法人が不動産売却する際の税金はいくら?個人と法人で比較
法人名義で所有している不動産を売却する場合、個人名義とはいろいろな面で違います。特に税金に関しては違いが大きく、法人の方が税率が小さいこともあります。
ここでは、法人が不動産を売却する場合に押さえておきたいポイントをまとめてご紹介します。
もくじ
法人と個人で不動産売却にかかる税金はどのくらい違う?
不動産を売却すると、売却益に対して税金がかかります。この売却益の計算や扱いが法人と個人とではことなります。
個人が不動産売却した際の売却益
個人の場合、売却益は以下のように計算します。
取得費は不動産の購入金額やその時にかかった費用の合計です。
譲渡所得というのは、個人の所得の一つです。個人の場合は給与所得や事業所得など所得を10種類に分けて計算する必要があり、不動産の売却益はこのうちの一つである譲渡所得に分類されます。
個人の不動産売却時の税金については、こちらからご確認ください。
法人が不動産売却した際の売却益
法人の場合、売却益は以下のように計算します。
簿価というのは帳簿に載っている金額で、企業会計に則って計算されます。利益は会社の儲けです。
ご覧のように、法人と個人とでは不動産売却の扱いがいろいろな面で違います。税金計算の違いなど、もう少し詳しく見ていきましょう。
法人が不動産を売却した場合の税金計算
法人の場合は譲渡所得だけを分けて課税するのではなく、いろいろな損益を合算して、そこの税率をかけて計算します。法人税の税率は資本金の額や規模の大小によって違いますが、およそ23%前後です。実効税率(法人税、地方法人税、住民税、事業税の合計)でも平成31年現在で30%前後です。
個人では不動産所有期間で税金が異なる
個人の場合は、税率が所有期間によって違い、5年以下の短期譲渡所得では30.63%、5年を超える長期譲渡所得では20.315%がかかります。
5年以下の短期譲渡所得 | 30.63% |
---|---|
5年を超える長期譲渡所得 | 20.315% |
つまり、場合によっては法人として不動産を売却した方が税率が小さくなることがあります。
ただし、個人がマイホームを売却する場合には3,000万円の特別控除の特例など、いくつかの特例が適用できることがあります。これにより、譲渡所得は小さくなり、結果的に納める税金は小さくなることもあります。
損失がある場合は法人の方が有利?
ここまでは不動産売却益についてご紹介しましたが、売却損となる場合もあります。
個人による不動産売却では、譲渡損失を給与などの他の所得と相殺(損益通算)して所得税を抑えるためには、買い換えや住宅ローンなどの一定の要件を満たしている必要があります。
一方で法人では、同一事業年度なら損益の通算が可能です。マイナスとなることを把握した上で、節税のために売却することもあり、個人名義以上に売買がしやすいとも考えられるでしょう。
法人が不動産を売却する場合の譲渡日と取得日
法人として不動産を売却する際には、期をまたぐ場合の売却について気になるのではないでしょうか。確かに、不動産をいつ取得したのか、そしていつ売却したのかというのは法人の税金に大きな影響があります。
原則として引き渡し日が基準
不動産の取得については、原則として引き渡しを受けてそれが使用可能になった日が取得日となります。売却については、不動産の引き渡しを行った日が基準日となります。
しかし、売買契約から引き渡しまで時間が空いていると法人の場合、期をまたいでしまうなど都合が悪いこともあります。そこで、次のような例外が認められています。
例外として契約締結日を基準にもできる
取得日は、これについての特約がなければ、手付金を含む30%以上の代金を支払った日をもって取得日とすることが許されています。
譲渡日は、民法では売買契約の締結をもって売買契約が効力を持つため、売買契約の締結日を不動産の譲渡日として収益計上することが許されています。
法人が不動産売却する時の注意点は?
法人が不動産を売却する時には節税や役員への売却などできることが多い反面、個人が売却する時とは異なる注意点があるので見ていきます。
法人の不動産売却では消費税がかかる?
法人が不動産を売却する場合には、消費税がかかることがあります。消費税は「消費されるもの」にかかる税金ですので、土地にはかかりません。また、課税事業者に課せられるものですので、個人の売買にもかかりません。
しかし、法人(課税事業者)が建物を売却する場合には消費税が課せられます。建物は高額な上、消費税率が2019年10月から10%になり負担も大きくなっているので注意しておくといいでしょう。
法人の不動産売却にかかる税金に関するよくある質問
- 個人と法人で不動産売却益への税金はどちらが安い?
- 基本的には、法人の税金の方が安いです。税率が低く、不動産売却の利益と事業の損益を併せた利益に課税されるため、節税する方法が多くあります。ただ、個人は譲渡所得控除の特例措置などがあり、低い金額の売却であれば個人の方が税金が安いです。
- 法人が不動産を売却する際の注意点はある?
- 建物を売却する際は消費税がかかります。土地には課税されないため、建物の売却の際には、注意しましょう。
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