクに登録する
空き家バンクは、所有している空き家を貸したい人や売りたい人が登録し、空き家物件情報を自治体のホームページで紹介しています。募集を見た希望者は買ったり、借りたりできます。
登録自体は無料ですので、有効活用できそうな空き家であれば登録しておいてもよいでしょう。
空き家バンクの運営は地方自治体です。まずは不動産がある地域の空き家バンクがあるかどうかを確認してください。また、空き家バンクの運営は地方自治体ですが、トラブル防止の観点から不動産会社が間に入ることが一般的です。そのため、空き家バンクで売却できた場合でも仲介手数料が発生します。
令和4年度全国空き家対策推進協議会の「空き家バンク登録物件の成約事例集」によると、空き家バンクに登録された物件の成約には以下のような傾向があるとのことです。
- 空き家バンクで成約する物件の半分が500万円以下で売れており、1,000万円を超える物件はほとんどない
- 空き家バンクで成約する物件の7割が築30~60年の築古物件
- 空き家バンクで成約した物件の半分が登録から半年以内で売却完了
- 残置物を撤去している物件のほうが、物件価格が高く、成約までにかかる期間が短い
参考:「令和4年度全国空き家対策推進協議会資料より」
空き家バンクを利用した実際の売却事例についていくつか見てみましょう。
宮城県の事例
宮城県において、400万円で取引された事例です。60代男性が相続し、10年ほど所有したのちに空き家バンクに登録しました。空き家バンクに登録する前には売却活動をしていたが、なかなか成約へつながらなかったそうです。
項目 | 内容 |
---|---|
取引価格 | 400万円 |
構造 | 木造2階建て |
築年数 | 築44年 |
空き家バンクの登録理由 | 相続したが、利用予定がなかったため |
物件登録日/成約日 | 2022年2月/2022年6月 |
茨城県の事例
茨城県において350万円で取引された事例です。劣化が酷く、購入後はリフォームが必要な物件でした。空き家バンクの登録から売買取引まで約2年を要しました
項目 | 内容 |
---|---|
取引価格 | 350万円 |
構造 | 木造平屋建て |
築年数 | 築51年 |
空き家バンクの登録理由 | 相続したが、利用予定がなかったため |
物件登録日/成約日 | 2019年11月/2021年11月 |
福岡県の事例
福岡県にて350万円で取引された事例です。不動産会社に処分について相談していたところ、空き家バンクを勧められて登録。登録から約5カ月で売買取引が完了しました。
項目 | 内容 |
---|---|
取引価格 | 350万円 |
構造 | 木造2階建て |
築年数 | 築50年 |
空き家バンクの登録理由 | 不動産会社からの紹介 |
物件登録日/成約日 | 2021年7月/2021年12月 |
相続放棄する
遠く離れた田舎の利用価値がない不動産の場合、相続する前であれば、相続自体を放棄できます。
相続が発生したことを知ってから3カ月以内に放棄する意思を示さなければなりません。急に決断できることではないのであらかじめ検討しておく必要があります。
ただし、この場合はほかの財産も放棄しなくてはいけません。都合の悪いものだけ放棄はできません。
また、放棄しても管理義務は残ります。家庭裁判所へ申し立て、管理義務の放棄もできますが、費用がかかります。
利用しない不動産を所持するリスクとは
利用していない不動産を「もったいない」や「先祖代々のもの」だからといって、そのまま所有し続けている方は多いのではないのでしょうか。しかし、利用しない不動産を持ち続けることがリスクになることもあります。
税金がかかる
土地や建物には、毎年固定資産税がかかります。固定資産税の金額は、土地は土地の評価、建物は構造や築年数などに応じて決まります。
建物が建っている居住用地なら課税軽減措置が受けられますが、特定空き家に指定されるおそれもあり、そうなれば最大50万円の過料や税金の大幅な増額を受けることになりかねません。
近隣トラブルが起こる
使わない不動産を放置していれば、廃棄物を不法投棄されたりするおそれがあります。ひどい場合は放火されるかもしれません。
そうなると、まず迷惑がかかるのが近隣住民です。住んでなくても、所有する土地と建物が原因で発生した損害であれば、賠償責任が生まれます。
もし建物が倒壊して、隣地や通行人に被害が出てからでは手遅れです。実害が出なくても、近隣からクレームを受けるようなことになれば、売却する際の大きなマイナス要因です。
不法占有される
空き家の場合、まったく関係のない第三者が入り込み、占有をはじめるというリスクもあります。
どういう人間かまったく分からない以上、下手に手出しはしないほうがよいでしょう。また、相手が何らかの権利を主張すれば、手続きや請求によって退去させなければならないため、いらない手間がかかります。
そうなってしまうと、土地の評価を下げる結果になりかねません。さらに極端に言えば、もし20年占有されると時効が成立し、所有権を取られる可能性さえあります。
少しでも高く売る方法
使わない、使う見込みもない不動産は、基本的には売却してお金に変える方法が一番です。売れなければ、寄付なども検討しないといけませんが、まずは売れるように工夫して、少しでも手元にお金を残したいものです。
不動産を少しでも高く売る方法を4つ紹介します。
自身で手を入れず、まずは相談する
建物が古い場合、壊したり作り変えたりしたくなりますが、余計な手を加える前に、まず不動産会社に相談することをおすすめします。
地域のニーズのよっては、更地よりも古民家のほうが需要があるというケースもあります。売りに出す価格も、希望はあるでしょうが、まずは地域のニーズを把握している不動産会社に相談することで、適切な判断ができます。
どういう不動産なのか、知っておく
不動産を売る場合、どのような人が、何を目的で買うのかを知っておくと、ニーズに合った売却活動ができます。
利用価値がないと思われる不動産でも不動産会社から見れば希少な不動産である場合もあります。一度に相談してみる価値はありそうです。
隣地に売却する
地続きになっている隣地への売却もひとつの手段です。お隣さんにとっては自分の土地がそのまま広がるのでメリットがあり、高く売却できる可能性があります。
ただし、知り合い同士で契約すると、トラブルに発展するケースが多いです。この場合でもトラブルになるリスクを回避するため、仲介手数料を負担しても不動産業者に仲介してもらったほうがよいでしょう。
査定サイトで複数業者へ問い合わせする
複数の不動産業者へ相談し、査定金額を比べることによって少しでも高く売却しましょう。査定金額は業者によって違いますが、あくまでも売れる可能性のある金額であり、実際に売れる金額ではありません。
低い金額を提示する業者のほうが誠実であると考えることもできます。一社に任せるか、複数に依頼するか、それぞれ良し悪しはありますが、担当者の話を聞いて、納得できる方法を選びましょう。
大手住宅メーカーの注文住宅販売や不動産テック企業の仲介業務に4年間携わり、不動産取引にかかわった件数は350件以上にわたります。2021年よりリビンマッチコラムの執筆・編集を担しています。皆さんが安心して不動産取引を行えるよう、わかりやすくリアルな情報を発信します。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
誤字脱字や事実誤認などございましたら、ぜひともご指摘ください。
運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
人気ワード
離婚で家を財産分与 (27) 老後の住まい (24) 売れないマンション (16) 一括査定サイト (15) 離婚と住宅ローン (13) 海外移住 (11) 訳あり物件 (11) 家の売却 (11) 家の後悔 (10) 不動産高く売る (9) 実家売却 (9) マンション価格推移 (8) マンションの相続 (8) 移住 (7) アパート売却 (7) 不動産会社の選び方 (6) マンション売却の内覧 (6) 家の価値 (6) 離婚と家 (6) 売れない家 (5) お金がない (5) 空き家売却 (5) 離婚準備 (5) 離婚と家売却 (5) 農地売却 (4) 近隣トラブル (4) マンション買取 (4) 家の解体費用 (4) 売れない土地 (3) マンションか戸建てか (3) サブリース (3) イエウール (3) 不動産価格推移 (3) リビンマッチ評判 (2) シンガポール移住 (2)リビンマッチコラムを引用される際のルール
当サイトのコンテンツはどなたでも引用できます。 引用にあたって事前連絡などは不要です。 コンテンツを引用される際は、引用元が「リビンマッチ」であることを必ず明記してください。
引用ルールについて